小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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五月四日(月)



―――旅行2日目


一誠達、男性陣は百代達女性陣が着替えている間、ロビーで遊んでいた。少しして着替え終わった

百代達が合流し話しながら釣りをしに山の中へ


「ここら辺で良いだろう。ナイス景色だなぁ」


「よーし、盛大に魚を釣ろうぜ!ひゃっほう!」


翔一は釣竿を持って川に駆けだした。


「おい、エサ付けないと」


「現地調達で良いんだよ。岩の下には虫がいるんだからそれでエサにする。自然の中で育った魚は

自然に育ったエサで釣り上げるのが冒険をする際に必要な知識の1つ」


「で、この虫をこうして針にくっつけて、釣り開始」


翔一は同時にエサ付きの針を川に投げ込んで少ししたら竿がしなりだして竿を持ち上げると―――。


「そしてヒットー!いきなりヤマメだぜ!」


川魚を同時に釣りあげた。


「全力で満喫してるなー、野生児だなー」


「それがあいつなんだろう?」


「まあ、そうなんだけどね」


「見てろ、俺様がカッコイイ見本示してやる」


「あ、オチにはまだ早いよ」


「オチねぇよ!」


「ガクトが落とさないと次のシーンに移れないよ?」


「なに、そうなのか?それは困るなぁ。よし、岳人。オチろ」


「オチねぇって!見てろ!何時もよりワイルドな俺様を!」


ガクトは釣り中の百代の隣に陣取った。


「俺様の釣りテクが素晴らしかったら結婚を前提に付き合ってくれモモ先輩!」


「ほー。動物的で面白い求婚だ。見せてもらおうか」


「うっしゃ。今から釣りゲーに成るぜ」


そう言ってガクトは意気揚々と釣り糸を投げ込んだ―――が、それは百代の糸と絡み合ってしまった。


「邪魔だ!もっと遠くで釣れ!」


ドッゴオオオオオォンッ!


「はぐぅぅうぅうぅ!」


「おー。吹っ飛ばされた・・・・・見事にオチつけたね」


「あいつは漫才の才能があるんじゃないか?」


「アタシは釣りの前に修行しよっと!」


「ま、時間はたんまりあるしそれでも良いだろう。弟、私の分も釣れ。三匹以上釣っていないと私刑な」


「厳しい法律だな・・・・・」


「あの時の選択が今の状況に成ったんだぞ?」


「・・・・・ホント、どうして俺はあの時、『うん』って言ってしまったんだ・・・・・」


「今更後悔しても後の祭りだろうが・・・・・」


「京、格闘修行だ。妹と一緒に稽古付けてやる」


「謝々」


「最近、素手も鍛えるね京」


「イッセーを世間の荒波から超守るため」


「世間の荒波なんて関係ないなぁー」


「ならばイッセーの盾になるために。アイムイージス」


「お前が盾に成る状況に持っていかせない。寧ろ俺はお前を守る」


「やっぱりかっこいいなぁ・・・・・。2人の老後について語り合おう?」


「おい、私の前でいちゃつこうとするな!来い、京。手取り足取り鍛えてやる!」


「今日も地道に鍛えて着実に強くなるのよ!」


「あぁ〜れぇ〜」


川神姉妹に京は連れて行かれた。一誠は顔を周囲に見渡すと由紀江がクリスの代わりに虫を針に

つけていた。・・・・・微妙に震えながら。危なっかしくエサをつけようとする由紀江に一誠は苦笑を

浮かべながら近づく。


「由紀江、やろっか?」


「え・・・・・イッセーさん」


「そんな震えながらエサを針につけたら由紀江が怪我をする。困った事があるなら

俺か他の皆に頼っていいんだぞ。友達なんだからな」


由紀江の代わりに針にエサをつけてクリスに渡した。


「ほら、クリス。これで釣ってみるがいいさ」


「ああ。すまないな」


「ありがとうございます!」


「由紀江の竿も貸せ。エサをつけてやるから」


「は、はい!本当にありがとうございます!」


「それじゃあ、一緒に釣るとするか」


「ああ。先に釣ってやるぞ」


「負けません!」


―――しばらく一誠達が魚を大量に釣っていると百代が戻ってきた。


「おー、お前等。大量に釣ったなぁー」


「だろ?それと一子と京はどうした」


「組み手に入った。あれは好きにやらせるさ」


「そうか、格闘もまたそいつを強くする力と成るしいいんじゃないか?」


「ははは。無理矢理襲われる覚悟はしておけ。そして、ボロボロになって泣いているお前を私がより激しく

襲うとかどうだ。なんかソソられるな?」


「・・・・・逆に返り討ちにして2人を泣かしている光景しか思い浮かばないんだが」


「たまには一誠を泣かしてみたいなぁー、なんて思う時があるんだよなぁー?」


「あはは、なら―――俺を捕まえてやってみろよ」


ヒュンッ!


「き、消えた・・・・・」


「移動する姿さえも見せずに何処かへ行ってしまいましたね・・・・・」


「これは私への挑戦状と受け取っても良いんだな?しかも、気を全く感じさせてくれないときた。

本気で私から逃げるつもりでいると分かる・・・・・。絶対に見つけて捕まえてやるぞ、一誠!」


百代はこの場から消えた一誠を探しに何処かへと駆けて行った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



一子と京は、皆から離れたところで組み手をしていた。


「せいっ」


「あぶな!やるわね、今の蹴りは鋭かったわ!」


「武器がなくても、ある程度はやれないとね!」


「一誠さんの為か。さすが京ね。でも、アタシだって進化してるわ!」


2人が、やや一子優勢で攻防を繰り広げていく。が、同じタイミングで攻撃を中止する。

自分達の組み手を見ている第3者の存在に気付いた。


「お見事です。サムライガール」


外国人だった。長身に迷彩服姿が決まっている。眼帯が威圧的に感じた。


「・・・・・?こんな所に人が・・・・・」


「惚れ惚れするような動きでしたね、2人とも」


「ちょ、日本語よ!外国人が日本語を喋ったわ!」


「や、クリスだってそうでしょうが」


「あ、そっか。あははは」


「・・・・・」


外国人女性が2人を一瞥し辺りを見渡すと再び2人に顔を向けた


「私の質問に答えなさい。―――旅人はどこにいますか?」


「・・・・・え?」


「旅人・・・・・って、イッセーの事?」


「イッセー・・・・・そうか、それが彼の名か」


「まさか、お兄様を知っている人なの・・・・・?」


「そうです。川神百代と戦っていた旅人・・・・・いえ、『イッセー』と短い間でしたが

楽しい時間を過ごした仲なのです」


「む・・・・・」


初対面でしかも一誠を知る外国人が一誠の名前を呼んだ事に嫉妬を覚えた京。


「彼が此処にいる事は明白です。答えなさい、彼は・・・・・イッセーはどこにいますか?」


「知らないわ!私と京はお兄様達と離れて京を鍛えていたんだから!」


「・・・・・そうですか」


「仮に知っていたとしても初対面の人に教える訳がないよ。特に私の大好きなイッセーを

どこの馬の骨も知らない女はね」


「・・・・・なんだと」


外国人は鋭い視線で京に送る。京も外国人に睨み返して2人の間に火花が散った。


「・・・・・次の作戦開始の時間が迫っているので今日は引きあげます」


しかし、直ぐに睨みあいを止め踵返して外国人は歩を進み京と一子から離れる。


「サムライガール。イッセーに伝えておきなさい。いずれ、近いうちに会う時が来るとこの

『マルギッテ・エーベルバッハ』が言っていたと」


背を向けながらそれだけ言い残して外国人は2人の視界から消え去った。


「・・・・・どうする?」


「別に言わなくても良いと思う」


「いいの?お兄様の知り合いなのよ?」


「敵に塩を送るようなマネを私はしない」


「あはは・・・・・」


「さ、続きをしよ?」


「そうね、とんだ邪魔が入ったけど気を取り直してしましょう!」


2人は再び組み手に入った。―――そんな二人に遠くから一誠が木の上から見詰めていた


「―――ああ、楽しみにしているぞ」


「みぃーつけた♪」


「おっ?」


「さあ、捕まえて泣かしてやる!」


「鬼さんこちら♪手の成る方へ♪」


「この野郎ぉー♪待てぇー♪」


一誠と百代はしばらく楽しげに追いかけっこをした。


「川神流、星殺し!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオッ!


「轟龍波ぁっ!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


追いかけっこを・・・・・した。


―――夜


「で、大和とクリスが決闘する事に成った理由は?」


「直江大和が・・・・・」


「クリスが・・・・・」


「「・・・・・」」


「「ふん!」」


数時間後、旅館で翔一から大和とクリスが決闘をするという話しを聞き2人に聞くが話しが進まなかった。


「俺の質問に答えてくれるか?」


「なら、自分が答える。直江大和はやはり口先だけの男だと認識したんだ。仲間の為に義に反する事を

するのは理解するが身体が拒否している。やはり直江大和のやり方には納得がいかないんだ」


「俺は仲間の為に被害や犠牲を最小限にしようとしているだけなんだ。セコいとか、ズルいとか、

卑怯とかなんて俺にとってはただの褒め言葉に過ぎない。勝てばいい。それだけだ。それをクリスに話したら

頑固で俺の事を認めてくれなかったんだ」


「当り前だ。義に反する行為など私は嫌いだ」


「だから仲間の為に勝たせようとしている思いからくる行動なんだよ」


「だったら正々堂々と真正面から向かって勝てる策を考えれば良いではないか」


「真正面から攻めるのは愚の骨頂だ。時には横や背後から攻める必要も大事なんだ。

その方が被害は最小限に成る」


「悪を倒すのにどうして回りくどい事をするのだ。意味が分からないぞ」


「作戦で状況や場所によってそう言う策も考える必要性もあるんだってば」


「ふん。それはただの臆病者がする事ではないか」


「じゃあ、お前は真正面から戦車に攻めろと兵士に言うのかよ!死に行けと言うもんだぞ!」


「では、あと少しで倒せる悪を回りくどいやり方をして倒そうとしたら逃げられた時はどうするんだ!

真正面から倒していけば逃げられずに倒す事ができた筈なんだぞ!」


「なんだと!?」


「なんだ!?」


「―――と、まぁこんな感じで大和とクリスが決闘をする事に成ったんだ」


「・・・・・2人の行動と性格が真逆過ぎるからこんな結果が生んだのか・・・・・」


卓也の説明に溜め息を吐き呆れた表情を浮かべる。


「それで、決闘のルールは?」


「それは俺が考える!なんてたってリーダーだもんな!」


「ん、それじゃあ明日の決闘に備えてさっさと寝るんだぞ。ああ、それとだ。下の旅館の風呂に覗く

馬鹿なんていないよな?」


「っ!?」


「ま、いないだろうけどさ。でも、仮にいたらそいつにはトゲトゲ付きの

ゴールデンハリセンで叩くんでよろしく」


何時の間にか持っていたトゲがある金色のハリセンを見せびらかした。


「百代。お前も例外じゃないからな」


「あ、ああ・・・・・分かった」


冷汗を流しながら頷く。


「さて、夕食は食った事だし俺は寝るとしようかな。百代と追いかけっこをして地味に疲れた」


「結局、捕まえる事が出来なかったぞ」


「まだまだ俺の足下にも及ばないってことさ」


「ぐぬぬ・・・・・」


「それじゃ、一足早く寝る。お休み」


一誠が男部屋に赴く為にこの場からいなくなった。


「ククク、イッセーが寝たら忍び込んで・・・・・」


「おいおい、命知らずな奴が此処にいるぞ」


「絶対に気づかれそうな気がするよ」


「よし、私も参加するぞ」


「はい、一名追加入りましたー」


「その理由は?」


「一誠をいじめたい!」


「「「「絶対に無理」」」」


異口同音で男性陣が言った。百代に勝ち、人ではありえない力を持つ一誠をいじめるなんて不可能に等しい。


「じゃあ、しょーがない。弟でもいじめるとするかなー♪」


「あ、俺もそろそろ寝るね。おやす―――」


「おっと、姉を放っておくなんてどういうつもりだぁー?」


「ぐえっ!し、絞まっている・・・・・!ギ、ギブッ!ギブだ姉さん!ギブゥゥウウウウウウウウッ!」


バシバシと自分の首を絞めている腕に叩きギブアップを言い続ける。


「あーあー、捕まっちゃったね」


「一誠さんは寝に行っちゃったし大和を助ける奴はこの場にはいねぇ」


「大和、強く生きろ」


「一誠さあああああああああああああああああんっ!」


大和の叫びが旅館から響き夜空に消える。

-20-
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