小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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六月十八日(木)



―――川神学園 3−F 朝のHR



「さて、今日はいきなり転入生を紹介するよ」


3−Fの生徒達はゲイツの言葉に再び大いにざわついた。


「この時期にまた・・・・・?」


「クローンじゃないだろうが・・・・・誰だ?」


「ホントだねー?誰なんだろう・・・・・」


「フフフ、皆も気に成ってしょうがないようだね。それじゃ転入生君、軽やかにどうぞ!」


ガラッ・・・・・


教室中の視線が、燕が転入生した時と同じように注がれた。川神学園の制服を着込んだ銀の長髪、

腰には装飾を付けて教室に入ってきた女子生徒。百代、弓子、燕の3人はその女生徒を見て目を見開いた。


「初めまして。今日からこのクラスになる―――橘天衣だ。短い間だが、よろしく頼む」


「た、橘さんっ!?」


「ど、どうして・・・・・!?」


「・・・・・」


「彼女は急遽、転入する事に成ったんだ。皆、仲良くするんだよ」


―――刹那


「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」」」」」」」」」」


教室の外から絶叫が聞こえた。百代達は何事だ?と思うと天衣が口を開いた。


「私以外にも転入してきた人物がいる。きっとその人物に驚いたんだろうな」


「ど、どういうことです・・・・・?それに何故、貴女がこの学校に転入なんて・・・・・」


「一誠だ・・・・・」


「「「・・・・・あー、納得した」」」


不可能を可能にする男に半ば強引に転入させられたんだと3人は心の中で同時に思った。


「橘さん、貴女の他に誰がこの学校に転入してきたんですか?」


「百代、お前が一番知っている人物だ」


「・・・・・まさか」


「ああ、そのまさかだ」


溜め息を吐いて百代の脳裏で思い浮かんだとある人物に肯定した。


―――3−Sクラス



英雄のクローン、葉桜清楚 兼 覇王・項羽がいる教室では転入生がこのクラスにはいる事を

説明されていた。


「このクラスにまた転入生とは・・・・・」


「一体誰なんだろう?」


『(どうでも良い事だ。だが、俺の配下に成る奴が増えるという事だけだ)』


「(もう、そんなこと言っちゃダメでしょう?一誠君にハリセンで叩かれちゃうよ?)」


『(・・・・・)』


そして、転入生が教室に入ってきた。―――だが、その転入生はこの川神学園にいる誰もが知っている

人物だった。その人物は―――。


「フハハハハ!我の名は九藤揚羽!短い間だが、よろしく頼むぞ」


九鬼の名を名乗る事を禁じられた九鬼揚羽、その人だった。一拍して


「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」」」」」」」」」」


3−Sクラスの生徒達は驚愕の絶叫をした。


「く、九鬼揚羽ぁぁぁぁあああああああああああああああああああっ!?」


「ちょ、何でこのクラスに編入!?」


「しかも『九藤』って・・・・・九鬼じゃないのか!?」


「家の事情で我は九鬼の名を名乗れないのだ。よって我は九藤と名を名乗る事にしたのだ。名は気にするな。

さっきも申したが短い間だ。楽しく過ごそうではないか、フハハハハ!」


「あ、揚羽さんが・・・・・このクラスに転入・・・・・」


『(間違いなくあいつだろうな。こんな事を出来るの奴は1人しかいない)』


「(一誠君だね・・・・・。でも、どうして・・・・・?)」


『(あいつに聞けば解る事だ。ま、大体予想が出来る)』


「席は・・・・・葉桜清楚の隣で良いな」


「あわわ!?」


自分の隣の席に指名されて清楚は驚きと緊張をする。川神学園は更に騒がしい学校へと変わっていく。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――昼休み 2−S


「それじゃあ、屋上に行くか。それと英雄、お前も来い」


「むっ、我もですかな?」


「たまにはいいだろう?」


「一誠殿の誘いに断わる訳にはいきませんな。我もご同行をしましょう」


「英雄様のメイドである私もお供します☆」


「おー、いいぞ。皆で食べる飯は美味いからな」


屋上で食べるメンバーを引き連れ教室のドアを開け放つ。一誠達は屋上に赴く。途中で林冲達も

合流して屋上に出る扉を一誠が開け放った。


「待ったか?」


「いや、それほどでもない」


「・・・・・なに?」


英雄の耳に聞き慣れた声音が入ってきた。一誠が英雄に道を開けてくれたお陰で英雄の視界は屋上を

見渡す事が出来た。そして、屋上には―――。


「数日振りであるな。我が弟よ」


「あ、姉上・・・・・」


銀の長髪を風に靡かせながら真っ直ぐ英雄に対峙する揚羽の姿がいた。揚羽の他に、清楚と百代、

燕に弓子、揚羽と共に転入してきた天衣もいた。


「なっ・・・・・!九鬼揚羽だと!?」


「今の我は九鬼の名を名乗ることを禁じられている。今の我は九藤揚羽と名乗っている」


「九藤?」


「うむ。我の九鬼の名に一誠の兵藤の一文字を貰って九藤揚羽と名乗る事にしたのだ。フハハハ、

九藤・・・・・我と一誠の名が混じっていて実に良いぞ。我は一誠と1つに成っている気分であるから

嬉しくてしょうがない」


「「「「「・・・・・」」」」」


「さて、我がこの学校に編入した理由は一誠が我や橘殿に『もう一度だけ学校生活を楽しめ』と

問答無用に言われたのだ」


「それなら英雄や紋白と毎日会える。1年の紋白、2年の英雄、3年の揚羽。見事に揃ったな」


「一誠君、流石にこれはびっくりしたよん。橘さんが私達のクラスに編入してきたんだから」


「その上、揚羽さんまでもこの学校に通わせるなんて・・・・・」


「ははは、サプライズとしては大成功だな。そして、英雄に会わす事も成功した」


「一誠殿・・・・・」


「九鬼の名を名乗る事はできないけど同じ血を身体に流している姉弟なのは間違いない。―――そうだろ?」


ポンと肩を叩き英雄に問う。一拍して英雄の体が震えだした顔を俯いて。


「・・・・・何から・・・・・何まで・・・・・本当に・・・・・本当に・・・・・

ありがとうございます・・・・・!」


「救済が出来て俺も嬉しいさ」


声を震わせながら感謝の言葉を放つ英雄に微笑む一誠。英雄は腕で数度、擦って一誠の顔を

真っ直ぐ向けて口を開いた。


「一誠殿、これから我は貴方の事を義兄上と呼ばせてもらいますぞ!」


「・・・・・はい?」


「いずれ義兄上は姉上と結婚する方だ。なら、義兄上とお呼びしても問題はなかろう!うむ。そうしよう!」


「うむ。良い事を言うではないか、英雄よ。我は嬉しいぞ」


揚羽が何度も首を縦に振って英雄に称賛の言葉を送った。


「それに我は一誠に告白をした。一誠も我の告白を受け晴れて我は一誠の女に成った。だが、一誠は1人の

女だけ愛する事はできない性格だ。九鬼家に婿入りするのならハーレムもできる。何せ、一誠はハーレムを

望んでいるからな」


「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」


「フハハハ!そうであったか!義兄上、姉上をよろしく頼みますぞ!」


「俺は九鬼家に婿入りする気はないんだがな・・・・・」


「・・・・・一誠君。揚羽さんの話は本当なの?」


「ああ、本当だ」


「そっか・・・・・。でも、あの言葉に嘘偽りは無いんだよね?」


「無いさ。俺は約束を守る」


「うん、その言葉を聞いて安心した・・・・・ん」


「ん・・・・・」


「「「「「「「「「「なっ・・・・・!?」」」」」」」」」」


「むっ・・・・・」


「私も一誠君が好きだからね!告白もした!一誠君は私の彼氏だよん!だから、負けない!」


燕は一誠に向かって言うと次に揚羽にもそう言った。


「フハハハ、それは我のセリフだ。―――負けはしないぞ」


「ふふ、負ける気はないケド、それでもいいんだね?」


不敵の笑みを浮かべる2人。そんな二人に一誠に好意を持っている女達も参戦する。


「揚羽さんでも私の一誠を渡す訳にはいかないぞ」


「うんうん!小さい頃からの僕の夢を実現するのだー!」


「最後に勝つのは私だと思い知りなさい」


「私も負けないで候」


「・・・・・義経、悪いけど私も負けられないよ?」


「べ、弁慶!?」


「へぇ、これは凄い事に成ったねー」


「まぁ、わっちらは一誠と住んでいるからその間に攻めればいんじゃねーの?」


「一誠を何が何でも守る!」


「私も一誠君に告白する!」


『(そうだ、行け清楚!俺の物にするんだ!)』


「・・・・・」


呆然とする一誠だった。この場にいない京や由紀江も好意を抱いているのは知っている。そして、

不意にこの光景を見て脳裏に自分を賭けた良い争いをする家族達を思い出す。


『一誠は我のものだ!誰にも渡さんぞ!』


『ちょっと!独り占めは許さないわ!』


『そうだよ!私もイッセー君と愛し合うんだよ!』


『イッセーは我のイッセー』


『貴女もこっそりと一誠を何処かに連れて行こうとしない!』


「(・・・・・ああ、懐かしいな。この光景を見ると昔を思い出す・・・・・)」


一誠が昔の思い出を思い出して懐かしそうに昔と現在を重ねながら冬馬達と共に腰を降ろして

昼食の準備に入った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――放課後 第2茶道室


「なるほどなぁ。九鬼の姉はお前の仕業だったか」


「家ばかりいたら退屈だろうし英雄と紋白がいる学校に揚羽を入れたら面白くなりそうだから編入した」


「お前には何時も驚かされる」


「まあな。それで、梅子先生との進展は?」


「誘うにも断れちまう」


「一歩も半歩も進んでいない訳か」


「兵藤、小島先生を落とす秘策とかないか?」


「んー・・・・・存在?」


「おいコラ、俺の存在自体ダメな訳かよ」


「まあ、それは冗談だとして」


「冗談には聞こえなかったぞ・・・・・」


「巨人が毎日のように誘うからいけないんじゃないのか?しかも会う度にだ」


「バカ野郎。小島先生はな?教師や生徒の間でも人気があるんだぞ。俺が毎日誘わないと何時か小島先生は

馬の骨も知らない男に取られちまう。それだけは阻止したいんだ」


「余裕がない先生だこと・・・・・」


「うっさい」


パチンと将棋を指した巨人。その一手に一誠の眉が微かに顰めた。


「むっ、そこに置くか・・・・・」


「失敗を活かして次の戦いに勝つ。前の俺とは違うんだよ」


「―――じゃあ、そう言う戦法を小島先生にやってみればいいじゃないか」


パチンッ


「ん・・・・・?」


「・・・・・」


パチンッ


「・・・・・げっ、そうやってくるのかよ」


「何度も失敗を繰り返してその経験を活かしている俺に対してまだまだ経験不足だな」


「・・・・・あー、ダメだ。投了だ」


「ふふ、やっぱり一誠が勝ったか」


一誠の背中に自分の背中を合わせて川神水を飲んでいた弁慶が当然のように言った。


「今回は手応えがあった」


「お前さんとやっていくとこっちもマジで勝ちたいからな」


「簡単には負けないさ」


そう言って弁慶から少しだけ離れて寝転がった。それを見て巨人も「俺も寝転がろう」と便乗して

寝転がった。


「ん、見事にだらけているね。私もだらけようか」


弁慶も便乗し、一誠の傍で寝転がった。


「よし、この位置ならゴロゴロして食べられる」


「巨人。弁慶の為におでんを作ってきたけど食べるか?」


「おう、俺の大好物だ。有り難く貰うぜ」


身体を起こして鞄から器と箸、おでんを取り出して2人の傍に置く。


「んー、良い匂いだ」


「本当、川神水も良く合いそうな匂いだ」


「残さず食べろよ」


再び寝転がってのんびりとする。


「・・・・・んー、美味しい♪」


「これでビールもあれば嬉しいんだが・・・・・」


「ない」


「ですよね」


「川神水で我慢しろ」


その後、3人は心置きなくだらけた。

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