小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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六月十九日(金)


―――HR 2−F



「運動会での、軍の割り振りが出ているぞ。F組は青龍軍。S組は白虎軍・・・・・見事敵同士だ」


「体育祭は玄武、白虎、朱雀、青龍の4軍に分かれて点数を競う。まぁ赤組青組と考えれば早かろう。では、

どうやってその4軍を振り分けるかといえばくじ引きだ。つまり毎回結果が違う訳だな。以上、解説キャラの

気分を味わってみた」


「そこで、S組から体育祭で決闘の申し出が来たぞ。川神戦役でサシウマ勝負したい・・・・・とな」


「ぬぅっ・・・・・川神戦役、まさか実際していたとは」


「げっ!S組には一誠さんがいるんじゃぇか!・・・・・正直、負けた気分だぜ・・・・・」


「あわわ・・・・・・」


「うわー、これ詰んだ?」


大串スグルの言葉にFクラスに転入してきた梁山泊の林冲、楊志、史進が首を傾げる。


「質問だ。川神戦役とは何だ?」


「あー、林冲達は知らないんだな」


「川神戦役はね、全部で5回勝負。勝つ毎に相手クラスのメンバーを指名できるの。その時点で、

指名された人は相手クラスに編入されちゃうんだ・・・・・強制クラス替え」


「なんだと。シビアなルールの闘いなのだな。5回負ければ5人Sクラスに編入させられるのか」


「Sクラスでは奴隷の様な扱いを受けるだろうね」


「いや、それは有り得ないだろう。何せSクラスには一誠さんがいる」


「それ、風間ファミリー以外の話だよね?」


「あっ、それもそうだな。でも安心感がある」


「そうだね。あの人は仮に僕達だったら守ってくれるよ」


「そうだろうけど、アタシはS軍と勝負したいわね!義経達やお兄様もいるから俄然、燃えてくるわ!

それにこう考えましょう、勝てば何も問題ないって!」


「・・・・・流石に今回ばかりは無理だと思うわ」


「へ?」


「だって、ワン子がいうお兄様がいるんでしょ?そのお兄様は凄く強くてワン子のお姉さんを

倒しちゃった程だし・・・・・」


「そうだな、兵藤がいる限り俺達に勝ち目なんてねぇよ」


F組の殆どは兵藤一誠の存在に意気消沈だった。


「お前等!」


「「「「「・・・・・?」」」」」


「俺はやるぜ。相当キツそーだが、面白ぇ。一誠さんがいるSクラスを倒せば俺達F組は最強だって

他の奴等に自慢できるんだぜ!」


翔一の言葉に意気消沈だったFクラスは活気を戻した。更に―――


「そのSクラスから兵藤は川神戦役には参加しないそうだ。曰く『俺が出たら簡単に勝ってしまうから

つまらない』だ、そうだ」


「えー!それこそつまんなーい!」


「いや、これは大チャンスだ。一誠さんがいなく成ってくれたお陰で勝率が上がった。―――勝てるぞ」


「むぅ。一誠さんと戦ってみたかったが・・・・・」


「クリス、それ余りにも無謀・・・・・」


「よっしゃ!兵藤がいないんじゃ俺達は勝てる!勝ったら義経や弁慶、榊原小雪をFクラスに

引っ張りこもうぜ!」


「絶対にトーマ君!イケメン狙いよ!」


「兵藤もイケメンだけどアタイは好かねぇ」


「むっ・・・・・」


「負ける可能性を考慮しないとか流石だな、お前達」


「大和は勝ったとして誰がF組に欲しい?」


「一誠さんだな」


卓也の質問に即答する大和。卓也は「やっぱり?」といった表情で問い掛けてきた。


「一誠さんは色々と頼りになるからな。それに実力は川神学園の頂点に立つ。Sクラスへの交渉の

使者としても十分に役立ってくれる」


「ははは、軍師としての意見だね」


「でも、お兄様がこっちに来てくれるのなら嬉しいわ!更に賑やかになるもの!」


「ああ、私も賛成だ」


「それじゃあ一回分の勝利は一誠さんを引き込む為にしようぜ!」


「「「「「「「おう!」」」」」」」


風間ファミリーは一誠を引き込もうと燃え上がった。同時にSクラスはこの事を既に理解して

一誠を奪わせないと全力で立ち向かう。対決は、六月二十七日―――。


―――放課後 空き教室


「さーてと、今日の依頼は何だろうかねぇ」


「こっちにゃ暴れたい人がいるんだ。悪いが今回も競り落とさせてもらうぜ」


「井上君に呼ばれて来たが、人の役に立てる事なら義経は頑張る!」


「義経に同感だな。それに面白そうだ」


準に呼ばれたようで一誠と義経も空き教室にいた。更に弓子もいて計8名の男女が集まっていた。


「今日も、メンバーは集まってるでおじゃるの」


「それでは今日の頼みごとを詠み上げるヨ」


「人探し 己の人生も 夢探し」


「今日の依頼は人探しだネ」


「人探しなら行方不明になっている人だと思っていいのか?」


「そうだネ」


「こりゃあ、難解な頼みだな・・・・・」


「ここ数年間で行方不明者が世界各地で相次いで発生している事は知っているネ?」


「・・・・・」


「ああ、もしかして川神の街にも?」


「その通りだヨ」


「その行方不明と成っている人の顔とか解るで候?」


「ウム。行方不明者の顔はこの人だ」


ルーが一枚の写真を一誠達に見せる。


「ん?こいつは有名な歌手の人じゃねぇか。でも最近は落ちぶれて売れ行きが悪くて引退間際だとか

新聞で読んだな」


「義経もテレビで見た事ある。この人が?」


「この人はこの学校に通っている生徒の親戚の人だヨ。先日から音信不通で気に成って家に訪ねると

置き手紙があった『歌手としての人生が疲れた。これからは違う人生を求めます。探さないでください』

―――以上ダ」


「他に何か手掛かりとかないんすか?探しようもないじゃないですか」


「残念ながら手掛かりは一切ないネ」


「・・・・・」


「それでは、競りを始めるヨ。頼み料は上食券200枚ダ」


「これは、なかなか大きめの依頼と同時に超難しい依頼じゃねぇか。190枚!」


「180枚!」


「170枚にて候」


「え、えっとぉ義経は食券はいらないから・・・・・50枚で」


「なぬっ!?」


「流石は英雄・・・・・驚く事をしてくれるな・・・・・」


「ぐぬぬ。なら、しょうがねぇ・・・・・36枚!」


「―――10枚だ」


「「「「「「「・・・・・」」」」」」」


「俺は10枚でやろう」


一誠の言葉によって落札し、依頼は一誠が引き受ける事に成った。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――多馬川大橋


「・・・・・はぁ」


何時になく一誠は少し暗い表情を浮かべて橋を歩いていた。義経、弁慶、弓子を送ると言って一緒に歩を

進めながら溜め息を吐いた。(与一は先に帰ってしまった)


「・・・・いなくなったら誰でも心配に成るな」


「一誠」


「ん?」


「少し暗いけどどうしたの?」


「依頼の内容を聞いてな」


「人探しの件で候?」


「ああ、世界各地で相次いで起こっている失踪事件は―――俺が原因なんだ」


「「・・・・・えっ?」」


「一誠が犯人だって事?」


「そう言う事に成るな」


「ど、どうして・・・・・!一誠はそんな悪い事をする人じゃないと義経は―――!」


「とある理由を持った人間のみに『今の境遇から逃れたいのであれば全てを捨てて我が国に参られよ。

さすれば、今以上の幸せを掴む事が出来る』と書かれた金色の招待状が届くように俺が構築したんだ」


「とある理由を持った人間ってそれは何なの?」


「自分の国に不満を持っている人間、

家族に虐待されている人間か捨てられた人間、他にも色々とあるがそんな人間に金色の招待状の手紙が届く

ようになっている。今回、行方不明と成っている有名な歌手は、自分の歌に自身が無くなった所にこの金色の

招待状が届いたんだろうな」


一誠は懐から金色の招待状を義経達に見せた。


「もしかして、『救済』をする為に・・・・・?」


「そうだ。だが、これは強制ではない。心から今の境遇から逃れたい人間だったらある場所に移動する事が

出来る。そうじゃないのなら破いたり、捨てたり、燃やしたりすれば移動はできない」


「・・・・・」


「今でも、この瞬間でも今の境遇から逃れたいと思った人間に金色の招待状が届いている筈だ。そして、

ある場所に移動していると思っている」


「その場所ってどこなので候?」


「日本海」


「えっ・・・・・。一誠の家・・・・・?」


「正確に言うと日本海にある大陸のことだ」


「日本海に大陸なんて無いで候」


「そりゃあそうだろう。俺が大陸を隠しているんだから」


「今まで行方不明と成っている人の数は・・・・・もう5万は超えている」


「ああ、もうそんなに成ったのか・・・・・同時に幸せを掴んだ5万人だな」


「一誠・・・・・」


「俺は5万人を誘拐したような人間だ。俺は弁慶が言う犯人でもある」


「・・・・・」


「だが、俺は例えどんな形であろうとも救済をし続ける。救済は俺が小さい頃から決めた

夢だから・・・・・」


一誠は義経達と面に向かって言い放った。自分の夢の為に一誠は進む。救済を求めている

人間がいる限り一誠は救済し続ける。例え、それが悪人だろうとも・・・・・・一誠は救済する。

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