小説『フェアリーテイル〜虹の滅竜魔道士〜』
作者:冒険ファンタジー()

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『生きる者達よ』


エドラス、荒れ地、第三者サイド


一方地上に落ちたルーシィ達は、

「いった〜…」
「あい〜…」

するとルーシィはハッピーを掴んだ。

「ってか、一人しか持ってないアンタが、何で落下するのよ!?」
「ルーシィが重くt「その場のノリって大事だもんねぇ!」むぎぎ…!?」

ハッピーの顔を引っ張るルーシィ。

「エルザは?」
「向こうのエルザのトコロね」

グレイの言葉にシャルルがそう言った。だが次の瞬間、

「「!!」」

突如、光線の様なのがシャルルとグレイを襲ってきた。

「敵!?」
「どこだ!?」

2人はその攻撃をかわしてそう言うと、エドラスの兵士達が現れた。

「エドラス兵!?」
「こいつ等ゾロゾロと!」
「みんなもうやめてよう…」
「やるしかないわね!」

グレイ達はエドラス兵達と向かい合った。

「「「!?」」」

すると、エドラス兵がハッピー達に向けて光を放った。

「「うわぁ!?」」
「きゃあっ!?」

光線の様なのが今度はハッピーを襲ってきた。

「ヤロゥ!」

グレイは氷の魔法で兵士達を攻撃するが、それでも兵士達はハッピー達を襲い続けた。

「「うわぁ!?」」
「何なのよ!?」
「何でハッピーとルシアとシャルルばっかり?」

そのルーシィの言葉に1人の兵士が答えた。

「逃げたエクシード共は、ほとんどラクリマに変えた!」
「「「!?」」」
「後はそこの3匹のみ。おとなしく、我が国の魔力となれぇ!」

ハッピーとルシアはシャルルを担ぎ、かわした。

「自分達の魔力の為に、エクシードはどうなっても構わねえってのか!それがこの世界の人間なのか!!」

グレイは怒り、氷の魔法で兵士達を薙ぎ払った。

「はあっ!」

離瑠もサイコキネシスでエドラス兵を吹き飛ばした。

「仲間はやらせねえぞ、クソヤロウ共!!」

一方エルザの方は、

「天輪・三位の剣(トリニティソード)!!」
「重力の鎗(グラビティ・コア)!!」

互いの攻撃に怯みも無く攻める二人のエルザ。

「氷炎の鎗(ブルー=クリムソン)!!」

エドエルザの炎と氷の双槍で攻撃するが、エルザはかわし、明星の鎧に換装した。

「明星・光粒子の剣(フォトンスライサー)!!」

双剣から光の粒子をエドエルザに放ったが、

「封印の鎗(ルーン・セイブ)!!」

エドエルザのルーン・セイブで光の粒子を斬った。

「魔法を切り裂いた!?」
「音速の鎗(シルファリオン)!!」

エドエルザは凄まじい速さでエルザを突き飛ばした。

「うわあぁぁぁっ!?」
「もらったぁぁぁぁぁっ!!」

エドエルザが一気に攻めるが、エルザは足で器用に剣を持ち、防いだ。

「何!?」
「まだまだぁ!」

その後も二人は攻め合った。

サイドエンド


エドラス、円形遺跡


「ぐがっ!?」
「がはっ!?」
「きゃあっ!?」
「ぶはっ!?」

ドロマ・アニム黒天の一撃により吹き飛ばされたドラゴンスレイヤー達。

『フハハハハ!貴様等に勝ち目は無いぞ?』

すると、ナツが立ち上がった。

「…皆魔力が無ぇって苦しんでるのに、王様ってのは随分大量に持ってるんだな…!」
『フフフ、王が民から国税を取るのは当然であろう?このドロマ・アニムは、常に世界中の魔力を吸収し続ける!究極の魔導兵器!故に、禁断の兵器でもある。起動させたからには、世界の為に勝つ義務がある!』
「何が世界よ…!」
「勝手に魔力を奪っておいて…よくそんな事が言えたもんだ!」
「世界の事なんかこれっぽっちも考えて無ぇだろ?ただ自分の為に魔力を奪ってるだけじゃねぇか!」

ウェンディ、ガジル、ギアスがファウストの言い分に不満があった。

「俺達は生きる為にギルドに入ってるからなぁ…世界の事なんか知ったこっちゃ無ぇけど…この世界に生きる者の為に、お前を倒すんだ!!」

ナツは今を生きる者達の為に、ファウストに向き合った。


エドラス、荒れ地、第三者サイド


「開け、獅子宮の扉…ロキ!」
「待たせたね!」

今度は出てきたロキが、エドラス兵達に向かって突進した。

「シャルル、こっち!」
「今はここを離れよう!」
「ハッピー、ルシア…」

ハッピー達はグレイ達から離れようとしていた。

「やあっ!」

ココは飛び蹴りをかました。

「撃てぇーーーっ!!」

エドラス兵達が銃を構え、撃ってきた。

「魔法弾!?」

すると、その内の一発がハッピーとルシアに向かった。

「「うわあっ!?」」
「危ない!?」

シャルルが飛び出し、

「きゃあっ!?」
「「シャルル!?」」

二人を庇った。

「やべ!?エクシードに当てちまった!?」
「バカ野郎!あれは俺達の魔力になるんだぞ!」

エドラス兵の一人が撃った兵に叱責していた。

「シャルル!?」
「しっかりして!?」

エドラス兵達がまた魔法弾を放ってきたが、ロキが防いでくれた。

「ハッピー!ルシア!シャルルを安全な所へ!」
「ありがとうロキ」
「ハッピー、ルシア、シャルルは僕が持って行くよ」

近くにいたクルスがシャルルを抱えて、ハッピーとルシアと一緒に退避した。

「きゃあっ!?」

ルーシィは魔法弾で吹き飛ばされた。

「まだまだぁ!」

グレイはエドラス兵を凍らせていた。

「!?」

すると、グレイの真上にはレギオンが来ていた。

「くっ!?」

たくさんのレギオンがグレイ達に襲いかかった。

「「ぐあぁぁぁっ!!?」」

グレイとロキがレギオンの突進を喰らった。

「エターナル・ディストーション!!」

離瑠はレギオンごとエドラス兵を吹き飛ばすが、

「きゃあっ!?」

背後から魔法弾で攻撃された。
エドラス兵達がこれを期に一気に攻めてきた。

「「「!?」」」

ルーシィとクルスとココは魔法弾の被害に遭った。

「…このままじゃ…」
「…皆死んじゃうよ…」

ハッピーとルシアは悲痛の気持ちを口にした。
尚も攻撃し続けるエドラス兵達。

「まだまだ!こんな所で、倒れてられない!ナツもエルザも、まだ戦ってる筈!あたし達だけ先に諦める訳にはいかない!」

ルーシィは立ち上がり、

「だってあたし達は、フェアリーテイルの魔導士だから!!」

諦めずにエドラス兵に立ち向かった。

「ダメだ…」
「数が違い過ぎる…」
「あいつら…多過ぎるよ…」

大量に攻めてくるエドラス兵に多勢無勢なフェアリーテイル。
グレイ、ロキ、離瑠はレギオンの突進で、ルーシィ達は魔法弾で吹き飛ばされた。
そして次々と捕まっていく仲間達。

「誰か…」
「助けて…」

ハッピーとルシアはそう呟いた。
すると、その願いを聞き入れたかのように奇跡が起きた。
突然地面から出た植物がレギオンを襲い始めたからだ。

「な、何だこれは!?」
「木が生き物みたいに!?」
「!?」
「何だ!?」

その植物はドンドン大きくなり、大樹となった。

「ま、まさか…!?」
「逃げてばかりの奴らが…!?」

エドラス兵は気付いたみたいだ。
そう、

「おおおぉぉぉぉぉっ!」
「行くぞぉー!」
「うおおおぉぉぉぉぉっ!」
「仲間との絆の力、見せてやるっ!」

エドラスのフェアリーテイルが駆け付けたのだった。

「エドラスの…!」
「フェアリーテイル!」
「来てくれたんだ!」

ハッピー、ルシア、クルスが、エドフェアリーテイルが来てくれた事に感涙していた。

「行けぇっ!」
「王国軍を薙ぎ倒せぇっ!」
「ナツ!頑張ろう!」
「うん!アースランドのフェアリーテイルが戦ってるんだ!僕達だって戦うんだ!」

するとエドルーシィがルーシィの下に来た。

「すまねえ、遅くなったな。アースルーシィ」
「エドルーシィ…!」
「立てるか?」
「うん、ありがと」
「W(ダブル)〜シィ〜!」

ロキはいつもの様にエドルーシィを見ていた。

「「俺!?てゆーか服!」」
「脱げよ!」
「着ろよ!」

二人のグレイが出会い、互いに服の事で文句を言っていた。

「グレイが二人とかありえない!?ジュビアピンチ!?」
「な、何て羨ましい!」
「は?」
「お前は俺なのに何も感じないのかよ!愛しのジュビアちゃんの、あの姿を見て!」
「愛しのジュビアちゃんだぁ〜!?」
「ジュビアちゃーん!愛してるー!!」
「だーうるさい!」

エドジュビアがエドラス兵を絞めてる際、胸が当たってる光景に羨ましがるエドグレイに引くグレイだった。

「私達も負けてられないわね!アルアル!」
「うん、行こう!ビスビス!」
「これが僕たちの!」
「愛の力よ!」
「「ウィーハー!!」」

エドアルザックとエドビスカのバカップルコンビネーションが炸裂した。

「俺達最強ぉ!」
「シャドウ・ギアァー!」
「アンタ達!ルーシィより手柄獲るよ!」
「「オオッ!」」

エドフェアリーテイル最強チームのシャドウ・ギアが意気込んだ。

「フェアリーテイル最強の力、見せてやるぜっ!ウオラァッ!!」

エドドロイの魔法で周りの木々を操って、エドラス兵を叩きのめした。

「最強は、この俺だぁー!」

エドジェットは滑る様に移動し、エドラス兵を蹴り飛ばした。

「すごい、私より速い…」

ココはエドジェットの速さに感心していた。

「グレイがジュビアにデレデレ…それにドロイとジェットが最強候補!?何か色々違い過ぎ!?」

ルーシィがアースランドとエドラスのフェアリーテイルの違いに突っ込んだ。

「見てシャルル、フェアリーテイルが助けに来てくれたよ」
「やっぱりフェアリーテイルはフェアリーテイルだね」
「オイラ達の想いが…」
「この世界を動かしてるんだ…」
「…どこに行っても、騒がしいギルドなんだから…」

シャルルは嬉しそうな顔で言った。
一方エルザの方は、

「ハアァァァァッ!」

エドエルザが突き出して来るが、エルザは器用に足で持ってる剣で防ぎ、斬り付けた。

「ぐっ!?」

すると、足で持ってた剣を空中に投げると、両手で受け止めた。

「スカーレットォォォォォッ!!」
「ナイトウォーカァァァァァッ!!」

互いの名を叫びながら衝突した。

「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…」」

互いに息が荒れていた。

「ここまで互角とはな…」
「互角?違うな。貴様はまだ、テン・コマンドメンツの最終形態を知らん!」
「!?」

エドエルザのテン・コマンドメンツが形状を変えていき、神秘的な槍になった。

「聖鎗レイヴェルト!!エドラス最高の鍛冶屋が鍛えた聖なる槍!この一撃は、天下を轟かす究極の破滅!」

するとエルザは、

「!?」
「妖精の鎧(アルマデュラ・フェアリー)!!この鎧が、ギルドの名を冠する由来は、言うまでもなかろう?」

エルザの最強の鎧、妖精の鎧に換装した。

「最強の魔法という訳か?面白い!」
「来い!」
「「ハアアアアアァァァァァァァァァァッ!!」」

互いの最強の魔法がぶつかり、古都エクスタリアが崩壊した。

「レ、レイヴェルトが…!?」
「よ、鎧が…!?」

最強の槍と最強の鎧が粉々になった。
そして、二人のエルザのいる足場が落下し始めた。

「今の衝撃で、浮遊島の浮力が失われた…」
「もう互いに魔力も残っていない…」

だがエドエルザは、

「それでも貴様を討つ!」

戦いを止める気は無かった。
二人のエルザは、落下する足場で殴り合いを始めた。

サイドエンド


エドラス、円形遺跡


『何度立ち上がろうと、貴様等はこのドロマ・アニムには勝てん!魔力を持つ者が世界を制する!それがこの世界の必然だ!』

ドロマ・アニム黒天の剣先から魔法弾を発射した。

「自分の都合の良い理屈ばかりこねてんじゃねぇ!バカヤロウ!」
「自分は独占して、しかも数少ない魔力を自分で消費させてんじゃねぇよ!この老害が!」
「必然だか何だか知らねぇが!こんな物は俺達がブッ壊してやる!」
「天竜の咆哮!!」

ウェンディは天竜の咆哮を出すが、ドロマ・アニム黒天の盾で防がれた。

『フハハハハハ!魔力の無駄遣いは止めてほしいな!貴様等の魔力は全てワシの物なのだからな!』
「冗談抜かせ!俺の魔力は俺のモンだ!他の誰の物でも無ぇ!」

ガジルはドロマ・アニム黒天の背後に飛び込み、鉄竜棍をぶつけた。

『フン』

すると、ドロマ・アニム黒天から光が出て、ガジルが吹き飛んだ。

『貴様等の魔力も、命も、全てはワシの所有物だ!フハハハハハ!』
「「ふざけんなぁぁぁぁぁっ!!」」

ギアスとナツは猛りの声を上げた。


エドラス、荒れ地、第三者サイド


エドラスのフェアリーテイルとルーシィ達はエドラス兵達を次々に倒していった。

「ジュビアちゃん、かっこいい!」
「くっつくな!お前もあっちのグレイみたいに少しは身軽になれ!!」

エドジュビアに言われ、エドグレイは「ガ〜ンッ!」としていた。

「テメェ等、本気で自分等が間違ってねえと思ってんのか!」
「そ、それは…」

グレイはエドラス兵を掴んでそう言った。

「そんな事無いわ!この中には、国王に反対している者はいる筈!」

エドミラはそう言い、持っている剣で兵士を薙ぎ払った。

「逆らえば命が無いから、やむなく従っているのよ!」
「争いなんて、虚しいばかり…」

今度はエドラスのカナが言った。

「みんなでティーパーティでもする方が、よっぽど楽しいですのに!」

エドカナはそう言い、持っていた魔法少女が持っていそうな杖で叩いた。

「それでも今は、こいつらを撃退するしかない!」

ルーシィがそう言った。
するとエドルーシィは、

「ところでアースルーシィ。そこのメガネって、お前の彼氏か?」

エドラスのルーシィがロキの存在に気になってルーシィに聞いてみた。

「!?違う違う!この人は…」
「やっぱりそう見える?同じルーシィだから、分かっちゃうかな?」

ルーシィが言う前にロキがエドルーシィにそう言うが、

「アタシはチャライ男は嫌いだ!」
「チャっ!?」

エドルーシィの言葉にロキはショックを受けた。

「ハッピー…ルシア…」
「「わわわ!?」」
「危ない!?」

魔法弾の流れ弾がクルスとハッピー達に襲いかかるが、

「ハッ!」
「セイッ!」

エドウェンディとエドアルカが防いだ。

「姉さん!?」
「エドラスのウェンディ!?」
「あなた達、エクシードね?」
「大丈夫?一緒にいてあげようか?」

ハッピー達を心配するエドウェンディとエドアルカ。

「ありがとう。でも平気、ハッピーとルシアがいてくれるから」

すると、エドウェンディはシャルルを持ち上げた。

「あっ!?」

そして近くの岩場にシャルルを座らせた。

「私達も近くにいるわ、何かあったら守ってあげる。安心してね」
「クルス、この子達に怪我の手当てを」
「うん!」

エドアルカはエドクルスを呼んだ。

「大丈夫?怪我治すね」

エドクルスは消毒液みたいな物をシャルル達に振りまいた。

「これを浴びてると、怪我とか治るから」
「ありがとう、エドラスのクルス」
「………」

クルスはエドクルスを見ていた。
その時、エドクルスの近くにエドラス兵が近づいていた。

「くたばれぇっ!」
「きゃっ!?」
「クルス!?」
「危ない!?」

クルスは咄嗟にエドクルスを庇おうとしたら、

「私の妹に何をするかー!バーニングフィンガー!!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁっ!!?」

エドアルカが助けに来た。

「あっ!?」
「お姉ちゃん!」
「大丈夫クルス?怪我は無い?」
「うん!大丈夫だよお姉ちゃん!」
「良かった。あなたに何かあったら私は…」
「………」
「どうしたのアースクルス?」
「いや、何だかエドラスの僕が羨ましいなって…」
「あっ…」

クルスはアルカに裏切られた事を気にしていた。
するとエドアルカは、クルスに抱き付いた。

「大丈夫よ、あなたの事も私が守ってあげるから」
「!?ね…姉さん…!」

クルスは泣きだした。
それを見ていたハッピー達は、

「エドラスのウェンディもアルカも優しいね」
「うん」
「らう」

エドウェンディやエドアルカ達を見てそう思った。

「くそっ!?逃げてばかりの奴等に…どわ!?」
「何だ!?」

エドラス兵達は背後から攻撃された事に気付き、振り向くと、そこにいたのは、

「情報屋、アイアンマウンテン!フェアリーテイルの助太刀に来たわ!」

ディスク、エドセト、エドソルヴァが駆け付けてくれた。

「情報屋か!助かる!」
「お得意様だもの。これぐらいの手伝いもしないとね」

エドルーシィがディスクに礼を言った。

「誰?この子?」
「アタシらがいつも世話になってる情報屋さ」
「初めまして、アースランドのルーシィさん」
「え!?」
「なんだその素っ頓狂な面は?本当にルーシィか?」
「ええっ!?」

ルーシィはエドセトとエドソルヴァの反応に驚いていた。

「ていっ!きゃっ!?」

セルシア(エドギアス)は魔法弾の攻撃で吹き飛んだ。

「もらったぁっ!」
「!?」

セルシアはもうダメと思ったその時、

「燃焼の砲撃(バーンキャノン)!!」
「ぎゃあああぁぁぁぁぁっ!!?」
「えっ?」

横からの熱線により、セルシアは難を逃れた。

「今のって?」

セルシアは熱線が来た方に向くと、そこにいたのは、

「アギト!?」

フェアリーテイルを裏切り、王国軍に寝返ったアーギュスト・ネセサリー、愛称アギトがいた。

「ア、アギト…?」
「アギト隊長、何を…」

するとアギトは大砲を天に掲げた。

「唯今を持って、アーギュスト・ネセサリーは王国軍に反旗を翻し、フェアリーテイルに与する!!」
「えっ!?」
「何!?」

アギトは王国軍を抜け、フェアリーテイルの味方をすると宣言した。

「アギト!戻ってきてくれたのね!」
「兄貴…」
「おいアギト!お前…」
「今更許して貰おうとは思っちゃいないさルーシィ…だが、ケジメだけは着けさせてくれ!」
「私からもお願いルーシィ!」
「………」

エドルーシィは悩んだ。

「何で急にこっちの味方する気になったんだ?」
「ギアスのおかげで目が覚めたんだ」
「アースランドの私が?」
「ああ、何が一番大事かって事にようやく気付いたんだ、俺は」
「アギト…」

そしてアギトはセルシアに言った。

「そう、兄貴が…いや、姉さんが好きだって事に!」
「「………へっ?」」

エドルーシィと偶々近くにいたルーシィが固まった。

「えっと…アギト?」
「お前…何トチ狂った事言ってんだ!?」
「俺はずっと自分の気持ちを抑え付けていたんだ!姉さんの姿に惚れてた俺は、ずっと自分を誤魔化し続けてきた。側にいたんじゃ俺の理性がいつか壊れる、だから俺はフェアリーテイルを抜け出し、王国軍に寝返った。俺の気持ちを誰にも知られたくない為に!」
「アギト…」
「「………」」
「そして、ギアスに教えられたんだ。好きな気持ちに兄弟だろうが性別だろうが関係無いと!血の繋がった家族を愛して何が悪いと!だから、姉さんごめんなさい!そして、大好きだ姉さん!」
「アギト…私もあなたの事、愛しているわ…!」

アギトとセルシアは抱き合い、和解した。

「ちょっと!?良いのこんな展開で!?」
「ギアスの奴…どんな説得したんだよ…アギトが変態になっちまってんじゃねぇか…」

二人のルーシィはギアスの説得とアギトの変わり様に嘆いていた。
一方エルザの方は、

「私は永遠の魔力の為に、負けられない!」
「貴様の言う永遠は、どれだけの一瞬の犠牲の上にある!」

互いに魔力も無い状態で殴り合いをする二人のエルザ。

「抑え付け奪い、威圧して奪い、他を憎み、他を滅ぼす!」
「それが人間だ!」
「人は、もっと人を愛する者だ!大切な者達の為に立ち上がり、涙を流す者の為に剣を取る!お前は、この世界の悲鳴を感じないのか!ナイトウォーカー!!」
「世界の悲鳴など、貴様より感じているに決まっているだろ!魔力の枯渇…その為に私は…」
「違う!世界とは、生きる者の事だ!」
「…この世界は死に行く世界だ。魔力が枯渇し、死に至る世界なのだ!アースランドの貴様には解るまい!魔力が無くなる不安!恐怖!絶望!私達は、永遠の魔力が無ければ、生きられないんだ!」
「私達は生きているだろ!今、魔力が無くとも生きている!」
「!?」
「互いを見ろ!魔力等とうに尽きてる!それでも人は、死んだりしない!弱さも、恐怖も、乗り越えられる強さがある!」
「………」
「それが生きる者だ!」

落下し続ける浮遊島でエルザはエドエルザを掴み、語りかけた。

「いいかエルザ!お前の中には、私の持つ邪悪も、弱さもある!だから、人々を愛する心も必ずあるんだ!生きる者の声を、一心に聴け!」
「(これがエルザ…私なのか…?)」
「本当の声で語るんだ!」

するとエドエルザは、

「(あれ?…涙…)」

涙を流していた。

「お前は一人じゃない!」

そして等々浮遊島は地面に落下した。

「…も…もう…動く力も残っていない…」
「だが…生きてるぞ…」
「敵わんな…お前の勝ちだ、スカーレット…」
「勝ちも負けもあるものか…同じエルザだ」
「…そうか」

今ここに、二人のエルザの決着が付いた。


エドラス、王宮、アニマ制御装置、第三者サイド


やられた振りをしていたジェラールは、リリーを救出した後、王宮に来ていた。

「ここは…アニマを作り出す部屋?王子、一体何を?」
「私は長い事アースランドを見てきた。争いもあるが、豊かな世界だった。きっと受け皿になってくれる」
「王子!?ま、まさか!?」

リリーはジェラールがやろうとしていた事に気付いた。

「いくらなんでも、それは暴論過ぎます!?」
「この世界の争いを根絶させる為には、これしかない。人と人がきちんと向き合える世界を作るんだ」

ジェラールがここでやろうとしている事、それは、

「アニマを逆展開し、この世界の全ての魔力を、消滅させる!」

エドラスの魔力全てをアースランドに送る事だった。

-64-
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