小説『フェアリーテイル〜虹の滅竜魔道士〜』
作者:冒険ファンタジー()

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『番外編3 メモリーデイズ』


784年、フェアリーテイル、第三者サイド


いつもの様に騒がしいギルドであるフェアリーテイルに、ある不思議な体験が始まろうとしていた。

「あれぇ?ナツさんどこにいるんだろう?」
「こっちの方にはいないみたいね」

ウェンディとシャルルはナツを探していた。
その手に持っているのは、いつもナツが大事にしていたマフラーだった。

「ナツなら、エルザ達と倉庫の片付けをしてるわよ」

ミラが居場所を教えてくれた。

「これ、ギルドの入り口に落ちてたから」
「珍しいわね。こんな大切なマフラーを落としちゃうなんて」
「余程ボーっとしてたんじゃない?」
「ふふ」

サイドエンド


784年、フェアリーテイル、倉庫


今俺達は倉庫で本の片付けをしていた。

「ボ〜…」

ナツの奴、朝からボーっとしてやがって、やる気あんのか?

「も〜!何であたしまでこんな事しなきゃいけないのー!」

ルーシィが梯子で喚いていた。

「暴れると危ないよ?」
「つか、パンツ丸見えだぞ?」
「ジ〜…」
「見るなっ!?」
「いや、ルーシィのパンツ見たって面白くもねぇし」
「それはそれでムカつくわよ!?」

ウェンディちゃんやミオたんのだったら一点集中で脳内に永久保存で記憶するんだけどな。

「仕方なかろう、街の建物をあれだけ豪快に壊したんだ。むしろ、倉庫の片付けくらいで済んで良かったではないか?」
「壊したの全部アンタ達!」
「ギアスは直してたよ?」

そう、時のアークで直したのは俺なのにな…まあ連帯責任で一緒に罰を喰らった訳だしな。

「ん〜…」
「アンタはいつまでパンツ見てんのよ!?」

ナツ…そんなの見てて面白いか?

「何か足りねぇ…?」
「あ?」
「仕事量だ、真面目にやれ!」
「ん〜…?」
「ナツ、マフラーじゃない?」
「それだぁっ!」

そういや今日はマフラーしてねぇとは思ってたけど、忘れたのか?

「上に置いてきたか?今日朝からボーっとしてたからなぁ…」

するとルーシィは、

「ん?前から気になってたんだけど、ナツのその傷って何の傷?」
「そういや俺も知らねぇな?」
「私もだ」
「俺も知らねぇぞ?」
「僕も」
「ナツ、もしかして話せない事?」

原作じゃあまり触れてなかったからな。
するとナツは、

「…っ!!??」

急に顔を強張らせて震えだした。

「お、思い出したくねぇ…!?」
「ナツが沈んだぁー!?」

おいおい!?あのナツがここまで震えるなんて!?

「あいつは悪魔だ…俺はあんな恐ろしい奴には遭った事がねぇ!?」
「何!?」
「ナツがビビる程の奴だと!?」
「ええっ!?」
「マジかよ!?」
「それって!?」

ギアス達は驚いていた。
すると、

「あっ…」

ルーシィの乗ってた梯子が傾いてきた。

「「ルーシィ危ないっ!!?」」
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」
「「「「「「!!?」」」」」」

ギアス達はルーシィを受け止めようとするが、

ゴチン×7

見事に全員ぶつかった。
本もいくつか落ちてきた。
すると、落ちてきた本の一冊が急に光り出した。

「何だ!?」
「本が!?」
「光り出した!?」
「今度は何だ!?」
「おお!?」
「「「「「「「どわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」」」」」」」

そしてギアス達は光に飲み込まれた。


7??年、マグノリア、フェアリーテイル?前


「「「「「「「………?」」」」」」」

何だったんだアレは?

「何だったんだ一体?」
「あの本から光が出てそれで…」
「ん?」
「あれ?」
「ここは…外!?」

気が付くと、いつの間にか外にいた。

「それだけじゃないよ!?」
「見てアレ!?」
「「「「「!?」」」」」

ギアス達は驚愕していた。

「ギルドが昔に戻ってるー!?」

そう、ギルドの建物がファントムに潰される前の状態になっていた。


改めて、778年、マグノリア、旧フェアリーテイル前


「どうなってんだ一体!?」
「この本の所為なのか!?」

すると、ギルドから誰か出てきた。

「誰か出てきた!?」
「あ?」
「一先ず隠れよ!」
「何で!?」

近くの木箱の裏に隠れるギアス達。
そして、

「「「「「「「!!!??」」」」」」」

ギルドから出てきた3人の子供を見て驚愕した。
それもその筈、出て来たのは…幼いエルザ、ナツ、グレイの3人だった。
エ、エルザ!?すっげー可愛い!

「今日は2人掛かりか?」
「おれ1人でじゅう分だ!」
「そりゃこっちのセリフだ!」

うん、間違いなくナツとグレイだなあの子達。

「今日こそー!」
「エルザに勝ーつ!」
「ふっ」

そして幼エルザに瞬殺される幼ナツと幼グレイ。
その光景を見てナツとグレイとルーシィは唖然とした。
やっぱ幼い頃のエルザは可憐だ。

「な、何これ…小さいエルザにナツにグレイ…」
「オイラ達…もしかして!?」
「何よ?」
「過去の世界に来ちゃったのかもしれない!」
「ええっ!?」

それって、タイムスリップかよ!?
まさかこの世界で体験できるなんてな!?まあ魔法の世界だし、ありえないとは言えないけど…。

「どうした、もう終わりか?」

幼エルザはこの時から容赦無かった様な…。でも可愛いから許す。

「過去…そんなまさか!?ここは、過去の世界って事!?どうしよ…少し整理しなきゃ!?」

ルーシィの方もパニクってるなおい。

「「小さい俺に何しやがるエルザ!」」
「もう順応してる!?」

こんな事態でもいつも通りなんだなナツとグレイは…。
するとエルザは、

「私は、この日を覚えているぞ」

どこか懐かしそうに幼エルザを見ているエルザ。

「『立て、立ち上がるんだ』、幼い私はこの直後に言う言葉だ」
「「ええっ!」」

ナツとグレイは青春の1ページを見る様に眺めた。
そして幼エルザは幼い2人に近づき、

「立てぇー!立ち上がるんだぁー!!」

蹴っ飛ばしながらそう言った。

「「全然イントネーション違うじゃねーか!!?」」
「う、うむ…」
「まあエルザって、昔の事を美化し過ぎてる所があるからな…」

今の光景なんかその証拠だ…。

「私のケーキ食べたのはどっちだ!」
「おれじゃねーよ!」
「ナツだ!」
「グレイだろ!」
「あれは私が楽しみにとっておいたんだぞー!」
「「知らねーよ!?」」
「ええい!」
「「うわー!?」」

あれ?確かこの頃のエルザのケーキ食った奴って、まだ魔人だった頃のミラじゃなかったっけ?

「ふふ、何だか可愛いね皆」
「本当に可愛いな〜エルザは」
「ギアス…」
「あんなに小さい時から凶暴だったのか、エルザは…」
「忘れてたのか?」
「あ、捕まった」
「逃げてナツ〜」

幼エルザは幼ナツと幼グレイに捕まってボコボコにされていた。

「呑気な事言ってる場合じゃないぞ。元の世界に戻る方法を探さねば」
「何で?良いじゃん別に、面白そうだからもう少し見て行こうぜ」
「そいつは良い」

タイムパラドックスが起きるんじゃねーかそれ?

「バカ者!タイムパラドックスという言葉を知らんのか!」
「「タイムパラドックス?」」
「本で読んだ事があるわ。過去は未来、現代に影響を与える。過去に何かをした事によって、未来が変わってしまう危険性、逆説の理論」
「要は、過去に起きなかった筈の出来事が起きて、歴史として残ってしまうって事だ」

あれだな、昔見た車型のタイムマシンで過去の世界に行って自分が生まれなくなってしまう未来になってしまったり、情けない父親を矯正してワイルドにさせたり、未来で自分の子供の罪を事前に防いだり、改変された過去を修正しにまた過去に行ったり、また更に過去に飛んでしまった人を救いに行ったり等の時間移動物の映画みたいな物か?

「もしここが、本当に過去の世界だとしたら、私達が何かをした事で未来が、歴史までも変わってしまう可能性だってあるんだ!いいか!ナツ、グレイ!」

エルザが振り向くと、既にナツとグレイがいなかった。
つか、いつの間に!?

「もういない!?てかハッピーまで!?」
「なっ!?あいつら…ここまでバカ者とは思ってなかったぞぉー!!」
「ギャーッ!?」
「こういう時のとばっちりって、いつも俺だよな…」
「らう…」

時のアーク覚えてから後始末をするのって大概俺なんだよな。

「ルーシィ!ギアス!ルシア!あいつらを探して来るんだ!私はここで本の解読をする!」
「は、はい!?行ってきま〜s「待て!」ぎゃっ!?」

するとエルザは、ルーシィと2人で着替えた。
何故かネコとウサギのコスチュームだった。

「うん、これなら誰もルーシィとは気付くまい」
「余計目立つわよ!?ってネコぉ!?」
「そうだ。ニャー」

エルザがニャーって…。

「てかこの時代って、あたしフェアリーテイルにいないじゃん!?」
「だが、いずれ出会う事になる。私達と接触するのは危険だ」
「もっとまともな服は無いの?すごく恥ずかしいんだけど…」
「時代が違う所為か、私の換装空間の調子が悪く、この2着しか取り出せなかった。ネコと交換するか?」
「いえ…元の服がいいです…」
「すまん、捨てた」
「えぇーっ!?」

すぐ捨てんなよ…。
あっ、そうだ。

「だがエルザ、服だけ変えてもバレない保証は無いからな。ついでに顔も変えておこう」
「うむ、それもそうだなギアス」
「って、顔も変えるってどうやってよ!?」
「こうするんだ」

ギアスはルーシィとエルザの顔に手を付けると、

「(カエカエの実の能力発動!)」

カエカエの能力で2人の顔が変わっていった。
ルーシィはワンピース、ナミの顔。
エルザはワンピース、ロビンの顔になった。

「うん、これでOKだ」
「すごい!エルザが別人の顔になってる!」
「そういうルーシィこそ別人だな」
「後は俺の顔を変えるだけだな」

さて、何に変えようかな?
その時、

「お前ら何やってんだ?」
「「「「!?」」」」

声がした方を向くと、そこにいたのは、

「「「ギアス!?」」」
「俺!?」

幼いギアスだった。
あっ、そうだ忘れてた!?俺って未来の俺達に会った事があるんだった!?


778年、マグノリア、フェアリーテイル前、幼ギアスサイド


たくエルザの奴、自分のケーキ食った犯人をナツとグレイと決め付けて行きやがった。
食ったのミラなのにな。
しょうがねぇ、止めに行くか。
それでギアスはギルドから出ると、

「ん?」

目の前の木箱の裏で何か騒いでる連中がいた。

「あそこか?」

それでギアスは木箱の方に行くと、そこにいたのは、

「(なっ!?)」

大エルザと大ルーシィと大ギアスと少し大きいルシアがいた。
まさか、あれってエルザとルーシィとルシア!?それに、あれってニードレスのアダム・ブレイドだよな?

「だがエルザ、服だけ変えてもバレない保証は無いからな。ついでに顔も変えておこう」
「うむ、それもそうだなギアス」

ギアスだって!?て事はアイツって俺なのか!?

「って、顔も変えるってどうやってよ!?」
「こうするんだ」

大ギアスは大ルーシィと大エルザの顔に手を付けると、2人の顔が変わっていった。
マジかよ!?ルーシィはナミ、エルザはロビンかよ!?

「うん、これでOKだ」
「すごい!エルザが別人の顔になってる!」
「そういうルーシィこそ別人だな」
「後は俺の顔を変えるだけだな」

訳が解らねぇ!?取り合えず聞いてみるか。
ギアスは大ギアス達の所に近づいた。

「お前ら何やってんだ?」
「「「「!?」」」」

大ギアス達は驚いてギアスの方に向いた。

「「「ギアス!?」」」
「俺!?」

そっちも驚いてるなおい。

「ちょっと!?どうすんのよ!?見られちゃったわよ!?」
「あああ慌てるな!?おちつつ落ち着いいて事じょじょおー話れれば…!?」
「いやエルザが一番慌ててるから!?」

うーん…こうゆう時のエルザって大人になってもあんまり変わってないんだな。

「ヤバイよギアス!?僕も確かこの時代にいた筈だよ!?どーしよ!?」
「落ち着け3人とも、俺はこの時代でお前らに会った事があるんだ。いわばこれは当然の事態だ」
「「「ええっ!?そうなの!?」」」

コントやってるみたいだなこいつら。

「俺も今思い出したんだが、俺はギルドの前で騒いでるのを見て気になって覗いてみたらお前らがいたという事は過去に経験してるから、問題無いと思うぜ?」

一応大人の俺が対処してくれて収まった様だ。

「んで、お前らは何でこんな所にいるんだ?過去がどうの言ってたみたいだが?」

大ギアスはある程度説明してくれた。

「要はタイムパラドックスが起きるかもしれないってか?」
「幼いギアスって物分かりが良いのね?」
「うっさいぞデカ女」
「デカ!?」

大ルーシィはショックを受けた。

「ちょっと!?あたしのどこがデカイっていうの!」

すると大ルーシィはギアスに近づいたら、

ガッ

「あっ!?」
「えっ?」

大ルーシィがコケてバランスを崩し、ギアスの方に倒れた。

ポヨン

その時ギアスは大ルーシィの胸に当たり、そのまま一緒に倒れた。
後ろにある木箱目掛けて。

「「「あっ!?」」」

ドシーン

「フギャアァーッ!!?」
「キャッ!?」

ギアスはそのまま意識を手放した。

サイドエンド


778年、マグノリア、旧フェアリーテイル前


「いたた…」

そういやルーシィに押し倒されたんだっけな…だからこん時の記憶があやふやなのか…。
ちょっと意地悪してやろうかな。

「って、あっ!?ギアス!?大丈夫!?」
「白目向いちゃってるね…」
「ギアス、この事も経験したのか?」
「ああ、そういや…」
「そういや、何?」
「この時からだったな、胸が大きくて背が高い女が苦手になったのは…」
「「ええっ!?」」
「ちょっと待って!?て事は…ギアスがロリコンなのって、あたしの所為って事!?」

何かルーシィがショック受けてる様な?

「まさかギアスがロリコンになる決定的な瞬間がこの時とは…ギアスがロリコンになるのはもはや避けられない事だったのか!?」

いや、ただ単に意地悪言っただけだからね。こん時の怪我は直ぐに治っただけで別に後遺症とかないからね。前世から幼女好きなだけだからね。
取り合えず幼ギアスはギルドの入り口近くに置いておいた。
一先ず俺とルーシィとルシアはナツとグレイを探しにバラけた。
ちなみに顔を変えておいた。ルフィの顔に。


778年、マグノリア、旧フェアリーテイル、ルーシィサイド


うわぁ、6年前のギルドってこんな感じなんだ。

「俺は決めたぞ!」
「あ、何が?」

あれってマカオとワカバ?若〜い。

「決めたんだ!」
「だから何がだよ?」
「俺は今から、メロウに告る!」
「何ぃー!?」

メロウ?そんな人あたしが入った時にいたかしら?

「止めとけ!どんだけ狙ってる奴がいると思ってんだ!」
「いや、俺には勝算があるんだ!」
「勝算?」

すると2人の頭に、

「「ブホァッ!?」」

幼ミラが着地した。

「勝算なら私にもあるよ。エルザに勝つ勝算がね!けど、肝心なエルザはどこにいるんだ?」

も、もしかしてアレ、ミラさん!?じゃああっちの2人は!?
幼ミラに2人の男女が近寄って来た。
エルフマンとリサーナ!?

「さっきナツとグレイを追い掛けまわしてたよ」
「何!?折角エルザのとっておきのケーキを食って火種を蒔いてあげたのに…!」
「うわぁ…ミラ姉酷い…」

あっ、ケーキ食べた犯人てミラさんだったんだ…。

「逃げたか?じゃあこの勝負、私の勝ちって事で、ワハハハハハ!」
「勝負って…」
「もうケンカは止めなよ姉ちゃん…」

ははは…大変そうね当時のエルフマン達って…ん?
ルーシィは別の方を見た。

「これだ!」
「あっ!?えー…」
「やったー!私の上がりー!」
「ずるい!今魔法使ったでしょ?」
「使ってない!」
「もう一回!今度は魔法無しで!」

あれは、カナとレビィちゃん!?か、可愛い!

「ウィ〜」
「?」

ルーシィは後ろの方を向くと、絵を描いてる若リーダスがいた。

「ふふ〜ん♪」

あれリーダス?うわ痩せてる〜。

「なあドロイ!俺達でチームを結成しねーか?」
「男2人なんてヤダよ。女の子も入れよーぜ?」
「だったらレビィとかどーかな?」
「レビィか、あいつ弱っちぃぜ?」

おお!チーム、シャドウ・ギア結成の瞬間!

「だりぃな…何か面白ぇ事ねぇかなぁ…」

あれはラクサス?

「ん?」

少年ラクサスは紙くずを見た。

「ナツでもからかってくっかな」

紙くずからナツを連想したのかしら…?

「ギアス〜、どこいったの〜?」

小っちゃいルシアだ!?可愛い〜!

「1枚…2枚…3枚…4枚…5枚…ふふ、お金がたぁくさ〜ん♪」

あれってセト?つか怖い!?
それにしても、皆の若い頃、あたしの知らないフェアリーテイル。なんだか新鮮に思えてくるなぁ。

『良いかルーシィ』
「!」
『誰と話しても、誰と接触してもいかん!速やかにナツ達を見つけてこい!』

ルーシィはエルザに言われた事を思い出した。
そうだ!?こんな事してる場合じゃなかった!?
するとそこに、

「お?バニーガールじゃ」

さっそくアウトォー!?

「バニーちゃーん!」
「一緒に飲もうぜ!」
「おじょーちゃーん、どの店から来たの?」
「何?依頼?だったら俺が直接引き受けるよ!」

ルーシィを見て騒ぎだすフェアリーテイル。

「まぁまぁ、こっち来なさい」
「え、えっ!?」
「バニーちゃんじゃー!」
「マスターはしゃぎ過ぎだろ!」

ど、どうしよう!?
マスターに引っ張られて奥へと行ってしまったルーシィだった。


778年、マグノリア、第三者サイド


一方ナツとグレイとハッピーは、

「変装完了!」
「これで、万が一知り合いに会っても大丈夫」
「あい!」

見た目は別人風に変装した3人は過去のマグノリアを回っていた。

「見ろよあそこの店!まだ壊れてねーぞ!」
「いずれお前が壊すんだけどな」

マグノリアにある喫茶店、CAFE・SSAを見て懐かしがっていた。

「うほー!この店まだあるよ!」
「そこもナツが壊すんだけどね」

マグノリアにある食事店、RESTAURANT・KIZを見て懐かしがってた。
ほとんどがナツが壊した店ばかりだった。

「おお、あの子供じっちゃんだ!じっちゃんの若い頃だきっと!」
「どんだけ遡ってるんだよ…」
「ナツ達が子供だったんだから、マスターまで子供の訳無いじゃないか…」

公園で本を読んでる白髪の子供を見てマスターだと思ったナツ。
そしていつの間にか土手を歩いてた。

「だったらここって、何年前のマグノリアだろーな?」
「さっき新聞を見たら、778年だとよ」
「あっ!オイラが生まれた年だ!」
「778年!?俺がギルドに入って、1年くれーか?つー事はあれか、イグニールがいなくなって、まだ1年…」

ナツが考え込んでると、

「はっ!?こうしちゃいられねぇ!イグニールはまだ近くにいるかもしれねぇじゃねぇか!探しに行くぞ!」

ナツが駈け出そうとするが、

「落ち着けよ!」
「ぎゃっ!?」

グレイに捕まってナツはすっ転んだ。

「憶えてねぇのか?お前はこの時期、いつもそうやってイグニールを探してた…だけど、手掛かりは一つも無かった」
「………」

ナツは思い出したのか、辛気臭い顔をした。
するとグレイが軽くナツを叩いた。

「いてっ」
「そんな顔すんなよ。見ろ」

グレイは目の前にある川を見た。

「この川…今はもう無ぇ川だ。もう一度この目で見られるとは思ってもなかったよ」
「………」
「懐かしくねぇか?昔、ここでよくケンカしただろ?」

グレイが懐かしそうに話し、それを温かい目で見つめるハッピー。
すると、

「ほごっ!?」

ナツがグレイを殴った。

「何すんだテメェ!」
「さっき殴ったろ?」
「そんなに強く殴ってねぇよ!」
「ガハッ!?」

グレイがナツをドツいた。

「グレイてめっ!」
「やんのかコラァ!」
「上等だぁ!」

ナツとグレイはケンカを始めた。

「始まった…」

ハッピーは呆れていた。

「この!」
「いってーな!」
「?」

ハッピーは川の近くで声が聞こえた方を向くと、

「今日こそお前と決着を付ける!」
「強ぇのは、俺の方だ!」
「何だとぉ!」

幼ナツと幼グレイがケンカしていた。

「いってーなコノヤロー!」
「テメェこそムキになりやがってぇ!」

ナツとグレイはまだケンカしていた。

「ぷっ」

ハッピーはナツとグレイ、幼ナツと幼グレイのケンカを見てこう思った。

「ナツもグレイも、昔から変わってないなぁ」


778年、夕方、マグノリア、旧フェアリーテイル前、エルザサイド


「う〜む…」

私はこの本の解読を行っていた。
その際何故か尻尾が動いており、偶々近くにいたネズミはエルザを見て逃げ出した。

「ダメだ!さっぱり解らん…」

この時代のレビィに聞いた方が良いかもしれん…いや、いかん!この時代の人間に干渉してはならん!さてどうしたものか…。
すると、

「そこのネコの人」
「!」

エルザは声がした方を向くと、幼エルザがいた。

「!?」

私だ!?いや落ち付けエルザ!?顔はギアスが変化させてくれたから私だとは気付くまい!?

「妙な格好だな?最近の流行りか?」
「ま、まあな…」

良し!何とか誤魔化せた!

「それはいい。この辺りを、マフラーをした桜色の頭と、裸の黒髪が通らなかったか?」
「ナツとグレイか?」
「ん?何故名前を知っている?」

しまった!?
エルザはいそいそと出て、適当な方へと指した。

「あ…いや、多分その2人なら向こうの方だ!?2人とも名前を叫びあっていたからな、覚えてしまった!?」
「そうか、すまない」

幼エルザは礼を言った後、指した方へ行こうとした。
また上手く誤魔化せた!さすが私!

「私もケーキくらいでムキになって、情けない…まるで子供だ」

エルザはこの時の心境を思い出していた。

「謝るんだろ?」
「なっ!?な、なんだと!わ、私が謝るだと!」
「知ってるさ。お前は謝る」
「…!?」

幼エルザはむくれた様な顔をした。

「謝るもんか!ケーキを食べたあいつらが悪い!」

幼エルザは自分の気持ちを誤魔化すかのように言い、ナツとグレイを探しに行った。

「バカ者め、素直な気持ちをぶつける勇気も無いのか?仕方の無い奴だな、私は」

エルザはそう呟いた。


778年、夜、マグノリア、ルーシィサイド


何とか出られた…。

「あ〜…やっちゃったぁ…あたしの知らない皆が楽し過ぎて、ついつい過去の世界をエンジョイしちゃったよ〜…」

騒ぐ所は今も昔も変わらないみたいだけどね。

「てか、ここどこ?いつの間にか変なトコ来た…」

ルーシィは迷子になった。

「あー!歴史が変わったりしないよねー!?あたしの所為で、未来が大変な事になったりしないよねえ!?」

その時、

「誰かー!?」
「えっ?」

ルーシィは振り向くと、ものすごい勢いで走っている馬車があった。

「助けてー!?馬が暴走しちまったー!?」
「きゃっ!?」

危なー!?

「ううっ…」
「あっ」
「あの馬車の中には、お客様が…」
「ええっ!?」

大変!?助けないと!
ルーシィはヒールを脱ぎながら暴走する馬車を追いかけた。

「待ちなさーい!」

必死で馬車にしがみ付こうとするルーシィ。

「後、もう…少し!」

そして何とか馬車にしがみ付いたルーシィ。

「きゃあああぁぁぁぁぁっ!?」

馬車は障害物を突っ切り、卵などを撒き散らかせた。
その卵がルーシィの顔にヒットした。

「きゃっ!?」

そして何とか荷台の所にのぼった。

「何であたしこんな事してんだろ…」

そう言って卵を拭った。
すると馬車の中から、

「たすけてぇ、こわいよぉ…」
「子供!?」

中にいるの女の子なの!?
ルーシィは屋根の上によじ登った。

「待っててね!今止めてあげるから!」
「お姉ちゃんだれ?」
「あっ!?」

目の前には洗濯物が干してあった。

「わっ!?」

何とかかわしたルーシィ。

「大人しくしなさい!」

座席の方に降りようとするがバランスを崩した。

「きゃっ!?」

その時、中にいた少女はルーシィの右手の紋章を目にした。
ルーシィは馬車のひもを解いた。

「良しこれで!」

そして馬だけ走って行った。

「やった!」

これで後は馬車を止めるだけね。


778年、夜、マグノリアのはずれ、ルーシィサイド


何とか馬車が止まったみたいね。

「アンタ、怪我無い?」
「はい、ありがとうございます。お姉ちゃんは?」
「うん、大丈夫よ」

良かった。

「それよりアンタ、こんな夜更けに1人でどこ行くつもりだったの?」
「パパのとこ…」
「!?そっか…」

この子、お父さんに会いに来たのね。

「そういやあたしもよく1人で、パパの仕事先に行ってたな〜」
「お姉ちゃんも?」
「うん。あたし小さい頃って…」

その時、

「何だ何だ〜!?」
「何の騒ぎだ〜?」
「バニーちゃんが馬車止めただと」

野次馬達が近づいてきた。

「やばっ!?あたし、ちょっと急ぐからー!」
「あの!」

ヤバいヤバい、これ以上目立っちゃ流石にマズいわ!?


778年、夜、マグノリアのはずれ、幼ルーシィサイド


お姉ちゃん、行っちゃったな…。

「ルーシィお嬢様ぁ〜!?」
「あ、スペットさん」

ルーシィの家の使用人、スペット以下数名が幼ルーシィの下に駆け付けた。

「また勝手にお屋敷を抜け出して!?」
「ごめんなさい…」
「旦那様はお仕事で忙しいのですよ!だいたい会いに行った所で…」
「!」

幼ルーシィは何かに気付いた。
フェアリーテイルだった。
あのマーク、お姉ちゃんの手にあったのと同じだ!

「スペットさん、あのマークなぁに?」
「ああ、あれはこの街にある魔導士ギルド、フェアリーテイルでございますよ」

フェアリーテイル…あのお姉ちゃんもフェアリーテイルの人かな?

「フェアリーテイルかぁ」

幼いルーシィはこの時、フェアリーテイルに強く憧れた瞬間だった。


778年、夜、マグノリア、土手、第三者サイド


幼ナツと幼グレイはお互い倒れていた。

「どうやら決着がついたみたいだよ?」
「おでのがぢだど!(俺の勝ちだろ!)」
「いーびゃ、ごのびはおでのがぢだ!おぼべでる!(いーや、この日は俺の勝ちだ!憶えてる!)」

ナツもグレイもケンカが終わった。
顔を思いっきり腫れてる所為かうまく喋れてない。
そして、1人が起き上がった。

「「ゴクリ…」」

勝ったのは、

「俺の勝ちだ!ナツ!」

幼グレイだった。

「なっ!?」
「やったー!」

ナツは落ち込み、グレイはガッツポーズをした。

「そ、そんなバカな…俺がグレイに負けたのか…!?」
「どうだナツ!小せぇ頃から俺の方が強かったんだ!」

幼グレイはフラフラと帰っていった。

「さてと、俺はもう満足したし、エルザの所に戻るかな」
「オイラもお腹減っちゃった〜」
「………」

未だにナツは呆然としていた。


778年、夜、マグノリア、第三者サイド


エルザ達を探すグレイとハッピー。
グルルルとお腹の音を出すハッピー。

「ハッピー、腹うるせぇぞ」
「仕方ないじゃないか、朝から何にも食べてないんだから」

すると、

「グレーイ!ハッピー!」

エルザ(顔は元に戻ってる)が走ってきた。

「エルザ!?」
「何だその格好!?」
「もう逃がさんぞぉぉぉぉぉっ!!」

エルザは本をブン投げた。

「ぐあぁー!?」
「ふぎゃー!?」

そしてグレイ達に当てた本はエルザの方に戻る様に飛んだ。

「まったく、お前達という奴は…」
「「あぁ…」」

するとそこにギアス(顔は元に戻ってる)とルシアとルーシィ(顔は元に戻ってる)が駆け付けた。

「あれ?ナツは一緒じゃないの?」
「ナツならまだ土手にいるんじゃねーのか?つかお前らその服…」

まだ突っ込んでるグレイ。

「おいマズイぞ、もう時間が無ぇ!」
「急いでナツの所に行かなきゃ!あたし達、元の時代に帰れなくなっちゃう!」
「何だと!?」

エルザ達は急いでナツのいる土手へと向かった。

「この本はメモリーデイズといって、本を開いた時に一番思い出しそうとしてる時間へと飛んでしまうのだ!」
「あの時ナツは、首の傷の事を思い出そうとしていたでしょ?」
「ここがその時代って事?」
「多分な。だから俺達はナツの思い出の時代に飛んで来ちまったって訳だ」
「それと帰れなくなるのは、どういう関係があるんだよ?」
「本来この魔法は、思い出した本人、つまりナツ1人だけをその時代へと飛ばしてしまうものなのだ。しかし、その時本人に触れていた者にも、その力は及んでしまうらしい…」
「この本の効果は6時間しかないの、6時間経ったら自動的に思い出は終了!」
「そしてナツだけが元の時代に強制的に戻っちまうんだ!」
「えっ!?」
「なっ!?」

グレイとハッピーはショックで思わず立ち止った。

「ちょ、ちょっと待て!?俺達はどうなるんだ!?」
「言った通り!このままじゃ元の時代に戻れない!ナツの思い出終了の時刻にここに来た時と同じ様に、ナツに触れてなきゃいけないのよ!」
「でぇーーーーーっ!!?」
「そんなぁーーーーーっ!!?」
「急げ!時間が無いぞ!」

エルザ達は大急ぎで土手にいるナツの所に向かった。


778年、夜、マグノリア、土手、第三者サイド


ナツは未だに呆然としていた。

「俺が…グ、グ、グレイに負けただと…!納得いかねぇぞコラァァァァァッ!!」

ナツは幼ナツの下に駈け出した。

「起きろ俺ぇ!お前はまだ負けてねえ!!」

ナツは幼ナツを揺さぶった。

「追うんだー!ここで諦めていいのか!ああ?もう一度戦え!グレイに勝て!俺ぇぇぇぇぇっ!!」

するとナツは、

「俺が気合を、入れ直してやるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ナツは幼ナツを引っ叩いた。

「起きろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

今のナツは鬼の顔をしていた。
そして薄っすらと目を開ける幼ナツ。

「…ん?はっ!?」

幼ナツが目にしたものは、

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァァァッ!!!」

凶暴なケモノが襲いかかってきてる様な光景だった。

「うわぁぁぁぁぁっ!!?バケモノォォォォォーーーーーッ!!?」
「自分に向かってバケモノとは何じゃコリャー!!」
「何言ってるかわかんねー!?」

すると幼ナツのマフラーが落ちた。

「か、かかか、火竜のぉ!砕牙ぁ!」

幼ナツは恐怖のあまり火竜の砕牙を繰り出すが、

「効くかバカ」

ナツはそれは容易くはじいた。
そして幼ナツのはじかれた手はそのまま、自分の右首を引っ掻いた。

「あっ」

ナツは思わず呆然とした。

「ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」

そこに、

「「「「「「ナツゥゥゥゥゥッ!!」」」」」」

エルザ達が来た。

「「!?」」
「そこを動くなぁーーーーーっ!!」
「!?」
「誰なんだお前らー!?うわぁー!?」

幼ナツはその場から逃げた。

残り5秒

「「「「「「ナァ」」」」」」

残り4秒

「「「「「「ツゥ」」」」」」

残り3秒

「「「「「「ウゥ」」」」」」

残り2秒

「「「「「「ゥゥ」」」」」」

残り1秒

「「「「「「!!」」」」」」

全員ナツに乗っかった。
残り0秒

「な、何だ!?」

ナツから光が出て、

「「「「「「「どわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」」」」」」」

全員光に飲み込まれた。

サイドエンド


784年、現フェアリーテイル


何とか現代に戻って来れたな俺達。

「はい。ナツさん、マフラー」
「大事なモノなんでしょ?」
「おお!サンキューな」

ウェンディからマフラーを受け取ったナツ。

「じゃあナツの首の傷って、結局自分で付けた傷だったの?」
「らしいな」
「呆れた」
「でも戻ってこれてよかったね」
「全くだ。何であんな恐ろしい本がギルドにあったのだ?」

その辺不思議だよな。

「そういえばあの本、どうなっちゃったの?」
「さあな、戻ってくる時に消えてしまった」
「あれ一回しか使えないのかな?」
「さあな」
「あーんもったいない!確かに危険な本だけどさ、使い方によっては過去を変えられちゃうすごい魔法じゃない!」

おいおいルーシィ、そんな考えしてたらその内タイムパトロール的な連中に捕まるぞ?

「過去を変える必要なんか無ぇさ。過去があるから今の俺達がある。あの時、あの瞬間の、一つ一つの行動が、今の俺達に繋がっているんだ」
「…それもそうだね」

良い事言うじゃねぇかグレイ。

「さあ皆、倉庫の片付け、終わらせちゃって」
「えー!?まだやるのかよ…」
「こればかりは仕方無いな…」
「オイラお腹減って動けない…」
「僕も…」
「魚と野菜食べながら何言ってんのよ」
「あっ!私も手伝います!」
「本当!ありがとう!」
「ウェンディちゃんがいれば百人力だー!」

さーて、片付けに行きますか。

「ちょっと待て!何かおかしいぞ?」
「「「「「「「「「?」」」」」」」」」
「俺が過去に行かなきゃ傷は出来なかったんだろ?だけど、傷が無きゃ俺があの日を思い出せねぇから、過去には行けねーじゃねぇか?」
「タイムトラベル物は、そこ突っ込んじゃダメよ…」

ルーシィがナツの言い分に突っ込んだ。
確かに気になるよな。
でもそんな事より、倉庫の片付けしねーとな。


778年、夜、マグノリア、土手、第三者サイド


あの本はどうなったかというと、

「何じゃこの本は?」

酔っぱらったマスターがその本を拾い、

「ギルドにでも持って帰るかの〜」

ギルドに持ち帰ったからだ。
そしてその本は、784年のフェアリーテイルへ。


後書き
こういうループ的な物って、どうやって始まったのだろうと気になってしまいます。

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