小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「割れたか……!」


「はい!大きな研究施設です!もう、使われていませんがそこにいます……」





スコールが!







IS学園のデータ資料室


千冬と麻耶が興奮気味に言葉を交わす


「どうしましょう!……恐らく、最後のチャンスかと……」


麻耶が、眼鏡のズレを直す


「…………」


千冬は目を閉じ、腕を組んだ


「士を呼べ」


少しして千冬が小さく、呟いた


「……え」


「士を、ここに呼べ」


「士君に任せるんですか!?」


麻耶が声を荒げた


「大きな動きをすれば上が黙っていない……そうすれば、奴は気づくだろう。それは避けたい」


「で、ですが……」


「話、聞きましたよ」


そこに現れた声


神谷 士だ


「士君!」


「………」


開かれた扉から士はつかつかと歩いてきた


「俺にやらしてください」


士がポケットに手を入れたまま、笑った


「アイツは、俺が倒す」


その眼は、かつてないほどの強い意志を秘めていた


「……やって、くれるか」


千冬もどこか心苦しそうに尋ねた


それでも、士はあくまで笑顔で続ける


「はい……あと、皆には内緒で。多分、付いてくると思うんですよね……それじゃ気づかれちまう」


「お前……」


千冬も眉をひそめた


「大丈夫。俺に任せろ」


士は千冬の頭を撫でた


そこに、上官やら教師やらの壁はない


ただの、姉弟の絵だった


「最後の、ロマンだ……」


部屋を出て、士はつぶやいた
















その夜


11月の夜風が冷たく、吹き抜ける


「さてと……」


IS学園の制服に足元まで届く、黒いマントを靡かせて士は缶コーヒーを投げ捨てた


「行きますか……」


校門をくぐる


夜闇に消えるその背中はどこか小さく見えた









「……ここか」


人の住む気配のしない荒地にその研究所はあった


大きな研究所だ


士は迷うことなく、そのフェンスをくぐって中へと入った


中は、恐ろしいくらいに寒かった


明かりは月の光だけ


士の靴がかんかんと鳴り響く


奥へ、奥へと彼は歩みを進める


「なんだ……これ……」


出てきたのはアリーナのような広い部屋だ


そこにあるは、無数のカプセル


かなり大きいそのカプセルにいくつものISのような機械が入っていた


「これはね」


不意に響く、高い声


その声はどこか嬉しそうに近づいてきた


「貴方の戦闘データを元に作った培養IS……よ」


「スコール」


名を呼ぶ


窓から差し込む月明かりに照らされ、彼女の笑みが、燦々と輝く金髪が、その完璧なスタイルがさらけ出された


「はぁ〜い。士くん」


あくまで、彼女は笑顔で続けた


しかし、


「お遊びはもう終わりだ………そろそろ、決着つけようぜ」


「あら、私もちょうどその誘いをしようと思ったの。やっぱり気が合うわね」


「……変身」


士は返答もなくバックルを回す


『KAMEN RIDE・DECADE』


士は、マゼンダの戦士ディケイドになり手を弾くように叩く


「無視?悲しいわね〜」


「さっさと、終わらせようぜ……スコール!!!」


士が飛び出した



最後の戦いが始まる

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