小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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一回戦から当たるとはな……



シャルルと別れ今は出場ゲート前で簪を待っている



「お、お待た……せ」



顔を赤らめながらISスーツを着た簪がやってくる



「よし!行くか……」



「うん……!」



「………」



よく見たら簪は少し震えていた



緊張か、ここに来ての不安か……それともどちらもか



「(まあ……緊張しないほうがおかしいか)」



簪の後ろに回り



そっと震えを止めるように優しく抱きしめる



「えっ………!?」



突然の事で驚いたのか、体が強張る



そんな簪に俺は優しく諭すように言う



「まあ、緊張するなって方が無理なんだろうケド……あえて言うわ

あんまり緊張しなさんな……大丈夫、万一のときは俺が助けてやるから……

だから俺のことも助けてくれよ」



最後はおどけて言う



簪の体の緊張は解けていた



「う、ん……ありが、とう……士」



「ん?」



「勝ったら……そ、その……あ、あの……」







「―――付き合って、ください!」









ディケイドになっている俺は、まっすぐ前を見据える



シャルルとボーデヴィッヒの方を……



試合開始のカウントが始まる



「一回戦から当たるとは……運がいいのか悪いのか」



「セシリアと鈴の借りは反させてもらう」



「お、お前は……何故他人のために戦う?」



「じゃあ逆に聞くが……お前は誰のために戦う?」



「そ、そんなことは決まっている!私の……私自身のためだ!

教官に認めてもらうため……私のために戦う!

お前もそうだろう!?」



試合開始のブザーがなる



「確かに俺たちは時に自分ひとりで戦うこともある……

この手で……でも!この手で相手の手を握ることもできる!

そん時の俺たちは、弱くても、おろかでも一人じゃない」



『KAMEN RIDE・FOURZE』



「また、……この姿?……違うの……見たかっ、た……」



せっかくの俺の名言が……



簪に苦笑いしながら答える



「悪い悪い、今度違うやつで行ってやるからな」



「……約束」



「はいよ」



「何を話し込んでいる!」



「……」



シャルルの笑顔が怖い…… 



「簪!とりあえずプランCだ!」



「わかっ……た!」



簪は得意の山嵐でシャルルをボーデヴィッヒから遠ざける



俺の担当は―――



「お前だ」



『ATTACK RIDE・ ROCKET』

『ロケット・オン』



右腕に小型ロケットの推進力でパンチ力を大幅に強化する俺の数少ない飛行手段だ



「宇宙……いくぜーーー!」



うん、パクリは良くないよね



ロケットで低空飛行しながらボーデヴィッヒの方へ



「なにっ!飛べないのじゃないのか!?」



ロケットで強化されたパンチをもろに当てる



「くっ……!」



これで分かった……こいつのISは飛行向きではない



ロケットをしまい新たなカードを2枚挿入する







『ATTACK RIDE・CHAIN AARRAY』

『チェーンアレイ・オン』

『ATTACK RIDE・HOPPING』

『ホッピング・オン』



右腕にチェーンアレイ、左脚にホッピングを装備



装備したスプリングで跳躍力を倍増させ跳ね上がりながら困惑させ、右腕に装備したガントレットと繋がっている鎖鉄球を振り回し、打ち付ける



ボーデヴィッヒも肩の「パンツァー・カノニーア」を砲撃してくるが当たらない





「ぐはっ!」



まだまだ……!



『ATTACK RIDE・SPIKE』

『スパイク・オン』

『ATTACK RIDE・HAMMER』

『ハンマー・オン』





右脚にはキックに合わせ、装備したアンクレットの無数の棘が伸縮するスパイク

左腕には巨大な金槌を装着したガンレットを装備し、敵を殴りつけて粉砕……または、地面を叩いて衝撃波を発生させ、敵の足元をすくうこともできるハンマーという

かなり重量型な武器を装備



一気に削る!



ハンマーで殴り、スパイクで二回回し蹴りを当てる



「ちょ、調子に乗るなーーーー!」



右腕を俺に向けて意識を集中するボーデヴィッヒ



「言ったはずだぜ……お前のAICの弱点は分かってるってな」



『ATTACK RIDE・HOWHEEL』

『ホイール・オン』



左脚に車輪の付いたユニットを装備して高速移動する



「クソッ!ちょこまかと!」



旋回・回転といった小回りが効くホイールでボーデヴィッヒを翻弄する



さらに……



『ATTACK RIDE・CIAW』

『クロー・オン』



装備したガントレットに付いた鋭い3本のカギ爪で追い討ちをかけるようにあちこちを切り裂いていく



ちらっと簪を見ると



「(やや、押され気味かな……)」



ホイールの移動力を活かし一気に簪に近づく



「簪!プランBだ!頼んだぜ!」



「了解……」



次は、簪とボーデヴィッヒ、俺とシャルルという組み合わせ



「随分と仲がいいんだね……」



シャルルさん怖いよ……



「ま、まあな……」



「…………」



ぎゃあーーー!!何か無言で撃ってきたーー!



連装ショットガン「レイン・オブ・サタデイ」と、重機関銃「デザート・フォックス」で打ち抜いてくる

これは、きついぞ……

シャルルのラファール・リヴァイヴ・カスタムIIは距離を選ばない機体だがボーデヴィッヒとは違い、飛行機能が高い



おまけにこの遠距離攻撃……きついよー



でも



「反撃……するぜぇ……!」



『ATTACK RIDE・BEAT』

『ビート・オン』



右脚に装備したスピーカーから周囲に超音波を放ち、シャルルを幻惑する



攻撃が止まる……



今だ……!



シャルルは予想通りの強敵……中途半端な武器じゃ小細工も通じない



……なら



遠距離戦には遠距離戦の戦い方で!



『FORM RIDE・FOURZE・FIRE』

『ファイヤー・オン』



強力な炎エネルギーを含有し、ヒーハックガンを装備するとともにフォーゼがファイヤーステイツへと変身する



前部のフロントユニットを接続状態にし、火炎弾を放つ火炎モードでシャルルを撃ちぬく



「……熱いのは……まだ得意な方だよ!」



そう言い、シールド・ピアースを装備し、接近してくる



「なら寒いのはどうだ?」



「え?」



後部のリアユニットを分離状態にして消火弾を放つ消火モードに形態を変え



消化弾をシャルルに放つ



「うぐっ!」



火炎弾のあとの消化弾の威力は約2、5倍にもなる



温度差って怖いね



このまま決めてやる……



『ATTACK RIDE・LAUNCHER』

『ランチャー・オン』

『ATTACK RIDE・GATLING』

『ガトリング・オン』



右脚にはミサイルランチャーを5発装着したアンクレットを、左脚には6連装のガトリング砲を装着したアンクレットを装備する



そして、



『FINAL ATTACK RIDE・fo,fo,fo,FOURZE』

『リミット・ブレイク』



消防車のサイレンのような音とともに銃身がパトランプの如く赤く発光する



「いっけーーー!」



ヒーハックガン・火炎モードからの火炎放射とともに、ランチャー・ガトリングからの一斉射撃をする



「え?ちょ……きゃ……」





ドォォォォォン!







シールドエネルギーが0になり空中から落ちてくるシャルルを背部にブースターを噴射させ、少しだけ飛びお姫様抱っこのようにして抱きかかえる



「ま、負けちゃった……」



「いや、十分強かったよ」



アリーナの端の方に移動し、シャルルを降ろす



「がんばってね……」



負けた相手に激励だとぅ!

なんていい奴なんだ!



「ああ!」







ボーデヴィッヒの方へ戻ると



「簪!」



「ご、ごめん……なさい」



簪はやられていた

くそっ!やっぱり勝つまでは無理だったか……



「あとは……私と貴様だけか……」



「さて……ケリを―――」



『FORM RIDE・―――』



「つけようか!」





『FOURZE・ ELEK』

『エレキ・オン』



強力な電気エネルギーを含有し、ビリーザロッドを装備するとともにフォーゼがエレキステイツへと変身する

 



柄から伸びるコード先端に設けられたプラグを中央に刺し込み、電光弾による射撃をする



「くっ!」



やはり飛行には向かないか……なら



プラグを左側に刺し込み、電撃剣にし、斬りかかる



つば競り合いになるが力で押し反す



「止めだ……」



『FINAL ATTACK RIDE・fo,fo,fo,FOURZE』

『リミット・ブレイク』



警報のような音がなる



「ライダー100億ボルトブレイク!」



言うと同時に走り込みビリーザロッドに大気中の電気を集め、すれ違いざまに斬り付けるとともに強力な電撃を放つ



「ぐっ……ぐわーー!」



倒したか……



まあ、本当の戦いはここからか……



ラウラside-



私は負けられない………負けるわけにはいかない!!



人工合成された遺伝子から作られ、人の温もりなど知らずに生きてきた。



ただ兵士として必要な技能と心のみを教えられてきた。



誰よりも優秀な兵士としての性能を手に入れていた。それが私の存在意義だった。

 

だが……最強のISが現れたことにより、ただちに私にも適合性向上のため肉眼へのナノマシンの移植手術が施された。



しかし私の体は適用しきれずその結果



私は出来損ないの烙印を押された。



そんな私に光を、希望を、生きる意味を与えてくれた人、織斑千冬。



あの人の教えで私は部隊内最強の地位を手に入れた。だが、それはもう私の生きる意味ではなくなっていた。



私は、教官のようになりたかった。



常に強く、凛々しく、堂々と、自分という存在の意味を疑いもしない、人を超越したような存在だと感じた。



その姿に憧れた、教官のようになりたかった。



教官がただ近くにいるだけで、生きる力が、勇気が、私の中から湧いてくるのを感じた。



でも、教官が弟分のことを話すときだけ、優しそうな笑みを浮かべる。それは教官がただの人間だということを意味していた。



違う、私の憧れる教官は強く、凛々しく、堂々としていてのに





だから許せない



教官をそんな風に変える男





認めない



(力が、欲しい)



『―――願うか‥‥‥?汝より強い力を欲するか‥‥?』



寄こせ最強の力を



比類ない最強の力を!!!





その瞬間ボーデヴィッヒのISから電撃が走り、そして形が徐々に変わり





ついにボーデヴィッヒをのみこみ、それの姿は女性の形をしたものとなった

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