小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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こんにちはー、神谷 士です

ラウラとの絡みもあり何だかんだ言ってエンジョイしてます



さて、今日は雨

テンションも上がりづらいですー



……そんな日の放課後



俺は意味も無くシャルロットと廊下を歩いていた

いやー、暇だ



「結構、雨降ってるねー」



「そだねー」



窓の方を見てのどかにそう言いあう



そして、少し遠くを歩く箒を見つけた



あれ?



「箒……今日は部活かな?」



「えっと……篠ノ之さんって剣道部だっけ」



「んーーーー」



確か……俺の記憶が正しければ……



「シャルロット、予備の置き傘無い?」



「え!?士、傘忘れちゃったの?」



「そうじゃなくて……」



「士さん!」

「士っ!」

「つ、士!」



「わっ!びっくりしたー

どしたの?」



「士さんがどうしても仰るのならば、わたくしの傘に入れて差し上げても……」

「あたしの傘に入れてあげるわよ!士!」

「いれて、あげる……」



「いや、だから―――」



「わたくしが先に士さんをお誘いしたのですわよ!」

「私の方が速かったじゃない!」

「私が、一番……」



挙句、もの凄い口論をし始めた



ああ!めんどくせーー!



「悪い!シャルロット!ちょっと行って来るわ!」











「え、うん……どこに?

まあ、とりあえずこの3人を止めようかな」







箒side-



私は剣道場の中心で一人正座し神経を集中させていた



ふう……



次に素振り



基本を忘れてはいけない



常に、初心であるべきだと言う事を私は知っている



それでも、考えているのは士のことばかり



しかし、想い人のことを考えている私の気持ちは暗い



そう、彼の事と言うよりは彼のクラスでの評価のようなものを考えているから



最近、よく士の話をしているクラスメイトを目にしその話を聞く



……べ、別に聞きたくて聞いてるわけではないぞっ!



そういう話をしている女子の話の内容が自然と頭の中で再生される



『士くんって格好いいよねー』



『うん!なんか、あのイヤホン外す仕草?ぐっとくるよねー』



『そういえば私、前に寮の廊下でヘッドフォンしてる士君見たことがあるわ

格好よかったなー

そんでね、山田先生と話し始めたんだけど、ヘッドフォン首からかけてるところとかよかったなー』



『あ!山田先生で思い出した!

山田先生と士くんで、模擬戦やったときにさ、千冬姉様がいきなり試合始めるから焦ってたかと思ったらいきなり「おい!離れてろよ!」って言いながらあのカード入れてベルト回してたじゃん?私あれがもう頭から離れないのよーーーー!』



『『わかるーーー!』』



幼馴染の評判がいいことにもちろん悪い気はしない

どこか誇らしくもある



しかしその分、士が遠ざかっていく気がして……



先日のトーナメントの一回戦も僅差で負けてしまうという失態をかましてしまった



士は「惜しかったなー」と言ってくれたが実際

色恋沙汰になるとこういうところも反映してくるのではないかと心配でたまらない



ただでさえ、専用機持ちには





日本 更識簪

イギリス セシリア・オルコット

中国 鳳・鈴音

フランス シャルロット・デュノア

ドイツ ラウラ・ボーデヴィッヒ



と、個性的にも素敵にも見える女子陣が士を狙っている



そんな中で私は……



ダメだ……気持ちで負けてしまっては……



「……今日は、もう上がろう」



制服に着替え道場をでた私は



「しまった……」



そう、口に出していた



雨のことなど完全に頭に無かった



「(仕方ない……寮まで走るか……)」



と、そのとき



「箒」



この学園では珍しい私の事をしたの名前でよび、かつここまで極端に声が低い人物は一人しかいない



「士……?」



「よっ」



お決まりのイヤホンを外す動作を入れながらその手には傘が握られていた



当たり前か……



「私に何か用か?こんなところまで来て……」



「いや、箒が傘持ってるか気になってさー」



「え?」



「練習行く前、ガチな顔してたからな……そういう時のお前は周りが見えてなくてどっか抜けてるんだ……まあ、原作知識だけど」



「べ、別にそんなこと……」



「図星だろ?そういうとこ変わってないなー……まあ、原作知識だけど」



「う、うるさい!!私は走って帰る!放っておいてくれ!」



はっ!



気づいたときには遅かった……



な、なにか言わないと



「わ、私は……だな、そ、その……」



「何、訳分からんこと言ってんの?放っていけるわけなんてないっしょ……ほら、帰ろーぜ」



「う」









いったい、私は何をしているんだ……

さっきだってあんな思っても無いことを言って……



気が滅入っていたとはいえ……最悪だ……



「箒」



「な、なんだ?」



「もっとこっち寄りなって、肩濡れるぞ?」



もうすでに私以上に肩をぬらしているお前が言うな!



口には出さないが言ってやった



「あ、ああ……」



あいまいに返事し少しだけ士のほうへ寄る



士は背が伸びたな……



二人の肩の高さ一緒だったし、顔もまるで子供だったのに



それがいつの間にかいっぱしの男の顔になって



士は変わっ……



「なあ、箒

今日は剣道部休みじゃないの?」



「え?ああ……自主練をしようと思ってな……」



「ふーん……箒もいろいろ頑張ってんだなー

……まあ







俺も負けないけどな!」



そう言った



その時の士の顔は少年のときの士とまったく同じ、なんの屈託もない雨の日とは思えない眩しい笑顔だった



「ま、箒と戦う予定は今んとこないんだけどなー」



「ぷっ!」



思わず吹いてしまう



「なんだ、士……お前こそ全然変わってないではないか!」



「はあっ!なんの話だよー

ガキってことか!?」



「こっちの話だ!」



教えろよーと擦り寄ってくる士を見て思う



姿形は変わっても

士の根がまっすぐなところは変わらない









こうして無意識に私の心をすくいあげてくれるところも……





ある雨の日のことだった……

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