小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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こんにちは、セシリアオルコットですわ



さて、ご挨拶はこのくらいにしてどうするかを考えませんと……



「ふう……困りましたわ……」



わたくしは今、IS学園の校外のとある街までショッピングに来ていました



そこで抱えた問題が……



「まだ立ち寄るお店がありますのに少々買いすぎましたわ……」



そう、わたくしの両手には日常生活で必要な物が入った袋がたくさんあります



「ここは日本ですから家の者は呼べませんし……どうしましょう……」



近くの公園の噴水の周りの一辺に荷物を置き途方にくれていたとき



「ちょっと!!」



と、女性の怒声が聞こえてきました



見てみると……



「今、私の足を踏んだでしょう!靴が汚れたじゃない!!」



「す、すみません!弁償しますから!」



「当たり前よ!」



男性はとても優しそうな顔立ちで、強くも言い返せずただただ、謝っていました



まあ、女が男より強いといわれているこの時代では無いとも言い切れない場面ですが……



その方の靴の汚れを見ると……本当に先ほどつけられた汚れでしょうか?



よく見るとかなり使い古しい感じがしてどれがその男性がつけた傷かなど分かりはしません



それに……



そんなことを考えている間にも話は終わったのか女性と男性は離れていきます



「あれ?セシリアじゃん……何してんのー?」



そこで、男性に声をかけられます



その声は困っているクラスメイトがいる時にふらっと現れて礼も言わせずにふらっと去っていく

神谷 士さんその人でした



「いえ……わたくしはお買い物の途中で……」



そこでわたくしは今の状況をお話しました



「ほほぉ……で、途方に暮れていた……と」



「ええ……ようやくこの辺りの地理も掴めましたし、入り用な物を揃えておりましたら……つい」



「(さっすがお嬢様……俺と縁のなさそうな店の名前ばっかりじゃん……)」



「俺で、良かったら荷物持とうか?」



「えっ?」



つい、腑抜けた声を出してしまいます



だって……わたくしと士さんがこれでは……その、その……で、で、でデートのようではありませんか///



「今日はこの後予定もないし……あ、でも一人でじっくり回りたいとかあれば―――」



「いっ……いいえ!誰かと一緒に回るほうが楽しいですわ!

士さんがよろしければ是非!」



「しゃあ!じゃあ行きますか!」



そう言い、荷物全てを丁寧に持ち上げこちらに微笑みかけてくれます



ぱぁっ…!



その笑顔は反則ですわ!



「は、はい!//」









あちこち色んなお店を回りながら士さんに問います



「そういえば士さんは今日は何かご用事が?」



「ん?俺は家の掃除」



「ご自宅の?」



「家ってのは人が住んでないとどんどん痛んでくんだってー

だからこまめに換気とか掃除をしに帰るんだ……ってなんか俺、主婦さんみたいなこと言ってんなー」



「そうやって細かいところにまで気を配れるなんて、なかなか出来る事ではないと思いますわ」



「ふーん……照れるなぁ」



「わたくしはそういう士さんの一面も……そ、そのすっ……素敵……だと///」



「ん?」



わたくしの声は小さくなってしまい士さんには届かなかったようです



すると、後ろの方から



ドン!



「きゃっ!」



振り返ると小母様が二人組の男性に転ばされていました



男性はわたくし達と同年代でしょうか?



お世辞にも良好な人柄をお持ちとは思えませんでした



「ちょ……やばいよ……女にぶつかるとか……」



「構うもんかよ。こんな婆さんISも何も関係ねーだろ……ちゃんと前見て歩かないから転ぶんだぜ!婆さん」



「あいつ、らぁ…!」



隣の士さんが男性達の方へ……その間にわたくしは小母様を介抱しました



「お怪我は無くって?」



「おいっ!待てよ!ISがどうとか関係ないだろうが!

人一人こかしてんだ!一言謝っていくのが普通じゃねえのか!?」



「余計な口出ししてんじゃ……って、はっ!偉そうな口聞いてるけどお前だって女の荷物持ちじゃねえか……どうせ普段は女にゴマすってんだろ?説教かましてんじゃねえよ」



イライライライライラ!!



「お黙りなさい!!」



自分でも驚くほど大きな声で怒鳴っていました



介抱していた小母様も、青年も、そして士さんすら驚いた表情です……



ですが、かまいません



「先ほどから黙って聞いていれば……随分軟弱な思想回路をお持ちのようですわね?確かに男性は肩身が狭い事が多いかもしれません

だからといって……卑屈になってどうするのです?

あなた方の生き方や志はそれほど簡単に人に左右される物なのですか?



わたくしの知っている男性は……どんな人間だろうと確固として揺るがない信念を持っている方ですわ

そういう方だからこそ自然と周りに人が集まりますの

心のありようで己の境遇は決まるのです!!

鬱憤を他人にぶつけるなど言語道断です!」



言ってやりました……



どこか清々しい気分です



「お、女のおまえに……そんなこと言われたくねえよ!」



青年の一人がわたくしに殴りかかかってきました!?



わ、わたくし、IS操縦者ですが近接格闘タイプではありませんので……って



殴られますのーーーー!?





パシッ!



その拳を片手で受け止める一つの影が



「人は誰でも自分のいるべき場所を探している。

そこは偽りのない、陽のあたる場所。人はそこへ行くために旅を続ける。

そして旅を恐れない!そしてそこを信じている!お前は諦めた。自分の弱さに負けて卑屈になっていたんだ……そんな奴にコイツを殴る権利はないっ!」



「くっ、くそ!」



「お、おい!行こうぜ!」



「チッ!」



「あ、おい!謝って―――「いいんだよ坊や、お嬢ちゃんもありがとね」」



そして、周りで話を見聞きしていたたくさんの人から拍手をいただきました











「まったく……見ていられませんでしたわ!」



「まあな……それにしても知らなかったなー

セシリアに……」



「わたくしに……?」



「そんな知り合いがいたなんてな!」





コケッ!



思わずこけてしまいましたわ



これで分からないとは……まあそれが士さんなのでしょうか……



「まあ……お疲れさん、セシリア」



そんな士さんが急にわたくしの頭を撫でてくれました









それはいつもより優しく、いつもより暖かく感じました











鈴STORY





鈴side-



皆、どうも……鳳鈴音よ!



最近購買で『伝説の焼きそばパン』って言うのが売ってあるらしいの!



どうにもバカ売れしてるって噂でね



って事で昼休み……ダッシュ!



売れ残る前に買ってやるのよ!……2つ



そう、私と士の分



……べ、別に士のためじゃなくて、そ、その士も食べさせてあげてとか、そういうんじゃなくて



…………ダアアアアアッッ!!



もういいわよ!



そうよ!士と食べたいのよ!悪い!?



ただでさえライバル多いのにあたしだけ(正確には簪もだけど)二組とか、どうなってるのよ!?



って事でこういうところでポイント稼がないとどうしようもならないじゃない!



そう……士は昔から勝手に女の子を落としていた



そりゃそうでしょ……いつもバカやってふざけてるのに、いざって時は急に現れて、助けてくれて、それで……礼も言わせずにあの笑顔で去っていくんだから……

そんなの……好きになるに決まってる



だから……私だって



階段が見えてくる……降りようとしたときだった



「急げー!」



「待って、士

そんなに走ると危ないよ」



士とあれは……シャルルいや、シャルロットか……



あの二人もあの急ぎようからして焼きそばパン狙いだろう



なによ、またシャルロットなの?



ええい!こうなったら意地でも私が先に買ってやる!



階段の手すりに腰かけ一気に降りる



追い越し際に



「遅い!焼きそばパンは私のものよ!」



言ってやった



「くそっ!鈴もか

なら俺も3段飛ばしで」



「二人とも!?前見て前!」



そこに現れたのは山田先生!?



ちょうど二人でラリアットする形になる



「ぐはっ!」









叱られました

買えませんでした





その日の放課後



罰として山田先生が副担任を勤める一組の掃除を一週間もの間、掃除させられることになった



一組の教室では私と士の二人だけ……



その緊張を紛らすため



「な、なんで、私が一組の掃除をしなきゃならないのよー」



「仕方ないだろー

誰かが子供みたいなことするから」



机を運びながら平然と答える士に腹が立ち……



紙くずを丸めて投げつけた



「てっ!何すんだよ!」



「喋ってないで掃除してくださーい」



私の返答に士が私が投げた紙くずを投げ返してくる



「たっ!」



「そっちがその気なら容赦はしない……

俺のジャイロボール、受け手もらおうか!」



「やったわね!それならこっちだって

喰らえ!龍砲!」



そう言って投げた紙くずは簡単に避けられる



「プッ!龍砲って目に見えないのが売りじゃねえのかよ!」



ゲラゲラ笑う士が妙にむかつく



「う、うっさい!人の揚げ足とんじゃないわよ!子供か!」



「子供って言った方が子供なんだよー」



「もう!あったまきた!」



そして、抓りあう



「痛い痛い!お前ガチで抓るなや!」



「し、知るか!」



と、そのとき



「!?」



足を滑らせた……



あ、やばい……!



思ったときには床が近づいて―――



「おっと危ない」



士が抱きかかえてくれた



「あっ……!///」



「悪い悪い……悪ふざけが過ぎたな……早くやっちまおうぜ掃除」



と、手早く私から身を引き掃除を始める



士も子供じゃないのか……



どこか、寂しく感じていたときだった



「甘い!」



と、いきなり紙くずを投げつけられる



「ふっ!甘いなー鈴」



余裕の笑みを浮かべる士



「まっちなさい!もう絶対許さないんだから!」



「そう、言われて待つ奴はいない……ってお前!甲龍はまずいって!」



涙目で逃げる士……やっぱりこいつは変わらない



優しいところも、あたしをずっとドキドキさせてくれるところも……

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