小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「ふぅ………しかしまぁよくやった。」





原作とは違う展開で特に責められることもなく福音を倒した俺たちなのだが……





や、やばい……疲労が……





これでまた一つ分かったことが…





クウガ、アギト、電王、キバ、W、OOO(コンボを除く)、フォーゼのように、フォームチェンジが豊富なライダーはフォームライドしてもたいした疲労は残らない





しかし、龍騎、555、ブレイド、響鬼、カブトのようなフォームチェンジが特殊なライダーの疲労はとてつもない……





ブレイドのジャックはやばいぞ……ってか、初めて空飛んだ……





か、体が……キツイ





「士君!?大丈夫ですか?」





山田先生が驚いた様子で聞いてくる





「いや、限界っす」





「……………あ〜、神谷も限界のようだし……全員よく帰ってきたな。今日はゆっくり安め。」





あざーす……おやすみなさーい











目が覚めると辺りは真っ暗だった



誰が運んでくれたんだろ?



まあ、いいか



「ん〜……よく寝た」





「寝すぎだ馬鹿者」





声がしたほうを見ると呆れた顔をした織斑先生がいた





「ちふy……織斑先生か……驚かせないでくださいよ」





「知ったことか……今はいつも通りでいい」





「んで?どうしたよ?」





「教師が自分の生徒の……ましてや、弟の様子を見に来ることに何か問題でも?」





「そ、そうか〜……改めて言われると恥ずかしいな……でも俺のことは大丈夫だよ……それに、まだ後処理とか残ってるっしょ?そっちを優先して終わらせちまおうぜ」





「はぁ〜、他人のことばっかりじゃなく自分のことも気にかけろ」





と呆れながら言い、軽く頭をチョップしてきた





「ん?」





「まるで分かってないか……………まったく……たまにはあいつらも頼ってやれ……たしかにお前のおかげで助かってはいるが、その度に倒れていてはあいつらも悲しむ」





「ま、まあ……そうだよな」





「そ、それに……私だって……」





千冬姉がもじもじしながら顔を真っ赤にして





「わ、私だって……し、心配する///」



なんて言ってくる



こりゃ可愛いわ……



「そうだよな……ごめん、心配かけて……」



と、正面から抱きしめる





姉弟?スキンシップだよ



「次からは、もっと格好良くやるよ」



と、頭を撫でる





さすがにやりすぎかな?



ゆっくり体を離すと





「って、千冬姉!?」





顔が……赤い赤い!





「だ、大丈夫か!?」





「だ、大丈夫だ!(きゅ、急に何なのだ!?びっくりしたではないか!あんな甘い声で……しかも抱きしめられながらアレは……///)」



「ま、まあ……ゆっくり休め……」





と、ふらふら歩きながら部屋を出て行った





大丈夫かな?





まあ、大丈夫か……腹減った







晩飯を頂いた後……





眠れねねぇぇぇぇ!!





寝すぎたな……





原作通り、行くか……海岸



ある物を持って海岸へと歩く



それから、海岸をぶらぶら歩いていると



おっ!いい具合の岩場発見!





ここら辺かな……





その岩場に腰を下ろし、目を瞑る





あ、イヤホン忘れた……まあ、いいや





波の音がいい具合に鼓膜を震わせる





「ん?箒?」



ふと、人の気配を感じて、振り向くと



白い水着……しかも、ビキニタイプを着た箒がいた





「泳ぎにきたのか?」



ちなみに俺は海辺ということもあり少し厚めの白いパーカーを着ている





「少し頭を冷やしたくてな……そうか、お前も来ていたのか……」





いや、ってか箒さん?その水着、露出度高くないですか?





胸元ばっちり開いてますけど……



「あ、あんまり、見ないでほしい……」





と、控えめに言ってきた





「ご、ごめん!」







それから隣に箒が座り……沈黙が辛い状況に……





な、何か話さないと……





「あー、えっとさ……」





「あ、うん……」





「その……誕生日おめでとう」





「え?」





ある物……箒に買ってやった白いリボンが入った箱をプレゼントとして渡す





「今日は、誕生日だったよな?だから……はい」





「あ、ありがとう……あ、開けても?」





「ああ……いいよ」



受け取った箱をゆっくり開けていく





「こ、これは……」





「まあ……たまにでいいからさ、つけてくれ……」





「ああ……グス……ありが……とう」



って、箒!?



泣くなよ!



「な、泣くなよ!……ほ、ほらリボン……してやるから貸してみ?」





箒からリボンを受け取り後ろに回る





していた緑のリボンを解き、代わりにプレゼントしたリボンをしてやる





な、なんか……凄くいい香りがするんですけど……





「ほ、ほれ!出来たぞ」





「鏡がないのが残念だ……」





「それは旅館に帰ってのお楽しみだ」





「それもいいな………」





「まあ、何にしても良かったな〜皆無事で戻れたし……」





「良くない!」





「え?」





「ラウラの時のように倒れるまで無茶して……私がもっと……」





「もっと何だ?」





「そ、それは……」





「もっと強ければ……か?……そんなに簡単にいけば、苦労しないよ……」





「し、しかし!」





そんなに泣きそうな顔するなよ……





「本当の強さってのは……優しさってのも関係するんじゃないか?」





「そう……なのか……?」





「そりゃそうだろ……優しさがないと人を守ろうとは思えんだろうし、力がないと人は守れない……逆に優しさだけじゃ人を守ることは出来ないし、力だけでも誰かと戦うことは出来ない。両方が重なって、初めて強さになるんじゃねぇか?」



「両方?」



「おう……俺たちは人間で、不完全で当り前……だから誰かと一緒に強さってのを見つければそれでいいじゃねぇか……」





「誰かと……一緒に……」





「ああ……お前が嫌じゃなきゃ、俺が一緒に見つけてやるよ……一緒に探そうぜ、本当の強さを」





「つ、士………でも!私は過去にも同じようなことをした!力を得て、ただ暴力のように相手を打ちのめす……今日の船だってそうだ……まるで……鬼のように……それでも、お前は!」





「正しい心でその鬼の力を制御できるなら鬼になってもいいんじゃない?さっき言ってた優しさがあれば鬼に心を奪われることもないさ……お前が束さんから手に入れたのはその鬼の力だけじゃない……束さんの心も受け継いでる……そうだろ?」





「そうだよ……箒ちゃん」





いつの間にか束さんが後ろに立っていた……もう、驚かないよね





「私はそれに気づいて欲しかったんだよ?……」





「姉さん……」





いつもの覇気がない束さん、ウサ耳もへなっとしてる





「こんなお姉ちゃんが急にこんなこと言い出してゴメンね……でも、コレだけは本当のお話……」





「なぜ、姉さんが私の昔の事を……?」





箒の声が震えている





「なぜって……そんなの、箒ちゃんをずっと見ていたからに決まってるじゃん」





「私を?……ずっと?」





「うん、見てたよ……遠くで、凄く遠くでだけどね……」





「そ、そんな……」





「私は色んな人に追われている身……一緒にいれば箒ちゃんにまで迷惑がかかる……だから、近くにいてあげられなかった……いてあげたかったけど……箒ちゃんに嫌われるのが怖かったから……たった一人の妹に嫌われるのが嫌だっ―――」





「―――なるわけ、ない!!」





箒が叫ぶ……その声はその目に浮かぶ涙と共に揺れていた……





「私は……あの人は関係ないとか、どうでもいいとか、言ってきたけど……やっぱり姉さんの事が好きだっ!!」





束さんが目を見開く……





「ほん……とう?」





「確かに、最初は恨みもした……でも!やっぱり最後は心配だった!追われた後に怪我はしていないか……ちゃんと食事はとっているか……どっちが姉で、どっちが妹が分からないくらいに心配だった!……だから、紅椿の事を電話したのも謝るきっかけが欲しかっただけなんだ!」





「箒ちゃん……」





「流れに任されるかのように結局、専用機を手に入れた私はこれで皆と並べる……姉さんにも負けを取らないと思っていた……その矢先にこれだ……私は結局アナタには……勝てないどころか並ぶことすらできない……」





「それは違うよ!箒ちゃん!」





束さんが箒の元に駆け寄り……抱きしめる





「!?」





「勝てないことなんて……ないよ……並べないことなんてのも、ないよ!もうとっくに箒ちゃんは私を追い抜いてるよ!迷惑ばかりかけてる私とは違って……」





「姉……さん……」





「私だって箒ちゃんのこと……好きだよっ!箒ちゃんと同じくらい……ううん、箒ちゃんよりももっと!だから、紅椿だって箒ちゃんに気に入ってもらおうと思って頑張って作ったんだよ!もう、これ以上、嫌われたくないから……」



「じゃ、じゃあ……私は……」





「箒ちゃん……今までゴメンね……いっぱい迷惑かけて……あと、こんなダメなお姉ちゃんでゴメンね……」





「そんなことない!姉さんは……私の中では……誰にも負けない、最高で最強の姉さんだ!」





「箒、ちゃん」



お互いに抱き合いながら涙をこぼす二人……二人の小さいながらも夜の海辺に響く泣き声がおさまったのはそれから長い時間を要した



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