小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「無駄に疲れた……」



あの後、セットの上だけでは逃げ切るのは無理だと感じ、すかさず見つからないように逃げてきた



「あんな状態じゃ劇も続けられないでしょ……でも、なんか怒られそうだし後で楯無さんに謝っくか」



と広い通路を頭を掻きながら歩きながら呟いていると



「見つけたぜ」



「あ?」



目の前にはシンデレラの格好した生徒ではなく……



「亡国機業……オータム……久しぶりだな」



「はっ!覚えてやがったか」



当然だろ……



「お前らの目的は?」



「教えると思うか?」



まぁ、そうだよね



「今回は前のようにはいかねぇ」



オータムが言うと同時に爆発音がする



「!?」



「始まったな」



オータムはあくまで冷静につぶやく



通路にある窓から外をうかがうと



「あいつは……!」



前にこいつを回収した千冬姉に似てるもう一人の亡国機業が侵入してきたが、すぐに気づいたのか専用機持ちの皆が応戦している



「おらっ!余所見してんじゃねぇぞ!」



オータムがアラクネを展開し、突進してきた



その攻撃をかわしドライバーを腰に



「そのISは自爆させたはずじゃ……」



「さあ?なんであるんだろうなぁ!」



またも装甲脚から銃撃してくる



『KAMEN RIDE・DECADE』



ディケイドになりその銃撃をライドブッカー・ソードモードで弾く



今回は最初から飛ばすぜ



「変身……」


『KAMEN RIDE・BLADE』



仮面ライダーブレイドになり更にカードを挿入する



「今度も違う姿か……面倒くさい奴だな」



「それはお互い様だよ!」



『ATTACK RIDE・KICK』



スペードの5……脚力が強化され、「ローカストキック」を発動する



オータムの背中のPICを回し蹴りからの上段蹴りで弾き飛ばしながらバックルを回す



『ATTACK RIDE・SLASH』



スペードの2……斬撃攻撃「リザードスラッシュ」を発動させる



回し蹴りの勢いで近づいた俺はそのまま斜めに斬りつけ、横薙ぎにする



「ぐぁ!」



『ATTACK RIDE・BEAT』



さらにスペードの3「ライオンビート」を発動しパンチ力を増殖させる



残りのPICを殴り潰す



しかし、オータムも腰部装甲から2本のカタールを抜き出し、俺に斬りかかる



あえて避けることはせず、カードを挿入



『ATTACK RIDE・METAL』



スペードの7……身体を鋼の様に硬質化させ、防御力を強化する「トリロバイトメタル」を発動させその剣撃を弾く



「こ、こいつ……固い……!」



「蜘蛛退治には獣がいいかな?」



ライドブッカーからカードを取り出し挿入する



「しかも、青い狼だ」



『FORM RIDE・KIBA・GARULU』



『アオーーーーン!』



高い雄たけびとともにブレイドは仮面ライダーキバ「ガルルフォーム」にその姿を変え、ガルルセイバーも装備し、その刀身を撫でる



剣には剣をね



ガルルの俊敏性を活かし、一気に近づきガルルセイバーで斬りつける



オータムも両方のカタールで防ごうと手を動かすが追いつけない



疲労が見えたところでその跳躍力で高く跳びあがり後ろに回り、新たなカードを挿入





『FORM RIDE・KUUGA・TITAN』



クウガのタイタンフォームになりガルルセイバーがタイタンソードへとその形態を変えた



反撃の暇は与えず、硬さを活かし多少の攻撃は無視して突っ込む



「おらっ!」



縦に振り降ろし、それを防ごうとしたオータムのカタールが砕ける



「そろそろ終わりにしようか?」



ライドブッカーに手をかけた瞬間



「士!」



箒が「空割」を両手で持ち俺の隣に並んだ



「箒?どうした?」



タイタンソードをしっかりと構え、オータムを睨みながら箒に問う



「さっきアリーナにもう一人、ISを展開した女が侵入してな……恐らくこいつの仲間だろう。私達専用機持ちで応戦したんだが、初撃でシャルロットとラウラがやられて、簪と鈴、セシリアで対抗していたのが……どうやらそのISはイギリスのものらしくてな……退却しようとしたそいつをセシリアが一人で追った……『わたくしが倒します』って言ってな」



「また面倒な話だな……」



そう呟いたとき



「でも、助けに……行くん、でしょう?」



「はぁー、さっさと行ったげなさい」



簪と鈴だ



「ここは私達が引き受ける!」



箒が俺の前に出た



「助ける……か………いや、俺はアイツに「教えて」くるよ。任せとけ」



そう言って、カードを挿入した





楯無side-



「『亡国機業』、狙いは何かしら?」



今、目の前で私の蛇腹剣「ラスティーネイル」を腕部部分展開して受け止めている女が今回の主犯であることは確実だった



「あら、言うわけないじゃない。折角いいシチュエーションができたっていうのに」



「無理矢理にでも聞き出してみせるわ」



「それができるかしら?更識楯無さん」



「やると言ったわ『土砂降り(スコール)』!」



四連装ガトリングを内装しているランスを展開し、相手を捉えた



……が



スコールの姿は金色の繭に包まれていて、弾丸は一発たりとも届いていなかった



「やめましょう?……あなたの機体では私のISは突破できない。分かっているでしょう?」



「勝てないから、倒せないから戦わない。それは賢い選択なのかもしれない―――けれど!」



水のヴェールを刃に変え攻勢へ



「私は生徒会長。IS学園生徒会長、ならばそのように振舞うだけ!」



ヴェールの刃をかして、スコールはナイフを投げる



「そんなもの!」



水の刃がナイフを切り裂く



しかし、その瞬間ナイフは大爆発を起こした



黒煙が晴れる頃にはオータムの姿はなかった



「逃がした……か(最近、いいとこ無しじゃない……士くんからかってる場合じゃないわね……)」



そこにいたのはいつもの茶化した態度の楯無ではなく本気で悔やむ楯無だった









セシリアside-



「はああああっ!!ブルーティアーズ・フルバースト!」



閉じられている銃口からの一斉射撃。パーツを吹き飛ばしての四門同時発射



これを行えば最悪、機体は空中分解してしまう



それでもセシリアには負けられない理由があった



「これで、本気か?笑わせるな!」



声を荒げるとともにエムと名乗ったその女は笑い声と同時にその射撃全てを高速ロールで避けてみせた



「なっ!?」



「死ね」



ザクッと銃剣がセシリアの二の腕を貫通する



「あああああっ!!」



耐え難い苦痛に叫び声が漏れ、その声を聞きエムがニヤリと口元を歪める



「―――お願い、ブルーティアーズ」



セシリアは貫かれた右腕をそのままに、何も握っていない左手をエムに向けた



「(ああ、そうでしたの。ブルーティアーズとはつまり……)」



「?」



エムの量りかねない表情にセシリアは笑いを浮かべ



「バーン」



手で作ったピストル



その指先からは何も発せられていない……だが、次の瞬間エムを背後から四本のビームを貫いた



「!?」



BTエネルギー高稼働率時にのみ使える偏向射撃



「ものに……しましたわ……」



「確かに、さっきのは焦ったな……」



セシリアは絶句した



あの攻撃を―――切り札を使っても倒せないならどうすれば



「今度こそ、死ね」



銃剣が目の前で振られようとしている









セシリアが負けられない理由……それは過去にある



彼女がまだ代表候補生としてブルーティアーズと出会って日が浅い頃



イギリスで、ISが使えない―――男性による反逆デモが起こった



IS操縦者ではない女性だけでなく、お年寄りや子供までもが「女」という性別なだけで暴力などを受けた



両親の死からまだ時も浅く、ひたすらに勉学などに勤しんでいた彼女は酷い怒りと失望を覚えた



同じ国の人間として恥ずかしくないのか……激しく問いたかった



さらに話しに聞くところではIS適正の低い女性が操縦者を襲う事件まであったという



この事件から、セシリアは父と同じ男をそして、女であっても自分のことは決して譲らない人間へとなった











―――この男に出会うまでは





「セシリアァァッーーーーー!!!」



『ATTACK RIDE・AD VENT』



エムの銃剣が届く前に赤い龍によってエムは地面に叩きつけられる



セシリアもゆっくりと―――半ば、落ちるように着陸する



「大丈夫か?セシリア」



士が以前に山田先生と戦ったときと同じ赤い騎士のような姿で隣に立っていた



「つ、士……さん。あとは……お任せしましたわ」



そう言って目を瞑ろうとしたとき













「やだね」





そう言った



いつもは頼んでもいないことをやる士が……そう、断った



「つ、士さん?」



「そうやって、逃げるのか?」



「え?」



どこか冷たい声だった



「そうやって、自分が負けそうなときは逃げるのか?そんなもんか?イギリスの代表候補生は」



士は言葉を続ける



「普段は人一倍プライドが高いくせに、こうやっていざ負けそうなときは誰かに押し付けて……そんなんでいいのかよ!!」



「わ、わたくし……は」



声が震える



「お前が勝てないのは実力で劣ってたり、コンディションとかも関係してるかもしれない……でも違うだろ!お前は逃げてるだけじゃねぇか!!



本当に勝ちたいなら地面に這いつくばって、泥水啜ってやれよ!……確かに、プライドってのは大事だよ……でもな、誰にも頼らず一人で何でもやるのは強いわけじゃないよ」



頭に手を乗せて撫でながら続けた



「本当に勝ちたいならプライドなんて捨てて、誰かに頼ってみれば?俺はちゃんと傍で支えてやるからさ」



「――――っ!!」



(この男性はどこまで、わたくしを成長させてくれるのかしら?)



「何を、ぶつぶつ言ってやがる!」



エムが立ち上がりながら叫んだ



「お前みたいな雑魚、何人束になっても私には勝てん!」



「いいえ……確かにわたくし一人では勝てないかもしれません……だからこそ助け合い一緒に支えあう相手が必要なんですの



世間ではそれを「仲間」って言うらしいですわ!」



もうわたくしは一人じゃない……



わたくしが一人でできることなんて多くはなかった



それが皆に知られるのは嫌で……だから気丈に振舞って



でも、この男性はそんなわたくしを支えてくれると仰いました



仲間を―――想い人を信じるのも悪くありませんわね



その瞬間隣でエンジン音が鳴り響いた





「大せーかい♪」





士side-



「大せーかい♪」



少し前にいるセシリアにそう告げる



「お前は一人じゃない……俺が、皆がいる………だから、一緒にアイツを倒しちまおうぜ」



「はいっ!」



なんて、いい笑顔だ



すると、ライドブッカーが一人でに開き一枚のカードが飛び出してくる



図柄が斜めに分割され、左上にセシリア・右下に巨大なライフルが描かれたカードだ



『KAMEN RIDE・DECADE』



仮面ライダー龍騎からディケイドに姿を戻す



そして……



「行くぞ、セシリア」



「はい」



『FINAL FORM RIDE・bu,bu,bu,BLUE TEARS』



セシリアの背後に近づき



「ちょっとくすぐったいぞ!」



背中に両手を突き刺すように手を伸ばし、左右に広げる



「え?ちょ、きゃっ」



わけも分からず、混乱するセシリアはその兵器「スターライトmkC」へとその姿を変えた



CはセシリアのCか?



そのレーザーライフルを掴みとる



「セシリア……これがお前と俺の力だ!」



「死ねっーー!」



エムが銃剣「スターブレイカー」を振り上げ突進してくる



「食らえ!」



俺もスターライトmkCを放つ



すると、その銃弾は綺麗な青で、しかも―――



「なにっ!?一気に四発だと!?」



そう、銃口から一気に四発の弾丸が発射され、その銃弾は大きくホーミングしながらエムへと向かいさらに、銃弾が銃弾を発射する



それはまるでこの機体のビット型の武器「ブルー・ティアーズ」のように



「ぐわっ!」



さらに五発を放った俺は四十発の弾丸を放ったことになる



ごろごろと転がり、衝撃を殺したエムに止めをいれるべくカードを一枚挿入する



『FINAL ATTACK RIDE・bu,bu,bu,BLUE TEARS』



銃口が青く―――否、碧く光る



引き金を引くと同時に無数の碧い弾丸が放たれた



(イメージはWのトリガーフルバーストです)



大爆発を起こしたその跡地にはエムの姿はない



ファイナルフォームライド状態が解けたセシリアは気持ちよさそうに目を閉じていた

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