小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「―――通りすがりの仮面ライダーだ!覚えておけ!」


怒声を撒き散らすスコールを尻目にそう答えてやった


スコールは疲れたような深いため息をついて


「オータム、エム。適当に応戦しなさい……そして、頃合いを見て退くのよ……」


そう告げた


「何でだよ!スコール!今はあのクソガキしかいないんだぞ!?」


「落ち着け、オータム。あの女がいる」


エムの目は刺すように千冬姉に向けられていた


「ぐっ……!」


苦しげに呻くオータム


「士君、聞いてもいいかしら?」


スコールが一歩前に出て言った


「何だよ?」


「貴方は一度、心を私に奪われた身……催眠状態が解けたとはいえ、諦めをつけた者……なのに何故、まだそうやって戦うの?」


そんなことか……


「諦め……ねぇ」


「そうよ」


「確かに薄れてく意識の中でもう無理かなって思ったよ……」


「なら―――」


「―――でもな、こいつ等が……皆が俺をちゃんとした道に歩ませてくれる。

たとえ道を間違えても、何度だって……それは俺がされるだけじゃなくて、俺もしてやること。

だから俺はいつまでも間違った道にはいられないんだよ……こいつ等がいる限り―――」


そう言って前に歩み出る


ドライバーを装着し、ディケイドのカードを取り出した







「―――諦めることを……諦めた!」





『KAMEN RIDE・DECADE』


ディケイドは元の……本来の姿だった


「笑わせるわね……」


「言ってろ……」


俺はタッチパネル式携帯電話型ツール「ケータッチ」を取り出し


先程、使えるようになったそのカードを挿入する


「あら?第二形態移行かしら?まぁ、そのデータもとってあるからこうすればいいんでしょう」


その瞬間、俺がこいつ等の元へ行く前の戦闘……ガタキリバで応戦した数の倍ほどの数のISが


「馬鹿な……なぜあれほどまでのISが……!」


千冬姉が驚愕の声色で呻いた


「さぁ、この数……相手にできるかしら?」


「それに……」


「私達も忘れんなよ!」


エムとオータムも前に出る


「いや、これからは俺の……いや、俺達のターンだ」


そして、パネルに浮かび上がった紋章13個をなぞるようにタッチしていく


『KUUGA・ULTIMATE』


それは―――


『AGITO・SHINIMG』


些細な変化―――


『RYUKI・SURVIVE』


しかし、―――


『FAIZ・BLASTER』


それは、外見だけ―――


『BLADE・KING』


外見だけの些細な変化―――


『HIBIKI・ARMED』


内に秘めた思いも―――


『KABUTO・HYPER』


そして、その中にある覚悟も―――


『DEN-O・LINER』


決意も―――


『KIBA・EMPEROR』


強さも―――


『W・EXTREME』


全てが規格外―――


『OOO・PUTOTYRA』


皆を思う気持ちがあれば―――


『FOURZE・COSMIC』


それが敗れることはない―――


『FINAL KAMEN RIDE・DECADE・COMPIETE』




ディケイドライバーのバックル部をケータッチと差し替える


次の瞬間には、頭部にはコンプリートフォームのライダーカードが配され、肩から胸に装着された装甲・ヒストリーオーナメントには12体のライダーのカメンライドのライダーカードが配置される


そのライダーカードは皆、最強フォームを司っておりディケイド自身にも変化が


腕は一回りも二回りも太くなり、足も同様


マゼンダではなく、各ライダーの最強フォームの基本色で染められたその姿は


ディケイド・ファイナルコンプリート フォームであることを示していた


手を弾くように叩く


「あら?情報と少し、姿が違うわね……まぁ、変わらないでしょう」


「そいつは、どうかな?」


ケータッチを取り外し、紋章を





三つタッチする




『AGITO・KAMEN RIDE・SHINIMG』

『KABUTO・KAMEN RIDE・HYPER』

『FOURZE・KAMEN RIDE・COSMIC』


また、腰部にケータッチを嵌めると


俺の前方には


赤と銀の抜き出た身体構造したアギト・シャイニングフォーム



全身のアーマーが内部にタキオンプレートを収納したカブト・ハイパーフォーム


ロイヤルブルーの他のステイツと異なりモジュールベイスメントとスラストマニューバーが変化している。複眼の色は赤、シグナルは金色。36個のスイッチが体内に吸収されているフォーゼ・コズミックステイツ


が、立ち並んでいた


「さ、三体!?」


スコールが目を見開いた


「落ち着け、スコール」


エムが宥めると


「そうね……三体出したところで皆が同じ動きをするなら邪魔でしかないはず……」


「ああ、同じ動きをするならな」


「え?」


「さぁ、十三の物語(サーティン・ストーリー)を始めよう―――」


右手の小指と薬指をほんの少しだけ折って、胸元で左から右へと流すように振る


すると、


アギト・シャイニングはシャイニングカリバー


カブト・ハイパーはパーフェクトゼクター


フォーゼ・コズミックはバリズンソード


をそれぞれ構えた


「動きが……バラバラ」


「そう言うことだ……」


手を弾くように叩く


でもまぁ……少し、欠点がありまして……


非常に言いにくいにですが……







「ディケイド!久しぶり!」


そう明るい声を発しながら抱きついてきた





アギトが……



「うわっと!」


こけそうになるのを必死に持ちこたえる


危ない危ない


すると、腕に感触が……


見てみると……


「会いたかった……」


カブトだ


「おい!お前ら離れろ!ディケイドは私のヒーローなんだぞ!」


そう言ってもう片方の腕に抱きついてくるのはフォーゼ



そう、欠点ってのはこれ……


皆、意思を持ち、話すのだ……


しかも、ライダーのコノ格好で


正直気持ち悪い


だって、想像してみ


な?


しかも声はやたら可愛いし、動きも女の子っぽくて……


「それにしても、凄い数だね」


唐突にアギトが言った


「そうだよ!こんなことしてる場合じゃないんだ!いいからあいつ等を倒すのを手伝ってくれ!」


俺が叫ぶと


「たくさん倒すと褒めてくれるか?」


フォーゼが上目遣い?で問うてくる


「おう」


そう答えると


「なら……頑張る」


『HYPER CLOCK UP』


カブトさん。いきなりハイパークロックアップとか鬼畜すぎやでー


って


「うおおおおおおおおおおおいい!!本気出しすぎだああああ!!」


「むっ!カブトには負けられないもん!」


そう言ってアギトもシャイニングカリバーを構えて突っ込んでいった


「なっ!ずるいぞ!私も行く!」


フォーゼも背中のブースター、スラストマニューバーを噴射して飛んでいく


……もう好きにして






「ふふん。僕がディケイドに褒めてもらうんだもん」


そう得意げに胸を張りながら、アギトはシャイニングカリバーをくるくると回す


「行くよ!」


そう言ってシャイニングカリバーをツインモードにして突っ込む


「せいっ!」


次々に踊るように舞いながら切り刻んでいくアギト


「まだまだ!」


再び、シングルモードへと刃の形状を変えたアギトはそれを振り、振動波を発生させた


「こんなもんかな」


あらかた片付いたIS部隊を尻目にスキップで士の元へと戻っていた





「ディケイドの為……負けない」


そう呟くような小さな声で言ったカブトはパーフェクトゼクターで強引にISを斬り付けて行く


気をつけなければならないのは前方の敵だけ


後ろと横の敵には目もくれない


なぜなら……


銃弾や剣戟はザビーゼクター・ドレイクゼクター・サソードゼクターが守ってくれるから


「いい子たち……」


そう呟き、今度はパーフェクトゼクターのフルスロットルを押していく


『All Zector Combine』


音声と共にパーフェクトモードへと姿を重ねたパーフェクトゼクター


『Maximum Hyper Cyclone』


音声の後、カブテクターを展開し空中へ


竜巻状の超巨大エネルギー波「マキシマムハイパーサイクロン」を放った


「ディケイド……褒めて、もらわないと……」




フォーゼもまた大量のISに囲まれていた


それでも彼女?は余裕の態度を崩さなかった


「来ないのか?なら、こちらから行くぞ!」


そう告げて、バリズンソードを突き刺す


「まずはこれで数を減らそう」


そう言って38番「ネット」のスイッチを装着


『NET』

『ネット・オン』


フォーゼの脚の動きに合わせて捕虫網を模したユニットから巨大な電磁ネットを発生させ、ISを捕獲する


「これでは終わらんぞ?」


次に胸元の20番「ファイヤー」を押す


『ファイヤー・オン』


すると、ネットの中は灼熱に包まれた


これこそが士が召喚したフォーゼの強み


オリジナルのコズミックは同じ部位の武器でなければ属性追加はできない


しかし、


「私は、一味違うからな……こ、これもディケイドのお陰だ///」


はっ!と


自分がモジモジしていることに気づき


「ゴホン……まだまだ!」


さらに19番「ガトリング」のスイッチを装着


6連装のガトリング砲を装備


続いて、胸元の32番「フリーズ」を押した


「食らえ!」


秒間数10発もの氷の弾丸を連射した


所々の部分が凍り、ISは上手く動けない


「終わらせようか……」


バリズンソードを抜き取り、


40番「コズミック」をツールの柄に装着する


『リミット・ブレイク』


レバーを操作し、外装を展開して刀身を露出した大剣形態のスラッシュモードに変形させた


「ライダー超銀河フィニッシュ!」


コズミックエナジーを纏った斬撃を放った


「よし!ディケイドの元へ帰ろう」






「皆、お疲れ」


俺も粗方、片付いたIS部隊を背に手を弾くように叩く


「うむ。頑張ったぞ!」


「あのね、ディケイド……そのー」


「褒めて、ほしい」


お前等……緊張感


そんなことを言ってるうちに、その姿は消えた


「ふぅ」


息を吐くと


「私達を……」


「忘れてるぜ!」


そんなわけないだろう


体を反らして挟み撃ちしてきたエムとオータムを避けてケータッチをタッチする


『HIBIKI・KAMEN RIDE・ARMED』


俺の目の前には黒を基本として装甲は赤色、胸は金色をした鬼が……


「誰が鬼じゃ!」


「よぉ、響鬼」


「むぅ……折角、会えたのに最悪じゃ」


なんかいじけてる


「ゴメンゴメン……この通りだって」


「ふん!」


めっちゃ怒ってるやん


「あーあ、響鬼は結構頼りになるから呼んだのになぁ」


「っ!?」


ピクッと肩を震わせる響鬼


「はぁ、残念だな」


「で?あの二匹を倒せばよいのじゃな」


「うん!」


チョロいな


「任せろ!」


アームドセイバーを鈎状となっている鍔を180度折りたたみ拡声器が露出した音撃モードに変形させ


刀身後部のマイクに清めの声を発す


「鬼神覚声!」


発声とともに装甲響鬼の声を装甲声刃で増幅し、音撃の波動を三日月状の刃に変化させてエムとオータムを同時に斬り付けた


音撃刃 鬼神覚声……超つえー


「こんなふざけたこと……がっ」


「くそがっ!」


エムとオータムはその言葉を最後に気を失った


「あとはお前だけだ……スコール!」


「いいえ、さよなら士君。また会いましょう」


そうして金の繭に包まれた彼女は姿を消した


まぁ、追っても無駄かな


変身を解除すると同時にアームド響鬼も姿を消す


「ふぅ……終わったぜ」


そう言って振るかえると


「……あれ?」


皆、不機嫌そうに腕を組んでいた


何で?


「自分で呼び出した戦士にまで……」


「この……」


『節操なし!!!!』


「うわあああああああ!!」


なんで俺が追いかけられてるの!?


スコール追おうよ!


よく分からんけど……







でも……


皆―――



        ありがとう


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