小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「さてと……」


どこからこんな量のISが出て来たかは知らんが片付けますか


夏海と並ぶように立った


「行こうか」


「ええ」


頷いた夏海に俺はライダーカードを渡す


「これ、よろしく」


「こんなに!?」


受け取った夏海は絶句していた


なんで?


「出血大サービスだよ。お前が晴れてこっち側になったんだから……」


「ふ、ふん。余計なお世話よ……」


そう言ってそっぽを向いたが


「でも……ありがと」


小さく続けた


はいよ


心の中で返事した俺は


「しゃあ。行こうぜ」


拳を打ちつけた


「仕方ないわね……」


『KAMEN RIDE・DEN-O』


『KAMEN RIDE・W』


撃ち出されたのは電王とW


それを確認した俺はカードを挿入する


『FINAL FORM RIDE・de、de、de、DEN-O』


『FINAL FORM RIDE・da,da,da,W』


電王は頭を叩くように、Wは両手で背中を突き刺すようにして広げた


すると、電王はモモタロスへ


『Cyclone・Cyclone』『Joker・Joker』


Wはサイクロンジョーカーが分離した状態へ


「よぉ!士!この間は楽しかったぜ!また呼んでくれよな!」


モモタロスが俺の背中をバシバシ叩く


「おう。また頼むわ」


絶対にウラとキンは出さんがな


「久しぶりだね〜士」


「お久しぶりです。フィリップさん」


先輩への挨拶って大事


「これがIS……実に興味深い」


前方のISを見て興味深そうに見つめるフィリップさん


「おい、フィリップ!こいつらは敵だぜ」


「翔太郎さんもお忙しいのにすいません」


「おお、士。全然構わねぇぜ」


「ありがとうございます」


頭を下げた俺に翔太郎さんは肩に手を置いた


「ああ、ハードボイルドに行くぜ」


「君はハードボイルドじゃなくてハーフボイルド……だろ?」


「なんだと!?」


相変わらず仲がよろしいことで


「次、行くわ」


夏海は告げたあと、更にカメンライドした


『KAMEN RIDE・AGITO』


『KAMEN RIDE・FAIZ』


『KAMEN RIDE・BLADE』


『KAMEN RIDE・KIBA』


『KAMEN RIDE・FOURZE』


次々に召喚されていく歴代ライダー


俺もそれにならってカードを挿入する


『FINAL FORM RIDE・a,a,a,AGITO』


『FINAL FORM RIDE・fa,fa,fa,FAIZ』


『FINAL FORM RIDE・bu,bu,bu,BLADE』


『FINAL FORM RIDE・ki,ki,ki,KIBA』


『FINAL FORM RIDE・fo,fo,fo,FOURZE』



それぞれのライダーはファイナルフォームライド状態へと姿を変えていく



『アギトトルネイダー』にWのサイクロンサイクロンが飛び乗る


『ファイズブラスター』をWのジョーカージョーカー


『ブレイドブレード』を俺が


『キバアロー』を夏海


『フォーゼロケット』をモモタロスが装備した


フォーゼロケットはフォーゼのファイナルフォームライド状態で


オレンジの色をしたロケットモジュールだ


「さ、行くぜ!」


俺が告げると同時に全員が一気に駆け出した


空を飛んでいるISはアギトトルネイダーに乗ったフィリップさんが対応する


風を操り、軌道を反らし体当たりする


「う〜ん。アギトトルネイダー……これも興味深い。そしてISについてはすでに検索済みだ」


フィリップさんは口元に手をやり余裕を示した


「それに、僕には……」


後ろからイグニッション・ブーストで近づいてくるISが一機


しかし、それはファイズブラスターの強力な弾丸によって撃ち落された


翔太郎さんだ


「決まったぜ」


いや、余韻に浸ってないでさ……


「最高の相棒がいるからね」


フィリップさん。なんかその相棒がくつろいでますけど……


「行くぜいくぜイクゼ〜〜〜!!!」


相変わらず叫びながらフォーゼロケットを振り回しているのはモモタロスだ


敵の攻撃を避けては反撃


ロケットの推進力で一気にシールドエネルギーを削った


「おおおおらぁ!!」


あ〜あ。飛んで行っちゃった


「ふっ!」


俺の隣でキバアローの鋭い射撃を行うは夏海


俺も加勢しますかね


地上部隊に向けて俺は走り出した


馬鹿でかいブレイドブレードを構えて


「おらっよっと!!」


俺の身の丈を優に超えるその剣は


小回りこそきかないが


「一気に……削る!」


横薙ぎに払えば、一撃で一刀両断できる


そんな頼りになる仲間のお陰もあり数分でIS部隊も片付いた


「ふぅ……」


召喚したライダーは消え、俺達も変身を解除する


「お疲れちゃん」


夏海の頭に手を置いた


夏海はそれを弾く


「ふんっ!」


あれ?


ここは顔を赤めるところじゃないの?


そっぽ向いてどっか行っちゃった


その直後に俺は


「士く〜ん!」


山田先生に呼ばれた


「あ、山田先生」


「大丈夫ですか!?怪我とかありませんか!?」


おお、眼鏡が曇ってる


どんだけ心配してくれてんだよ


「大丈夫ですよ」


俺は先生の肩に手を置いた


「よ、良かったですぅ〜」


ほっと肩を落とした山田先生


そんな彼女に俺は問うた


「先生、そういやあの時、スーツ姿の銃持った三人を倒したのって……」


なんとか夏海が自分を取り戻してくれたので良かったが


誰が助けてくれたんだ?


「ああ。織斑先生と……あと、体格のいい色黒のサングラスの人、あとスタイルのいい女性でしたかね」


はて?と可愛らしく首をかしげる山田先生


「そのお二人はもう帰られたんですけど、士くんに伝えておいてくれと伝言を頼まれたました」


「俺に?」


「はい。花をありがとうと、庇ってくれてありがとうって……士くんはまた何かしたんですか?」


山田先生はまた首をかしげた


「まぁ……そんなところですかね」


まったくあの二人ももう少し分かりやすく助けてくれてもいいのにな〜


俺は誰もいない通路に向かってほんの少しだけ頭を下げた


ボブと攝津さんに届くように……そっと






あの後


夏海は俺と一緒に全てを話した


千冬姉だけでなく専用機持ちの皆も納得がいかないのか


睨み返していた


……俺を


まぁ、いつまでも引きずってるのはねぇ


彼女も一週間の自宅謹慎に二年間の審査会による監視の条件を承諾し、学園生活に復帰した


そんな事件から二週間


暦の上ではもう10月も3日


学園の裏庭を散歩していた俺は夏海を見つけた


「よっ」


短く声をかけた俺に夏海はゆっくりと振り返った


「神谷、士」


相変わらず俺には無表情……ってか冷たい眼差しの夏海


「そのフルネーム、なんとかならねぇの?」


苦笑しながら俺は言う


「じゃあ、なんて呼べばいいのよ」


腕を組んだ彼女


「そうさなぁ……士くん?」


「却下」


早い……


「なら、士でいいや」


これ以上しつこくするとまた怒られるからな


「な、……つみって……」


「ん?」


急に、俯いてモジモジとし始めた夏海


「私のことは……夏海って呼んでるんだから、当たり前よね」


そんな風に、小さく呟く



「ナツミカンってよんでやろうか?」


くくっと笑いながら言いたかったこの呼び方をする


「な、なによ。それ」


「知らないならいいや」


そう言って見上げた空は青かった


そんな俺の腕に夏海はしがみつくようにした


「どした?」


「寒いのよ……」


まぁ、もう10月だしな


「責任、取りなさいよ」


は?


「なに?責任って……」


「私の存在理由よ……あなたがいるから私はもう一度頑張ることを決めた。その責任は死ぬまでとってもらうから」


「なんじゃい、それ」


言いながらも俺は彼女の肩に手を回す


「まぁ、同じ転生者同士。仲良くやろうぜ〜」


そのまま手を引いた


「ちょ、ちょっと!どこ行くのよ」


「秋限定のパフェがカフェテラスで売ってるんだってよ!行こうぜ!」


そう言って彼女の手を離さないように走り出す


「まったく……私がいないとダメかしらね……」


なぜかブツブツと言っている夏海の顔は赤い

















「でも、ちゃんと私を守って、そして、通りすがらないようにしてもらうわよ。私の……通りすがりの仮面ライダーさん♪」

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TVアニメ IS<インフィニット・ストラトス> VOCAL COLLECTION ALBUM
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