魔王様、訪問
レオンが部室に行くと中から
「冗談じゃないわ!」
とリアスの大きな声が聞こえてきた。レオンが部室に入ると案の定機嫌が悪いリアスがいた。レオンはとりあえずソファーに座り朱乃が入れてくれたお茶を飲むことにした。
「この街で悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会議があるからって突然私の縄張りに堕天使の総督が侵入し、あまつさえ営業妨害をしているなんて」
どうやら堕天使の総督・・・アザゼルがこの街にいてイッセーに依頼し接触していたらしい。
「しかも私のかわいい眷属に手を出そうとするなんて万死に値するわ。アザゼルは神器に大変興味を持っているらしいわ、きっとイッセーのブースデットギアに興味を持っているから接触してきたのね。・・・大丈夫よイッセーたとえ堕天使の総督だとしてもイッセーは渡さないわ!」
リアスは上級悪魔の中でも大切に眷属を可愛がる悪魔らしい。特にレオンに対してはかわいがるどころではないと思うが
「・・・やっぱり俺の神器を狙っているのだろうか? 堕天使の総督なんだろ?」
イッセーが木場に訊くと
「確かにアザゼルは神器に造詣が深いと聞くね。そして有能な神器所持者を集めているらしい。でも大丈夫だよ。イッセー君は僕が守るから」
真面目な顔でイッセーに迫っているところを見ると木場はそっち系なのか? と思うレオンがいた。リアスが考えながら
「しかしどうしようかしら? 相手の動きがわからない以上、こちらも動けないわ。それに堕天使の提督だから手の出しようがないわ」
そういっていると部室の扉が開いたのでレオンはそっちを見るとそこからいつか見たメイドのグレイフィアさんと紅髪をしてにこやかに笑っている男の人が入ってきた。
「アザゼルは昔から、ああいう男だよ。リアス」
その声に部員が気づきその男の人を見た瞬間に朱乃、木場、小猫が片膝をつき頭を下げた。イッセー、アーシア、ゼノヴィアはわからない顔をしていてレオンは相変わらずお茶を飲んでいた。リアスが
「お兄さま!?」
驚いた声をだし立ち上がった。そうはいってきた男の人は『サーゼクス・ルシファー』様だった。
「先日のコカビエルのようなことはしないよアザゼルは。今回のような悪戯はするだろうけど。それにしても総督殿は早いくついたね」
イッセーは急いで朱乃達の真似をして頭を下げた。アーシアもイッセーに続けて頭を下げた。それを見たサーゼクスは手を前にだし
「いいよそんなにかしこまらなくても。今回はプライベートで来ているからね。そこの彼のようにくつろぎたまえ」
そういわれ全員レオンの方を見ると座ってお茶を飲んでいた。それを見たリアスが
「ちょっとレオン!? お兄さまの前でくつろがないの」
「でもその本人がいいって言ってるんだからいいじゃねえか」
といい変わらずにお茶を飲んだ。それを見たサーゼクスは
「ハハハ。彼はおもしろいね。リアスいいよそのままで」
リアスがあきらめたのかため息をつきサーゼクスに
「ところでお兄さまはどうしてここに?」
と尋ねるとサーゼクスは一枚のプリントをだし
「なにを言っているんだ。授業参観がちかいのだろう? 私も参加しようと思ってね。ぜひとも妹が勉学を励んでいるところを間近で見たくてね」
それを聞いたリアスが
「グレイフィアね。お兄さまに伝えたのは」
「はい。学園からの報告はグレモリ―眷属のスケジュールをまかされている私のところに届きます。もちろんサーゼクス様の『女王』なので主に報告します」
リアスはため息をついた。どうやら家族が来るのは乗り気ではないようだ。
「報告を受けた私は魔王職が激務だろうが、休暇を入れてでも妹の授業参観に行くよ。安心しなさい。父上も来るって言っていたから」
「そうではありません。お兄さまは魔王なのですよ? 仕事を放りだしてくるなんていち悪魔を贔屓にするなんて」
「いやいや。これは仕事でもあるんだよ、リアス。実はこの学園で三すくみの会談をしようと思ってね。今回はその下見だよ」
その発言をきいた部員は驚いていた。
「ここでするんですか!?」
「ああ。この学園はいろんな縁があるようだ。私の妹であるお前と、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、魔王セラフォル―・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルや白龍皇の襲来してきた。これはただの偶然では済まされない。様々な力のうねりとなっているだろう。そのうねりを加速的に増しているのが兵藤一誠君―――赤龍帝だと思うが」
それを聞いたレオンが
「イッセーってもしかして・・・疫病神なのか?」
それを聞いた部室にいた全員が固まった。あのグレイフィアさんでさえ一瞬だけ驚いたがすぐに表情を戻した。その発言を受けたイッセーが
「そんなわけねぇだろ! そうですよね部長」
リアスに同意を求めるがリアスは視線を逸らした。イッセーが木場に視線を向けるが木場もそらした。部員全員に視線を向けるが全員そらした。イッセーが膝をついて四つん這いになっているとアーシアが慰めていた。
サーゼクスがゼノヴィアと自己紹介をした後
「さて今夜はもう遅いし人間界の宿泊施設とかまだ空いているかな?」
サーゼクスが考えているとイッセーが
「それならレオンの家に行きませんか?」
side レオン
俺達は今、サーゼクス様とグレイフィアさんを連れて家に向かっている。歩いているとサーゼクス様が俺に
「いいのかい? こんな夜遅くに家に行っても。家族の人に迷惑が掛からないかい?」
そう聞かれたので俺は
「いや別に大丈夫ですよ。俺の家には今俺しか住んでいませんから」
と言ったがリアス先輩が
「レオン。私も住んでいるでしょ」
「ちょ・・・。サーゼクス様がいるからそのことは・・・」
リアス先輩と小さな声で話しているとサーゼクス様が
「そうなのかい? レオン君ちょっと話さないか?」
と話してきたので俺は
「・・・はい」
と答えた。家に着くと俺は夕飯の用意をするためキッチンに向かった。するとグレイフィアさんがキッチンにきて
「レオン様、何か手伝うことはありますか?」
「いえ、大丈夫ですよ。それにグレイフィアさんはお客さんですからリビングでサーゼクス様とゆっくりしといてください」
そういうとグレイフィアさんは渋々リビングに向かった。夕飯が終わりあとは寝るだけなのだがリアス先輩が
いつもどうりお俺の部屋で寝るというとサーゼクス様が
「リアス。悪いけど今日はレオン君と話すことがあるからリアスは別の部屋で寝てくれ」
それを聞いたリアス先輩が悲しい顔をして俺に抱き着いてきた。
「レオン。一人で寝れる? 私が隣にいなくて平気? 私は平気じゃないわ。あなたが隣にいないだけで・・・」
「お嬢様。その辺でご自分の部屋に戻りましょう。私もお嬢様の部屋に厄介になります。それではサーゼクス様、おやすみなさいませ」
リアス先輩を引っ張って行った。サーゼクス様が
「さあ、部屋に入ろうか」
部屋に入り布団に入るとサーゼクス様が
「いや〜リアスのあんな楽しそうな顔を見たのは久しぶりだよ。これも君のおかげだと思っているよ。竜ヶ崎獅遠君これからも妹のことを頼むよ」
「はい」
俺は返事をした
「おれ・・・いや、自分はリアス先輩の『兵士』ですから」
「ありがとう。・・・そうだ、竜ヶ崎獅遠君いや、妹のようにレオン君って呼んでいいかな?」
「はい。魔王様にそう呼んでもらえるとうれしいです」
「ありがとう。そうだ私のことは名前で呼んでくれないか、よかったらお義兄さんとよんでくれてもいいよ」
「お兄さんですか? それじゃあ・・・プライベートならサー兄と呼ぶことにします。それ以外ではサーゼクス様と呼びますね」
「そうか、ありがとう。君にならリアスを任せられるよ。それじゃあお休みレオン君」
「おやすみなさいサーゼク・・・サー兄」
俺がサーゼクス様と呼ぼうとしたら紅いオーラが出たのでサー兄と呼んだ。