小説『ハイスクールD×D 黒と赤』
作者:shimo()

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イッセー覇龍発動

side 木場

 アーシアを救出したが突如光に包まれて消えた。僕たちも突然のことで頭が真っ白になった。

「神滅具で創りしもの、神滅具の攻撃で散る、か。霧使いめ、手を抜いたな。計画の再構築が必要だ」

 聞きなれない声に僕たちは声のする方を向くとそこには見知らぬ男が宙に浮いていた。軽鎧を身に着け、マントも羽織っていた。部長が

「・・・誰?」
「お初にお目にかかる、忌々しき魔王の妹よ。私の名前はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真の魔王ベルゼブブの血を引く、正統なる後継者だ。先ほどの偽りの血族とは違うのだよ。ディオドラ・アスタロト貴様に力を貸してやったのにこのざまとはな。先日のアガレスの戦いのときにオーフィスの『蛇』を使い、計画が敵に露見した。貴様はあまりにも愚行すぎる」

 ディオドラがシャルバに懇願するように言う

「シャルバ! 助けておくれ! 君と一緒なら赤龍帝を殺せる! 旧魔王と現魔王が力を合わせれば――――」

 ディオドラが言い切る前にシャルバが光の光線でディオドラの胸を貫いた。

「哀れな。あの娘の神器を教えてやったのにものにできないなんてな。たかが知れているものを」

 ディオドラが地に伏せると塵となって消えた。―――ッ! どうして悪魔に天使や堕天使の光の力が宿っているんだ!? 僕は不思議に思っているとシャルバの腕を見てみると何かの機器がつけられていた。もしかしたらあの機器が源か?

「さて、サーゼクスの妹君。早速だが貴公には死んでもらう。理由は当然。現魔王の血筋のすべて滅ぼすために」

 冷淡な声でシャルバが言う

「グラシャボラス、アスタロト、そして私たちグレモリーを殺すのね」

 部長の問いかけにシャルバは

「そうだ。君たちの血筋があると、私たちが『旧』と呼ばれるのが不愉快でね。今回の作戦はこれで終了だ。まさか中堅の神滅具ブースデット・ギアに上位の神滅具のディメンション・ロストが破れるとは思わなかったがな。さて、去る前に貴公には死んでもらおう」
「直接現魔王に決闘を申し込まずその血族から殺すなんて卑劣だわ」
「それがいいんじゃないか。自分の家族が死んで絶望する姿が見たいのだよ」
「―――ッ! 外道ね! 何よりもアーシアを殺した罪! 万死に値する!」

 部長の体から今まで以上にオーラが溢れ出した。朱乃さんも顔を怒りの表情になり体に雷光の雷をもとっている。僕も当然怒り聖魔剣をだしシャルバに向け殺気を飛ばす

「アーシア? アーシア?」

 イッセー君の声が聞こえたのでそっちを見るとふらふらとアーシアさんを探すように彷徨っていた。それを僕たちは見ていられなかった。

「アーシア帰ろう? 家で父さんと母さんが待っているんだ。だから一緒に帰ろう。体育祭の二人三脚も頑張らないって練習しないとな」

 そんなイッセー君を見ていられなかったのか部長が優しく抱きしめていた。

「部長? アーシアがいないんです。やっと帰れるのに。先生が言っていた神殿の奥に隠れなきゃ。父さんと母さんがアーシアを本当の娘だって。アーシアも俺に父さんたちを本当の親のようにって言っていたんですよ。俺の、俺たちの大切な家族なんです」

 うつろな表情でつぶやく、部長が頬を優しくなでていた

「・・・許さない、許さないぞ貴様ァァァァッ!」

ゼノヴィアさんがデュランダルとアスカロンを構えシャルバに斬りかかっていった。

「無駄だ」

シャルバは聖剣の二刀を障壁で防ぎ、ゼノヴィアさんの腹に魔力の球を撃ち込んできた。ゼノヴィアさんが壁に吹き飛び地に伏せた。

「・・・アーシアを返せ・・・アーシアは私の友達なんだ。・・・優しい友達なんだ」

 落ちた聖剣に手を伸ばし握ろうとする。シャルバはイッセー君に視線を移し

「下劣な転生悪魔と汚物当然のドラゴン。まったくもってグレモリーの姫君は趣味が悪い。そこの赤い汚物。あの娘は次元の彼方に飛ばした。その身はもう消滅しているだろう。簡単に言えば死んだってことだ」

 イッセー君が浮いているシャルバに視線が向くがその眼は無機質な目で見つめていると

『リアス・グレモリー、死にたくなければ今すぐこの場から離れろ』

 ドライグが僕たちに聞こえるように発した。離れろ? どういう意味だろう?

『そこの悪魔よ。シャルバって言ったか?』

 イッセー君がシャルバの足元までふらふらと歩きシャルバの真下まで行くと

『お前は、選択を間違えた』
ドォォォォォォォォォンッ!

 イッセー君から膨大な赤いオーラが噴き出した。イッセー君の口から呪詛ごとき呪文をつぶやきだした。その声は老若男女の声も交じっていた。

『我、目覚めるは―――』
〈始まったよ〉〈始まってしまうね〉
『覇の理を神より奪いし二天龍なり―――』
〈いつだって、そうだった〉〈そうじゃな、いつだってそうだった〉
『無限を嗤い、夢幻を憂う―――』
〈世界が求めるのは―――〉〈世界が否定するのは―――〉
『我、赤き龍の覇王と成りて―――』
〈いつだって、力でした〉〈いつだって、愛でした〉

(何度でもお前たちは滅びを選択するのだなっ!)

 イッセー君の鎧が変質していき鋭くとがっていたところがさらに鋭くなり強大な翼が生えていった。両手足の爪も伸びて、兜から角が生えてきた。その姿はまるでドラゴンのようだった。宝玉から叫びが聞こえ

「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に鎮めよう―――」」」」」」
『Juggernaut Drive!!!!!!!!!!』(ジャガーノートドライブ)
ゴォォォォォォォォッ!

 イッセー君の周囲が弾け飛ぶ!床や、柱、天井、壁に亀裂が入っていく。イッセー君の鎧が放つ、血のようなに赤いオーラによって

「ぐぎゅあああああああああああああああ! アーシアァァァァァァァァァ」
 
 獣の叫びをあげ、四つん這いになり翼を羽ばたかせると消えた。―――ッ! 早い! 僕でも一瞬見失った!?

「ぬうううううっ!」

 シャルバのうめき声が聞こえたので、上を見ていると小型のドラゴン化したイッセーがシャルバの肩にかみついていた。それを見ていたら

「なんだあれ? イッセーなのか?」

 後ろを向くと服がボロボロだが大きな傷はないようだ。

side out

sideレオン

 俺が神殿の奥に行くと部屋がボロボロになっていてイッセーらしい奴が悪魔と戦っていた。なぜイッセーらしいというとイッセーの禁手の鎧が変わっていて小さなドラゴンになっていたからだ。リアスたちに近づき

「なんだあれ? イッセーなのか?」
「レオン!? 無事だったのね!」
「ええ、ボロボロですけどね、あれ? アーシアがいないようですけど?」

 そういうとリアスたちが顔を伏せて悔しそうな顔をしていた。木場が俺に

「・・・レオン君、アーシアさんは・・・」

 俺は木場から事情を聞いて驚いた。

「なるほど。あれが、イッセーの『覇龍』なのか。アーシアが死んで怒りでああなったと・・・」

 イッセーの方から

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!!』
『Longinus Smasher!!!!!!』

 と聞こえたのでそちらを見たら今までにないくらいの光が宝玉から発せられていて膨大なオーラが照射された。それを見た俺は

「っまずい! 木場ッ! リアスたちをここから連れて行くぞ!」
「っ! わかったよ」

 俺はリアスと朱乃を抱え神殿を出た、木場はゼノヴィアに肩をかし、小猫とギャスパーは自力で俺の後に続いた。

「バ、バカな・・・ッ! 真なる魔王の血筋である私が! ヴァーリに一泡もふかせていないんだぞ! ベルゼブブはルシファーよりも偉大なんだぞ! おのれ、ドラゴンめ! 赤い龍め! 白い龍めぇぇぇぇ!」

 放射された赤い光線が悪魔を飲み込み、神殿と共に消えていった。
 神殿を出てリアスと朱乃をおろし崩れ落ちた神殿を見てみると

「おおおおおおん・・・」

 イッセーは敵を倒してもどうやら悲しみは消えずに暴走は続いていた。その時

「困っているようだな」

 第三者の声が聞こえ俺は後ろを見てみると空間が割れそこからヴァーリと美候、さらに先日見た聖剣使いがいた。

「ヴァーリ? どうしたんだこんなところにきて」

 俺がヴァーリに訊くと

「なに、俺の宿命のライバルを見に来たんだ。―――赤龍帝の『覇龍』を。と言っても、中途半端な『覇龍』だがな、まあ『覇龍』がこの空間のフィールドでよかったな。現実だとかなり被害が出ていただろう」

 リアスがヴァーリに

「・・・この状態は戻るの?」
「まあ完全な『覇龍』ではないから戻る場合もあれば、あれは命を削って暴走しているからな命が尽きるまで暴れるかだ」
「・・・そうか」

 すると美猴が木場に近づき抱えていたものを渡した

「ほらよ。これお前らのところの『僧侶』だろ? 癒しの姉ちゃん」

 渡したのは――――アーシアだった。それを見たリアスたちが

「アーシア!」
「アーシアちゃん!」

 アーシアに近づき外傷を確かめ息を確認し木場が

「・・息があります」

 その一言でリアスたちが安堵の息をついた。俺は

「どうしてアーシアを連れていたんだ?」

 聖剣を持っていた男が

「ちょうど次元の狭間を彷徨っていたら、彼女が狭間を彷徨っていたので回収しました。もし私たちがいなかったら彼女はそのまま消滅していましたけどね」
「・・・そうか。ありがとうなアーシアを助けてくれて」

 礼を言っていると

「ウワァァァァァァンッ!」

 ゼノヴィアが泣き出していた。

「残るはあのイッセーをどうするかだ。ヴァーリあの状態のイッセーをもとに戻すとしたらどうしたらいい? ブッ飛ばしてらもとに戻るかな?」
「いや、それは無理だろう。・・・何か彼の真相心理に語り掛ければ何とかなるかもしれないが」

 ヴァーリが顎に手を当て考えていた。びこうが

「おっぱいでも見せればいいんじゃね?」
「まあ、それが一番手っ取り早いんだけど、今のあいつは意識がないから視覚より聴覚の方がいいな。・・たとえば歌とか」

 ヴァーリに訊くと

「確かにあの状態であれば、歌がいいがあいにく赤龍帝や白龍皇にそのようなものはないな」

 そういっていると

「歌ならあるわよぉ〜」

 空からイリナが何かを持って降りてきた。

「は〜着いた着いた。あれがイッセー君? ミカエル様とアザゼル様が言っていたけど大変なことになっているわね」
「どうしてイリナがここに来たんだ?」

 俺がイリナに訊くと

「イッセー君が危険な状態なのは観戦室にいたみなさんは知っているの。それで私がサーゼクス様とアザゼル様から秘密兵器を持たせてくれたの。あと、このフィールドに連れて来てもらったのはオーディン様のおかげよ! さすがに北の神様よね! おひげがたっぷり!」

 この緊張感のなかいつも通りだな、と俺は呆れていた。リアスがイリナから機器を受け取りしたに置いた

「よくわからないんだけど、お兄様とアザゼルが用意したんだから、効果は期待できるわよね?」

 そういいながらなんだか不安になっているが機器のスイッチを押した。すると、空中に何か映像が流れる

『おっぱいドラゴン!はっじっまっるよ〜』

 映像にイッセーが禁手化の状態がそういうと子供たちが集まってきた。そして音楽が鳴りだしイッセーと子供たちが踊りだした。そして宙に曲のタイトルと歌詞が表示された。それを見た俺たちは驚愕し目が飛び出るくらい目を見開いた。

『―――なんだこれは!?』

「おっぱいドラゴンの歌」
作詞:アザ☆ゼル
作曲:サーゼクス・ルシファー
ダンスの振り付け:セラフォルー・レヴィアたん  

〜〜〜〜歌詞は同じなので省略します〜〜〜〜

 全員あっけにとられていた。ヴァーリたちでさえ驚き、持ってきたイリナも驚いていた。きっと取材の時にイッセーだけ別のスタジオでこれを取っていたんだろうと思った。わざわざ禁手の状態になり踊るなんて・・・作詞や作曲をしている人はノリが軽いからまあしょうがないけどそんなのに時間をとらないでほしい。それを聞いていたイッセーに変化が起きていた

「・・・う、うぅ・・・おっぱい・・・」
「うそぉ〜ん、あんなので反応するのかよ!!」

 俺が呆れながら言った。リアスがイリナに

「紫藤さん、もう一回流してちょうだい!」
「はい!」

 イリナがもう一度スイッチを押して歌が始まった。

「今ならいけるか・・」

 俺はそういいながら右手を顔にかざし仮面をだしイッセーに近づいていく。俺が仮面を出したときにリアスたちが反応していたが今はイッセーに集中しないとな

「・・・ずむずむ・・・いや・・ん」

 イッセーが指で映像と同じように踊っていたので俺は上から近づき

『月牙・・天衝』

 剣を振り降ろしイッセーの鎧の頭の部分を割ると鎧全体ににヒビが入り、割れた。しばらくしてイッセーが目をさまし

「あれ? ここはどこだ?」
「よう。気が付いたか? イッセー」
「レオン? ここは」
「ここは神殿だった場所だ」
「・・・だった?」
「そうだ。それよりお前にいい知らせがあるぞ」

 イッセーは首をかしげるが俺がアーシアの方に指をさすとイッセーが驚きアーシアのそばに近寄った

「アーシア!」

 イッセーが呼びかけるとアーシアが気が付き

「・・・イ、イッセーさん?」

 イッセーがアーシアに抱き着こうとするがゼノヴィアがイッセーを吹き飛ばしアーシアに抱き着いた

「アーシア! アーシア!」

 泣きながらアーシアの名前を呼び抱き着いていた。

「ゼ、ゼノヴィアさん。苦しいです」

 アーシアが苦しそうに言うがゼノヴィアはそれでも抱き続けた。俺はヴァーリに

「どうしてアーシアを助けたんだ?」
「なに、ただの気まぐれさ。それにあそこには用があったんだ」
「あんなところに何の用があるんだよ?」
「そうだな、そろそろだろう」

 そういいながらヴァーリは空を見上げた。俺もそれに習い見上げるとそこにはかなり強大なドラゴンが飛んでいた。ヴァーリが

「あれが、俺が倒したい目標にしている奴だ。『D×D』(ドラゴン・オブ・ドラゴン)と呼ばれし『真なる赤龍神帝』(アポカリュス・ドラゴン)グレートレッド。―――俺は『真なる白龍神皇』になりたいんだ。赤の最上級があるのに白だけ一歩手前で終わるのはおかしいだろ。だから俺がなる。あいつを倒してな」

 ヴァーリがまっすぐな目でそういった。

「グレートレッド、久しい」
「―――ッ!」

 急に第三者の声に驚きそっちを向くと黒髪黒ワンピースを着た小さな少女がいた。

「誰だ? いつの間にあそこにいたんだ?」

 ヴァーリが苦笑しながら

「―――オーフィス、『禍の団』のリーダーだ」
「―――ッ! こいつがオーフィスか!? もっとごついオッサンかと思ったぜ」

 オーフィスが小さな手をグレートレッドに向け鉄砲を打つようにして

「我は、いつか必ず静寂を手に入れる」
バサッ!

 今度は翼を羽ばたく音が聞こえたのでそっちを見るとタンニーンさんアザゼル先生を乗せが降りてきた。イッセーはそれに気づき

「先生、おっさん!」
「おー、イッセー。無事に戻ったようだな。俺もどうなるか怖かったが、お前ならあの歌で『覇龍』から戻るかと思って頑張ってあの歌詞を考えたんだぞ! ちなみに俺がサーゼクスに提案したんだ」
(あんたは最低だな・・・ってかサー兄も悪乗りしないでほしいな)

 俺はそう思っていたらオーフィスが

「我、帰る」

 そういいどこかに行こうとするとタンニーンが翼を広げ

「待て! オーフィス!」

 オーフィスがタンニーンのほうを向き不気味な笑みを浮かべ

「タンニーン。龍王が再び集まりつつある。―――楽しくなるぞ」

 そういいオーフィスが消えていった。アザゼル先生とタンニーンが嘆息している。

「それじゃ俺達も引き上げるかな」

 ヴァーリの声が聞こえそっちを向くと空間に切れ目が入りその中に入るところだった。

「兵藤一誠。今度会う時まで強くなってくれよ。そこの彼のように」

 そういいながらヴァーリは俺に視線を送りながら言った。聖剣を持った男が

「木場佑斗君、ゼノヴィアさん。私は聖王剣の所持者であり、アーサー・ペンドラゴンの末裔。アーサーと呼んでください。いつか聖剣をめぐる戦いをしましょう」

 そういいアーサーと名乗った男が切れ目の中に消えていき空間に出来た切れ目も消えていった。イッセーはアーシアの手を取り

「今度こそ帰ろう、アーシア。俺たちの家へ」
「はい、イッセーさん。お父さんとお母さんがいる家に帰りましょう」

 俺たちはフィールドを後にした。

side out

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