小説『ハイスクールD×D 黒と赤』
作者:shimo()

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ミーティングとゲーム会場へ

「さてミーティングを始める前にお前らに伝えたいことがある」

 アザゼルがそういうとイッセーが

「伝えたいことですか?」
「ああ。お前らは英雄派の連中が禁手化の至り方を研究をしていたのは知っているな? 実際お前らも苦労させられたんだろ」

 アザゼルがそういうと眷属の・・・特に京都に行ったイッセーたちが顔をしかめた。

「それで、あいつらが、英雄派に所属していないが一般の神器所有者や、悪魔に転生した神器所有者にその情報を流しているらしい」

 それを聞いた全員が顔を引きつかせた。それを見たアザゼルが頷き

「それがどういう結果を生むかわかるな。―――今までは神器のせいでろくな人生を送っていないやつがそんな方法を聴いたら、自分も禁手化して今まで苦しめたやつらに仕返しをしてやろうって思うやつがいてもおかしくない」
「つまり人間界や冥界で暴動が起こるってことか」

 レオンがアザゼルの話を聞いてそういった。

「そうだ。レオンのいうとおりそういうことが起こるかもしれないってことだ。――さて話はこれまでにしてゲームの話をするぞ」

 アザゼルが話を変えてミーティングを始めようとしたがイッセーが手を挙げ

「先生。俺たちには先生がいますけど、サイラオーグさんにもアドバイザーの人はいるんですか?」
「ああ、あっちにもいるぞ。皇帝(エンペラー)さまがついたそうだ」
「―――ッ! ・・・ディハウザー・べリアル」

 アザゼルの言葉にリアスが驚きその名を口にした。

「そのディハウザー・べリアルってどういうやつなんだ?」

 レオンが疑問に思ったことを口にすると木場が

「皇帝ディハウザー・べリアル。レーティングゲームの第一位だよ」

 それを聞いたレオンが驚いた。

「まあリアスやイッセーそれにレオンが上級悪魔になってゲームに参加するなら大きな壁になるだろう。眷属のメンバーも主がゲームに参加するならいずれ戦うことがあるだろうしな」

 アザゼルが改めていう。

「さて、お前らはサイラオーグ眷属のデータは覚えたな」

 そういうと眷属全員が頷いた。

「グラシャボラス戦では全員がすべての能力を見せていないがな中盤に『王』同士がタイマンをしたからな能力がわからないが―――サイラオーグはお前たちを同じ、悪魔ではめずらしい実戦で強くなるタイプだ。グラシャボラス戦より強くなっているだろう」

 サイラオーグは努力であれほどのパワーを身に着けたためイッセーと同じタイプと言える。

「あいつらは『禍の団』相手に戦っているって聞いている。危険な実践も積んでいる。『若手は戦に出さない』って宣言していたサーゼクスたち四大魔王の意向もむなしいか。ま、お前らみたいに無茶な戦闘に出くわす若手もいるがな」

 アザゼルが苦笑いながらそういった。そんな中険しい表情をしたロスヴァイセが

「・・・この相手の『兵士』、記録映像のゲームに出ていませんよね」

 そういわれレオンたちは一枚の紙を見た。そこにはサイバーな作りをした仮面をかぶっている写真が載っている紙をみた。

「・・・そいつは滅多に使われない『兵士』だそうだ。だからろくな情報が無くてな。噂では駒を六つか七つ消費したらしい」
『六つか七つ!?』

 全員が声をそろえていった。アザゼルが続けて

「データがそろっていない以上この『兵士』には十分に注意をした方がいいな。ただでさえ今回のゲームはどんな選手でも出場できるからな・・・サイラオーグの隠し子。まさに虎の子だな」

 そのあとはリアスが前に立ち戦闘の作戦について話し合いを始めた。眷属ではないイリナも真面目に聞いていた。レイヴェルも一生懸命メモを取っている。
 作戦会議がひと段落したところでイッセーがアザゼルに

「先生、俺たちが正式にレーティングゲームに参加した場合、王者と将来的に当たる可能性は・・・? 先生の目測でいいんで」
「・・・そうだな。お前たちはサイラオーグも含め、若手でも異例の布陣だ。というのも正式に参戦していないのに実力があるメンツが集まっているからな。それに実践経験も―――特に世界レベルの奴らと戦い生き残っているからな。そんなことは起こらなんだがな久しぶりに大型新人チームとみられている。本物のゲームに参戦したらトップテン入りには時間の問題だろう」

 アザゼルがそういうとイッセーたちは気恥ずかしそうな顔をしていたがアザゼルは続けて

「だがその分、冥界からの注目が大きい。こんどのゲームは特にサイラオーグとお前たちの試合だ。冥界中がこのゲームを見ているだろうな。もちろん現トップランカーもお前たちやサイラオーグに注目しているし、将来、敵になるかもしれないから研究をされるだろうな。いい傾向だ。今までは不動の順位だったからな、遠くない未来お前たちやサイラオーグが差し込んでくるかと思うといまからわくわくするな」

 アザゼルが愉快そうに笑ったあと、言った。

「―――変えてやれ。レーティングゲームを。ランキングテン以内も皇帝も、お前たちが倒して新しい流れを作ってやれ」

 アザゼルが締めて今回のミーティングが終わった。それからゲーム当日までレオンたちは学園祭の準備をしていた。

side レオン

 ゲーム当日、俺たちは冥界の空中都市に向かうゴンドラに乗っていた。

「ほんと、冥界ってなんでもありだな・・・都市が空中に浮くとか」

 俺は空中に浮いている都市―――アグレアスを見てつぶやいた。イッセーやアーシアたちも空中に浮いている都市をみて驚いていた。その都市から地上に水が滝のように落ちている。しかも一本だけではなく、たくさんの滝が落ちていてまるで幻想的に見える。都市に行く方法は三つあり、一つは魔法陣を使いジャンプをしていく方法。これはVIPのクラスか、特別な行事がある場合のみ使用するらしい。冥界にとって重要な場所であり、世界遺産でもあるのでなるべく魔力での移動は許可しないようだ。二つ目は飛行船などの空を飛ぶ乗り物だ。こっちはジャンプよりメジャーな方法らしい。三つ目が今俺らが乗っているゴンドラで行く方法だ。
俺たちはなぜこの方法をとったかというと、リアスがゴンドラから見る景色を知っていたため一言もらすと、それを聞いていたイッセーたちが「乗りたいです!」といったためである。
 まあそんなわけでこの景色が見ながら空中都市に向かって上っている。

「実はな今回のゲームの会場を選ぶのに上層部の奴らが揉めたらしくてな」

 景色を眺めているとアザゼル先生が呟いた。その一言に全員がアザゼル先生の方に向いた。

「もめた? 会場の・・・決定にですか?」

 イッセーの問いにアザゼル先生が頷いた。

「現魔王派の上役はグレモリー領か魔王領で開催するっていってな。ここで血筋を重んじるバアル家がバアル領で開催を訴えてな。そうとうな泥仕合になったそうだ。現魔王は世襲じゃないからな。家柄、血筋重視の上級悪魔にとっちゃ、大王バアル家っていうのは魔王以上に名があるファクターなんだ。元七十二柱の第一位だからな」
「旧魔王派に加担していた悪魔も過去にそんなことを言って悪魔内部でもめたんですよね? なんで同じようなことを・・・」

 イッセーが口にするとアザゼルがジェスチャーしながら

「あれはあれ、これはこれ、ってな。大人っていうのは人間界でも冥界でも同じなんだよ。体裁、趣、まあ、いまだに貴族社会が幅を利かせている悪魔業界じゃあいろいろとあるわな」
「・・・それで結局アガレス領ですか・・・」

 小猫がぼそりとつぶやいた。アザゼル先生が頷き

「ああ、大公アガレスは魔王と大王の間を取り持ったって話だ。中間管理職、魔王の代行、大公アガレス。時代が変わっても毎度苦労する家だぜ」

 まあ初めて若手悪魔が顔を合わせたときのあの態度を見ればそうなるわな。相変わらずむかつくジジイどもだな。

「あの〜今更なんですけどテロリスト―――英雄派がこのゲームを邪魔しに来ないんですか?」

 イッセーが訊くと

「あるだろうな。これだけ注目されているし会場には上役どもも来ているからな。十分その可能性はある。いちおう、警戒レベルを上げたがそれも杞憂に終わるだろうな」

 アザゼル先生が平然と答えた。

「どうしてそういいきれるんですか?」

 朱乃がアザゼル先生に訊くと、アザゼル先生が頬をかきながら

「・・・ヴァーリから個人的な連絡が届いてな」
『―――ッ!』

 イッセーたちが驚いた。

「ヴァーリか。それでなんだって?」

 俺がアザゼル先生に訊くと

「ああ、野郎は短くこう伝えやがった。『あのバアル家のサイラオーグとグレモリー眷属の大事な試合だ。俺も注目している。レオン、兵藤一誠の邪魔はさせないさ』ってな。愛されているなぁ、お前ら」
「「あんな奴に愛されたくない!」」

 俺とイッセーが同じことを言った。

「まあどちらにせよヴァーリが曹操の奴らになんらかのけん制をするだろうな。曹操もヴァーリたちと交えたくないと思うからな。あいつらとやり合えばただでは済まされないからな」
 
 確かにヴァーリたちと戦えば曹操たちといえど被害が出るな。そうこう話しているうちにゴンドラは空中都市に着いた。
 俺たちがゴンドラが降りるとそこにはファンとマスコミが待ち構えていた。出た早々にファンの歓声やフラッシュに包まれた。俺たちは多数のボディーガードの人の誘導のもと表に待っていたリムジンに乗った。

「お持ちしておりましたわ」

 リムジンの中にレイヴェルがいた。どうやら先に来ていてリムジンの手配してくれたらしい。車が発進すると俺たちが乗っている車の後ろにぴったりついてくる車が複数あった。

「・・・お前たちそろそろ個別にマネージャーをつけろ。特にリアスやイッセーは特にな。今日の試合の勝敗は関係なく認知度はあがる。リアスはもともとだがイッセーは『おっぱいドラゴン』の影響で子供に大人気だからな。そうだな・・・、レイヴェル。お前はたしか、『おっぱいドラゴン』のマネージャーをしているんだったな。このさいイッセーのマネージャーになるか?」

 アザゼル先生がレイヴェルにそういった。レイヴェルもまんざらではないような顔をしていた。しばらくした後車が大きなドームに着いた。
 俺は会場についた直後、トイレに行きたくなったので先に会場にはいりトイレに向かった。トイレを済ました後、俺は控え室に向かおうとしたら前の方に小さなドラゴンがいた。

「ん? 貴様は確か・・・レオンだったか?」

 小さいドラゴンが俺に向かって話しかけてきた。

「え〜っと。どちらさんですか?」
「俺はタンニーンだ。この狭さでは小さいサイズになった方が動きやすいからな」
「え!? タンニーン!? ドラゴンって大きさを自由に変えられるのか!?」

 俺は大きさを変えられることに驚き声を上げた。

「そんなことよりお前は行かなくていいのかそろそろ始まるのだろう」
「もうそんな時間ですか? じゃあ俺は行きますので失礼します」

 俺はタンニーンにそういい控え室に向かった。その途中でイッセーと木場とゼノヴィアがロスヴァイセさんを捕まえていた。

「・・・どうしたんだみんなでロスヴァイセさんを捕まえて」
「あ! レオン。ちょうどいいところに。レオンもちょっとロスヴァイセさんを捕まえくれ」

イッセーがそういうが訳が分からず首を捻っていると木場が

「レオン君。控え室に行こうとしたらオーディン様が居てね。それを見かけたロスヴァイセさんが追いかけて行ったから僕たちが追いかけてきたんだ」
「なるほど・・。そういえばオーディンの爺さんを恨んでいたもんな」

俺たちはロスヴァイセさんを連れて控え室に向かった。

side out

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