小説『ハイスクールD×D 黒と赤』
作者:shimo()

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レオンVS サイラオーグ

 最後の決戦が団体戦になったため、残ったメンバーがバトルフィールドに居た。そのバトルフィールドは何にもないただの広大な平地だった。

『さあ! グレモリーチーム対バアルチームのレーティングゲームもいよいよ最終決戦となります! グレモリーチームのメンバーはおっぱい姫こと「王」リアス・グレモリー選手、その護衛役こと「兵士」レオン選手・・・そして、子供たちのヒーローおっぱいドラゴンこと「兵士」の赤龍帝・兵藤一誠選手です!』

 実況がイッセーの紹介をすると会場にいた子供たちが

『ずむずむいやーん!』
『おっぱい!』
 
 声援が上がるが言っている事がひどいが頑張って応援をしていた。その団体の一番前にはハチマキをして声を出しているイリナの姿があった。

『対するバアルチームのメンバーは「王」のサイラオーグ選手、そして謎多き仮面の「兵士」のレグルス選手です!』

 紹介がすると声援が上がった。サイラオーグは前に歩き出して自分が戦うという意思をリアスたちに見せた。それを見たレオンが

「それじゃあリアス。俺が行くぞ」
「そうね。レオンに任せるわ。イッセーが控えているから思う存分やりなさい」

 リアスが許可を出したのでレオンは前に出た。
 そしてバトルフィールドの中心でサイラオーグとレオンが対峙した。

『どうやらサイラオーグ選手とレオン選手が一騎討ちをするようです! これを見てどう思いますか? アザゼル総督』

 実況の人がアザゼルに意見を求めると

『そうだな・・・五分五分ってところだな。力はサイラオーグの方が有利だが、レオンはスピード重視の戦闘スタイルだからな。まったく予想がつかないな』
『ですが、先ほどは赤龍帝のパワーを受け止めていましたが』
『確かにパワーもあるようですが俺が見てきた中では一度も見たことがなかったので驚いたぜ』

 アザゼルがそういっているが全く驚いた様子ではなく笑いながらそういった。

『そうですか。では次に、王者に訊いてみたいと思います。どう思いますか? 王者ディハウザーさん』
『そうですね。サイラオーグの実力は私も認めていますからね。レオン選手はまだ戦っているところを見たことがないのでどうも言えませんね。でもアザゼル総督がそういうなら相当な実力の持ち主だそうですから、今からこの戦いが楽しみですね』

 実況席でそんな会話がされている中審判の人が

「それでは最終試合を始めようと思います」

 そういい中央に立ち

「・・・では、開始してください!」

 そういうと審判の足下から魔法陣が現れ宙に浮きあがった。レオンとサイラオーグは戦いを始めずにただ立っているだけだった。

「リアス。始める前に言っておきたいことがある」
「・・・何かしら?」

 リアスが答えるとサイラオーグが言った。

「お前の眷属は素晴らしい。妬ましくなるほど、お前を想っている。それゆえ強敵ばかりだった」

 リアスの眷属を褒めて、実力を認めた。

「さてこちらは俺と後ろにいる「兵士」の二人だ。そちらも同じようなものだな。――終局は近い」

 そういいサイラオーグは目の前に立っているレオンを見る。

「ようやくお前と一騎討ちが出来るな。レオン」
「・・・ああ。お前と戦えることをうれしく思うぜ」

 レオンもサイラオーグを見てそう言う。身長差があるのでレオンは見上げるようにそういった。

「神器は使わないのか?」
「お前とやるときは拳って決めていたからな」
「そうか・・・舐めるなよ!」

 サイラオーグがそういうと右足でレオンに上段の蹴りをした。レオンも同じように右足で蹴りを放つと両者の蹴りがぶつかり合い、衝撃破があたりを襲った。その衝撃で地面がえぐり周りに石つぶてが襲う。離れていたリアスとイッセーにも襲ったが、イッセーが前に出て石つぶてを壊してリアスを守っていた。
 中央の二人は一旦距離をとった。

「なるほど。そのままでも十分な力はあるようだな」

 サイラオーグはそういうがレオンは答えず、サイラオーグに接近して左手で拳を放つ。サイラオーグは腕をクロスしてガードするが、レオンはそのまま殴った。サイラオーグはその衝撃で後ろ下がった。
 レオンはそのまま追撃するように右手で殴ろうとするが、サイラオーグは左腕で受け流し代わりに右の拳でレオンの腹に拳を打ち込んだ。

「ガハッ!」

 レオンは口から血を吐き後ろに吹っ飛ぶが、なんとか空中で体制を立て直して地面に着地するが口からは血が垂れていた。レオンは口元を拭い血をふき取る。

「あぁ〜いてぇ。思いっきり腹にくらっちまったな。アバラが二本くらい持っていかれたか」

 レオンはそう言っていると前からサイラオーグが接近して拳を放ってきた。レオンは首を横にずらし拳を躱した。サイラオーグの拳を振り切ると風圧で地面がえぐれていた。

「お礼に一発くらえ」

 そういいレオンもサイラオーグの腹に右手で拳を放つ

ドゴンッ!

 レオンの拳がサイラオーグの腹に当たったが、サイラオーグは吹き飛ばずにその場で耐えた。しかし、サイラオーグの口の端からは血が流れていた。レオンは、そのまま左手でアッパーでサイラオーグの顎に食らわせようとしたがサイラオーグは上半身を後ろにそらして躱し、代わりに蹴りを放った。
 レオンは後ろに飛んで躱し、手の平に雷の球を出してサイラオーグに向かって投げた。サイラオーグは腕を払い雷の球をはじいて前を向くと接近していたレオンが目の前におり、右手を振りかぶっていた。
 レオンが拳をサイラオーグの腹に突き刺さり、サイラオーグが後ろに吹き飛び数十メートル地面を転がった。
 
「これなら・・・どうだ」

 レオンがサイラオーグの方を見るとゆっくりとサイラオーグが立ち上がった。

「今のはさすがに効いたぞ」

 お互いに距離をとっていると、レオンが

「なあ。そろそろお互いに本気を出さねえか?」
「・・・そうだな小手調べももういいだろう。・・・では、行くぞっ!」

 サイラオーグがそういうと同時に二人の姿が消えた。

ドンッ! ドガッ! バキッ!

 二人の姿が見えないがフィールドのいたるところで衝撃が起こったり地面がえぐれていた。その状況に見ている観客や実況の人も困っていた。

『ど、どうなっているんでしょう! 二人の姿がまったく見えません! アザゼル総督。何が起こっているのでしょう?』
『二人のスピードが速すぎて見えないだけだな。はっきり言って俺でもすべて見えているわけでない。皇帝様はどうだ?』
『私は見えていますが。いやはや、レオン選手がここまでの選手とは思いませんでしたよ。サイラオーグといい勝負をしている』

 実況席でそう話している。フィールドではリアスも見えておらず何が起きているかわからなかったのでイッセーに問う

「・・・イッセー? どうなっているのかわかる?」
「・・・木場のスピードで慣れていたので多少は見えますが、すべて見えるわけじゃないっス。でもレオンが勝つって信じてますから」
「・・・そうね」

 リアスがそう言うと前を向いた。
 しばらくその状態が続いたが衝撃が治まるとフィールドの真ん中あたりで二人の姿が現れた。二人とも体中にアザや血が流れていた。

「ハア・・ハア・・・。やっぱり強いな、あんたは・・・」
「・・・ハア・・ハア・・。まさか、神器を使わずに俺と互角か・・・恐れ入る」

 そんな中、後ろに控えていたサイラオーグの『兵士』が、かぶっていた仮面をとるとそこにはイッセーやレオンと同い年くらいの男の顔があった。

「なんだ? あいつも戦うのか?」

 レオンが不思議に思っているとその男の体が変化していった。

ボコッ! ベキッ!

 体中から快音が響きわたり、体が盛り上がっていく。膨れ上がるたびに体から金色の毛が生えていき、腕や足が太くなり、四つん這いになった。口には牙が生え、爪も鋭く伸びていった。その姿はまるで獅子のようだった。

『おおっと! なんとバアルチームの謎の「兵士」の正体は金色の獅子だったぁぁっ!』

 実況も驚き声を上げた。横ではアザゼルがそれを見て

『まさか、ネメアの獅子か!? いや、あの宝玉はまさか・・・ッ!』

 なにか知っているようなアザゼルに実況が訊ねる。

『と、言いますと?』
『・・・もともとはギリシャ神話に出てくる元祖ヘラクレスの試練の相手なんだが・・・。聖書に記された神があの獅子を神器に封じた。そいつは十三ある「神滅具」に連なるほどのものになった。極めれば一振りで大地を割るほどの威力を持ち、巨大な獅子に変化する―――「獅子王の戦斧」(レグルス・ネメア)! 敵の放った飛び道具から所有者を守るといわれている。しかし、所有者はここ数年、行方不明になっていたって報告を受けていたが、まさかバアルの眷属になっているとは・・・』

 それを聞いたリアスたちが驚いていた。

「マジかよ。まだそんな隠し玉を持っていたとは」

 イッセーが呟いた。

「確かに所有者はもう死んでいる。俺が『師子王の戦斧』を見つけたときには本来の所有者は怪しげな集団に襲われていて殺されていてな。この神器も所有者が死ねば消えると思ったんだが、なぜか消えずに残り、あろうことか、意思を持った獅子に化けて集団を根こそぎ全滅させていた。俺は眷属にしたのはその時だ。獅子をつかさどる母の血筋が呼んだ縁だと思ってな」

 サイラオーグが息を整えそういった。

『・・・所有者抜きで単独の意識を持って動く神器・・・。しかも「神滅具」だと!? しかも悪魔に転生させた!? 獅子がすごいのか、悪魔の駒がすごいのか・・・。どちらにしても興味が沸いた! サイラオーグ! こんど、そいつ研究所に連れて来てくれ! すげぇ〜調査してぇ!』

 アザゼルが目を輝かせながらサイラオーグに言った。

『サイラオーグさま! 私を! 私を纏ってください! 禁手化なら、そのものを超越する力を持てます!』

 『兵士』のレグルスがサイラオーグにそう言った。

「黙れッ! あの力は冥界が危機に関して使うと決めたのだ! この場で使用することはできん!」

 サイラオーグが拒否したが

「強くなるなら獅子の力を使ったらいいじゃねえか。もっと楽しもうぜ」

 レオンがそういうと後ろに居たリアスが呆れたように顔に手を当てていた。
 サイラオーグもしばらく考えていたが

「・・・すまなかった。心のどこかでゲームだと二度目があると思っていた」

 そういいながらサイラオーグの体から闘気が膨れ上がった。

「レグルスッ! 来い!」
『はッ!』

 金色の獅子を呼んだ。獅子もそれにこたえるように体から金色の光が溢れ出す。

「よし、では行こうか。俺はこの場を死戦と断定する。死んでも恨むなよ。レオン」

 サイラオーグがそういうと金色の光を体に浴びながら叫んだ。

「我が獅子よッ! ネメアの王よッ! 獅子王と呼ばれた汝よッ! 我が猛りに応じて、衣と化せぇぇぇッ!」
ドオオォォォォンッ!

 フィールド全体が震え出した。

『禁手化ッ!』「禁手化ゥゥゥッ!」

 サイラオーグとレグルスの二人の声が響いた。その瞬間、さらにまぶしい光がサイラオーグの体から発せられた。そのまぶしさにレオンや離れていたリアスとイッセーが腕で顔を覆った。
 光が治まると、レオンの前にいたサイラオーグの体には黄金に輝く全身鎧をもとっていた。
 頭部の兜にはたてがみを思わせる金毛がたなびく。胸の部分には獅子の顔を思わせるものがあり、意思を持っているかのように目の部分輝いている。

「―――獅子王の戦斧の禁手化、『獅子王の剛皮』(レグルス・レイ・レザー・レックス)! レオン。この俺を本気に出させたことを心から感謝する。だからこそお前に一撃くれてやろう。かかってくるがいい」
「・・・なら遠慮なくやれせてもらうぜ!」

 レオンが右手に雷の魔力をまとい拳を握り、接近して思いっきり腹にぶち込んだ

ガンッ! 

 サイラオーグが左手を前にだしレオンの拳を受け止めた。サイラオーグはそのまま左手を握りレオンを捕まえた。

「ちょっと待て。一撃はいいんじゃないのか?」
「だから受けただろう」
「それは詐欺じゃないか」
 
 サイラオーグは右手で拳を作りレオンの腹にぶち込んだ。

「ごぶっ!」

 レオンは口から血を吐いてその場に倒れた。

side レオン
 
 俺は腹にサイラオーグの拳をくらい地面に倒れた。
 くっそ・・・。いまので内臓が完全にイカれた。それにしてもあれがサイラオーグの全力か・・・。やべぇーなマジでつえぇ〜。
 俺は何とか立ち上がりサイラオーグを見る。

「ほう。あの一撃をくらってまだ立ち上がるか。それでこそレオンだ」
「褒めてくれてありがとうよ。なら俺も神器を使えわせて貰おうかな。・・・っと、その前にプロモーション『戦車』!」

 俺がそういうと

「―――ッ! プロモーションだと!?」

 すでにプロモーションしていると思ったのかサイラオーグが驚いていた。 
 俺は斬魄刀を出現させると、来ていた服がボロボロだった学園の制服から死覇装になり

「・・・『卍解』」

 そういうと俺の体から黒いオーラが立ち上った。黒いオーラが消えるとそこには死覇装がロングコート風の死覇装になっていて、刀は刀身が黒くなって、刀を収める鞘がなくなっていた。

「それじゃあ第二ラウンドと行こうか、・・・っとその前に一つだけ誤っておく。最初に言ったが俺はあんたとは拳で勝ちたいと思っていたが、あんたが全力で来るなら俺も全力でやらないと」

 俺はそういい構えをとった。

「ッフ、そう来なくては・・・グハッ!」

 サイラオーグが何かを言おうとするとレオンは接近してサイラオーグの腹に拳をぶち込んだ。サイラオーグの鎧が割れるほどの威力を持った拳にサイラオーグは血を吐いた。俺はそのまま天鎖斬月を下から振り上げ腕を斬り飛ばそうとしたがサイラオーグはそれに気づき後ろに下がった。
 下がったサイラオーグはよろよろと後ろに数歩下がり俺を睨みつけた。

「ゴホッ! ゴホッ! ・・・なるほど禁手化したことによってパワーが上がったか」
「いや。俺の禁手化はパワーは変わらない。変わるのはスピードだ」
「・・・そうか。なら俺も武器を使うか」

 サイラオーグはそういうと右手を前に出すと、地面に金色の魔法陣が現れ、そこから斧が現れた。サイラオーグはその斧を手に取り、構えた。

「本当は武器なんぞに頼りたくないんだがな。レオンのその刀を腕で受けると腕が斬り飛ぶからな」
「・・・準備ができたなら・・・いくぞ!」

 俺はサイラオーグに正面から近づく、サイラオーグが斧の届く範囲に入ると斧を横殴りに振った。俺は当たる瞬間に、スピードを上げ背後に回り込み、刀身にオーラを溜めた。

「月牙・・・ッ!」

 月牙を放とうとしたらサイラオーグが斧をそのままの勢いで俺に攻撃してきたのでしゃがんで躱して右足で蹴りを放ったがサイラオーグは左腕で防いだが、『戦車』に昇格したので踏みとどまれず地面をえぐりながら下がった。左腕についていた鎧にヒビが入っていた。
 そのあとはスピードを生かしながら天鎖斬月で斬りかかった。サイラオーグは斧で少しは防ぐが全部は防ぎきれずに体中に切り傷が出来ていたが、俺のスピードに慣れてきたのか、俺に向かって斧で斬りかかってきた。

「・・・さすがだな。もう俺のスピードについてこれるとはな」

 俺はサイラオーグのスピードについてこれたことに称賛した。

「・・・それでもレオンを捕らえることはできないがな」

 サイラオーグはそういうとまた斧を構えた。

「そろそろも魔力も少なくなってきたし、そろそろ最後の勝負とするか?」
「・・・いいだろう。その勝負受けて立つ」

 俺が提案するとサイラオーグも応じ、俺とサイラオーグは距離をとった。そのようすを誰もが固唾をのみ見守っていると俺とサイラオーグが同時に動き出した。
 そしてフィールドの中央で斬り合い通り過ぎたところで互いに武器を振り切った状態で立っていた。

「ぐうぅっ・・・」
「ぐうっ・・・」

 互いに呻き声をあげた。地面に倒れそうになった俺は天鎖斬月を地面に刺し、杖代わりにしてなんとか立ったが、サイラオーグの持っていた斧が壊れ、サイラオーグは地面に倒れた。
 審判がサイラオーグに近づき状態を確認した後、

『サイラオーグ選手、投了を確認しました。よって今回のゲームの勝者はリアス・グレモリー選手です』

 それを聞いた観客から歓声が沸いた。
 禁手から戻って人型になったレグルスがサイラオーグに肩をかして退場していった。
 俺はしばらくボー然としていると後ろから誰かが俺に抱き着いてきた。後ろを見るとリアスがいた。

「レオン! 大丈夫!? ケガしてるでしょ? 早くアーシアに見てもらわないと!」

 リアスが涙目になりながら俺の体を触りながら確認していた。

「あ、あの〜リアス? 今はあんまり体を触ってくれてほしくないんだけど・・・」

 リアスが俺の体に触るたびに俺の体が悲鳴を上げている。

「・・・え? あっ、ごめんなさい」

 リアスが気づいたのか俺の体を触るのは止めたが俺はそのまま倒れて気を失った。

side out

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