―――第3話「200年前の電脳獣」―――
「ロック」
スバルは唐突に聞いた。
「その電磁波を発信している電脳ってどこ?」
「え?じゃ・・・・じゃあまたあの中に行くことになるの?」
スバルはノイズウェーブ1の入り口があるルナ宅・プール付近にきた。
「ここだね・・・・・。久しぶりだからドキドキしてきた・・・・」
スバルは久々に感じるノイズの感覚に緊張した。
「うん・・・・・」
〜ノイズウェーブ1〜
スバルはノイズウェーブに入った瞬間、体調が急変した。
「う………ここ……2年前よりノイズがひどいよ………」
ロックも少し苦しそうな形相をしていた。久々に入ったとはいえ、スバルとロックには少しキツイノイズ率だった。
「あ……あそこに………な、なんだろう? あれ………」
スバルの指差した方向には獣のような形のした、“石”いや、正確には“石像”があった。
「うん………。あれ?」
スバルが石像に近づき、バスターを向けた時だった。
「なにか書いてある」
と、スバルは立ち止まり、書いてある文章を読み上げた。文章、といえるほど文はつながってなく、単語と単語に分かれている感じだったが、かろうじて文の形は留めていた。かなり前に書かれたものらしい。
{200X年・・・この電脳に・・・・獣を・・・する・・・この封印が・・・・解かれ・・・前に・・・・発見者は・・・・GMを・・・・取り出してほしい・・・その者が・・・・心優しき者と願う・・・ 光・斗・・}
「なんだろ?これ」
彫られていた文字がところどころ虫食いのように風化して解読できない個所もあったが、大体は読みとれた。
「でも僕って心優しき者なのかな? まあ、やってみよう」
スバルは石像に手をかざし、データの取り出しを行った。しかし、スバルがデータを取りだそうとした瞬間に、ズズズズ………と地鳴りがした。
「な・・・・なんだこの音は?」
スバルはとっさにデータの取り出しを中断し、周囲を警戒した。
≪グルルルルルルルル…………≫
「な………なにか来る!」
その時、石像に大きな亀裂が走り、二体の獣のど真ん中で真っ二つに分かれた後、ズシンッ、と大きな音を立てて崩れ去った。
≪グギャァァァァァァァ!≫
今度は鳥、いや鷹といったほうが正しいうめき声が聞こえた。
「な………何? 一体何が?」
真っ暗のノイズの中から現れたのは、二体の獣だった。1体は青く、ライオンのような体つき金色の鬣。で鋭いつめと牙を持ち、もう1体は赤い翼で鳥というより鷹に近い風貌だった。
「な・・・なんだこいつらは! ものすごいノイズだ・・・・」
≪グラァァァァァァァ!≫
青い獣の咆哮と共に、その電波体は急にスバルを切り裂いた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
スバルはあまりの衝撃に後方へ吹き飛ばされた。
「ぐ…なんてスピードだ……ッ! 見えなかった………」
「でも、やるしかない。ノイズチェンジ! ジェミニ!」
ロックマンは対抗すべく、ジェミニノイズへと変身した。
「タッグ機能! エドギリブレード?!」
スバルはノイズの機能を使用し、両手をブレードに変えて切り付けた。
「やああ!」
≪グガァァァァァ!≫
青い電波体には命中したものの、スバルはもう1体には気づかなかった。
≪ギャァァァァァァァス!≫
赤い電波体はスバルの後方から、鋭い羽を無数に放った。
ロックは叫んだが、間に合わず、スバルに数弾命中した。
「ぐ…………ッ!」
≪………グルルル……グガァァァァ!≫
しかし、青いほうの電波体は急に苦しみだした。
「? 一体、どうしたんだ?」
≪ギャァァァァァァァス………!≫
すると、もう1体も苦しみだした。
「く………苦しんでいるのか?」
しばらく二体の電波体は暴れまわったが、やがて周波数を変え、消えた。
「き………消えた? ノイズウェーブで消えるなんて………」
ロックは2体のいた場所にキランと光るチップを見つけた。
「なんだろう。WAXAに持っていってヨイリー博士に調べてもらおう………何かの手がかりになるのかもしれないしね…」
スバルはそのチップを広い、ハンターに厳重に保管した。