―――第二話「謎の電磁波」―――
〜屋上〜
「ミソラちゃんなんの用事だろう?」
プリントを先生に提出し、悩みながらスバルは屋上へ向かった。
ロックは少し笑って言った。なにか悪意を持った感じだったが、気にしない事にした。
「あ! スバルく〜ん。こっちこっち」
ミソラは昼まっただ中の青空の下で待っていた。
「ミソラちゃん! で、何の用事なの? 急に屋上に呼び出したりしてさぁ」
「ちょっとその前に、なんで私がこの学校に転校してきたか知ってる?」
ミソラは唐突に聞いた。そんなのわかんねー、とスバルは内心愚痴った。
「え? えーっと………マネージャーさんの都合で転勤……とか?」
「ブッブ〜! 不正解っ!」
ミソラは可愛く人差し指でばつマークを作って言った。
「じゃあ、分かんないよ」
「ん〜、じゃあ言うね。ちょっと唐突かもしれないけど………」
ミソラは少し言うのをためらった様子でもじもじしていた。
「実はね、私……スバル君と会いたかったからなの……」
最後の方はトーンが低くて聞き取りずらかったけれど、理解はできた。
「え…? ぼ………僕に?」
「うん………そうだよ」
ミソラは少し頬を赤くした。スバルの方は唐突すぎて混乱していた。なんで僕みたいな普通の学生に?って思っていたが、ロックマンになれる時点で普通じゃない。
「それでね? スバル君………実は…………」
ミソラが本題を言いかけたとき、スバルのハンターに電話が来た。
「あ………電話だ。WAXAから、緊急? ちょっとまってね」
スバルはハンターのブラウズ機能を使ってモニターを出した。
「あら。スバルちゃん。お久しぶりね」
そこに移っていたのはWAXAの科学者、ヨイリー博士だった。もう随分年老いているが、そんなことも微塵も感じられないほど元気で活発だ。WAXAのコンピューターシステムは彼女が技術部総出で作り上げたものである。
「ヨイリー博士!」
「緊急っていうのはね、ちょっとその辺の電脳で変な電波を感じない? ロックちゃん」
「そう…………ちょっと悪いけど調べてきてくれない? 何か、悪影響な電波だったら困るから。ノイズウェーブ1が発信元みたいよ」
「分かりました。行ってきますね」
「じゃ、あとをヨロシクね。終わったら、連絡ちょうだいね」
博士はそう言うと、連絡を切った。
「じゃあミソラちゃ………あー、用は後でね。ごめんっ!」
「あ、ちょっとまっ………!」
ミソラはスバルを引きとめようとしたが、既に電波変換して行ってしまった。
ハープがミソラのハンターに帰ってきた。
「ううん。だめだった」
ミソラは深くため息をついた。
「ハープ………うん! ありがと」