小説『IS<インフィニット・ストラトス>〜ロスト・エボリューション〜』
作者:優雅()

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二泊三日の研修を終え、俺!参上!
向こうでの鬱憤をこの小説で発散を!
あと、1ページ目のキャラクター紹介に織斑先生と本音ちゃんを追加しました。
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【第2話 代表候補生と決闘とお仕置き!?】




2時間目は、副担任の山田(やまだ) 真耶(まや)先生によるISの基礎知識の授業だ。
正直、基礎過ぎて暇だな…俺は、兄さんがISの研究をしてたんでその影響でISの基礎はよく知ってるし、他の人たちもちゃんと予習してあるみたいだから、解らない奴はいないだろ。

「織斑くん?どうかしましたか?」
「えっと、その…」

一夏がなにやら挙動不審だが、一体どうしたんだ?
まさか、解らないところでもあったのか?

「織斑くん、何でも質問していいんですよ?なんってったって私は、先生なんですから」
「じゃあ……はい」
「はい、織斑くん♪」
「…全く解りません」
「へ?」
---ズゴォォォォッ!!

一夏の「解りません」宣言に俺を含むクラスメイトたちは、机から転げ落ちてしまった。
おいおいおいおい…全くって…そりゃ無いんじゃないのか?

「織斑、貴様入学前の参考書を読んだか?」

教室の隅で腕を組んでいた織斑先生が、一夏に問いかけをする。
一夏は、少し考えた素振りを見せるときっぱりと告げた。

「古い電話帳かと思って捨てました!」
---ズバンッ!
「必読と書いてあっただろうが!!」

あ〜あ…普通、必読と書いてある本を捨てるか?
再発行してくれるらしいけど、一週間であれを覚えろ何て鬼畜だろ…
そうしている内に、2時間目の授業が終わったのだった。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * *


2時間目が終わった瞬間、一夏が俺の机の前までやってきた。

「な、なぁ匠。お前は、あの授業の意味…解ってたのか?」
「ん?ああ、さっきの授業ね。解ったぞ。俺は、兄さんがISの研究をしてたんで俺もついでにISについて習ってたからな」
「…それって、何時の頃だ?」
「えっと……8歳くらいかな?兄さんがISの発表があった1年後くらいから研究してたし」

俺がそう応えると、一夏は「8つの頃から…」と、呟いた。
まぁ、俺は他と比べて特殊だからな。

「なぁ!俺にISについて教えてくれ、匠!」
「すまんが……OKだ」
「そっか…やっぱ駄………って、いいのかよ!?なんでOKする前に謝ったんだよ!?」

一夏、それはノリだよ。
何気にお前は、ツッコミのセンスがあるからな、ついついからかいたくなるのさ。

「そんじゃ、放課後から居残りでやるぞ。ただし、俺の授業は厳しいぞ?」
「はは、やってやるさ」
「よーし、そんじゃさっそ…」
「ちょっとよろしいかしら?」

さっそく、一夏の為に参考書をまとめたノートを渡そうと思ったら、俺たちの真横(俺は一夏の真ん前にいる)から声が聞こえる。
振り向いてみると、金色の髪に先の方の髪が少しロールした女生徒が立っていた。ただ…この女性徒からは、今時の女の雰囲気がしているな。めんどくさい。

「聞いてますか?」
「あ、ああ。聞いてるぞ」
「まあ!なんなのかしらそのお返事は!わたくしに話しかけられただけで光栄ですのに、その態度はいただけませんわね」

訂正。雰囲気じゃなくて、この人は確実に今時の女だ。
ISの発表により、女性=ISに乗れる=偉い、って言う女尊男非の考えの持ち主だな。
はぁ…めんどくさいな…

「(ひそひそ)なぁ一夏。この人の話、引き受けてくれないか?」
「(ひそひそ)俺だって嫌だよ。こう言うタイプの女子は苦手なんだ…」
「(ひそひそ)それは俺だって同じだ…」
「ちょっと!人が話しかけているのに、何小声で話しあってますの!!」

目の前の女性徒によって、俺と一夏の作戦会議(?)は中断してしまう。
はぁ…ホント、こう言う人はめんどくさくて嫌だ…

「悪いな。俺たちは君のこと知らないんだ」

一夏が相手を刺激しないように、無難に声をかける。
一夏の顔を見ると、普段の人のよさそうな顔が少し困ったように見える。本当にこういった女が苦手なんだな…すまん。

「知らない!?知らないですって!!このわたくし、セシリア・オルコットの事を!!?イギリスの代表候補生にして、学年主席のこのわたくしを!?」

まさか、あんな無難な質問にこんな罠が仕組まれてたとは…
って言うか、この人。代表候補生なのか…

「悪いな。でも、学園に入った2日目じゃそういったことを知ってる人は少ないと思うぞ?」
「ですが、少なくとも代表候補生であるわたくしを知って置くべきではないかしら?」
「確かにそうだけど、さすがに各国の代表候補生を全員覚えてる人は少数だろ」
「あ、質問いいか?匠」

俺が、オルコットと穏便に話し合っていると、急に一夏が質問してくる。
あれ?何か、判らないことでも言ったか?

「ん、なんだ?」
「あなた!このわたくしを差し置いて、その男に質問しますの!?」
「…代表候補生って、何?」

瞬間、世界が止まった気がした…
まぁ嘘だけどな。世界は止まらなかったが、オルコットは止まってる。
周りを見れば、クラスメイトの一部がずっこけてるな…まぁ、仕方ないか。

「一夏…お前ってやつは、そんな事も知らないのかよ…あれか、お前はアホの代表か?」
「し、仕方ないだろ!俺の場合、千冬姉が色々あって俺をISから遠ざけてたせいで何にも知らないんだからよ」
「けど、新聞読んでりゃ解るだろ…簡単に言えば、国の代表の一歩前だ」
「つまり、エリートなんですわ!!」
「うわっ!?」

さっきまでフリーズしていたオルコットが急に大声だすから、驚いてしまった。
すまん、一夏…俺がオルコットを目覚めさしてしまったようだ…

「本来なら、わたくしの様な選ばれたエリートと、同じクラスになるだけでも幸運ですの。少しは、その現実を理解できないのかしら?」
「そうか、それはラッキーだ」

一夏よ…その言い方は、馬鹿にしてるとしか思えないぞ…思いっきり棒読みだなんてさ…
まぁ、確かに代表候補生と同じクラスになれるのは、少しは幸運だと思うがな。

「ッ!馬鹿にしてますの?」
「いや、俺も一夏もラッキーだって思ってるって」
「大体、あなたたちはよくISについてよく知らないでこの学園に入れましたわね。そっちの咲坂とかいう男性は、まだISについて知っているみたいですけど、それでも素人に毛が生えた程度の知識。男性でISが操縦できると聞いてましたが、とんだ期待はずれですわ」

うわ〜、なんかこの人勝手に自己解釈+自己完結しちゃってるよ。
と言うか、俺はISに関する知識ならあんまし負けてないと思うぞ?

「いや、俺に何かを期待されても困るんだが…」
「まあでも。わたくしは優秀ですから、貴方方のような人間にも優しくしてあげますわ。ISについて解らないのでしたら、泣いて頼むんでしたら教えて差し上げますわ。何せわたくしは、入試のときに唯一教官を倒すことがエリート中のエリートですから!」

へぇ〜、入試で教官を倒したのか〜。
代表候補生なら、専用機を持ってる可能性があるから、機体の性能差でできるだろう。むしろ、負けたら逆に恥ずかしいぞ。
まぁ、さすがに教師が本気を出す事は無いだろうけど…

「なぁ、匠。入試ってあれか?ISに乗って戦う奴か?」
「いや、なんで俺に聞く?俺は、お前がISに乗れるって知られてから、政府が他に乗れるんじゃないか?って事で調査されたときに発覚したから、急に入学が決まったから試験受けてないんで知らないぞ」
「貴方は、何故その男性にしか聞かないのですか!?それに、入試はそれ以外ありませんわ!!」
「あ、なら俺も倒したぞ」
「へ?」「は?」

今、一夏の奴何て言った?俺も倒した、って言ったのか?
もしかして一夏は、かなりの大物なのかもしれない。…まぁ、ブリュンヒルデの弟だから、元々大物か…話題的な意味で。っと、この言い方は一夏に失礼だな。織斑先生がすごいんじゃなくて、一夏自身がすごいんだからな。

「わ、わたくしだけだと聞きましたわ…」
「それ、女子では、ってオチじゃないのか?」
「ちょ、一夏!それ火に油ッ!!」
「貴方!貴方も教官を倒したって言いますの!!」
---キーンコーンカーンカ−ン
「次の時間もまた来ますわ!!」

一夏が火に油を注いだのに、直ぐにチャイムが鳴ってくれてなのか助かった…
はぁ…余計な火種を生み出さないでくれよ…

「そんじゃ、一夏。俺も席に着くわ」
「あ、ああ」

そして、次の織斑先生の授業が始まった。
織斑先生の授業は、他の先生方の授業と違い、生徒全員がピシッと背筋を伸ばして受けている。あののほほ〜んとしたオーラを放つ本音ですら、何時ものオーラを消して、ピシッとしてる。
これはあれか?織斑先生の持つ凶器(出席簿)による支配の力な---ガッ!

「あだっ!!?」
「おい、咲坂。貴様、何か失礼なことを考えていたな」
「だ、だからって普通、チョーク投げますか…」
「普通?そんな事、私には関係ないな」

さいですか…つまり、この人の前では一般常識なんて関係ないという事です---ガッ!

「ッ〜〜〜〜〜〜!!!」
「貴様は学習能力が無いのか…?」

もう一発、チョーク投げを食らうはめになった…この人は、心を読めるんだな…。
しかも、2発とも同じ位置に投げるなんて…
不意に、隣の本音が、ノートに何か書き込んでコッチに見せてきた。

『たっくん、だいじょ〜ぶ〜?』

本音さん…心配してくれて、ありがとうございます。だから、あのお仕置きだけは勘弁して…あ、ダメ?
さすがに、声に出して伝えれない(何故かお仕置きについては伝わった)んで、本音と同じくノートに『心配してくれてありがとう。大丈夫だから、気にすんな』と書いて見せたら、不意に笑顔を向けられた。
うん、和む。

「ああ、そういえばクラス代表を決めなくてはいけなかったな」

突然、織斑先生が思い出したかのように語り始める。
クラス代表か〜、成る奴はご苦労様だな。

「クラス代表とは、対抗戦だけでなく生徒会の開く会議や委員会への出席…まぁクラス長だと思ってくれていい。自薦、他薦は問わない。誰かいないか?」
「はい!織斑くんを推薦します!」
「私もそれが良いと思います!」

一夏よ、その俺以外なら誰でもいい、って顔をしないほうがいいぞ。
だって、推薦されてるのお前だぞ?

「では、代表者候補は織斑でいいな。このままだと、無投票当選だぞ。誰かいないか」
「お、俺!?だ、だったら俺は匠を推薦します!」
「一夏!?」

一夏貴様!同じ男なら、これぐらい引き受けろ!なに、俺も生贄に…だと!
一夏!オンドゥルルラギッタンディスカ!!

「っと言うか!俺はそういうのやりませ…」
「自薦他薦は問わないといった。他薦された者に拒否権などない。もちろん貴様もだ、咲坂」
「はぁ…なんとなくですけど、解ってましたので別に拒否しませんよ」
「いさぎいいな。他にいないか?いないなら、織斑か咲坂で決めるぞ」
「納得いきませんわ!!」

織斑先生が、俺か一夏で決めようとしたとき、バンッと机を叩く音と共にオルコットが大声で叫んだ。

「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしに!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

屈辱ねぇ〜、聞くだけでイラついてくるな、これ。

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までISの修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!いいですか!? クラス代表とは実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなければいけないこと自体、わたくしにとっては耐えがたい苦痛で---」
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
「それとも、他国を侮辱するのが国の自慢か?」
「なっ……!?」

さすがに、俺もこれ以上耐えられなくなったときに、一夏もどうやら我慢の限界のようだった。極東の猿だぁ?俺を侮辱するならまだいい。だがな!兄さんや楯姉、虚姉それに簪や本音を侮辱することは許せねぇ!!
でも、一夏よ。発言後のそのやっちまった、って顔するな。そんな顔思いっきり、場違いだぞ。

「あ、貴方たち!わたくしの祖国を侮辱しますの!!」
「先に侮辱したのはそっちだろうが。少しは自分の発言思い返せ!」
「ッ!決闘ですわ!」

またも、強く机を叩くオルコット。
いいぜ、その案に乗ってやる!

「いいぜ。四の五の言うよりわかりやすい」
「言っとくが、相手が女だろうと容赦しないぜ」
「当たり前ですわ!もしもわざと負けようなどとすれば、貴方たちをわたくしの小間使い…いえ、奴隷にしてやりますわ!」
「侮るなよ。真剣勝負に手を抜くほど、俺たちは腐ってねぇ!」
「そう? 何にせよちょうどいいですわ。イギリスの代表候補生のこのわたくし、セシリア・オルコットの実力を示すまたとない機会ですわね!」

コイツ、完璧に俺たちの事を侮ってやがるな。
だったら、俺たちの男の力を見せてやるぜ!

「なぁ、一夏?こう言う奴を黙らせるの、面白くないか?」
「ああ!俺たちの…いや、男の底力を見せてやろうぜ、誠!」

俺の挑発に、一夏も乗ってくれる。最も、気付いてるかは別だが…
俺たちの挑発のおかげで、オルコットの顔はもうりんごのように真っ赤になっている。

「さ、咲坂くんに織斑くん。さすがに謝った方がいいよ〜」
「そ、そうだよ。相手はイギリスの代表候補生だよ。ISの絶対防御だって完璧じゃないって聞くし…危ないよ!」
「漢ってのは、決して背を向けない!今ここで逃げたら、俺は絶対に漢になれない。だから、謝る気はない!!」
「確かに危険だろうな…だが俺は謝らない。俺だけならまだいい…男だって、今じゃ腐っちまってる奴らばっかりだ…けどな!この国は、俺の大切だった人と、大切な人達がいる!あいつらを侮辱することは許さねぇ!!それに、オルコットは代表候補生だ。どうせ専用機とか持ってんだろ?なら、専用機同士で戦ってやるさ!俺の【竜戦士】でな!!」

俺の発言で、織斑先生と山田先生も含めほとんどが驚く。……ちなみに、例外として一夏は驚いてないくらいだ…
後で、専用機について教えてやらなくちゃな…

「……咲坂。貴様、今の発言は自分が専用機を持っているように聞こえたが」
「言葉通りだ。俺も専用機持ってる」

そう言って、俺の専用機の待機形態である竜のようなマークがついているペンダントを見せる。
このISは亡くなった兄さんが遺していった、兄さんの形見でもある。こいつが、ブイモンを除いた俺の相棒だ!

「あ、貴方も専用機持ちでしたのね!?……いいですわ!わたくしの専用機『ブルー・ティアーズ』が完膚なきまでに叩きのめしてあげるわ!!」
「…話は纏まったな。それでは勝負は一週間後に行なう。各自、準備をしておくように!……咲坂は放課後、職員室に来い、いいな」

はぁ…どうせ後でこうなると解ってたけど、やっぱりコイツについて呼び出しをくらったよ…トホホ

* * * * * * * *

---ズリズリ
昼休み、俺と本音は生徒会室に向かっている。

「なぁ、本音さんや」
「ん〜、ど〜したのたっくん〜?」
「なにゆえ、わたしは簀巻きにされて引きづられておられるのでしょうか?」

そう、今の俺は簀巻きにされている。
何故こうなった…さっきから、周りからの視線が痛い…というか、「咲坂くんってもしかして…」なんて言ってる方!俺はノーマルです!決して、アブノーマルではありません!!

「え、違うの〜?」
「違うよ!!と言うか、今まで一緒にいてなんでそう判断した!!?」
「だって〜、私やお姉ちゃん、お嬢様、かんちゃんのお仕置きを嬉しそうにしてたじゃん〜」
「してないよッ!!!」

本当、なぜこんな事言うんですか!!?
これで誤解されたら、どうすんだよ!!俺もう、恥ずかしくて学校にこれなくなるからさ!!

「その時は〜、たっくんに首輪つけて連れてってあげるよ〜」
「本気すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

この子、いつからこんなサディストになっちゃったの!!?

「クスクス、これが私に専用機の事を黙ってたお仕置きだよ〜。生徒会室についたし、もう許してあげる〜」

や、やっと着いたのか…これでたすか……って、ねぇ!!
地獄の門についただけだ!……………俺、生きて帰れるかな?


次回予告



イギリスの代表候補生セシリア・オルコットと決闘することになった一夏と匠。

だが、匠には幼馴染からのお仕置きという苦行が…

そして、一夏にも新たなハプニングが!

一夏と匠のIS学園初日はまだ終わらない。

次回!IS<インフィニット・ストラトス>〜ロスト・エボリューション〜

次回【第3話 幼馴染との再会!】

世界の常識を覆した時、物語は始める!

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IS (インフィニット・ストラトス) シャルロット・デュノア シルバーペンダント
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