小説『IS<インフィニット・ストラトス>〜ロスト・エボリューション〜』
作者:優雅()

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四月から社会人に…自由を満喫してたら、投稿するの忘れてました…

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【第1話 IS学園入学!?クラスメイトは一人を除いてみんな女子!!?】




右を見る…あるのは、こっちを興味深そうに見る視線ばかり。……左を見る…あるのは、右側のときと同じく視線ばかり。…前を見る……クラスの半数近くの視線だけ…
頼りになる相棒には今は会えない。……これはキツイな…
何で俺はここ…IS学園にいるんだ?

IS学園とは、IS…正式名称は『インフィニット・ストラトス』というマルチフォーム・スーツを学ぶ学校だ。ISは、既存の兵器を凌駕する性能を持つ、とある天才が造った兵器だ。だが、ISには大きな欠点がある。それは、女性にしか反応しないのだ。だから、IS学園は女子校なのだ。
…そう本来ならば。

「えっと…織斑(おりむら) 一夏(いちか)です。」

だけど、例外が現れた。今、黒板の前で自己紹介しているこの男、織斑一夏。男でありながらISを動かすことのできる存在が現れたことにより、他にも男でISを操縦できないかと考えられた。その結果が、俺のIS学園入学だ。はぁ…
まぁ、ここでの唯一の救いが、もう一人男がいることだ。そう、今自己紹介をした織斑のことだ。

「えっと、その……………以上です!何もありません!」

瞬間、女子たちがこけた。いや、俺もこけたけどさ!なんだよ、自己紹介で何もないって!!
…クラスの後ろの席にいる俺からでも解るくらいに、クラスメイトたちはもっと言え、と言う視線を送ってたのは解った。なのに……あれはないだろ…いや、そんなハッキリ言えるのはある意味、男らしい……のか?

---ズビシッ!
「アガッ!?」
「織斑。貴様、自己紹介もまともに出来んのか」
「げ、げえっ!?か、関羽!!」
---ズビシッ!
「誰が三国志の名将だ」

2度も振り下ろされる出席簿…あの音は、出席簿からでていい音なのか?
そして、俺の本能と長年培ってきた勘が告げている…あの人に逆らえば、殺られる!!?

「ち、千冬姉!?な、なんで…」
---ジビシャッ!
「ここでは織斑先生と呼べ。諸君、私が織斑(おりむら) 千冬(ちふゆ)だ。飛ぶことの出来ん、ひよっこである君たち新人を1年で使い物になるように育てるのが私の仕事だ。返事はYesかはいで答えろ。貴様らに拒否権はない」

担任のありがた〜いお言葉…これ、最後の反論の余地ないよな?だって、拒否権は認められてないし。
普通ならきっと、反発があるんじゃ『キャ〜〜〜!!!』…へっ?

「本物の千冬様よ〜!」
「私、ずっとファンでした!」
「私、お姉さまに憧れてきました!」

…何?このクラスは…入学して、自己紹介の時点で帰りたくなったのは、初めてなんだが…むしろ、この学校辞めたいよ!俺には…男には、早すぎたんだ…IS学園に入学するのはさ…

「はぁ…何で私のクラスはこんな奴等ばっかりなんだ…」

それはきっと学園側の陰謀だと思いますよ?きっと…たぶん…maybe…

「ち、千冬姉?どうしてここに…」
---ズドンッ!
「織斑先生と呼べと言っただろう」

おいおいおい、弟ならもっと大切に扱ってあげようぜ。さっきから、どれだけ強い威力で頭叩いてるのさ。もう織斑のライフは0だよ!……すみません、言いすぎました。こっち睨まないでください…

「もしかして、織斑君って千冬様の弟?」
「織斑君がISに乗れるのも、それが関係してるのかな?」

って、さっきなにげに流したけど織斑はあの織斑千冬の弟なのか。
織斑千冬、ISの世界大会の第1回モンド・グロッソに日本代表で出場し、総合優勝。ブリュンヒルデの称号を持つ世界最強のIS操縦者だ。だけど、第2回のモンド・グロッソでは途中で棄権してから引退してたけど、IS学園で教師をやってたのか。

「まぁいい、もう一人の男子。自己紹介をしろ」
「…はい」

席を立ち上がると、このクラス全生徒からの視線を浴びる。あ、よく見りゃ、本音がいるじゃないか。そっか〜、そういえば楯姉さんや虚姉さんがIS学園に入学してるから妹の簪や本音もIS学園に来てるよな。考えれば。
はぁ……相棒〜、助けてくれよ〜…
『いや無理だって』
何故か幻聴で相棒の声が聞こえた気が…
幻聴なら、せめてはげますような幻聴が聞こえてほしいよ…

「えっと、咲坂(さきざか) 匠(たくみ)です……」
「それで終わりじゃないだろうな?」
「ッ!?趣味は旅。特技は、どんな状況でも生活できることです!よろしくお願いします!」

不意に織斑先生に睨まれて、背筋に冷や汗をかく。
もういや…この学校…

* * * * *

「はぁ…」

1時間目の授業が終わり、休み時間に入った。
あれから、自己紹介も直ぐに終わってしまい、休み時間に入ったのだが…
周りは、クラスメイト以外にも他のクラスや他の学年の生徒が見に来ている…誰か助けてくれよ…見世物じゃないんだよ…動物園に動物たちの気持ちが嫌でもわかるようになるぜ…

「な、なぁ」
「ん?」

俯いていた顔を上げると、其処には俺の苦痛を分かち合えるもう一人の男、織斑 一夏がいた。
後で、声掛けに行こうと思ったけど、先に来てくれるとは思わなかった。……向こうも、それ程キツいのか?………キツイんだろうな。

「えっと、咲坂でよかったっけ?」
「ああ、そうだぜ。そんなお前は、織斑であってるよな?」
「ああ。っと、俺のことは一夏でいいよ」
「そっか。なら一夏、俺は匠でいい。名字で呼ばれるのは慣れてなくてさ」

今まで会ってきた人たちは、ほとんど名前で読んでたからな。名字じゃ兄さんと被っちまうことが多かったし。

「わかった。それにしてもよかった…俺以外に男がいてくれて…」
「ははっ、さすがにここに男一人はきついからな…想像しただけでストレスで死ねる…」
「まったくだ…」

一夏も俺と同じ事を思い浮かべたのか、苦笑している。ホント、この苦労を分かち合える奴がいてくれてよかった…あれ、そういえば俺って一夏の性でIS学園に入学したことになるよな……ま、いっか。
あれ?一人のクラスメイトが近づいてくるが…なんだ?

「少しいいか?」
「ん?……お前、箒か?」
「一夏、知り合いか?」
「ああ。幼馴染だよ」

箒、と呼ばれた女生徒を見る。
ポニーテイルにしてある黒髪に少しつりあがった眼つき、凛としていて抜き身の刃のような印象を持てる。確か…篠ノ之(しののの) 箒(ほうき)だったな
幼馴染か〜、本音はさっき見つけたし、他の三人は今何してるんだろ。

「咲坂。一夏を借りるぞ?」
「おう。ごゆっくり〜」
「解ったよ、箒。それじゃ、匠。また後でな」

篠ノ之さんが一夏の手を引いて去っていくのを、軽く手を振って見送る。
さて…何するか…って考えているうちに、彼女が近づいてきた。

「やっほ〜、たっくん。何やら、大変そうですな〜」
「よ、本音。相変わらずのほほんとしてるな」

そう話しかけてきたのは、俺の幼馴染の一人、布仏(のほとけ) 本音(ほんね)だ。
本音とは、小学4年の頃からの仲だ。
兄さんが死に、俺がデジタルワールドへ逃げてた。それから半年ほどで、帰ってきたのだが…原因不明の行方不明になってたのだよな。大人たちは、俺が兄さんが死んだことと原因があるんじゃないかって考え出して、更識家っていう家に居候させられて、そこで出会ったんだよな。ほかの幼馴染たち、更識(さらしき) 楯無(たてなし)通称楯姉さんやその妹の簪(かんざし)、本音の姉さんの布仏(のほとけ) 虚(うつほ)通称虚姉さんとも出会ったんだよな。つーか、何でそれだけで更識家に居候する事になったのかさっぱりわからん。

「それにしても、びっくりしたよ〜。私とお嬢様とお姉ちゃんとかんちゃんの4人でテレビ見てたら〜、いきなりたっくんが映ってたんだもん。お嬢様とお姉ちゃんなんて〜、お茶吹いちゃったんだよ〜」

ほうほう、それは面白いことを聞いた。あの飄々として相手のペースを乱しまくる楯姉に真面目で何事にも動じない素振りを見せながら実は怖いもの嫌いの虚姉の二人がお茶を吹くなんて、なんて誰が予想できたか!いや、ない!!あ〜、なんでそんな貴重なシーンに俺は入れなかったんだ。

「後〜、かんちゃんもむせちゃってね〜。みんな、今度会ったら仕返ししてやるんだ〜って言ってたよ〜」
「なるほどなるほど〜………って、はい!?」

いやいやいやいや、明らかに俺関係ないよね!?確かに、ISが動かせたからテレビに映ったけど、それで仕返しはないでしょ!お茶吹いたり、むせたりするのって俺関係ないから!
っく、だけど、みんなにそんな通りは通用しないし…ここは、本音!頼む、みんなを説得して〜!!

「うん、それ無理〜。だって、私もお仕置きする側なんだよ〜?」
「……絶望が俺の、ゴールだ」

まさに、俺の心境を表した一言だよ。楯姉なんてこっちが嫌がるツボなんて熟知してるし、虚姉は怒ると本気で怖い、簪なんて思いっきり涙目でこっち睨んでくるからかわい……じゃなくて、罪悪感が半端ないし、本音なんかは無茶ぶりがすごい…いつもなら、この四人の内の誰か一人から怒られることはあるけど、四人同時なんて…
絶望してると、チャイムが鳴る。
本音は、放課後に生徒会室だよ〜、って言い残して自分の席に戻っていった。
ごめん、まだ一時間目終了したばかりなのに、もうやってける自信、ないです…


次回予告



IS学園に入学を果たした匠と一夏。二人は、それぞれ幼馴染と再開する。

だが、再開もつかの間に新たな厄介事が舞い込んでくる。

それは、厄介事であると同時に新たな出会いでもあった。

次回!IS<インフィニット・ストラトス>〜ロスト・エボリューション〜

次回【第2話 代表候補生と決闘とお仕置き!?】

世界の常識を覆した時、物語は始める!

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