小説『ボーンシルヴィアの罪』
作者:()

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僕はそんなシャーリィに「母さんに逢いたいのか」と尋ねる。

今度はシャーリィがギョッとする番だった。

僕はまっすぐシャーリィを見つめる。

シャーリィは考え込む様に俯く。

「母さんに逢いたいのか」

僕はもう一度問う。
目は逸らさない。

やがてシャーリィの目から大粒の涙が溢れた。

「逢いたい…逢いたいよ…お母さん…」

シャーリィは大粒の涙を流し続ける。
僕はそんなシャーリィの頭を撫でた。

「母さんに逢おう」

「え?」

「お兄ちゃんがおまえを絶対ここから出してやる。ここを出たら一緒に母さんに逢いに行こう」

「本当?」

「あぁ。約束する」

「うん!お兄ちゃん、ボーンシルヴィアの花言葉って知ってる?」

「わかんない」

「ボーンシルヴィアの花言葉は『絶対に折れない強い決意』だよ!まずはここから絶対に一緒に出ようね!お兄ちゃん!」

また、誓いが増えてしまった。

でも、シャーリィを守るだけじゃなくて、シャーリィの事を大切にしたいと思った。
望む事は叶えてあげたいと思った。たった一人の妹なのだから。

僕はシャーリィの頭を撫でる。

ボーンシルヴィアが風に吹かれて揺れていた。

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