所詮、世の中は金だ。 その事を悟ったのは確か…10歳の頃だったと思う。 国軍の幹部兵士であった父が戦場であっけなく戦死してから、僕と母と妹の生活は一変した。 当時僕と妹は8歳と6歳。ただ父の死を嘆くだけで良かった僕らと違って、母には夫の死を嘆く自由はなかった。 “これからの生活”というまさに死活問題が眼前に突きつけられていたからだ。