小説『ボーンシルヴィアの罪』
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僕らが暮らす王国は世界から所謂『大国』として認識されていた。
 
広大な領土を持ち、世界でも屈指の経済力と軍事力を持つ大国。それが僕らの故国であった。
だが、どんなものにでも光と影がある様に、王国にも暗部はある。

僕らが暮らす王国の国民には3つの階級がある。

王国を支配する“王族”。

国王の忠実なる部下である“貴族”。

そして国王と貴族に養われ、その『生存』を許可されている“平民”。

この階級はどんなに必死に努力しても、どんなに素晴らしい才能を持っていても、決して覆る事がない。
王族に生まれた子はどんなに無能でも王族として生き、平民に生まれた子はどんなに才能溢れる天才であっても平民として死ぬ。

個人の能力を完全に無視した徹底された差別主義。
出生の際にその人間の人生の全てが決定するこの階級制度を国民は憎しみを込めて“呪われた階級制度『カースト制』”と呼ぶ。

忌々しい“カースト制”はもはや癒える事のない死病の様に、王国を蝕んでいた。

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