坑道に突如展開された地獄は僕の想像をはるかに超えていた。
叫びだしたい衝動を必死に抑えながら僕は周囲を見渡す。
シャーリィの姿はない。
負傷者の中にも少女の姿はない。
僕は坑道の中から出てきた人畜に駆け寄った。
「女の子を見ませんでしたか!?10歳ぐらいの少女を見ませんでしたか!?まっだ、この中にいるはずなんです!」
「いや、まだ運び出されていない。それじゃあ…まだ…中に…」
僕は目の前が真っ暗になった。
まだ、シャーリィはこの中にいるのか。
この地獄の底に。
「シャァァァアアアアアアアアアアアリィィイイイイイイイイ!!!」
僕は絶叫しながら坑道に突入した。
坑道の中は外以上の惨状が広がっていた。
所々で人間の部品が転がっている。
生臭い臭いに思わずむせ返る。
何十人もの男たちが巨大な瓦礫の除去作業に没頭している。
坑道内は怒号と悲鳴が入り混じる。
僕も巨大な瓦礫に飛び掛かる。
僕は泣きながら瓦礫の除去作業に没頭する。
祈った。
願った。
シャーリィの無事を。
僕はかけらも存在を信じていない神に必死に祈る。