小説『ボーンシルヴィアの罪』
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坑道に舞い上る粉塵で呼吸が出来なくなった。
瓦礫の除去によって手の皮が剥け、血まみれになった。
血と臓物の臭い、無残な遺体を目にして激しく嘔吐した。
僕の体も精神も、とうの昔に限界をはるかに超えている。
体が、精神が大音量で発する危険信号の全てを無視して僕はシャーリィの救助作業に没頭する。

誓いがあった。
シャーリィを必ずエリスグール収容所から解放する事。
シャーリィを母に逢わせる事。
守る。
救う。
絶対に。
命に代えても。

「シャァァァアアアリィィィイイイイイイイイイイイ!」
  
僕は泣きながら絶叫する。

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