小説『ボーンシルヴィアの罪』
作者:()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

エリスグール収容所を脱走してから2年間は強奪と殺害のみで生活していた。
当時の僕は人を殺害して金品、食糧を強奪する危険な人畜として軍から追われていた。

そして、エリスグール収容所を脱走してから2年4か月。僕は遂に軍に捕縛された。
さすがに軍の一個中隊を相手に逃げ切る事は不可能だった。
 
拘束され、投獄された僕は絶望するでもなく抵抗するでもなく淡々と日々を過ごしていった。淡々と過ごす日々の中でどうしたらここを抜けられるのかを考え続けていた。
 
その時の僕の思考回路はいたって単純なものだった。
 
ここにいれば死刑になるのは確実。
死んだらシャーリィの復讐が出来ない。
だからここを抜け出さなくては。
牢獄で犬の様な生活を強いられながら、僕はそんなことばかり考えていた。

ある朝の事だった。
牢獄の扉が突然開いた。
牢獄の中に入ってきたのは護衛の兵士2名を引き連れた将校らしき男だった。
軍帽を深く被っているため、表情は見えにくい。

-53-
Copyright ©樹 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える