「すまん・・・・・・。許してくれ・・・・・・」
雍也は震えながらそれだけ言って、またそこから動こうとはしなかった。
「雍也、どうしたんだ・・・・。おい、雍也・・・・」
俺が雍也を立ち上がらせようと奮闘している間に、史生は修兄さんに何かを告げているようだった。
気がつくと、この部屋には俺と雍也、そして一旦部屋を出た後、戻って来た史生の三人だけになっていた。
起き上がろうとしない雍也を抱え込んでいる俺に、史生は制止の手を伸ばしてきた。
そして、雍也の前に屈み込んで、静かに話し始めた。
「・・・・・・雍也・・・・、話しておしまいよ。
君には悪いと思ったけど、僕、君のついての噂の真相を明らかにしようとして、色々調査してしまったんだ。
君が何をしているかはわからなかったけど、何かをしていることはわかってたよ。
誰かと通信を取っていることもね・・・・・・。今回のこの事件も、それと関係があるんだろう?
心当たりがあるから、そんなに嘆いているんだよね・・・・・・」
史生の言葉に、雍也はやっと顔を上げた。
しかし、まだ何も話そうとはしない。
そんな雍也の様子を見て、史生がまた話しかける。
「・・・・雍也、僕は君を疑っていた。本当はそんな噂の方が間違っているんだろうって考えたかったけど・・・・、
結局疑っていたんだ。けれど、直はそんな僕の話を全く相手にしなかったよ。
『雍也が俺たちを裏切るはずないじゃないか』ってね。僕はそれで何度も勇気づけられたよ・・・・。
ねぇ、雍也・・・・。直はずっと君のこと信じてくれてるんだ。雍也は直の気持ちに応えなくっちゃいけないよ・・・・・・。
君が僕たちを裏切ったのか、裏切ってないのか・・・・、今ここでわかるんだよ・・・・・・。
・・・・・・聞かせてくれるよね・・・・?」
雍也は静かに一度瞳を閉じてから、大きな溜息をついた。
そうして今度は、ゆっくり瞳を開くと、史生と俺の顔を交互にじっと見つめ、
「俺は・・・・、俺はおまえたちを裏切っていた・・・・・・」
そう力なく話し始めた。