小説『Indigo Moon ―――君と見つめた衛星(つき)――― Teen’s編 【完結】』
作者:杜子美甫(Indigo Moon ――君と見つめた衛星(つき)――)

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「俺はおまえ達に秘密で、ある異星人とコンタクトを取っていた。
そして彼らに人工Moonについての情報を流していたんだ。・・・・・・オクテクス・・、星人・・・・、と言っていた。
二ヶ月くらい前になる。俺が自宅で地球外へ向かっての通信実験をしている時、偶然彼らの通信をキャッチしてしまった。
俺は興奮した・・・・。異星人とコンタクトが取れたんだ。地球にとっても重大事件だ。
しかし彼らが、『大騒ぎになるといけない。しばらくは秘密にして欲しい』と願っていたので、俺はその通りにした。
そうして何度か更新を繰り返すうちに、この地球上に彼らの仲間がいることもわかった。
しかも、その仲間というのが、直・・・・、おまえともう随分前からコンタクトを取っているんだということもだ。
俺はおまえがわからなくなった。何故、俺たちにそのことを隠していたのか・・・・・・。
・・・・だから、俺が秘密で彼らとコンタクトを取っても、別に問題ないだろうと・・・・・・。

そして、俺は彼らの科学力を見せつけられたんだ・・・・。
素晴らしかった・・・・・・。
あ・・・・、あれだけの理論があれば、もっともっといろんなことができる。
時間だろうと空間だろうと、自由に操れるかもしれない・・・・。俺はその誘惑に負けてしまった。
彼らの科学力を教授してくれるその交換条件として、俺は人工Moonの情報提供と、彼らの設計図を基に監視装置を作り、
コントロール・ルームに取りつけることを引き受けた。
・・・・監視装置だ・・・・・・。彼らはそう俺に言った。まさかそれに殺傷ビームが装備されているなんて・・・・・・、
全く・・・・、全くわからなかった。
信じてくれ・・・・・・っ。・・・・それで、スタッフが殺されるなんて・・・・・・!!」

雍也は頭を抱え込むようにして、激しく首を横に振った。

「雍也・・・・、本当にその異星人はオクテクスと名乗ったのか・・・・?」
俺は雍也の両肩を掴み、静かに尋ねた。

「ああ、確かにそう言った・・・・・・」


――――― 何故だ・・・・。信じられない・・・・・・。

オクテクス星人が俺たちを攻撃するはずがない。
地球を・・・・、地球のことを、俺たちと同じように愛して守ってくれているのに、一体どういうことなんだ・・・・。

・・・・・・何かあったのかもしれない。でなければ、こんな事が起こるはずがない。
長老に連絡を取って、確かめなければ・・・・・・。

俺が雍也の告白の内容に戸惑っているその時、史生が俺たちに尋ねてきた。

「直・・・・、雍也・・・・。僕にもわかるように説明してくれないかな・・・・。まぁ、おおよそのところは見当がつくんだけどね・・・・」

雍也には、もう何を言う気さえも残っていないようだった。

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