それよりさ、10年後に行かなくっちゃな・・・・。
そう思った瞬間に、
<そうですよっ、Teen’s! その方が重要です!!>
Bluesのバカでかい声が、頭の中を駆け巡った。
・・・・・・わかった、Blues。わかってるから、そんなに大声出さないでくれよ。
頭、割れちまうよ・・・・・・。
<・・すっ、・・・・すみません・・・・・・、つい・・・・・・>
いいけどさ、しっかりしてくれよな。
このくらいで動揺してるようじゃ、MP(マイクロ・プロセッサー)なんて、笑っちゃうぜ?
<・・・・・・>
あ・・・・、また、黙っちゃった・・・・・・。
ごめんよ、Blues。
俺、ホントに頼りにしてるんだってば・・・・。
君はとっても優秀なMPだよ。
だって、人の気持ちのわかる優しい機械なんて、そう簡単に造られるものじゃないんだろう?
君はコンピュータの最先端なんだよな。
君と話してると、機械じゃなくて人と話してるみたいで、俺、甘えちゃってるんだ。
だからさぁ、許してよ。
な・・? な・・・・??
<・・・・そ、まぁ、そうですね。Teen’sがそこまでおっしゃるなら・・・・・・>
クスッ・・・・、ありがとっ!
<ちょっと、はじめの“クスッ”っていうのが、気になりますが・・・・・・>
気のせい、気のせいっ!
それより、この機械の使い方、教えてよ。
<・・・・・・そうですね、そうしましょうか>
なんとかBluesの機嫌をとりながら、俺は話を逸らすことに成功した。
Bluesの方もようやく落ち着きを取り戻し、静かに説明を始めてくれた。
<Eightから手渡された、タイムトラベライザーのケースと、物質変換機のバングルを出してみてください>
Bluesから言われた通り、俺は小さなケースとバングルを、入れておいたポケットから取り出して、目の前のピアノの上に並べて置いた。
<物質変換機の方は、もう装着しておいても支障ありませんので、腕につけておいて下さい>
銀色に光っているそのバングルは、とても細くて、まさかそんなにすごい機械が仕組まれているなんて、見るかぎりじゃわからない。
ホント、このMPにしても、これにしても、すごいよな・・・・。
けどさ、俺って今まで、こんなアクセサリーなんかつけたことないから、なんか、照れるよな・・・・・・。
まぁ、仕方ないから、さっさとつけちまおう。
そんなこと考えながら、俺はバングルを左の腕につけた。