小説『泡沫候補っていうな!』
作者:しょむ研 水野松太朗(しょむ系政治勢力研究会)

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○新社会党、9条ネット

 1996年1月、日本社会党の「社会民主党」(社民党)への党名変更とこれまでの路線転換(小選挙区制推進や自民党との連立政権など)に反発する議員・党員らにより「新社会党・平和連合」が結成。メンバーは矢田部理(委員長、弁護士。茨城県久慈郡大子町出身)、岡崎宏美(副委員長、代議士)、小森龍邦(副委員長、代議士)、山口哲夫(書記長、元釧路市長)、栗原君子(副書記長、参院議員)ら。翫正敏(「憲法みどり農の連帯」共同代表、真宗大谷派僧侶、元参院議員)や和田静夫(顧問、元日本社会党副委員長)らも参加。後に「新社会党」が党名となる。社民党は新社会党へ移籍した党員の離党を認めず、除名処分としている。

 旧社会党の派閥で最左派の「社会主義協会」、さらにその中でも左派色の強い「坂牛派」(旧向坂派)の影響を強く受けており、「資本主義の枠内の社会福祉より、社会主義社会を」と訴えている。但し福祉政策を全否定しているわけではない。また、小森龍邦(元代議士、副委員長、委員長を歴任)が元書記長で現在広島県連顧問を務める部落解放同盟の影響も一定受けている。主な関連団体として全国労働組合連絡協議会(全労協)、日本社会主義青年同盟(社青同)の一部、広島県教職員組合、「憲法を生かす会」など。

 以前は政党交付金で潤沢な政治資金を確保していたが、相次ぐ落選で国会での議席が無くなり、交付金支給は打ち切られた。さらに2001年参院選での供託金や広告料等が高額となり、財政的には困難な模様。しかし、地方議員を200人前後(推薦・支持含む)抱え、千葉県長生村には党員の村長(共産党らも支持)がいる。沖縄の地域政党「沖縄社会大衆党」は友党であり、候補者を立てない選挙では主に社民党候補を支援したり、共産党候補を支持したりしている。現在の主な役員は委員長に栗原君子、副委員長に原和美など。原はテレビ出演も増えており、知名度も高まっている模様。

 2007年には「護憲を標榜する全勢力の結集」を謳い、「平和を実現するキリスト者ネット」(キリスト者平和ネット)や環境政党「みどりのテーブル」関係者とともに「9条ネット」を設立。天木直人(作家、元外交官)、石川一郎(元山形県鶴岡市議、福祉団体理事長)、栗原君子(新社会党中央委員長、元参院議員)、小松猛(元愛知県豊明市議)、小山広明(元大阪府泉南市議)、ZAKI(野崎昌利、半農シンガーソングライター、TV朝日「銭形金太郎」出演)、鈴田渉(大学院生、憲法学・平和学専攻)、成島忠夫(元三派全学連副委員長、不動産会社社長)、藤田恵(元徳島県木頭村長、みどりのテーブル徳島代表)、原和美(元神戸市議、新社会党兵庫県委員長)を擁立、川田龍平(大学非常勤講師、人権活動家)、服部良一(市民運動家、社民公認)、友近聡朗(元サッカー選手、民主・社民・国民新党推薦、世襲)ら社民党系候補を中心に推薦・支援をした。ZAKIが「アメリカのポチ(自民党)をぶっ倒せ!」と叫ぶ政見放送が話題となったが、川田と友近以外当選者を出せなかった(当選後川田は渡辺喜美らの新自由主義政党「みんなの党」に入党)。また、天木は選挙中から「当選したら9条ネットではなく『天木新党』として活動する」「日米同盟に与しない保守2大政党制を目指す」と発言していたことや、小山が「和歌山毒カレー事件」被告人の冤罪救援活動を行なっていることを理由に、一部週刊誌が「被告人が『冤罪防止』『死刑廃止』などを掲げ獄中立候補するのではないか」と報道したことなどが物議を醸した。9条ネットは共産党・社民党にも参加を呼びかけたが、両党とも拒否した。9条ネットは愛媛のみ解散したが、それ以外の地域は現在も活動中。

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