小説『ハイスクールD×D 〜銀白の剣士〜』
作者:strik()

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〜15話〜




Side 一誠


「いやー、リアスの『|女王(クイーン)』が淹れてくれたお茶は美味いな」

「痛み入りますわ」

 朱乃さんはニコニコしているが「あらあら」や「うふふ」がない。ちょっと怖いんですけど。怒っていらっしゃいますか?

 ソファに座る部長。その隣に座り軽々しく部長の肩を抱くライザー。俺たち下僕は二人の上級悪魔から離れて、二人の様子を見守るしかなかった。

「それにしても、渚の奴遅いな」

「言われてみれば、ナギ来ていないね。アレのせいで忘れてたよ」

 木場・・・・・・上級悪魔をアレ扱いして大丈夫なのか?

「・・・・・・・・・確かに遅いですね」

「きっとそのうち、来てくれますわ。うふふ、早く来てくれないかしら?」

 朱乃さんは渚が待ち遠しいらしい。あいつ、いつの間に朱乃さんと仲良くなったんだ? 羨ましいぜ! ちくしょうっ!

「いい加減にしてちょうだい!」

 激高した部長の声が部室に響き渡った。視線を向けると、部長はソファから立ち上がりライザーを睨んでいる。ライザーの方は相変わらずのにやけた顔だが。

「ライザー! 以前にも言ったはずよ! 私はあなたなんかとは結婚しないわ!」

「ああ、以前にも聞いたよ。だがリアス、そういうわけにはいかないだろう? キミのところのお家事情は以外に切羽詰ってると思うんだが?」

 どんどん白熱していく、部長とライザー。その中でライザーは純潔悪魔や『七十二柱』の家について部長に言う。どうやら、前にあった戦争でその大半が死んでしまったらしい。部長とライザーの結婚は意外と重要視されているようだ。

「私は家を潰さないわ。婿養子だって迎え入れるつもりよ」

 部長の言葉を聞いて笑顔になるライザー。

「おお、さすがリアス! じゃあ、早速俺と―――」

「でも、あなたとは結婚しないわ、ライザー」

 部長は自分がいいと思った者と、結婚する権利くらいあるはずだとはっきり言う。

 それを聞いたライザーは目を細めた。

「俺はフェニックス家の看板を背負ってるんだ。この名に泥をつけられたら堪らない。どうしてもというなら――――」

 そこで、ライザーは言葉を切る。ライザーの周りには炎が舞った。

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れて帰るぞ?」

「お二人ともおやめください。これ以上やるのなら私も黙ってはいられません」

 二人に鋭い視線を向けるグレイフィアさん。

「・・・・・最強の『|女王(クイーン)』と称されるあなたが相手になるんじゃ、さすがの俺もお断りだ」

 グレイフィアさんってそんなに強いのか・・・・・・。ただのメイドさんじゃなかったのね。

「こうなると最終手段ですね。『レーティングゲーム』にて決着をつけてください。これはグレモリーもフェニックスも承知しています」

「なるほど、わかりやすくていいじゃないか。俺は受けるぞ、その話」

「お嬢様は、どうなさいますか?」

「・・・・・・・・もちろん受けるわ」

 少しの間考えるようなそぶりをして、部長は了承した。

「承知しました。お二人のご意思はこのグレイフィアが確認させてもらいました」

 グレイフィアさんは二人の顔を順に見る。

「ご両家には私が連絡させてもらいます」

 確認したグレイフィアさんはぺこりと頭を下げる。

「なあ、リアス。まさかここにいる面子がキミの下僕なのか?」

「だったらなんだっていうの?」

 部長の答えにライザーはおかしそうに笑いだす。

「そうか。でも、これじゃあ、話にならないじゃないか? キミの『|女王(クイーン)』である『雷の巫女』ぐらいしか俺のげぼ――――ッチ!」

 そう言いながら、ライザーの後ろに魔法陣が出てきて、人影が続々と登場する。しかし、最後になにかに吹き飛んできて、ライザーはそれを回避した。出てきた人たちも唖然としている。

「ちょっとさぁ! いくらなんでも遅いからって締め出すことないでしょ! 扉吹き飛ばしたけど僕謝らないからね! それと主犯格! 僕とO☆HA☆NA☆SHIをしようか?」

 声の聞こえた方を見ると渚がいた。そして部室の入り口の扉がない。どこにあるのか探すと、部室の隅に無残な姿で転がっていた。だがそんなことはどうでもいい。

(O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い。O☆HA☆NA☆SHI怖い)

俺は部屋の隅っこでガタガタ震えていた。神様に祈ろうとして、頭痛に襲われたことも追記しておく。


Side out





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Side 渚


トイレに行ったあと、剣道部の部長につかまってしまい、逃げるのにとても時間がかかってしまった。偶には参加してほしいとのことだったが、実力が離れすぎているせいで、周りの不興を買うのがわかっているのにわざわざ行こうとは思わない。気が向いたら行きます、とだけ言っておいた。

 その後、急いで部室に向かうが、かなり遅れてしまっている。

「ふう、やっと着いた」

 とりあえず、旧校舎に着いたので、もう走っても歩いても変わらないと思い、歩いて部室に向かう。

「よし、到着」

 そう言って僕は、部室の扉を開けようとした。だが、扉がうんともすんとも言わなかった。

「あれ?」

 押したり引いたりしてみるが、一向に扉動く気配がない。まさか、スライドか? と思って、横に移動させようとして見るが動く気配はない。

「開け、ゴマ!」

 ・・・・・・返ってくるのは、沈黙だけだった。慌てて回りを確認する。もし見られていたら、恥ずかしくて悶え死んでしまうだろう。・・・・・・幸い、誰もいないようだ。

 その後も、様々な方法で開かないか試してみたが一向に開く気配はない。次第に苛立ちが募ってきた。

「いくらなんでも、遅いからって締め出すことないんじゃないかな? かな?」

これは主犯格にはO☆HA☆NA☆SHIが必要だな。

 そう思い、右手に魔力を集め始める。

「セイッ!」

 右手に集めた魔力を放って、扉を吹き飛ばす。扉は無残な形になって吹き飛んでいった。

 さあ、O☆HA☆NA☆SHIを始めよう。

「ちょっとさぁ! いくらなんでも遅いからって締め出すことないでしょ! 扉吹き飛ばしたけど僕謝らないからね! それと主犯格! O☆HA☆NA☆SHIをしようか?」

 僕はそう言いながら部室に踏み込む。すると、見慣れない人が沢山いた。

「あれ? お客さんですか?」

 僕が首をかしげながら、部員たちに聞く。

「き、貴様! ライザー様になんてことをする!!」

 すると、お客さんらしき人の一人が僕に攻撃を仕掛けてきた。

「おっと! 危ないじゃないか!」

 相手の武器は長い棒――――いや棍か。それを僕に向かって横薙ぎに振るってくる。僕はバックステップでそれを避けた。狭い室内でよく振るな・・・・・・・。

「ハァッ!」

 今度は顔に向かっての突き。だが、祐斗に比べるとはるかに遅い攻撃なので、首を右に倒すことで躱した。そのままの状態で棍を左手で掴み、体を半身にしてこちらに思いきり引き寄せる。突きの勢いもあって、容易に引くことができた。

「キャアッ!」

 当然、持ち手の少女は僕に引っ張られたことで、こちらに向かってくる。

 僕は向かってくる少女に、右肘で鳩尾にカウンターを叩き込んだ。

「ガハッ!」

 向かってくる勢いもあって、僕の肘は少女の鳩尾に深く突き刺さった。そして、少女は仲間らしき人のところに吹き飛んでいく。おそらく気絶しているだろう。我ながら、かなりうまく決まった。

「ハッ! さっきのは訂正するぜ、リアス。なかなか、骨のあるやつもいるじゃないか。これは少し楽しみになったぞって・・・・・・・おいおい、そいつ人間かよ? まあいい、ミラ、無事か?」

「気絶しています」

 お客さん(仮)の一人が答えた。

「・・・・・・・・ほう。相当やるようだなぁ、人間。しかし、お前女か? いや、その制服は男物か・・・・・・だとすると・・・・・・男装か? 変わった奴だな」

 ふっ・・・・・・男とは見られないんだね・・・・・・・。

「ライザー。彼は男性よ」

「なに!? ・・・・・・最近流行の男の娘ってやつか? まあいい、とりあえず、リアス」

 紅いスーツを着崩した男が、リアス先輩に言った。いったい何の話だ? それにしても、男装扱いされたのは久しぶりな気がするが、男の娘扱いはうれしくない。否定できない容姿なのはわかってるが・・・・・・・・・・。

「ハンデだ。キミたちには十日間の時間を与える。初めてのゲームなんだ。修行でもした方がいい。それとお前」

 男が僕に話しかけてきた。

「なんですか?」

「お前もゲームに出ろ。これもハンデだ」

「はぁ?」

 話の途中から入ってきたので、何の話をしているのかいまいち理解できない。

「ライザー、いいの?」

「言っただろう、ハンデだって」
 
そう言って、男とお客さん(仮)たちは魔法陣の中へ消えていった。どうやら目をつけられたようだ。
 
「さっきの誰です? それにゲームって?」

「先ほどの方はライザー・フェニックス様。ゲームとはレーティングゲームです」

 僕の質問に答えてくれたのは、銀髪のメイドのグレイフィアさんだった。フェニックスってあの不死鳥の?

「レーティングゲームって確か、眷属たちを戦わせるやつでしたよね?」

「ええ、その通りです。そして、あなたにも出てもらいます」

「は?」

 いや、僕眷属じゃないですよ? それになのに出るなんて大丈夫なんですか?

「ライザー様は出ろと仰っていました。それに公式のゲームではありません。あとはお嬢様が了承すれば、あなたも出場できます」

 特別ルール的な感じなのか。公式戦じゃないこともあるけど、問題ないみたいだ。

「ナギ、お願い。出てくれないかしら? こちらはただでさえ人数が少なくて不利なの」

 リアス先輩が頭を下げた。何でそういう話になったかは、わからないけどリアス先輩が下げる程の事なのだろう。

「わかりました。出ますよ」

 僕はレーティングゲームに出ることを了承した。上級悪魔もピンからキリまであるだろうが、その実力を知っておくのも悪くない。

「さて、みんな、もう一つ聞きたいことがあるんだけどいいかい?」

「なにかしら?」

 部長が代表して答えた。さて、本題に入ろうじゃないか・・・・・・・。

「部室の扉を閉めたのは誰ですか? O☆HA☆NA☆SHIしないといけないので、教えてくださると助かるんですが?」

 この時の僕はとてもイイ笑顔をしていたらしい。だれが、犠牲になったかは敢えて記さないでおく。

 その後、僕は扉の修理をする羽目になった・・・・・・・。


Side out

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