小説『ハイスクールD×D 〜銀白の剣士〜』
作者:strik()

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〜第2話〜




Side 渚


 どうも、最近彼女ができたとか騒いでいる兄がいる兵藤渚です。名前は天野夕麻。写真を見せてもらいましたが、

(これは、どう見ても堕天使のレイナーレさんですね。わかります)

 とりあえず、兄さんにはどうにかして、別れさせようとしましたが、

「羨ましいんだろ?」

 と言ってこちらに聞く耳を持たない。殺されるところを助けようかとも思ったけど、下手に介入して予想外な出来事があったら困る。なので、兄さんが殺されるのはとりあえず、見逃すことにします。とりあえず兄には悪魔として転生してもらわなければいけませんから。

「それじゃあ、行ってきまーす! 渚、もしかしたら朝帰りするかもしれないからな!」

 そう言って待ち合わせの時間の三時間以上前に家を出ていく我が兄。昨日から何度も歯を磨いたり、新しいパンツを穿いて行ったりと、いくら初デートとはいえこれには若干引いた。

そして、結局兄さんは悪魔として転生したらしい。らしいってのは記憶にないからだが。見事に堕天使に消されたらしい。





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Side 一誠


やあ、兵藤一誠だ。どうも、最近俺体はおかしい。朝の陽射しがやけに辛いし、朝に起きられない。逆に夜だとなんか漲ってきて、ハイテンションだ。そして、殺される夢を見る。

 どうも、夜型の人間になってしまったようだ。だが、おかしい。確かに夜更かしする方だったが、深夜の一時まで起きていることはなかった。だが、いまでは、三時、四時まで余裕で起きていられる。この頃は日が昇ってくるのを確認して寝ている。

 それに、夜中にダッシュしてみたら、自分でも信じられないくらいの速度が出た。ためしに、運動のできる渚と競ってみたが今まで勝てなかったのに、余裕で勝ってしまった。スタミナを切れない。しかし、昼間に走ってみたら、まったく駄目だったが。

 とりあえず、朝日がキツイ。

「おーい、遅れるぞ?」

 渚に手を振って返事をして走る。俺の体は夕麻ちゃんとのデートの日から変わってしまった。





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 渚と別れて、教室に入って、自分の席に深く腰をおろす。

「よー、心の友よ」

「ふっ・・・・・・・、今朝は風が強かったな。おかげで、パンツが見れた」

 声をかけてきたのは、丸刈りの頭をした松田と、キザな男のように格好つけているメガネの元浜だった。松田は「エロ坊主」「セクハラパパラッチ」元浜は「エロメガネ」「スリサイズスカウター」と呼ばれている俺の悪友だ。

 そして、俺の机に十八禁の代物をならべ、悲鳴を上げ騒ぐ女子に「脳内で犯すぞ」と最低な発言をかます。机に広げられた物は、少し前なら俺も飛びついただろうが、最近はそんな気分になれない。

 そんな俺の様子を見た悪友は、不審に思ったらしく話しかけてくる。

「あれか? 俺には彼女がいましたってやつの影響か?」

 元浜がそう言ってくる。

「二人とも覚えてないのか?」

「「知らん」」

 二人に聞いても、返答はいつも知らないだった。俺はこいつらに紹介したはずだが、こいつらは覚えてないという。写真を見せた渚にも聞いてみたが渚も知らないと言っていた。アドレスなどが残っていれば、よかったのだろうが一切残っておらず、まるで夕麻ちゃんが存在していなかったようだ。

 そして、半ばヤケクソ気味にエロDVDを視聴することを決めた。今日は息抜きだ! とそんな風に結束した俺たちの視界に鮮やかな紅が映る。

 リアス・グレモリー。三年生の先輩で北欧出身らしい。そんな先輩の碧眼が俺をとらえた時、心臓を掴み取られる感覚に襲われた。





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 そして、松田の家でDVDを見て、図らずも泣きそうになりながらも、もう十時だということで解散する。

 解散して数分。先ほどから体の疼きがひどい。そして、前から殺気を出す男と遭遇した。

「これは数奇なものだ。こんな都市部でもなんでもない地方の市街地で貴様のような存在に会うのだからな」

 何かよくわからんことを言っている。危ないい人だろう。夜中でパワーアップしている今なら逃げれるだろう。

「逃げ腰か? 主は誰だ?」

 わけわからんことを言っているが、俺は全速力で来た道を戻る。速い。自分で言うのもなんだがこれはおかしい。

 十五分くらい逃げて、公園に着いたので俺は歩く。ここは夢に出てきた公園?

「逃がすと思うか? 主は誰だ?」

 黒い翼?

「ふむ。答えないか。なら、お前ははぐれなのだろう。ならば殺しても問題あるまい」

 男のかざした手に光が集まり、それが俺の腹を貫いた。

「ふん、これでとどめだ」

「その子に触れないでちょうだい」

紅い髪。夢の最後で出てきた赤い髪。

「紅い髪・・・・・グレモリーか」

男が憎々しげに睨みつける。そして去っていった。

 助かった。そのことに安堵した俺は意識を失った。

「あら? 気絶してしまったわね。確か、あなたの自宅は・・・・」





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 目を覚ます。いつもの朝だ。

「あれは、夢?」

 首をかしげながら、自分の変化に気づく。

「なぜ、裸?」

 パンツすら穿いてない。そういえば、家に帰ってきた記憶がない。

「・・・・うぅん」

 なにやら、艶っぽい声が聞こえたので視線を移すと赤い髪の女の子。リアス・グレモリー先輩が寝ていた。

 ・・・・・・・・・・落ち着け。落ち着くんだ、俺。もしかして、初体験!? なんだ!? 昨日何が起こった?!

「イッセー!起きなさい! もう学校よ!」

「母さん。僕が起こしてくるよ」

「そう? じゃあ、お願い」

 待て! ちょっと待て! 母さんが来るよりはいいが、この場面はまずい!

「待ってくれ! 俺なら起きてる! 今起きるから!」

「はいはい、母さんが呼んでるから急げ」

 階段を上ってくる音が聞こえる。

「うーん・・・・・・。朝?」

 先輩が起きた! 起きちゃったよ!

「ほら、急げ!」

 ガチャ! と勢いよく扉が開かれる。渚の目には全裸の男女。渚は無言のまま携帯で写真を撮る。

―カシャッ

 渚と俺の目が合う。渚は何も言わず、静かにドアを閉めた。その後ドタドタと下へ降りる音が聞こえた。

「母さん! 兄さんは昨日引っかけてきた、外国の人とよろしくするから今日は休むって!」

 ちょっ!? 俺そんなこと言ってねぇぇぇぇぇぇぇっ!

「渚? 何言ってるんだ?」

「ほら、これ証拠写真!!」

「「イィィィィィィッッセェェェェェェー!!!!」」

 両親の叫び声が聞こえる。家族会議決定だ。

「朝から、元気なお家ね」

 先輩が場違いな感じで言った。





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 朝の登校。さっきから視線が厳しい。原因は俺の両隣の二人だ。朝食時の簡易版家族会議で知ったことだが、渚の奴に「抱かれたい男の娘」という称号があるらしい。聞いたとき、おもわず羨ましくて泣きそうになった。なんなんだ、この差は! と思ったね。ちなみに、渚の撮った写真はリアス・グレモリー先輩によって削除されました。

「どうして、あんな奴が・・・」

 周囲からの視線やら殺気やらがひどい。そんなに、俺が渚やグレモリー先輩と一緒にいるのが不満なのか。

「あとで使いを出すわ」

 そう言って、俺たちと別れる。その後、俺は悪友たちに殴られた。大方羨ましかったのだろう。殴られた仕返しに「お前ら生のおっぱい見たことあるか?」って言ったら、二人は|戦慄(おのの)いていた。ちょっとだけ優越感に浸れたので満足だ。


Side out





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Side 渚


「どうも」

 放課後、木場に話しかけられた。

「試合なら断る」

「それは、また今度で。今日は使いできたんだ」

「なるほど、キミも関係者か」

「そういうこと。次は君のお兄さんのところだ」

 周りの女子がうるさい中、兄さんを迎えにいき、そのまま旧校舎に移動した。

「ここに部長がいるんだよ」

「ふ〜ん。ここにグレモリー先輩がいるんだ」

 兄さんは部長と先輩が結びつかなかったのか、首をかしげている。

 木場はとある教室の前で止まった。「オカルト研究部」と書かれている。

「部長、連れてきました」

「ええ、入ってちょうだい」

 部屋に入って目に付くのはよくわからない文字に中央の魔法陣。兄さんは壁の文字に目が言っているようだ。ふと、ソファに座っている子が目に入ったので挨拶をしておく。当の先輩はシャーワータイムのようだ。なぜオカルト研究部にシャワーがと思うが、ツッコまないことにする。

「はじめまして、兵藤渚です。壁の文字を見ているのが兄の一誠です」

「・・・・・・どうも、・・・・・・・・塔城小猫です。」

 ふむ。無口な子みたいだが、名前は覚えてもらえただろう。

「渚!」

 呼ばれた方を見ると、兄さんがグレモリー先輩たちと一緒にいた。いつの間にかシャワーから出ていたようだ。

 僕がグレモリー先輩のところに行くと、先輩が話を切り出した。

「これで、全員そろったわね。イッセー、渚くん」

「は、はい」

「よろしく」

「私たち、オカルト研究部はあなたたちを歓迎するわ」

 ・・・・・・・・グレモリー先輩は俺が剣道部に所属しているのを知らないのだろうか? まあ、現在は幽霊部員だし、ここで話の腰を折るわけにもいかないから、黙っているけど。

「悪魔としてね」


Side out

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