サクッ…サクッ…
深く…深い森の中に
私はいた…。
「ここどこよ…迷ったの…?」
手紙を持って、やってきたのは広い、広い…森。
「私の街…どこなの…?!」
一向に迷うばかりで、どんどん森に入っていく。
大きくて白い、綺麗な満月ものぼっている…。
私は、美紅…。好奇心旺盛な16歳の少女。
遊びのつもりで手紙を持ってこの森に来たんだけど…
迷った…
この手紙は、私のお祖父様の書斎にあったもの…。
お祖父様は少し前に行方不明になった…。
この手紙には良く分からないけど、館がこの森にあると書いてある…。
もしかしたら、その館に行けばお祖父さまのことが分かるかと思ってやって来てみたけど…
なかなか見つからない…
やっぱり思い違いかしら…?
だとしたらお祖父様はどこに行ってしまったの…?
あんなに優しくてよく面白い話や、ドキドキする話…いろんな話を聞かせてくれた…。
私は、そんなお祖父様が大好きだったのに…。
そんなことを考えていたら、私のほほに一滴のしずくがこぼれた。
「な、泣いてなんかいられないわっ!!館を探さなくちゃ!!夜になっちゃったけど月明かりのおかげで道は見えるし…!!」
ただ、私はずいぶん歩いたけど…なかなか見つからない。
「もう…足が痛い…。館に着いたとしても帰れるのかしら…?館にきっと誰かいるわよね…。」
下を向いてトボトボ歩いていると、目の前に霧に包まれた館が出てきた。
「館…?!ここが…?!やったあ!!!」
手紙に書いてある特徴と大体合っている。
”赤いレンガで出来た洋風の古びた館”
「ずいぶんと古いなあ…。」
なんだか幽霊でも出そう…。
そんな事を思いつき、扉の目の前で立ち止まる。
でも…もしかしたら誰か住んでるかもしれないし…
私は勇気を振り絞って扉をたたく。
コンコンッ。
「誰か…いませんか…?」
すると突然、館の電気がついた。
「?!」