小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第27話〜人質救出、一騎討ちに願いを込めて〜















昴「賑わってるな」

俺は政務も早々に終わったので街に繰り出した。

昴「一時は政務尽くしだったけど、最近は亜莎がいるからかなり落ち着いたな」

亜莎は蓮華付きの軍師見習いという形になった。今でも俺や穏でみっちり鍛えている。

昴「さてと、何処に行こうかな・・」

辺りを見渡していると・・。

祭「おぉ、昴か、ちょうど良い!」

昴「祭さん、どうしました?」

祭「説明は後じゃ、ついてこい!」

昴「ちょ、祭さん!?」

俺は祭さんに引っ張られ、連れていかれた。


















※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


祭さんに連れられ、中央広場に着くと、そこには人だかりが出来ていた。
だけどここからでは中の様子はよく分からないな。

昴「何の騒ぎなんですか?」

祭「しぃ! ・・こっちじゃ」

祭さんは人差し指を唇に添え、慎重に人混みに近づいていった。
俺もそれに習い、気配を消して祭さんを追いかける。祭さんが止まり、人だかりの中心を覗いてみると・・。

雪「人質を離しなさい」

賊「離せと言われて、はい、そうですかーって聞けるかよ!」

爺「しぇ、雪蓮ちゃん・・」

婆「うぅ・・」

あれは黄巾党の残党か。それと人質に取られてるのは・・。

昴「あの老夫婦・・」

祭「知っておるのか?」

昴「雪蓮と仲のいい老夫婦です」

以前に紹介されたことがある。それから時たま会ったら話をしたりお茶をいただいたりしている。

祭「そうなのか? そりゃ余計にまずいのう・・」

状況から察するに雪蓮が賊を発見し、捕らえようとしたところ、奴等がたまたま近くにいた老夫婦を人質にってところか。とりあえずこの状況をなんとかしないとな。

昴「俺がなんとかしてみせます。祭さんは奴等に気付かれないように周囲を警戒しといてください」

祭「心得た」

俺の言葉を聞いて祭さんは動いた。
さてと、これ以上騒ぎが大きくなるまえに止めよう。

昴「賊ども、何の罪をないあの2人を怯えさせた罪、償ってもらうぞ」

俺は賊達に歩みよった。



















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※※※※


雪蓮side

雪「おまえたちは、この状況で人質を取って、どうするつもりだ?」

賊「どっ、どうって」

雪「まさか人殺しをしたい訳じゃないでしょう」

賊「うっ・・・そっ、そんな口きいていいのかよ? 俺達には人質がいるんだ。いつでも剣を動かせば・・」

爺「ひいぃっ!」

雪「でも殺しちゃったら、あなた達の大事な人質がいなくなっちゃうわよ。意味なくない?」

賊「あ・・」

雪「やっぱりわかってなかったのね。阿呆の相手は疲れるわ」

賊「なっ・・! てめえ、さっきから好き勝手言いやがって! なんならこのジジイだけでも殺してやろうか!?」

雪「好き勝手? ・・もしその2人に何かしたら・・・」

その時は殺してあげるわ。後悔するぐらいに・・。

私の心がドス黒い感情に支配されかけたその時・・。

昴「おまえ達」

ふと振り返ると、昴の姿があった。

賊「何だてめえは! 引っ込んでろ! それとも、俺達と楽しみたいのかぁ? ギャハハハハ!」

昴「・・黙れ」

ズン!!!

雪「!?」

何!? この殺気、昴が発しているの!?

昴「3つ数える。それまでに人質を離してとっとと消えろ。そうすれば命は助けてやる。離して消えるか、死ぬか。3つ数えるまでに選べ」

賊は動かない。私も動けない。

昴「1つ・・」

賊「な、何を言ってやがる。こっちには人質が・・」

賊「へっ、てめえに何が出来んだ!」

賊は戸惑っている。

昴「2つ・・」

賊「てめえ、立場わかってんのか!」

賊「馬鹿にしやがって! こんなジジイ殺してやるよ!」

雪「待ちなさい!」

私は慌てて賊に近づく。お爺ちゃんを助けるために。

昴「・・3つ」

カチン・・・、ズシャ!

気が付くと、剣を握っていた賊の腕が宙に飛んでいた。

賊「えっ・・・ギャアァァァ!」

賊が飛ばされた腕を呆然と見つめ、自分の腕を飛ばされた事を理解すると、痛みと衝撃で悲鳴を上げた。

昴「祭さん! お爺さんを!」

祭「任せろ!」

祭がお爺ちゃんをすぐさま、保護する。

賊「痛ぇーよ。痛ぇーよ」

昴「なら痛みから解放してやる」

ザシュ!!!

賊「ぐふっ!」

昴が腕を飛ばした賊を斬り伏せる。

賊「なっ!? お、おい!?」

賊が混乱し始める。

昴「・・ふっ!」

ザシュ!!! ズシュ!!!

賊「がはっ!」

賊「ギャア!」

昴がすぐさま地を蹴り、恐ろしい速さで賊に近づき、長剣で賊2人を一振りで葬りさる。

賊「くそ!」

賊の1人がお婆ちゃんに近づき、背後からお婆ちゃんの首筋に剣を突きつけた。

婆「うぅ・・」

賊「く、来るな・・来たらこのババアを・・」

賊がお婆ちゃんを人質に取った。しかし昴はお構い無しに賊に近づき、一度長剣を鞘に納めた。

何、何をする気なの?

昴「北辰流抜刀術・・夢幻!」

雪「!? 待ちなさい、昴!」

昴は鞘から一気に長剣を引き抜き、お婆ちゃんを斬りつけた。

雪「お婆ちゃん!」

ザシュ!!!

賊「がはっ!」

雪「う・・そ・・」

長剣は、何故か背後の賊だけが斬られ、お婆ちゃんは無傷だった。

賊「た、助けてくれ!」

昴「・・・」

ジリッ・・。

昴が賊に近づく。

賊「もう抵抗はしない。助けてくれ!」

昴「お前が赦しを乞うのは俺じゃない。・・閻魔様にでもしろ」

賊「ひぃぃー! がはっ!」

昴は長剣を一閃し賊を仕留めた。

賊「ひえ〜!」

残った賊が一目散に逃げ出した。

雪「逃がさないわ!」

私が賊を追いかけようとしたその時、昴に肩を掴まれる。

昴「俺に任せろ。あの2人の前であの状態にはなりたくないだろ?」

雪「!?」

あの状態、血を見て気分が高揚すると自分を抑えられなくあれのことだ。

雪「昴・・」

私を気づかって・・。昴が一度頷くと賊を追いかけ、程なくして賊は捕まった。
そうだ、お爺ちゃんとお婆ちゃんは? 私は2人に駆け寄った。

雪「お爺ちゃん、お婆ちゃん、大丈夫だった?」

爺「雪蓮ちゃんと御遣い様のおかげで大丈夫じゃ」

婆「肝を冷やしましたが、おかげで無事です」

雪「そう、良かった・・・ごめんね」

婆「何を謝られますか?」

雪「私が不甲斐ないばっかりに怖い思いさせてしまって・・」

爺「雪蓮ちゃんが謝ることではないですわ。儂らがボーッとしてたのが悪いんじゃからのう」

雪「お爺ちゃん・・」

婆「頭を上げてください。私達は雪蓮ちゃん達のおかげで助かりました。だから雪蓮ちゃんが謝ることではないですよ」

お爺ちゃん。お婆ちゃん。ありがとう。

爺「それにしても・・」

雪「?」

爺「あの御遣い様が雪蓮ちゃんの良人とはのう?」

雪「・・えっ// お爺ちゃん突然何を!?」

爺「違うのかのう? 2人が楽しそう歩いているのを見かけたからてっきりそうなのかと思ったんだがのう」

雪「あはは・・」

正確にはまだ・・だけどね。

婆「御遣い様は聡明でご立派なお方です。ぼやぼやしていると他の方に先を越されるかもしれませんよ?」

あぁ〜、確かにね〜。楓に穏に明命。あの思春に冥琳もだしね〜。

雪「私も頑張らなくちゃね!」

爺「応援しとるぞ!」

婆「困ったことがあればいつでも相談にのりますからね」

雪「うん! ありがとう、お爺ちゃん、お婆ちゃん!」

ふふっ。私も皆に先を越されないように頑張らなくちゃ。
私の闘志に火がついた瞬間だった。


















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴side

昴「では、よろしく頼むぞ」

兵「了解しました」

賊達が兵達によって連れていかれた。残りの賊は捕らえることにした。黄巾賊の残党なので何か情報が得られるかもしれないからだ。

昴「それにしても・・」

夢幻。久しぶりに使ったな。あれは人をすり抜けて後ろの敵を斬る技だ。すり抜ける対象の氣を同調させ、それを刀に込めることでこのような現象を生む。ただ扱いが難しく、失敗すれば対象ごと斬ってしまう危険な技だ。たまに会ってるお婆さんだからこそ成功できた技だ。

昴「あの賊達・・」

奴等はおそらく街の偵察にでも来たのだろう。残りの黄巾賊の残党との決戦も近そうだな。俺は一緒の予感を感じた。



















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※※※※


次の日、いつものように自室で政務に勤しんでいると・・。

雪「す〜ばる♪」

ポヨン・・。

昴「おっ?」

突然後ろから抱きしめられた。

昴「雪蓮、どうしたんだ?」

雪「会いに来ちゃった♪」

昴「会いに来たって、仕事はどうしたんだよ」

雪「それは・・・えへへ」

昴「まったく・・・それと・・雪蓮、さっきからその、胸が当たってるんだが」

雪「ん? 当ててるんだけど?」

昴「・・はぁ。それで、一体何の用だ?」

雪「ん〜? 昴にお願いがあって来たのよ」

昴「お願い?」

スッと雪蓮が俺から体を離し・・。

雪「ねえ昴。一度、私と本気で戦ってもらえないかしら?」

昴「俺と雪蓮がか?」

雪「ええ。それでもし私が勝ったら私のお願いを1つ聞いてくれない?」

昴「・・・」

雪蓮とか。一度本気で戦いと思ってたんだよな。

昴「分かった。いいよ」

雪「!? ホント!?」

昴「ああ。構わないよ」

雪「それじゃ、約束だからね  勝負は・・明日がいいわね。それじゃまたね!」

雪蓮は部屋を去っていった。
雪蓮と勝負か。なんかここに来てから一騎討ちばかりしてるな。雪蓮は手強そうだな。

昴「よし、明日のために早めに仕事を終わらせてさっさと寝るか」

俺は再び政務に戻った。

















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


さらに翌日。俺は城の庭に来ている。

雪「来てくれて嬉しいわ」

昴「ま、約束したからな。・・・それにしても・・」

楓「大将も旦那も頑張れよー!」

明「雪蓮様、昴様、頑張ってください!」

祭「ふむ、楽しみよのう」

蓮「姉様と昴。一体どっちが強いのかしら」

冥「まったく。雪蓮には後でゆっくり政務についてもらうわ」

相変わらず孫家の面々が勢揃いしている。

雪「それでは始めましょう。準備はいい?」

昴「いつでも構わないぜ」

雪蓮が南海覇王を抜き、俺は村雨を抜く。

雪「思春、合図を」

思「はっ」

思春が右手を上げ。

思「それでは、始め!」

雪「はぁ!」

昴「ふっ!」

ガキン!!!

俺と雪蓮の得物が交差する。一度距離を取り、再度接近する。

ガキン! ガキン! ガキン!

雪「ふふっ、やるわね!」

昴「雪蓮もな!」

勝負はまったくの互角だ。

仕掛けるか・・。

俺は縮地で一気に距離を詰める。雪蓮の正面から攻撃、と見せかけて、雪蓮の脇をすり抜け、背後から背面斬りを狙う。

雪「!?」

雪蓮は不意をつかれたようだ。

勝負あり。

そう思ったその時・・。

ガキン!!!

昴「!?」

雪蓮は背後に剣を向け、こちらを見ずに俺の村雨を受け止めた。

昴「ちっ!」

一旦雪蓮から離れる。

昴「読んでいたのか?」

雪「何か嫌な予感がしたのよね〜」

・・勘かよ。

雪「ふふっ。楽しいわ。どんどん行くわよ!」

雪蓮が地を蹴り、俺に一気に接近する。

ガキン!!!

昴「くっ!」

ガキン! ガキン!

雪蓮は間髪入れずに攻撃を繰り出す。

一息もつかない代わりに一息もつかせないつもりか!

雪蓮は常に懐に飛び込み、連続攻撃を繰り出す。こっちは通常より長い刀を使用している。射程が長い代わりに懐に飛び込まれると防戦一方になる。しかも雪蓮はさっきからこっちの隙を的確に突いてくる。思春の時と違い誘導しているわけではないのでこちらは手を出せない。

歴史に名を残す王は武や知が優れていたり、人を惹き付ける魅力があったり、神がかり的な勘の良さを持っていたりするが、雪蓮の場合、その勘はもはや予知レベルだ。

雪蓮は今も懐に接近をして、間髪入れずに攻撃を繰り出してくる。一度距離を取らないと始まらない。俺は雪蓮の斬撃を受ける刹那、村雨を手放す。

雪「!?」

俺は雪蓮の胸に掌打を打ち込む。

雪「ぐっ!」

雪蓮は咄嗟にガードするも後方に弾かれる。とりあえずこれで距離を取れたな。さてどうしたものか。雪蓮の実力は春蘭とそれほど大差はない。ただ、挑発すれば頭に血を昇らせて突っ込んでくる春蘭と違い、的確に相手の追い詰め、自身の隙を勘で補いながら戦う雪蓮は俺の苦手の相手だ。言わば天敵だ。ここはあれしかないな。俺は朝陽と夕暮を引き抜く。

昴「スー・・、フゥー・・」

俺は大きく深呼吸をする。俺の取って置きの1つ、双剣奥義・・。

昴「喪神夢想・・」

俺は四肢の力を抜き、雪蓮に対峙をした。

















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※※※※


観客side

蓮「急に動かなくなったけど。姉様は何故行かないの?」

祭「ふむ、それは昴に変化が現れたからです」

蓮「変化?」

祭「隙だらけなのですよ」

蓮「隙だらけ? それならば何故姉様は行かないの?」

祭「確かに並の者ならばそれでも良いでしょう。しかし相手は昴です。蓮華様、もし今まで隙をほとんど見せなかった相手が急に隙だらけになったらどのように考えます?」

蓮「!? なるほど、だから姉様は・・」

祭「じゃが、策殿の気性ならば罠とわかっていても向かっていってしまわれるでしょう」

蓮「いくら姉様でも・・・あっ!」

雪「はぁ!」

ブォン!!!

雪蓮は地を蹴り昴との距離を詰め、剣を一閃する。昴は最小限の動きで剣を避ける。

雪「まだまだ!」

続けざまに雪蓮が昴に波状攻撃をする。しかし昴はいずれも最小限の動き、あるいは手持ちの双剣で防ぐ。

祭「(昴は先ほどからまったく手を出せない。その割りに策殿から離れようとはせん。何故じゃ? 何を狙っている。・・いや待っている? ・・まさか・・・。)」

雪「この、当たりなさい!」

祭「いかん、策殿!」

雪「えっ?」

ガギィィィィン!!!

その瞬間、雪蓮の南海覇王は宙を舞い、雪蓮の首筋に双剣の片割れが突き付けられていた。

昴「俺の勝ちだな」



















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


雪蓮side

急に昴が隙だらけになった。相手が昴じゃなきゃ遠慮なく行くんだけど。

私の勘が行くと危ないと言ってる・・。

昴はさっきから変化がない。

雪「(いいわ、何が待っているか見せてもらうわ。)はぁ!」

私は昴に向かっていった。

ブォン!!!

私の一撃は避けられる。

雪「まだまだ!」

私は先ほどまでのように一切の間を与えず、攻撃を繰り出す。しかし昴には一切攻撃が当たらない。昴は手を出さない。かといって、距離も取らない。

何? 昴の狙いは何なの?

攻撃当たらない、昴が何も手を出さないことに段々苛立ってきた。

雪「この、当たりなさい!」

祭「いかん、策殿!」

雪「えっ?」

渾身の一撃を繰り出そうとした瞬間・・。

ガギィィィィン!!!

気が付けば私の南海覇王は飛ばされ、首筋には剣を当てられていた。

昴「俺の勝ちだな」

何が・・起こったの?

思「勝者、御剣昴!」

私は敗北した。

昴「ふぅ、さすがに雪蓮は強いな。まさかあれを使わされるとはな」

雪「あれ? 急に隙だらけになったのと関係あるの?」

昴「もちろん。俺の奥義の1つ喪神夢想」

雪「喪神夢想・・」

昴「俺のあの構え、雪蓮から見れば隙だらけに見えるけど、あれは1番俺にとって前後左右に動きやすい構えなんだ。そして俺は雪蓮そのものではなく、雪蓮の氣を見ていた」

雪「私の氣?」

昴「喪神夢想の極意は相手の攻撃を避け続け、ここぞという時に渾身の一撃を浴びせることにある。俺は雪蓮の氣を見定め。雪蓮が焦って大振りの一撃を繰り出す瞬間を狙いうつ。氣ってのは正直だから言動や行動、表情より先に変化が現れるからな」

そういうことなの・・。でもそれって・・。

雪「そんなの無敵じゃない」

昴「そうでもない。この奥義には弱点もある。まず、1対1にしか対応出来ない。1人に集中するから。横槍を入れられたらイチコロだ。もう1つはこれはあくまで後の先、返しの技だ。相手が向かってこないと意味をなさない」

雪「つまり相手がじっとしてたら・・」

昴「まぁ、どっちかが動くまでお見合いだろうな」

雪「そう・・」

やっぱり私の勘は当たってた。

雪「あ〜あ、負けちゃった。ぶー、せっかく昴に1つ言うこと聞いてもらおうと思ったのにー」

昴「それは残念だったな。・・ところで、何をお願いするつもりだったんだ?」

雪「秘密よ秘密。昴には教えてあげなーい」

昴「何だよそれ、勿体振らないで教えてくれよ」

雪「駄目よ、次勝ったら聞いてもらうつもりなんだから」

昴「えー、・・分かったよ」

雪「次は負けないわよ♪」

昴「楽しみにしてるよ。それじゃ俺は政務に戻るかな。観客もいつの間にかいないしな」

ホントね。大方冥琳に解散させられたのね。

昴「それじゃ、またな」

昴は自室に戻っていく。

冥「雪蓮、あなたが真面目に仕事をするって言うから昴との戦いを許したのよ。早速仕事してもらうわよ」

雪「ぶー、はぁい」

冥琳に腕を引っ張られ、自室に連行されていく。

あーあ、昴に勝ってお願いを1つ聞いてほしかったのに。

私のお願い、それは・・。

昴との子供を産ませてほしい。

昴はいつかここを離れるから夫婦はきっと無理。でも子供ならと思った。たとえ私がいなくても蓮華が孫家を引っ張っていってくれる。

雪「ふふっ、諦めないわよ。いざとなったら夜這い朝駆けしてでも・・」

冥「何か言ったか?」

雪「言ーえ、何も♪」

私は密かに悪巧みを企んだ。



















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴side

ブルッ!

昴「何だ? 一瞬悪寒が・・・まぁ、気のせいだろ」

俺は気にせず自室に戻り仕事を始めた。当然悪い予感は当たった。











続く

-28-
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