小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 とある場所で。

 「おのれぇ…最後に現れた奴は一体何や!?トンでもない力やったえ!?」

 怒り心頭で叫ぶのは木乃香の拉致に失敗したあの女。
 計画を邪魔された事が相当に頭にきているらしい。

 「彼は氷薙稼津斗…此の春から着任した新任教師でありながら既に麻帆良最強といわれている男だよ。」

 「新入り、あいつの事知っとたんかい!?」

 現れたのは詰襟のような服を着た白髪の少年。
 その表情からは一切の感情が伺えない。

 「噂でだけど…『漆黒の格闘士(ブラック・ファイター)』『銀の炎を纏う者(シルバー・フレイム)』なんて二つ名まであるくらいだよ。
  そして彼が着任してから、麻帆良を襲撃した妖魔の類で戻ってきたものは1体も存在していない。」

 「な、何やて…?」

 「彼は如何にかしておかないと危険だね…」









 ネギま Story Of XX 11時間目
 『大仏はデカイ!』









 『それでは麻帆良中の皆さん「いただきます」』
 「「「「「いただきまーす♪」」」」」

 修学旅行2日目の今日、矢張りと言うか何と言うか3−Aの面々は朝からテンションが高い。
 幾つかのクラスが集まっている此の大広間に於いても其れは変わらない。
 其々、今日の予定や何やらを話しながら実に賑やかな朝食風景。

 「せっちゃん何で逃げるん――――!?」
 「刹那さ―――ん!」

 「わ、私は別に――…!」

 挙句の果てにはネギ&木乃香と刹那の追いかけっこが始まり、

 「あ、クスハちゃん此れ食べる〜?」
 「♪♪♪」

 クスハは皆からご飯を分けてもらってご満悦。

 「楓、おかわりくれるか?」
 「あいあい。」

 「相変わらず良く食べる。和美、今ので稼津斗にぃは何杯目だい?」
 「10杯目。」
 「えぇぇ、お櫃のご飯余ってますか〜?」
 「あかん、今ので空になったわ。」

 チートキャラの食欲はバグってた。








 ――――――








 「でも、昨日はあの猿女を無事追い返せてよかったね。木乃香と刹那さんも仲良く(?)なってさ。」

 「はいっ。でもあの悪いお姉さんはまた来るかもしれないので気を付けないと。」

 朝食を終えた一行はロビーへ。
 ネギと明日菜は昨日の事を話している。
 警戒を怠らないようにと言うネギの考えは、まぁ当然の事だろう。

 「警戒をしておくに越した事は無い。尤も今日1日は大丈夫だと思うが。」

 そんなネギに稼津斗は大丈夫だと言う。
 意味を理解できていないネギにエヴァが補足説明。

 「昨日の今日で襲ってくるほど敵も馬鹿ではないだろうと言う事だ。
  まして予想外の戦力によってこのかの拉致に失敗したのだ、何かしらの対策を立てるのが普通だぞ?」

 「でもさ、来る可能性も有るんだよね。」

 明日菜の意見もまた然り。

 「確かに。なれど、そうならば連中は唯の三流以下。逆に返り討ちにして其れで終わりにござるよ。」

 が、其れならば逆に楽だと楓が言い放つ。
 まぁ確かに此の件に関わっている面子を考えれば相手が誰だあろうと最終的に負ける確立など0であるが…

 「そう言う訳だ。今日は奈良を楽しめ…ゆっくりな。」

 話を切り上げたところで…


 「ネギ君、今日ウチの班と見学しよ―――――!!」

 まき絵襲来。
 そうなると勿論…

 「ちょっ、まき絵さん!?ネギ先生はウチの3班と見学を!!」

 委員長・雪広あやか乱入!

 「あ、何よ――!私が先に誘ったのに――――っ!」
 「ずる―――い!だったら僕の班も―――――!」

 抗議するまき絵に、更に鳴滝姉まで加わる。

 「ネギ先生、ぜひ3班に!」
 「ネギ君4班、4班ー♪」
 「1班!」
 「何々、またネギ君争奪戦ー?」

 「あうぅ〜〜!!」

 勃発!担任争奪戦in京都!
 止めるものなど誰も居ない。

 「…もてるな少年。」

 「その辺も父親(ナギ)の遺伝だろう。奴も無意味にフラグを建てていた記憶があるぞ。時に明日菜。」

 「なに、キティ?」

 「その、何だ…今日の奈良なんだがな、お前達が嫌じゃなければ、その…私達の班と回らないか?」

 突然のエヴァからの誘いだが、勿論断る明日菜ではない。

 「良いに決まってるでしょ?てか親友からのお誘いを断るわけ無いでしょ?」
 「う…む…」

 言い切られ詰まってしまう。


 「その友情、美しき也……か?」

 「だね。エヴァちゃんのあんな顔は貴重さね。」

 「確かに。さて、そろそろ移動するとしようか…ネギは2班と5班の混合組みと行くみたいだな。」

 争奪戦は結局エヴァの一声で終結。
 流石は真祖の姫である。
 移動を開始しようとしたところで…



 ――くいくいっ



 楓の後ろ髪が誰かに引っ張られる。

 「おろ?」

 振り返ってみれば、縛ってある布の部分を咥えたクスハが。

 「…一緒に行くでござるか、クスハ殿?」
 「〜〜♪」

 クスハ4班に編入。
 ロビーの一角では争奪戦の敗者が最終回状態だったが、すぐ復活するだろうから放っておこう…











 ――奈良・大仏殿



 さて班別行動なのだが、ネギ率いる(?)2班・5班合同組みは奈良公園へ。
 稼津斗は1班・4班と此の大仏殿へ。

 3班は…まぁ委員長が居ると言う事から推して知るべし。


 「カヅ先生は大阪出身なのに関西弁じゃないね。」

 「何を今更…確かに俺は大阪出身だが両親は東京の人間だ。日常会話は標準語だよ。
  大体『訛り』は将来的に就職とかでマイナスになる場合が多いんだ、治せるなら直しておいた方が良い。」

 「だってさ亜子。」

 「ウチは大丈夫。永久就職先決めて有るから。」

 「ほう、其れは奇遇だね亜子。実は私もだ。」
 「何を隠そう拙者もでござる。」

 「「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!!!」」」」」」」」」



 以上、お堂への道のりでの会話である。
 相手が誰とまでは言わなかったのはまぁ当然だろう。
 相手を言ったら稼津斗が大変だしね。


 で、大仏殿内部。
 如何に3−Aメンバーと言えど此処で騒ぐ様な事は流石にしない。
 鳴滝姉妹ですら静かにしている。
 『建物内では静かに』との札のせいもあるが、如何やら生で見た大仏の迫力に圧倒されたらしい。

 「…凄いな。」

 稼津斗でさえ此れだけしか言えなかったのだ。
 否応にも『気』の違いを感じさせられる。
 とは言え余り長居は出来ないので、大仏に全員で手を合わせ今度は奈良公園へ。
 其の途中、皆でおみくじを引く事にした。


 「やった大吉!」
 「僕も大吉ー!」
 「いいなぁお姉ちゃん…私は吉。」
 「ウチは中吉やゆーなは?」
 「末吉っす。」
 「私は吉。」
 「うげ、凶か…」
 「大吉来たー!」
 「末吉…まずまずかな。」
 「拙者小吉でござる。」
 「やったね大吉!!」
 「私も大吉アル!」

 此処で桜子が流石の強運ぷりを発揮。
 まぁ大吉はそれなりに出てはいるが…
 で、稼津斗はと言うと、

 「……」

 「如何だった稼津斗にぃ。」

 「…此れは如何なんだ?」


 稼津斗のおみくじ、其れは…


 『最凶』


 「「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」」

 「平仮名で書いた場合には間違ってないと思うんだが…何だろうな此の言いようの無い敗北感は。」

 誰の何も言えない。
 突っ込みも入れられない。
 それ以前に此れおみくじ?

 「まぁ所詮は運試し、気にしたら負けか。」
 「其れが良いでござるよ…」

 気を取り直して奈良公園へ。

 で、其の奈良公園でクスハが鹿に何故か好かれていたという事を追記しておく。








 ――――――








 ――ホテル嵐山・露天風呂



 班別行動を終えホテルへ戻ってきたネギと稼津斗は取り合えず温泉へ。
 昨日は刹那の乱入等があってゆっくり入れ無かったので存分に満喫中。

 「まさかあんなに大きいとは思わなかったよ。」

 「写真と実物は違うって事だ。アレだけの物を全て人力で作ったというんだから恐れ入る。」

 内容は班別行動の奈良について。
 生の大仏や鹿は矢張り新鮮である。

 「しかし、何と言うか今夜辺り何か起きそうな気がしてならないんだが…」

 「え!?また昨日みたいなことが…」

 「否そうじゃなくて、3−Aの連中が2日目の今夜何も起こさないと思うか?」

 「……思わない。」

 脱力。
 此の非常識軍団として有名な3−Aが修学旅行で大人しくなどありえない。
 寧ろ何で昨日の夜が静かだったのか謎な位である。

 「いっそ俺達も一緒に騒ぎに加わった方が色々と楽かもな。」

 「カヅトまで一緒になったら誰も止められないよ〜!」

 ご尤も。

 「だが止めようと参加しようと新田に見つかれば俺等も一緒に正座だぞ?」
 「どっちに転んでも逃げ場無し!?」

 そうなのである。
 止めようと参加しようと『鬼の新田』に見つかった時点で正座は確定。
 担任&副担任のネギと稼津斗も其れからは逃れられないだろう。



 そして此の日の夜、実際トンでもない騒ぎが起きるのであった…



















  To Be Continued… 

-11-
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