小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ヘルマン襲撃から数日。
 其の間に起こった事と言えば、

 ・小太郎が正式に麻帆良に編入(住まいは強制的に寮の千鶴の部屋)
 ・記憶を取り戻したことで天才にクラスチェンジしたアスナに事情を知らない3−A生徒驚愕。
 ・稼津斗達が異世界を訪れ、新たな仲間が増えた。(番外編『最強×最強=…?』参照)

 まぁ色々合ったが基本的には平和そのもの。
 新たな仲間『リインフォース・イクサ』もすっかり馴染み、3−Aのメンバーとして暮らしている。(普通の人間大になれるので転校生と言う事にした)

 そんな平和な中稼津斗とネギの教師2名にはちょっとした悩みが…

 「出来れば今日中に出し物を決めたいものだな。」
 「昨日みたいな事にならないようにしないとね…」

 悩みの種は学園祭の出し物。
 昨日の時点で『メイド喫茶』が最有力候補だったが案の定生徒が暴走し廃案。
 おまけに新田による説教と正座を喰らう羽目になってしまった…

 只今学園祭前の名物である『超包子』の屋台で皆(稼津斗組、ネギ組、修行組(アキラ、夕映、千雨))で朝食の真っ最中。

 ―どうぞ、特製スタミナスープ。サービスです。元気出ます…♪

 屋台の料理長を務める四葉五月の心遣いは何ともありがたかった。











 ネギま Story Of XX 22時間目
 『学祭準備と騒動と』









 さて、屋台での五月の心遣いですっかり元気になったネギは、

 「え〜其れでは皆さん!学園祭の出し物を何にするかですが…」

 やる気満々となり、又稼津斗は、

 ――美味いスープだったな、レシピ教えてもらうか。…尤も俺じゃまともな物にならんから裕奈か亜子に覚えてもらうか。

 考えてる事は全く以って如何でもよかった。

 さて、クラスの出し物だが、

 「そうは言っても、そいつは難しい問題ですぜネギの親分…」
 「あぁ…メイドカフェを越える集客力となると…なかなかね…」

 ネギの気合とは裏腹に裕奈と和美が苦言を呈する。(因みに昨日の暴走の元凶はこの2人)
 だが、3−Aのメンバーにとってこの程度の意見などなんのその!

 「ハイハーイ!」
 「さ、桜子さん!」
 「『ドキッ☆女だらけの水着大会・カフェ』がいいと思いまーす♪」

 本日の暴走の引き金は桜子であった。

 「なんですか其れは…全く以って意味が分りません。それ以前に其れは『カフェ』なのですか?」

 「え―――、普通に楽しそくない?ポロリもあるよ♪」

 リインの突っ込みも何のその、『無理を通して、道理を蹴っ飛ばす』のが3−Aの基本である。

 「「…それだ!」」
 「「ウソつけ〜〜っ!!」

 この提案に裕奈とハルナが音速で反応し、更に亜子と夏美の光速の突っ込みが入る。
 が、一度点火した暴走のダイナマイトは止まらず、寧ろ大爆発をするのがお約束。

 「じゃあじゃあ『女だらけの泥んこレスリング大会喫茶』!!!」
 「バカだ!」
 「バカが出た!!」

 「『ネコミミラゾクバ―――ッ』!負けねーぞ!」
 「イミわかって言ってんの―――!?」

 「もう素直に『ノーパン喫茶』でいいんじゃないかしら?」
 「「「それだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
 「『それだぁぁぁぁ』じゃないでしょう。どんな喫茶よ訳が分からないわ。」
 「80年代に実在したと記録にありますが。今は違法のようです。」
 「何歳なんだあのおばはん…」

 教室内は怒号が飛び交い、混沌空間の出来上がり。

「あ、あの、オンナダラケとかノーパンキッサとか全然イミが分からないんですが…」
「ナニサセラレルノ?」
 「(ガクガク、ブルブル)」

 あまりな内容に、ネギと史伽とのどかは震えてマジ泣き。

 「うむ、君達は生涯知らなくて良い事だ。
  そして良い子は意味が分からなくても決してお父さんお母さんに尋ねてはいけない。
  君達とお姉さんとの約束だ!いいね?」

 常に冷静沈着、クールな仕事人の真名が引きつった笑いをを浮かべ冷や汗を垂らしている辺り、混沌空間の凄まじさが覗える。

 「大体あなた達が騒ぐからメイドカフェと言うのが中止になったんですわよ!」
 「いいんちょだって騒いでたでしょ!」
 「……誰がおばさんですって?」
 「!!何時の間に後ろに…!?」

 混沌空間は加速の一途を辿り、最早ネギでは収拾不能。

 「やれやれ、矢張りこうなったか…ま、予想はしていたが。」
 「このクラスを抑えるのは至難の業にござるよ。」
 「数日前勇壮に戦っていた少年にはとても見えませんね。」

 稼津斗、楓、刹那も呆れ気味(でも止めない)
 そして混沌空間は尚も増大中。
 遂にネギが標的にされて剥かれ始めていた…(少年を『ノーパン』と言う思考回路に驚きだ…)
 当然アスナとあやかは止めようとするが、相手の方が多すぎる。

 「さて、そろそろか…」
 「何がです、稼津…「コラ――!お前等朝っぱらから何を…」成程こう言う事ですか…」

 騒ぎを聞きつけ『鬼の新田』参上。
 加えてタイミングが良いのか悪いのか、出くわしたのはネギが半分脱がされている状態…

 「なっななななな何をやっとるか―――――――!!!全員正座―――――ッ!!!」

 「まぁ、そうだろうな。少しは学べ。」

 結果3−A全員が強制正座でネギは稼津斗共々、みっちりと新田に説教を喰らったのだった。(但し稼津斗は完全に聞き流していたが)



 で、其の日の放課後。

 「うぅ…僕ってダメ先生…」

 ネギはすっかり落ち込んでいた。
 気合を入れた直後のアレでは凹むのも仕方ない。

 「あははすっかり落ち込んじゃった…」
 「ちょっとやりすぎちゃったかな〜…」
 「『ちょっと』ではなくやりすぎだ貴様等。」
 「少しは自重しなさい。」

 そんなネギを物陰から稼津斗組とネギ組、修行組が覗いている。

 「大丈夫かよ?相当落ち込んでるぜ?」
 「ご主人は悩み始めるときり無いですからね…」
 「確かにな。だが3−Aは根本的にはネギの味方だ……彼女みたいにな。」

 そういった先、ネギの目の前には五月が。


 「よ、四葉さん…」

 ―……夕御飯…食べていきませんか?


 そして意外な提案をしてきたのだった。








 ――――――








 ――超包子・屋台


 朝以上に賑わっている屋台のカウンター席で、ネギは五月の料理の腕に感激していた。
 木之香の料理を食べつけているネギでも、そもそもの『格』が違うと実感してしまうほどの美味しさなのだ。

 ―……少しは元気…出ましたか?
 「え…あ、はいっ!」

 其れを聞いて五月もにっこり。
 自分の料理、食べ物で誰かに元気を…其れが彼女の夢。


 「流石ね五月は。」
 「当然だな。奴は現実に根を張り前を見つめているからな。」

 アスナとエヴァも感心。

 「あの分なら大丈夫か?」
 「多分……ところで稼津斗さんは今日はなに飲んでるんですか?」
 「中華に合わせて燗した紹興酒。少々クセが強いがザラメと乾燥ハイビスカスを入れて飲むと美味いぞ?」

 先程ネギの様子を覗き見ていたメンバーは少し離れた場所に陣取って食事中。

 「先生お酒強いね。」
 「稼津君はウォッカ1瓶空けても全然酔わないからね〜。」
 「マジかよ…どんなアルコール分解要素もってやがんだ?」
 「千雨ちゃん、稼津兄に常識は通用しないよ?」

 こっちはこっちでまぁ賑やかだ。

 「おろ?新田先生がネギ坊主の隣に行ったでござるな?」

 適当にアルコールが入った新田がネギの隣のカウンターに。
 ほろ酔い気分か、今朝方の『言いすぎた』とのたまい一杯進めてくる始末。
 瀬流彦が慌てて別の飲み物を勧めている。

 教師陣が加わり、ますます賑やかだったのだが……暫くして、


 「ネギ君、なんか様子変やない?」
 「どうかしたのでしょうか?」

 何故かネギがカウンターに突っ伏している。
 よくよく見れば震えているご様子。

 「あいつ、大丈夫かしら…?」
 「まぁ先生達がついとるし…」


 「瀬流彦君、こりゃ甘酒だよ!?」
 「えぇ―――っ、しまった!?あっちゃ〜…」



 ――ガッターン!



 まさかの展開に稼津斗達は(エヴァまでもが)ずっこけた。

 「よ、酔っ払ったのかネギ…」
 「と言うか何故甘酒で酔うか?酔わないだろう普通1杯程度で…」

 「あら?今度は高畑先生ですの?」

 ずっこけてる間に今度はタカミチがネギの席に。
 なにやら話をしているようだが…


 「うわ〜〜ん!僕は…僕は全然ダメダメなんです!ダメ先生でダメ魔法使いなんです〜〜!!」

 遂に酒の勢いを借りて爆発した。
 2日続けての生徒の暴走は思った以上に堪えていたらしい。

 「よもやの泣き上戸とはね…」
 「取り合えず、落ち着かせるとしよう。」








 ――――――








 結局、酔っ払いネギは、亜子が睡眠魔法を掛ける事で落ち着かせた。

 「…こりゃあ動かさない方が良いだろうな。まだ子供だし。」
 「古菲、こいつ屋台に寝かせておける?」
 「OKアルヨ。」

 古菲に頼み、ネギは屋台で休ませてもらう事に…

 「ごめんね古菲、五月。私明日配達の時此処寄るから。」
 「任せるアルよ――!」

 ネギを屋台に残し、一行は帰宅。

 全員が帰った後、五月はなにやら寝言を言っているネギに毛布を掛けてやっていた。







 ――翌朝


 「ん・・・?」
 「酔いは覚めたかネギ?」

 目を覚ましたネギに話しかけるは稼津斗。
 昨夜は、全員を送って行った後此処に戻ってきて1晩泊めてもらったのだ。

 「か、稼津斗!?」
 「流石に心配でな…それよりお礼を言わなきゃいけない人が居るだろ?」

 言われて、慌ててネギは屋台の外へ。



 ―…おはようございます♪

 「あの…昨晩はご迷惑をおかけして…」

 ―あ…覚えてました?昨日のこと…

 「はい…」

 ―さすがイギリスの人はお酒強いですね


 しばし静寂。
 屋台の周りには五月が箒で掃除する音だけが静かに響く。

 一方で、


 ――稼津斗にぃ、ネギ先生の様子はどうだい?

 ――今は四葉と何か話しているみたいだが…まぁ心配は要らないだろう。


 稼津斗は屋台内で念話通信。


 ――とは言っても昨日の今日だ。LHR、暴走するなよ?…特に裕奈と和美。

 ――あ、あはは…
 ――ぜ、善処するよ稼津兄…


 一応、暴走しやすい2名には釘を刺しておいた。







 「偶に思うんです…僕のこの頑張りって、至らない部分を誤魔化すための一種の現実逃避…嘘なんじゃないかって…」

 ―そんなことないです……嘘なんかじゃないですよ。

 落ち込むネギの肩に手を置き、五月は珍しくハッキリした口調で告げる。

 「誰かを恨んだり、何かから逃げるために手に入れた力でも……其れは立派なあなたの力ですネギ先生!!
  恥ずかしいなんて思わないで!…ホラ!元気出して♪」

 呆けるネギの背中に平手一発気合注入!
 一瞬驚くが、

 「…ハ…ハイ四葉さん!」

 思った以上に効果はあった様子。

 ―がんばって……♪








 ――同日LHR


 「さて、出し物の案は色々と出たが、今もって全く決まっていない。」
 「なのでみんなのアイディアの中から、僕と稼津斗で厳正に選考と抽選をした結果、
  3−Aの出し物を『お化け屋敷』に決めたいと思うのですが…ど、どうでしょうか?」



 ――しぃ〜〜〜〜ん…



 教室内が静まり返った。
 更に、



 ――ガタン!



 何人かの生徒が一斉に立ち上がる。

 「はぅ!やっぱりダメ〜〜!?」

 またもや決まらないのかと思ったが…


 「「「「「「いいんじゃない!?」」」」」」

 親指立ててサムズアップ。

 「……あ。」
 「決まったみたいだな。」

 ようやく決まった事に教師2人も安堵。
 だが、決まったからと言って終わりではない。
 
 「よぉ―――っし!そうと決まれば思いっきり怖い奴を!!!」
 「お化け屋敷ならお化け屋敷で、いろいろやりようは有るってモンよ〜〜〜!」
 「「「お―――!!」」」
 「いや、それだけだとツマラナイからやっぱ『ヌーディストお化け屋敷』!!」
 「それだぁぁ!!」
 「いや、本当に意味が分からないわよアンタ達!」
 「それ、ネギ君脱がせ〜〜!!」
 「ええええ〜〜〜!?何で僕〜〜〜!?」

 決まった所で矢張り暴走。

 「裕奈と和美が何をしなくても暴走はするようですね。」
 「このクラスの暴走はある意味日常茶飯事にござるからなぁ…」
 「でもま、」
 「偶には止める側に回りますかね?」


 暴走する生徒、そして其れを珍しく止める裕奈と和美。
 其れを手伝うリインと亜子。

 稼津斗はエヴァ、アスナと共に溜息。


 だが本日の騒動は、新田が参上する前に沈静化した。



 ―……よかった♪























  To Be Continued… 

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