小説『とある絶望の幻想現実』
作者:コンダクター()

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「あァ、だりィ」

真っ白な学園都市最強の少年は今現在、学園都市最弱の部類で生きる自分よりもはるかに強い最強少年に呼び出されて指定された場所へと向かっている。その手には缶コーヒーが詰まったコンビニの袋が握られており、全て同じ銘柄が入っている。

「あいつが呼び出す用って何だァ?」

学園都市第1位の少年一方通行は自分を凌駕する最強少年暁冬風が自分を呼び出した理由を思案する。
彼は自分の仕事を嫌っているので緊急のとき意外は誰にも手伝いを頼まない。会話したときにピンチだとは聞いたが、自分より強い彼がそう簡単にそんな状況に陥るとは思えない。

「……」

一方通行はコーヒーを飲み終わると少しだけ歩く速度を速めた。彼は自分を親友と呼び、一緒に居てくれる。ならばその親友がピンチに陥っているのならば自分が助けよう。そう思っての行動だった。











★☆★☆★











「最悪な目にあった……」

フレンダから逃げ切り、別の階に逃げ壁にもたれ座り込んで休んでいた。爆弾を使い自分の領地(テリトリー)を決めて戦うフレンダは冬風はアイテムの中で正直最悪の敵だ

「で?いつまでそこに居る気だ?最愛」
「ばれてましたか」
「何年兄貴やってると思ってるんだ」
「超今はもう違いますけど」
「何言ってやがる。俺はお前の兄でお前は俺の妹だ」

冬風は立ち上がり数メートルはなれたところにいる最愛に向き合う。

「侵入者は超速攻で殺します」
「妹に負ける兄なんて聞いたことがねぇよ」

飛び掛って窒素装甲を使っている最愛は驚くべき速度で冬風の懐に入ってくる。冬風はサイドステップで最愛の攻撃を避け、そのまま宙返りして距離をとる。

「そんな単調な攻撃だと当たんないよ」
「超言いますね。超普段はお玉すら避けられないくせに」
「寝ぼけてるところにいきなりとんでもないスピードでお玉飛ばされたら誰だって当たるだろ」

冬風が手を上げて答える。朝、最愛は冬風をたたき起こすのにお玉をよく使っているのだ。起き抜けに高速で飛んでくるお玉を避けられるはずもなく毎回毎回涙目になりながら覚醒するのだった

「じゃぁ超そろそろ寝てください!」
「まだ遊ぶに決まってんだろ!」

最愛の打撃のラッシュを冬風は避け続ける。冬風は未だに一度も最愛に手を上げてはいない。最愛が一旦ラッシュを終え。距離をとったとき、いきなり冬風の携帯がなり始めた。

「最愛ストップ。ちょっと待って」
「超嫌です」
「しゃぁない。どうした?」

好機と判断した最愛の攻撃を逃れつつ、当麻からかかってきた電話に出る。

『着いたぞ。冬風』
「あぁ、それならそこに居ろ」
『分かった』

短い会話だが、お互い伝えたいことは伝えた。冬風は電話を切ると空間移動をして最愛の後ろに現れる。

「最愛、少しだけ待っててくれ。すぐに戻ってくる」
「はい?」

いきなり後ろに現れてそんなことを言い出した冬風に困惑する最愛だが、そんな様子は気にも留めず冬風は空間転移でどこかへ行ってしまう。

「なっ……は?!」

いきなりのことで呆然としてしまう最愛を残し、冬風は当麻の元へと飛んでいった。












★☆★☆★☆











「当麻!」

冬風は空間転移で当麻の目の前に現れる。

「おわ!?びっくりした」
「持ってきてくれたか?」
「あぁ、でもこれって最愛ちゃんに渡すものだろ?」
「それが最愛にばれかけてな自分で持っておこうと思ったんだ」
「そうか、でも何でこんなところに?」
「ん〜、工場見学?」
「言う気無しってところか」
「分かってるじゃねぇか」

ここまで持ってきてくれたのに申し訳ないのだが、流石に当麻にはばれたくないのでごまかしておく

「俺も行かないと」
「どこに?」
「居候を助けにな」
「成程、なんとなく分かった。気をつけろよ?ただでさえ病院のベッドがデフォルメなのに」
「デフォルメ言うな。お前も気をつけろよ。何か危ないことやってんだろ?」

そんなことを言って駆け出す当麻。その様子を見送る冬風は、親友が目的を達成することを願いつつ、自分の問題に意識を傾ける
当麻が持ってきた袋に入っているのは最愛の為に買ったネックレス。中身もあることを確認すると、絶対に壊れないように魔術的な結界を張る。

「さて、後は最強が来るだけだな」

そう言うと、冬風はまた建物の中に戻っていった。








★☆★☆★☆












「おぉ、ちゃんと待っててくれたんだな」
「暁が私と直接結んだ約束を破ったことはありません」
「それもそうだ」

冬風は袋を隠している。ネックレスを最愛に渡すのはタイムリミットを迎えるときだ。そのときまではアイテムから逃げなければならない。現在時刻は3時41分残りは19分

「気配を消したのは凄いですけどAIMバリバリ出てますよ滝壺さん」

冬風に後ろから近づいていた滝壺から逃げる。最愛の前に立つのは愚行だと分かっているので二人との距離が大体同じになる場所に逃げる

「さて、2対1はまだ想定内だけど、どうするんだ?」
「暁、超誰が2対1なんて言いました?」

最愛が言い終わると同時、横から冬風に向かって極太レーザーが飛んでくる。

「うわ!?」

冬風は驚いて後ろに下がるのだが、その瞬間ピピピっという機械音がして冬風が踏み抜いた場所が爆発する。爆発の瞬間に先程使った爆発しなくなる物質を作り出し使用する。

「おいおい、4対1は集団リンチって言うんだぜ?」

冬風は冷や汗を流しながら逃げる場所を探し始める。しかし、逃げれる4箇所の通路を麦野、最愛、滝壺、フレンダの4人に塞がれている。

「(やべぇ、まだ時間まで14分ある。ここはストーカーされるのを覚悟で空間転移か?)」

こちらが手を出せない以上、今の状態から逃げるのは不可能だ。決断するが早いか冬風は空間転移をしようとするが、

「超させませんよ」
「悪人が逃げるときは見逃すのがヒーローだぜ?」
「超ヒーローじゃないんで」

最愛が一気に詰め寄り、転移をさせてくれない。今、残り13分になった。今から別の階に逃げれば4時まで逃げ切れる

「ダウンザワールド!」
「しまっ!?」

一気に最愛が居た通路へ走り出す冬風。そのの耳に最愛の最後の言葉は聞こえてこなかった。




















Little time remaining to climax after the back tag of the world(残り時間はあと少し、裏世界の鬼ごっこはクライマックスへ)






























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