「見つかるの早!」
「待ちやがれ!」
後ろからレーザーが冬風を追いかけている。
「ッち!ダウンザワールド!」
冬風以外の物体の速度を通常の1/100にする能力を使い、全ての物体の速度を下げる冬風。もちろん、先ほどから鬼の形相で追いかけている麦野も例外ではない
「別の階に逃げるか」
速度の落ちたレーザーを避けるのは冬風にとっては造作も無い。冬風はそのまま麦野の横を通り過ぎる。
「流石はLEVEL5だな」
冬風はそう言って指を鳴らす。そして、時間が元に戻る。麦野の放ったレーザーは誰も居ない空間を裂き、奥の壁を破壊する。
「怖いです。俺」
「簡単に後ろとっておいて何言ってるのよ」
距離を置きながら答える麦野。暗部の人間なら分かるのだろう。今、自分は冬風に確実に殺されていたことを……
「言ったろ?おまえたちを攻撃する気はない。」
冬風は指を鳴らす。すると、麦野の視界が白に染まる。
「うっ!」
いきなりの事に動揺する麦野。その麦野を嘲笑うかのように歩く冬風。
「また後で」
「!?」
麦野の耳元で呟く冬風。麦野は咄嗟の事に驚いて硬直してしまう。
「あいつ……!!」
麦野の視界がクリアになった時、その場にもう冬風の姿は無かった。
★☆★☆★☆★
「結局、ここに来た時点であんたの負けってわけよ」
「………」
麦野から逃げて別の階に行った冬風だが一歩足を踏み入れたが最後ピピピッという機械音が聞こえて冬風の足元が爆発し、直撃は免れたものの爆風でこの爆弾を仕掛けた張本人の近くに飛んでしまったのだった。
「フレンダさん……か。(麦野より厄介だ)」
爆弾少女、フレンダは正直言って冬風が一番苦手とするタイプだ。冬風は攻撃をする気がないので一番見つかりたくなかった相手だ。
「逃がしてくれ」
「無理ってわけよ!」
スカートの中からボウリングのピンのようなものを投げてくるフレンダ。冬風は爆弾と判断して避けるが……
「ここ地雷かよ!」
地雷が設置してあり、爆発する。冬風以外の人間ならば確実にし一本持って行かれている。
「ちッ」
軽く舌打ちして爆弾の探知を行う。そこで見たのは
「ほぼフロア全部爆弾じゃねぇか!!」
「これぐらい普通ってわけよ」
同じタイプの爆弾を大量に投げてくるフレンダ。冬風は空中であることを思いついた。
「爆弾って湿ったら爆発しないんじゃなかったっけ?」
そう言うと、冬風はフロア全体に水流を起こす。これで爆弾は爆発しないと思ったのだが……
「結局バカだったってわけよ」
「学園都市製の爆弾が水なんかでへこたれるなんて有り得ませんよねぇ」
普通に爆発して吹っ飛ぶ冬風。一応ガードはしたものの壁に打ち付けられたため、激痛ですぐに起き上がれない。
「結局、ちょろかったってわけよ」
「…………」
フレンダがびしょ濡れで追撃をして来るが冬風は何を思ったか無言のままその場を移動しない。
「そういや、爆弾が爆発しなくなる物質を作ったらどうなるのかなぁ」
いきなり、そんなことを呟く冬風。常人はそんなものあるわけ無いだろっと思うだろうが、ここで戦っているのは異常者だ。つまり、
「当然、爆弾は爆発しなくなるよなぁ」
立ち上がって爆発しない爆弾をキャッチし、余裕の表情を見せる冬風。逆にフレンダは先ほどまでの勝ち誇った表情が消え、愕然とした表情になる
「爆弾の危険がなくなったところで逃げますか」
冬風は打つ手をなくしたフレンダから回れ右をしてその場から走り去った。
★☆★☆★
冬風の部屋には現在、一人の少年がいた。
「俺もすぐに行かないといけねぇんだけど……」
黒髪のツンツン頭の少年、当麻である。当麻は冬風に頼まれたことを実行すべく合鍵を使って冬風の部屋に入り、冬風の引き出しの一番上のものを取り出す
「これって……」
当麻が手にしたのは、世界中で有名なブランドのネックレスだ。何故これを冬風がもっているのかを当麻は知っている
「最愛ちゃんへのプレゼント」
冬風は最愛と出あった日に最愛にプレゼントを送っている。今年は最愛の為に態々海外の本店まで行って特注で買ってきたこのネックレスだ。何でこんなものをっと、疑問に思ったのだが冬風がもってこい取ったのだから意味があるのだろうと思い、プレゼント用に包装された箱を袋の中に入れて持つ。
「さっさと済ませてインデックスのところに行かないとな」
現在、当麻も色々あってインデックスを錬金術師のアウレオルス=イザードに攫われてステイルと共に救出しているのだ。これはついさっき思い出したのだが……
「行こう」
部屋の鍵を閉めて、当麻は走り出した。親友の為に
Best friend, sister, freeloader? The boys move for an important person.(親友、妹、居候?大切な人のために少年達は動き出す。)