小説『ヘッドフォンアクター』
作者:hj()

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最終章


パチパチパチパチパチパチ
高らかに拍手をする音が聞こえた。
「なんだ………これ…」
息を絶えながら、残りの気力で考える。
目の前の白衣の科学者。後ろに映し出された自分の世界。
もう、わけがわからない。
「素晴らしい!!」
目の前の一人の科学者が、拍手をしながら近づく。
「これは一体………?」
「君は生まれ変わったんだ、空想の人間から現実の人間に!!」
何を言っているのか、理解できなかった。
その意味を理解したのは、それから20秒後だった。
「見てごらん、これが君のいた世界だ」
後ろのディスプレイを指差して科学者は高らかに言った。
そこから見た街の風景は、まるで実験施設だった。
そうして、やっと僕は理解したのだ。
「ゲーム………?」
ゲーム、自分の世界、科学者、空想の人間。
僕の中で一つの答えが出た。
「もう、この世界はもういらない」
そう言って、科学者は鞄から爆弾を取り出した。
「不必要だ」
最後にそういい捨て、爆弾を大きいディスプレイに向かって投げた。
音は一瞬だった。
次に目に入ったのは、燃え出した小さな世界だった。
「あ………」
言葉にできない感情がこみ上げる。
そうか、僕はこの小さな世界で今までずっと生きてきたんだな。
燃え尽きていく街だった『モノ』をただ呆然と眺める。
最後に聞いた言葉は、ヘッドフォンの向こうからだった、

「ごめんね」

-7-
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