小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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プロローグ





俺は、普通ではないが一般人だと思っている。
思うことは、人の自由だと思う。
好きな事は、家事と運動と子供の相手で、最近はアニメとゲームに嵌っている。
ゲームは、シャイニング系のゲームをしている。
見ているアニメは、シャイニング・ハーツだ。
正直、シャイニング・ハーツは唯のパン屋だと思う。
ちなみに、学校にはほぼ行っていない。
ついでに孤児だ。
ここが普通でない所かな?
学校にほぼ行っていない理由は、飛び級したからだ。
奨学金で行ったから、孤児院の方に負担は無い。
学校は、一ヶ月ぐらいで行かなくなったな。
今の所は、ここまで育ててくれた孤児院にお金を入れて生活している。
俺と同じ孤児の子供達に、幸せになって欲しいからだ。

それはさておき、銀行強盗に巻き込まれた。
しゃがんで、強盗の様子を見る。
五人で、内三人がハンドガンで、残りの二人がマシンガンの様だ。
銃の名前なんて分からないが、撃たれたら終わりだろう。

唐突に、ヒーロー気取りの少年二人が走り出し、強盗に襲い掛かるも、あっさりと撃ち殺された。
それを見ていた一人の少女が叫び、叫んだ少女を止めようとした少女の二人も、殺された。
四人の死体には穴が開き、その穴から血がどんどん出て行く。
結構スプラッタだな。
人が死んだぐらいで取り乱していたら、孤児として生きていけない。
銃声に驚いたのか、赤ん坊が泣き出した。
強盗の一人が、イライラしながら赤ん坊を必死にあやす女性に近づいてくる。
このままだと、殺されるだろう。
まあ、隣だから助けるつもりだ。
強盗が女性に拳銃を向け撃とうとした瞬間に手首を捻じ切る。
そのまま、悲鳴をあげる前に喉の骨を砕く。
奪った銃を心臓に向け、発砲。

パンッ!

驚愕と恐怖の表情をした強盗の男だったモノを他の強盗から隠れ、倒れない様に支える。
他の強盗を見てみるが、どうやら女性を殺した銃声だと思っているようで、こちらに注意が向いていない。

女性の方を向き、人差し指を口に当て、喋らない様にしてもらう。
女性は、赤ん坊を大切そうに抱え、小さく頷く。
そこで、男が戻らないことに違和感を持った一人が近づいてくる。
女性に死んだフリをしてもらい、いつでも飛び出せる様に身構える。

後数歩の距離で、支えていた男を女性の上に乗る様に突き飛ばし、近づいてきた男の喉を潰す。
驚愕と痛みから、膝をついた男の頭に、踵落しを決め、首の骨をへし折る。
最初の男から奪った拳銃を発砲して、一人の頭を撃ち抜く。

パァン!

残りの二人は、物陰に隠れてしまう。
足元にいる男の拳銃を奪い取り、隠れた強盗の上にある蛍光灯を撃つ。

パンッ!
パリン!

蛍光灯の破片が男に降り注ぎ、運悪く目に破片が入ったようだ。

「ギャァァァァァ!!!」

痛みで床を転がりまわる男に向かって、三発発砲。

パンッ!パンッ!パンッ!

男が動かなくなったのを横目に確認し、最後の一人をどうするか考える。
そこで、足元の死体を最後の一人の方へ投げる。
一緒に走り、椅子を踏み台にして跳ぶ。
怯えている男に、上から残りの鉛弾をプレゼントする。

パァン!パァン!パァン!パァン!パァン!

跳んだ勢いのまま床にぶつかったが、骨折はしていないようだ。
終わったと思い、立ち上がった瞬間。

パァン!

一発の銃声が聞こえた。
その音を聞いた後、胸の辺りが熱くなる。
どうやらもう一人いたようで、俺は撃たれてしまったらしい。
俺を撃った男は、左右に隠れていた男性二人に取り押さえられていた。
足から力が抜け、倒れる。
少しずつ暗くなる視界で、最後に見たのは、赤ん坊を抱えた女性が、近くで頭を下げていた。
最後の力を振り絞り、無理やり口を動かしたが、声が出ないで口パクだったが、ちゃんと伝わったようで、また頭を下げられた。

『元気に、育ててあげて下さい』


◇◇◇◇◇


死んだ筈なのに、生きてる。
不思議な感覚だ。
少しだるい身体を起こし、辺りを見渡す。
白い雲が足場になっていて、黒い空が広がっている。
黒の割合が大きいのに、全然暗くない。
そんな場所で、蹲って泣いている少女がいた。

「君、どうした?」

少女に近づき、なるべく優しく声をかける。
孤児院にいた時に、泣いている子供達の相手をよくしていたので、自然に振舞える。

「ひっく、えっぐ、ご、ごめんなしゃい…ひっく」

この感じは、誰かに怒鳴られたりしたのかな?
少女を優しく抱きしめ、ゆっくり頭を撫でてあげる。

「何で謝るの?良かったら教えてくれ。ゆっくりでいいから、な?」

まだ怯えているが、多少落ち着いたようで、ぽつぽつと話してくれた。

「あの、わ、私が、ミス、したせい、で、アナタ、達、五人、が、死ん、じゃって、それで、前の、四人、が、すごく、怒って、転生する、代わり、に、許して、もら、う、ことに、なって、四人が、すごく怒って、たから、もう一人の、アナタも、きっと、怒ると、思って、それで」

途切れ途切れながらも、しっかりと事情を説明してくれた。
つまり、あの時の四人と俺が死んだのはこの子のせいで、アイツ等はこの子に辛く当たって、転生していったと。
てかさ、あれミスなのか?
俺はもちろん、アイツ等も自業自得じゃないのか?
男共は、自分から突っ込んで殺られてたし。
あの死に方で、この子に当たるのはどうかと思うんだが。

「あ、あの、怒って、ますよ、ね?」

俺が何も言わないので、怒られると思ったのだろうか?
少し身体が、強張っている。
考え事は後にしようか。

「怒ってないよ。俺は君のミスだとは思ってない。だから怒る理由が無い。怖かったね」

少しだけ強く、それでいて優しく、その小さな身体を抱きしめる。

「う、あ、うぇ、うぇぇぇぇぇん!」

どうやら緊張の糸が切れて、決壊してしまった様だ。
泣きながらしがみ付いてくる少女の頭を、優しく、丁寧に、落ち着くまで撫でてあげる。
ゆっくりと、恐怖が無くなるまで……


◇◇◇◇◇


少女をあやしてから、数分後。
離れてくれなくなった。
とても懐かれてしまった様だ。
孤児院でもこんなことあったな。

「あぅ〜その、御恥ずかしい所を御見せしてしまいましたです」
「いや、気にしなくていい。とりあえず聞きたいんだが……俺も転生するのか?」
「はいなのです。一応他にもありますです。記憶を消して、普通に生きることなのです。この場合は、今までの人生の続きをするのです。転生の場合は、記憶を残したまま特典の能力を持って、アニメなどの世界に行くのですよ」

なるほどな。
折角だから、転生してもらうか。
孤児院には、無理に贅沢をしなければ三十年ぐらいはもつ金額を入れといたし。
株って、うまくいけば儲かるんだぜ?
孤児院が大丈夫なら、思い残すことは無いな。

「なら、転生で頼む」
「わかったのです!能力は二つまでですが、基本的に不可能は無いのです!」

すごいな。
まるで神様みたいだ。

「じゃあ、シャイニング・ウィンドの心を剣に変える力と鍛えれば鍛えただけ強くなれる努力の才能でも貰うか」

心を剣に変える力は、使わないだろうが欲しかった。
努力はする方だが、いつの間にかする必要が無くなってしまうから、上限が無い方がいいだろうと思った。

「それでいいのですか?じゃあ、魔力はどうしますです?」
「魔力?」

どんな世界なんだ?
聞いといた方がいいよな?

「どんな世界に転生するんだ?」
「あ、すいません!忘れてたのです!転生先は、魔法少女リリカルなのはの世界なのです!」

魔王淑女リリウム菜の花?
聞き逃したな。
まあ、少女向けのアニメだろ。

「そう言えば、他の四人はどんな感じなんだ?」
「一人目は、ナデポととあるの一方通行で魔力ランクAです。二人目は、ニコポとFateの無限の剣製で、魔力ランクAAです。三人目は、Fateの黄金率と伝勇伝の殲滅眼イーノ・ドゥーエで、魔力ランクAAです。最後の人が、デジモンのアグモンとガブモンで、魔力ランクAでした。あと、デバイスはランダムで決まるのです。本当は、魔力ランクは私が決めるんですが、その、優しくしてもらったお礼にと思いまして……」

少し顔が赤くなって、心成しか目が潤んでいる。
孤児院の時にも、あったなこの状況。
魔力とか別に要らなくね?
デバイスって何だよ。

「ゼロでいいよ」
「ふぇ?いいんですか?原作メンバーと一緒にいられませんよ?魔法も使えませんし」
「原作メンバーとか良く分からんが、これから行く世界はアニメとかじゃなくて、実際に暮らす世界なんだろ?なら、のんびり暮らしたい。あと、魔法とかどうでもいい」
「……なら、私も行きます!」
「それはダメだ」

少女の言葉を否定したのは、謎の美人だった。
そして、どことなく少女に似ている。

「フレイ姉様!?」
「フレイヤ。私達神が人の世界に降りてはいけない。忘れてはならない禁忌だ。わかるな?そこの人間が気になるなら、なおさらだ」

少女はフレイヤで、美人はフレイと言うのか。
どっかで聞いたことあるんだが……どこだっけ?
昔話だったかな。

「すまないな。私はフレイ。その子、フレイヤの姉だ。あぁ、君は名乗らなくていい。もしもだが、次に会えた時にでも聞かせてもらうよ。さて、そろそろ転生してもらうよ?これ以上は、君の魂がもたないからね。折角だ、私とフレイヤで祝福でもかけてあげよう」
「それがいいです!」

なんか、フレイさんが出てきたあたりから、話が勝手に進んでいく。
きっと、美人は何をしても基本的に許されるのだろう。

「またいつか、会いましょうね!」
「では、第二の人生、楽しんでおいで……フレイヤを慰めてくれて、ありがとう」

俺の足元に、複雑な魔方陣が展開される。
よく分からないが、とりあえず二人に微笑んでおいた。

「行って来ます」


◇◇◇◇◇


中々良い男じゃないか。
前の男共とは全然違うな。

「ど、どうしよう!付ける能力間違えたのです!」
「……フレイヤ」

いくら幼神でも、それは……いやまあ、別にいいんだけどね?
慌てる姿可愛いし。

「何を間違えたんだ?と言うより、彼の言っていた能力以外にも付けただろ?」
「ぅ……その、心を剣にするんじゃなくて、心を武器にする力にしてしまいました……あと、魔力ランクをSSSにしてしまったのです……そうです!何か保険をつけるのです!」
「可哀想に……彼はのんびり暮らせなさそうだ」

まあ、面白そうだからいいけどね。
フレイヤは、彼に御執心の様だし。
次に会う時が楽しみだよ、少年。

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