小説『魔法少女リリカルなのは〜心の剣と小さな奇跡〜』
作者:ディアズ・R()

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第二十一話 集合×誕生日





酔っ払いを介抱して、昼ご飯を作り始める。
本格的なのは夜に作る予定なので、スパゲッティを作ることにした。
おまけでメロンパン。
クロワッサンにしようか悩んだ結果、メロンパンになった。
それはさておき、お酒は20歳からにしましょう。
……特に意味はない。
まあ、酔いはするけど人体に害はないから大丈夫だろ。
でも、リニスとジェシーが酒に弱いのは予想外だわ。
……一人だと寂しいな。
呼び鈴が鳴った。
宅配便かな?

「用件を30字以内で―――」
「はやてちゃんの誕生日を祝いに来ました!入れて入れて!!」
「えっと、プレゼント持ってきたよ?」
「開けとくれ〜」
「……なんだ、テスタロッサ一家母無しか。入れ入れ」

どうやらアリシア、フェイト、アルフの二人と一匹のようだ。
八神宅に入れ、居間へ案内する。
若干顔色の悪いはやて等を任せ、お茶を入れる。

「皆、どうしたの?」
「この三人と一匹はなぁに〜?」
「ワン」(人じゃないね)
「ピンクがシグナム。赤がヴィータ。金がシャマル。青い犬はザフィーラだ」

筆談で、魔導書っぽいものから出てきたことを伝えておく。
アリサとすずかに知られないためだ。
知らないはずだからな。

「あんまり、説明にはなってないかな?」
「チョココロネ〜はむはむ」
「わふ」(なるほどね〜)

二人と一匹が納得したということにして、はやてに目覚めのキスを―――

『ダメェェェェェ!!!』
「……何故必死?」

はやて、騎士四に……三人と一匹、アルフ、我が愛しの妹と弟以外の叫びが鼓膜を震わせる。
つまり、クソウゼェ。
……言い方が悪かったな。
まあ、五月蠅いってことだ。

「な、なんや!?敵襲!!」
「お前は黙ってろ」
「ふぎゃ!?」
「で?なんで叫んだ?」

近所迷惑の理由やいかに!

「羨ま、寝込みはいけないの!」なのは
「はやてだけさせないわ!」アリサ
「ふしだらだよ!」すずか
「そ、そういうのはダメだよ!」フェイト
「私がしたい!!」アリシア
「にゃにゃにゃ!!」(付き合ってもいないのにキスなんて許しません!!)リニス
「クゥー!!」(久遠がする!!)久遠
「マスターの寵愛を目の前で盗られるわけには!!」ジェシー

ということらしい。
つまり、どういうことだ?
俺モテモテ?
だが生憎と今の俺には、パン屋常連な近所のお姉さん(未亡人)に……言わない方がいいか。

「とりあえず、Guilty」
『え?』


◇◇◇◇◇


「こんちわ〜」
「こ、こんにちゅ!」
「お邪魔します!!」

ホタル、姫、劉である。
止める理由はないので、招き入れる。
部屋に入った三人が見たものは!

「……楽しそうね」
「ほわ!?」
「何があった!?」

叫んだ奴は全員蓑虫状態で天井から吊るしてある。
口はガムテープで×印に塞いでる。
そして、口の中には七味唐辛子一ビンを丸ごとぶちまけてある。
全員が死んだ魚の目状態である。
騎士達は何故か俺と目を合わそうとしない。
見ようによっては怖がってるように見えなくもない。
善良な市民を前にして、その態度はないだろ。

「そう思わないか、はやて?」
「思えんわ」

げせぬ。
まあいいだろう、ケーキの準備でもしておこう。

「じゃあ、大富豪でもするか」
「ケーキの準備はどうしたんや!?」
「パン以外は、適当でいいと思ってる」
「ケーキやってパンみたいなもんやん!」
「ばっ!違うから!パンとケーキを一緒にするんじゃありません!パンっていうのはだな&amp;amp;amp;#8212;――」
「そいなら言わせてもらおうやんか!ケーキっていうのは―――」
「だからして―――」
「せやから―――」

一時間の抗論が続いた。
その時の起きていた周りの反応。

「なんなの?」ホタル
「えっと、えっと……はぅ〜」姫
「あ〜夫婦喧嘩みてぇ」劉
「何故話が続くんだ?」シグナム
「ケーキって、美味いのか?」ヴィータ
「私は関係ない私は関係ない私は関係ない私は関係ない私は関係ない」シャマル
「……ワフ」(……犬か)ザフィーラ
「ワン」(慣れれば良いもんだよ?)アルフ
「虫〜」海璃
「うじゅむし〜?」海斗

基本スルーである。
どうしてそうなった?


◇◇◇◇◇


そんなこんなで、はやての誕生会である。
用意されたケーキは、何故か三段の豪華なケーキである。
カットされたイチゴやらメロンやらが綺麗に盛り付けられ、天辺には何故か飴細工のはやてが偉そうにふんぞり返っている。
最近、細かい菓子細工にハマっている夜空である。

『誕生日おめでとう!』
「あんがとな〜」
「あのはやてが、こんなにたくさんの友達に誕生日を祝ってもらえるなんて……私は嬉しいわ!」
「母親の真似みたいなことすんなや!しかもあのってなんや!!」

夜空はいつも通りである。
誕生会と一緒に夕食をとって、そのままプレゼントを渡す流れに。
夕食は、夜空がはやてに飴細工のはやてを頭から喰わせたり、松坂牛やらフカヒレなどの高級食材があったりと、普通?に過ぎて行った。

「「のいごろみ!」」海璃&海斗
「おぉ〜おっきいやないの〜二人ともありがとな〜」はやて

海璃や海斗並みの大きな白兎のぬいぐるみ。

「私はこれなの!」なのは
「私はこれね」アリサ
「私はこれだよ」すずか

手作りマフラー、ネックレス、懐中時計の順である。
嬉しそうに受け取る。
アリサとすずかのプレゼント、値段を聞いたらどんな顔をするんだろうか?

「はい、これどうぞ」フェイト
「私はね!私はね!これなんだよ!!」アリシア

小さな宝箱型のオルゴール、バニーガール衣装一式。
礼を言ったはやては、衣装をじっと見つめてからシグナムを見る。
特に何も言わずに、他のプレゼントを置いた場所に置く。
なんでシグナムを見たんだろうか?
てか、アリシアは何故そのチョイス?

「はい」ホタル
「つ、つまらにゃいものでしゅが!!」姫
「大したもんじゃないけど」劉

ヴァイオリン、遊園地のペアチケット、いろいろなジャムの詰め合わせ。
弾ける筈のないヴァイオリン、足の状態を考えるとほとんどのアトラクションに乗れない遊園地、夜空のパンには味やらなんやらがしっかりついているので無用のジャム。
苦笑しながらも礼を言って受け取るはやて。
パッと見た感じ、遊園地の方は一年後から使えるようになっている。
何故だろう?

「最後は夜空やな!パン以外で頼むわ!」
「安心しろ、パンだけじゃないから」

この時、全員の心が一つになった。

((パンはあるんだ……))

夜空は、玄関の方に置いてあった正方形で掌サイズの包みを持ってくる。

「ほいよ」
「あけてもええか?」
「好きにしろ」

はやてが包みの包装を解いて出てきたのは、シンプルな木箱。
開けると多数の宝石で彩られた美しい腕輪が出てきた。

「おぉ〜高そうやな」
「店で材料買ってここに来る途中に作ったから、ちょっと雑なところもあるかもしんないがな。ちなみに、合計金額約数百万だ」
「……大事に飾っておくわ」

そっとプレゼント置き場に追加する。
ここで問題が発生した。

「誕生会なんて初めてしたんだが……何すんだ?」夜空
「え?そうやな……なにすんやろ?」はやて
「遊んだり?」なのは
「一般的なのは知らないわ」アリサ
「アリサちゃんと同じだよ」すずか
「誕生会なんて噂だけだと思ってた」ホタル
「ごめんなさい何もわからないですごめんなさい」姫
「この前までの俺がそんなこと知ってるとでも?」劉
「誕生会ってケーキ食べてプレゼント渡したら終わりじゃないの?」フェイト
「夜空かまって〜」アリシア

これが小学生達の限界である。

「主達は楽しそうだな」シグナム
「どうでもいいよ〜」ヴィータ
「あ、それなんですか?」シャマル
「ニコ○コ動画です。ハッ!ティンと来ました!あなたも一緒にしませんか?大丈夫です。歌うだけの簡単なお仕事ですから」ジェシー
「うにゃ」(素人を誘うのはやめなさい)リニス
「わふ」(暇ね〜)アルフ
「わん」(そうだな……この子達はなんだ?)ザフィーラ
「おっきいの〜」海璃
「いにゅ〜」海斗
「くぅ〜」(よぞら〜ひま〜)久遠

寛いでるモノ達の言葉である。
ワーワーと騒がしい八神家の誕生会であった。
とりあえず、全員で写真を撮って後日渡すという流れになった。
こうして、全員で集まった誕生会は御開きとなった。


◇◇◇◇◇


皆が笑う、そんな日常。
何時までも続くと、思っていた。
思いたかった。
だけど、現実は残酷で、非情で、悲劇的であった。

はやての誕生日から一ヶ月後。
はやてが意識不明となった。

そして、運命は加速する。
より、悪い方へと……

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