「……つまり何が何でも王は式典をやり通す気なんだな?」
俺の問いに困ったような顔をしたウルフィアスが頷く。
困った顔と言えば、今日は正装のSKAGの隊長ブッチャーも同じような顔だ……そういえばこの人、俺に撃たれた所はもう大丈夫なのだろうか。
「王はああ言った以上中止する気は無いだろうさ、なんとも困ったお方だ……」
頭を抱えるウルフィアス……珍しいな、この人がこんなに悩むなんて。
まぁ無理も無いか。
「なら俺達に出来るのはパレード中の暗殺阻止か……この式典は急に決まったのか?」
「あぁ……王は自分の身に迫る危機を知っていながらもパレードを強行しようとしているようだ」
ブッチャーがハゲかけた自身の頭を撫でながら答える。
「ふむ……なるほど。よほど思い入れがあるようだな」
しかしどうするか……狙撃を阻止したり、IED(路肩爆弾)による暗殺の阻止なんかは専門分野だからやり様があるんだが、どうせ魔法とかよく分からないトンデモ兵器を持ち出すに違いない。
そうなりゃ俺はただの足手まといだ。
しばらく俺達は黙り込む。
そうして黙り込んで、ようやく口を開いたのは何時の間にか俺の隣で本を読んでいた王様だった。
「そんなに気にする事じゃない」
「うおぉッ!?王様!?」
この人どっから来やがった!?