小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

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エピローグ 本当の最終回

side 平沢 唯
時は流れ、数年。
梓や憂。そして新入部した斉藤菫、奥田直のお陰で軽音楽部が廃部にならずに済み、軽音楽部へと入部したその一年生の頑張りで十数人ものの新入部者が続出したそうだ。もう、廃部寸前にはならないだろう。

更に更に数年経ち、梓や憂は俺達の大学へと入学し、俺や律、澪、紬も憂も梓も見事に卒業。
俺達はある職業についていたのだ。全員一緒の職業にーーー。

ーーーーーーーーーーーー
時はまた流れ、とある武道館。
観客が数十万人程入れる大きさの武道館で、とある有名バンドが演奏するようだ。
そんな有名バンドは六人の女性で構成されていて、日本中をツアーし続け、ようやくたどり着いたこの武道館ライブ。最初はこじんまりした会場でバンドをやっていたのだが、とある音楽関係者の人にプロにならないかと誘われその有名バンド、最初は小物だったのだが今となっては日本中に知れ渡り知らない人は少ない事だろうぐらいまで知名度を上げていたのだ。

そんな有名バンドの楽屋にて・・・
「そろそろ時間ですよー!」
有名なバンドのマネージャーらしき人物が血相を変えて楽屋へと突入。それを予期してたかのように有名バンドはすでに用意してあり、あとはステージに立つだけという準備の速さ。

「はい、分かりました!よし、行くよ!みんな!」
『おお!!』
一人のリーダーらしき人物は他のメンバーに喝を入れ気合いを高めていく。
ーーーーーーー

その有名バンドが武道館のステージへと立ち、観客達はワァァ!と大歓声をあげる。ただ、ステージへと立ったのに武道館が震える程の大きさの歓声だ。どうやら、そうとう有名になったらしい。

「『こんにちわっ!!』」
その有名バンドのリーダーらしき女性は観客達に向けて挨拶し、観客達はこんにちわぁぁぁ!と挨拶を交わす。
「『やっとここまでたどり着けました!それはみなさんの応援のおかげで私達は今ここにいるのです!』」
リーダーである女性のMCを観客は歓声をあげながらも聞いていく。
「『実はこの武道館ライブ、高校の時から夢見てました。そんな高校時代での目標は卒業までに武道館に立つ事でしたけど、もちろん不可能でした』」
そう、このバンドは不可能な事を夢にしていた。が、その不可能を今実現しているのだ。数年ばかりかかったがな。

「『でも、諦めないでみんなと協力してて。笑ったり、泣いたり、喜んだり、色々ありましたけど、でも!私達は音楽が!ここにいるみんなが大好きだから!今日も頑張れるんだよ!』」
プロになるという事は非常に厳しいのだ。が、彼女達はそれを受け入れながらも、厳しい現実の壁もあった。でも、それも大きく乗り越える事ができた。仲間がいたから、応援してくれる人達がいるから。
「『それでは聞いてください!『放課後ティータイム』で『ふわふわタイム』!』」
その有名バンドというのは俺達の事なのだ。
ーーーーーーーー
武道館ライブ終了。
俺達は武道館ライブ会場の近くにある居酒屋で打ち上げ。ちなみに普通の格好しているつもりだが、ちょいちょい客の目線が気になるがそっとしておこう。

「いやー!まさか武道館でやれるとはー!良かった良かった!」
「は、恥ずかしかった・・・」
ビールジョッキを片手で持つ律と未だに人見知りが治らない澪。
「うふふっ♪楽しかったわ〜♪アンコールも受けちゃったし♪」
「そのアンコールの後もムギ先輩はキーボード引き続けるのは驚きましたよ・・・でも、お客さんは盛り上がりましたけどね」
頬に朱を浮かべクネクネ動く紬。それをジト目で見つめるしかない梓。
「お姉ちゃんも格好良かったよ?すごかっただもん!」
姉想いの憂は姉である俺を褒め称える。そんな褒めを受けた俺は
「でへへへ〜」
褒められたら照れる性格は治らない。唯自身の性格故なのか?それは神のみぞしる。

「何か知らんけど、いつの間にか唯がリーダーになっててビックリしたぞ?私がリーダーだ!」
「唯でいいだろ?ボーカルがリーダーなのは珍しいし、それでいいんだよ」
俺がリーダーという事が不服な律。しかし、どうでもよさそうに澪は律をからかっていたのだ。そんな澪を見た律はというと
「何ー!?なら今から私がリーダーだ!ほら、ドラムの人がリーダーっていうバンド多いじゃん?」
「はぁ、好き勝手にしてろ」
これにて俺達『放課後ティータイム』のリーダーは律となったのだが、ファンはどうなんだろう?うーむ、いつまでもリーダーが俺という事を信じきると思うのだが・・・

ーーーーー

居酒屋で打ち上げも済ませ、マネージャーから打ち上げが終わったらホテルへ来いとメールが来たのだが、だいたいは仕事内容のことだろう。その次の仕事内容を聞く為に、俺達はホテルにいるというマネージャーのもとへと足を運び、マネージャーと合流。

「あ、みなさん。お疲れ様っす!」
『お疲れ様です!』
マネージャー及び俺達は深々と一礼。
「次の仕事なんですけど、『笑ってもいいともっ』なんですよ。ですので、明後日にタモさんから電話来ますので少し喋りを入れてから『いいともっ』と言えばいいです。その翌日の昼に生放送となりますのでそれまでゆっくりお過ごしください」

な、な、な、ななんとっ!お昼の番組に生放送!?しかも『笑ってもいいともっ』だと!?あ、あの芸能人のタモさんからの電話だと!?う、嬉しいじゃないか!
俺はスゴい嬉しそうな顔をし、その顔をにやつかせスケジュールを頭に叩き込んだ。むふふ、タモさんと電話♪それにタモさんに会えるぞ♪コノヤロー♪


「ぬふふふっ♪電話♪電話♪」
「あー!唯!お前、あのタモさんからの電話取る気だなー!?そうはさせんぞ!なにせ私がリーダーだからな!」
俺が上機嫌になったのにそれを水を差すかの様にシャウトする律。
「わ、私も電話したい!私もタモさんと喋りたい!」
芸能人に憧れているのかかなり大興奮の澪。おいおい、落ち着けって。

「私も電話したいわ〜」
のんびりとした声で紬も参戦。お前もかよ!
「わ、私だって話したいですよ!だってタモさんだもん!きっとスゴい人だもん!」
何を言いたいのか俺には伝わらないがとにかくタモさんと電話をしたいらしい梓。
「わ、私も・・・でも、生放送だし、こんな大勢の人にタモさん対応してくれるのかな?」
芸能界の大御所さえも心配してくれる優しさ満点の憂。お前ってやつは〜(大泣)

「よし、みんなでタモさんと話そう!そして最後は全員で『いいともっ』ね!」
『おおっ!!』
俺のかけ声でホテルへとチェックイン。次の仕事場がホテルとの距離がある程度あるが他のホテルは値段が高すぎて俺達は見向きもしない。え?ギャラ?ファンの為に俺達のグッツやら何やらを自腹で払うからそんなもん、六等分する時、札が数枚ぐらい残るだけだ。それでも多いんじゃね?と思う方は都会の物価とか施設の利用料金を見てみろ。
目玉が飛び出すぞ、マジで。
そんでその目玉が『おいっ、キタロウっ!』と喋り出すしまうかのように高いのだ。

そんな貧乏人の俺達は受付に行き、俺達の部屋の鍵を手に入れ、部屋へと行く為にエレベーターへと移動し、部屋番号が記し出された鍵を見てエレベーター内に案内があったのでそれを見てボタンを押し上へ上へとエレベーターは上がっていく。

「よし、とりあえず寝るか」
「そうだな。クタクタだし」
「あれ?お風呂は?」
「そうですよ。ちゃんと入らないと」
「お姉ちゃんも入るよね?お風呂」
律、澪、紬、梓、憂・・・本当にこいつらに出逢えて良かった。この世界に感謝だ。

「うん、そうだね」
エレベーターは扉を開き、俺達は慌てるように出て、部屋を探す為にキョロキョロと見渡し、そして発見。
一人一部屋ずつだったのでみんなと別れを告げ、俺は部屋へと入室。

「すぅぅぅ」
疲れをとばす為に背伸びしながら深呼吸をして
「はぁぁぁっ」
ため息みたいな深呼吸。疲れ及びこれから先の事を考えてみたが何も思いつかなかった苛立ちの一声なのだ。

「ん?メール?」
俺のポッケからぶるると振動をおこす携帯を開き、メールを確認すると・・・
「『これからも私達は仲間だ。みんな、頑張ろう!仲間を支え合って、この先辛い事もあるかもしれないけど、挫けずに頑張ろう!by放課後ティータイム』」
澪からのメールだ。こいつこそ真のリーダーになるべきではないだろうか?いや、人見知りなので無理か?まぁ、いいや。律がリーダーでよ。

「やれやれ」
俺はシャワー室へと足を運び、シャワー室内にある脱衣場へと入り、ドアを閉め俺は疲れを癒やす為に全てを脱ぎ捨て、シャワーを済ませ、身体を拭いて乾かせるのだが、ふと鏡を見たら大人の姿の俺が見えた。
もう、上からばーん、きゅっ、ぼーんのセクシーな女性なのだ。うーむ、スタイルいいのな俺よ。が、髪の毛は短いままのボブ?だ。長かったらうっとうしいし、洗うのも面倒くさそうだからだ。

そんな女性へと変貌した俺は服を着て、ため息を吐きながらも、ベッドへとダイブ。
「おやすみ〜」
どこかで見たような漫画の最終回ぽいが、なんだっけ?と思い出す暇も無く、俺は夢の世界へと旅立っていたのだったーーー。

ーー『俺は平沢唯に憑依してしまう。』完ーーーー



今までご愛読ありがとうございましたっ!!!!!!!!!
次回作は『小説家になろう』にて掲載いたします。
その次回作の名は『理想的な転生物語。』ですので、今後も応援よろしくお願いします!!

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