小説『俺は平沢唯に憑依してしまう。【完結済】』
作者:かがみいん()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

最終話(※次も掲載するのでご注意ください)

side 中野 梓
新歓ライブ前日まで『ふわふわタイム』、『U&I』、『天使にふれたよ』を私がボーカル兼リードギター。憂はサイドギターで猛練習して、生徒会に講堂使用許可書を提出も済ませ新歓ライブ当日。

山中先生からくの一の衣装を着てチラシを配れなんて言ってきたけど、私達はやんわりと断り、
私達は制服姿でチラシを入学生に配りながらも私達軽音楽部の宣伝も兼ねて声を張って入学生に軽音楽部がある事を覚えられるように配った人の顔をしっかりと合わせてた。
「軽音楽部でーす!よろしくお願いしまーす!」
「初心者でも大歓迎!!見学もいいですよー!」
チラシを入学生に行き渡るように配り多分入学生の六割の生徒に配ったと思うんだけど・・・昨年とかあまり受け取って貰えなかったもんなー・・・あの着ぐるみ姿でみんなに恐れられたから・・・

「よし、もうそろそろ準備しないと」
「うん、分かったよ」

ーーーーーーーーーーーーー
講堂にギターだとかアンプを移動させ、どうやら次の出番が私達軽音楽部らしく、少し急ぎ目でセッティングも済ませ、私達は講堂のステージに立ちマイクの前には私と憂が立つという流れ。大勢の入学生達の顔が見えるんだけど・・・うわっ緊張する!よく唯先輩はこんなのを耐えきれるなぁ・・・よし、私も頑張らないと!

「『えー、私達、軽音楽部です。見ての通り、廃部寸前です』」
話す内容はヒドいように聞こえるかもしれないけど、ここからが勝負だ。
「『私達の先輩が一年生の時、廃部寸前の軽音楽部を救って今の私達がいます。今度は私達が軽音楽部を守る番・・・ですからこの軽音楽部を失ってはいけない!そんな気持ちと気合を込めて歌います。『ふわふわタイム』・・・』」
ワァァ、と歓声があがり私達はその隙にギターをジャーンと鳴らしながら音を確認し、憂とアイコンタクトでカウントをとり・・・
〜〜〜〜♪♪♪♪

ーーーーーーー
『ふわふわタイム』の演奏は終了。
水分を補給するために水も飲み、緊張もそれにより少し和らげるようにして心を落ち着かせる。
心を落ち着かせた私はメンバー紹介をする為マイクに口を近づける事にした
「『ここでメンバーの紹介をします。私は中野梓です』」
〜〜♪♪♪
私が自己紹介した時に軽くギターを演奏したら観客達は歓声をあげた。
「『私は平沢憂です』」
〜〜♪♪♪♪
憂も私と同じようにギターを弾いてパフォーマンス。憂も初心者とは思えない演奏で今もメキメキと上達している事に私は少しばかり焦るけど、今はそんな時じゃない。
「『今は二人だけかもしれない。でも、この軽音楽部はとてもとても楽しいです!一日一日が充実してて・・・軽音楽部は私達にとって生きがいです!』」
「『私は一年生からこの軽音楽部に入りました。でも、その時全くギターなんて知らなかったです。そんな私でもこんなに楽しい思いができる軽音楽部が大好きです!』」
私達のMCを聞いた生徒達はまたまた歓声を浴びせらせる私は今とっても気持ちいい!唯先輩がいつもMCやってても嫌な言葉を言わない理由はこれなんだ!

「『では、二曲目。『U&I』!』」
〜〜〜♪♪♪
私とギターと憂のギターの二重奏が音を講堂中に響き渡る
〜♪♪
キミがいないと何もできない
キミの笑顔が見たいだけだよ
もしキミが帰ってきたら
私はとびっきりの笑顔になるよ

キミがいないと私は一人になるよ
キミの声が聞きたいだけだよ
キミが傍にいるだけで幸せになるんだ

キミは私の為に頑張ってくれるね
キミはイヤな顔せず頑張っているんだ
いつまでもいたいよキミの傍に

キミがいないと道に迷うよ
キミはどこにいるの?どこにいけばいいの?
もしキミが輝き続ければ迷わず
キミの傍に行けるんだよ

そんなキミに伝えないとね『ありがとう』を

キミに届くかな?今は自信ないよ
でもどうか聴いて想いを唄に込めたから

たくさんの『ありがとう』を
唄に乗せてキミに届けたい
この想いはずっとずっと忘れられない

想いよ キミに届け

〜〜♪♪ジャー・・・ン・・・

ワァァァァ!!と歓声が大きく講堂が大きく揺れるほど肌で感じるほどに感動していた。ああ・・・やっぱり音楽は楽しいなぁ。
最後の曲の『天使にふれたよ』も難なく歌い終えこれもまた歓声と拍手を私達に送っている入学生達。私達はもう出番が終了したので舞台から降りていくと何故か私達が立っていたステージ後ろからプロジェクターが降りてきたけど・・・間違えて作動させちゃったのかな?

「『引き続き、軽音楽部の新歓ライブです!それではどうぞ!』」
「「え?!!」」
私達は今さっき新歓ライブを終わらせたのに生徒会の司会がまだ私達軽音楽部の番だと言っているけど、何かの間違いだよね?そんな疑問が私の頭の中に渦巻いている。

プロジェクターが何かの映像を映し出すようで、それを私と憂はステージ上で見ているとある人物達が映し出しているのを私は驚愕した!なんでかって、その人物達は・・・
「『こんにちは、軽音楽部です!』」
唯先輩や澪先輩、律先輩にムギ先輩が制服を身に纏っている姿が映し出されていた!唯先輩や澪先輩は楽器を持ち、律先輩やムギ先輩はドラムやキーボードを前にして構えていた。な、なんで?なんでこんなビデオがあるの?!

「お、お姉ちゃん!?」
「『このビデオを流している頃、私達は卒業していているでしょう。私達は後輩の為に、そしてこれからこの軽音楽部に入ってくれる入部希望者の為に送ります。聞いてください、『ふわふわタイム』!!』」

映像に映っている律先輩はスティックでカウントをとり
〜〜♪♪♪♪
律先輩のドラム、澪先輩のベース、ムギ先輩のキーボード、そして唯先輩のリードギターが講堂中に響き渡っていく。

(※今回に限り『ふわふわタイム』の歌詞を書きます。ただ、その通り書くと著作権とかあるので少しばかり変えました)
〜〜♪♪
キミを見つめているといつもハートドキドキ
揺れる想いがマシュマロみたいにフワフワ踊るよ
いつも頑張ってくれるキミの真剣な顔
ずっと見ていても気づくはずもないさ
夢の中でも現実でも二人の距離は近いよね
あぁ、カミサマお願いだよ
二人だけの夢の時間をください
お気に入りのクマちゃん抱いて今夜もオヤスミ

ふわふわタイム ふわふわタイム ふわふわタイム

〜♪♪♪

ワァァァと歓声が起こる中、私達は無意識に涙を流しながらただただ映像を見ていたーーー

ーーーーーーーーー
時は流れ、ある日の放課後。
唯先輩達が送った映像の事で驚きすぎて何も考える事ができなくて部室にある自分専用の机の席へと座り、ただただ虚空を見つめているばかりいる私達。

「あ、梓ちゃん。あれ、知ってた?あの映像・・・」
「ううん、知らない・・・多分、私達に内緒であんな事を・・・はぁ」
どうやら憂も知らないようで、それによって更なる疑問が出てきちゃったけど、頭が混乱してその疑問はすぐにふっとんじゃった。あれ?なんだっけ?その疑問。

しばらくすると、部室の扉が開き、どうやら一年生らしき人物が登場。
え?!ま、まさか・・・にゅ、入部希望者かな?!
「あ、あのぉ・・・そのティーセットをお返しいただきたいんですけど・・・お姉ちゃんはいいって言ってたけど・・・私的には反対ですから」
「は?」「へ?」
その一年の女の子は見た目は金髪の長い髪の毛、眉毛は細くて黒い、身長は・・・私より6〜7センチ程高い事に私は嫉妬しつつも一年生の言い分を聞くけど・・・なんで?このティーセットはムギ先輩が提供してくれて後々の後輩の為に置いていたんだけど・・・でも、なんで一年生がそれを返せというの?意味が分からない私。

「あ、あの、どういう事ですか?このティーセットはムギ先輩の物で、え、えーと・・・あなたはどなたでしょうか?」
憂は一年生にも関わらず敬語を話しちゃう。でも、見ず知らずの人には敬語を話しちゃうのは私もそうする傾向にあるのでそっとしておく事にしておいた。
「わ、私は、この度入学してきた一年の斉藤(さいとう)菫(すみれ)です。よろしくお願いします
(※原作に出ているキャラですが私は設定まで把握していませんので設定はオリジナルとします)」

「「よ、よろしくお願いします」」
一年生の斉藤さんが頭を下げながら自己紹介をしたので私達もそれに乗じて頭を下げてしまう。

「あ、あの。いいですか?このティーセットを撤去して・・・」
「へ?!そ、そんなの私達に言ったって・・・これはさっき言いましたけどムギ先輩の物で・・・」
埒が明かない討論。斉藤さんは諦めたのか『はぁ』とため息を吐いてポケットを漁り携帯電話を取り出し、ポチポチと番号を押してどこかに電話をするみたい。どこにかけるんだろう?

「お姉ちゃん?今大丈夫ですか?あ、はい。私は軽音楽部の部室にあるティーセットの撤去を・・・ええ?!そ、そうなんですか?!うぅ、ごめんなさい・・・うん、うん分かったよ・・・ごめんね?お姉ちゃん・・・ぐすん。」
斉藤さんは最初は敬語で話していたけど電話相手にどうやら怒られたようで涙を流しながら謝罪を敬語で話さなくて普通の友人みたいな話し方で言っているけど・・・なんなの?この一年生は・・・。

「あ、あの、す、すみません。そのティーセットはずっと設置しててもいいですので、今までの事は忘れてください。それでは・・・」
斉藤さんは身を翻しながら部室を出ていく。あ、あれ?入部希望じゃないの?

「ちょ、ちょっと待って!さ、斉藤さん!」
「へ?まだ何か?」
「この軽音楽部に入部しませんか?」
「え?いいんですか?さっきお姉ちゃんに軽音楽部に入りなさいって言われて、私はまだ決めてなかったんですけど・・・はい、この軽音楽部に入部します」

斉藤さんの口から入部という単語を聞いた私達は
「「やったー!!」」
私と憂は大はしゃぎ。手を握り合いながら喜びを分かち合っているとまたも部室の扉が開き
「すみません。この部活の見学に来ました、奥田(おくだ)直(なお)です」
「「え?!どうぞどうぞ!!」」
一年生と思われるショートヘアーで赤いフチのメガネをかけた女の子が登場。
次々と来客が来る度に私達は大興奮!初めてじゃないかな!?こんな事!

「ちなみに私は今まで全部の部活を見学しました」
「「「ぜ、全部!?」」」
奥田さんは私達にとって驚愕な事を言ってきた?!全部の部活を見学って、すごい・・・

「それに、新歓ライブの時にあの動画も・・・あんな先輩達に愛されている部活は楽しそうだな〜なんて思ったりもしましたので、多分・・・いいえ、絶対にこの部に入ります。いいですか?」
「も、もちろん!!軽音楽部へようこそ!!」
私達の軽音楽部は四人構成。私と憂と斉藤さんと奥田さんのみんなでこの軽音楽部を支える事を私は密かに誓った。だって、先輩達が守り続けた大切な宝物だから、次は私が守る番。そして、次も斉藤さんや奥田さんもその想いを、伝統を守ってくれると信じてーーーー。

ーーーーーーー
帰宅。
私は、ドタドタと走り我が家へと帰り、自分の部屋へと入っていく。
「こらー!ドタドタ走らないの!」
「ご、ごめんなさい!お母さん!」
私は携帯電話で唯先輩へと電話をかけ、しばらくすると唯先輩が出た。よ、よし!
「もしもし?」
「『おー、久しぶりだね?どうしたの梓ちゃんや』」
「あ、あの!この前新歓ライブの時で唯先輩達のドッキリ?が見事に入学生の心に響きましてね!なんと!」
「『焦らすね〜、なになに?』」
「入部してくれた一年生が二人も!良かったです!これで廃部にはならないですよ!」
「『わぁ、良かった〜!おーい、みんなー!入部してくれたっていう一年生が二人もいる!だってー!』」

唯先輩の近くに誰かいるのかな?唯先輩は誰かに伝えているみたいだけど・・・まさか、律先輩や澪先輩、ムギ先輩かな?

「『あ、私だ、律だ。良かったなーようやく肩の荷が下りたぞ』」
「は、はい。ありがとうございます。みなさんのおかげですよ、律先輩」
「『はい、澪。・・・あ、もしもし?澪だけど、さっき唯から聞いた。良かったなこれからもずっと軽音楽部を続ける事が出来て』」
「はい!ありがとうございます!澪先輩!」
「『はい、ムギの番だ。・・・あ?もしもし?梓ちゃん?』」
「はい、そうですムギ先輩」
「『うふふ♪一年生で斉藤菫ちゃんっていたじゃない?』」
ああ〜、あの斉藤さんの事か・・・私は斉藤さんの顔を思い浮かべつつ返答する事にした。

「『その子はね。海外旅行でお世話になった執事さんの娘なのよ』」
「ええ?!!そうだったんですか?!通りで・・・」
そっか、ムギ先輩のティーセットを撤去しようとしてたのってそういうことなのか。

「『その菫ちゃんとも仲良くしてやってね?菫ちゃん入部したんでしょ?』」
「え、ええ」
「『うん!また後でね〜、はい。唯ちゃん・・・ああ、私だよ』」
「ああ、はい。唯先輩ですね。本当にありがとうございました」
「『いやいや〜、それほどでもない事はないと思うよ〜』」
「どっちですか・・・」
「『まぁいいじゃないか〜。あ、そういえば、梓ちゃんが部長になるんでしょ?』」
「へ?ええ?!」

私が部長?で、出来るのかな?ちょっとばかり不安になっちゃう私。それでも唯先輩はそんな私を。私の背を押してくれた。
「『ほら、憂じゃいい子過ぎてみんなそれに甘えちゃうでしょ?』」
「ま、まぁ、そうかもしれませんね」
「『だからね?経験豊富な梓ちゃんが部長になれば音楽もいいのが出来上がると思うんだなコレが!』」
「そ、そうでしょうか?」
「『うん!頑張れ!みんなもいくよ?』」
「へ?」
「『せーの、『梓部長頑張れー!!』』」

この先輩達の声援で通話は切れた・・・私は携帯をパタンと閉じ『ふんすっ』と気の抜けた気合を入れて部長として軽音楽部を支える事を誓ったーーー。

-105-
Copyright ©かがみいん All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える