小説『誠の時代に』
作者:真田尚孝()

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誠太も俺を見て信じられないといった顔をしている。
それもそのはず、俺の風貌は8年前と大きく違う。髪の毛の色や髪型はもちろんだが、何よりも体格が大きく変化したからだ。

誠太がいなくなってから、俺は20センチは身長が伸びた。高校に入ってから成長期が到来し、怒濤の勢いでぐんぐん成長したのだ。


それに比べ、同い年であるはずの誠太が、何故なまだ少年のままなんだ?


「ホントに勇作……?顔の感じは勇作っぽいけど…でも俺の知ってる勇作はもっと小さいはず……」

「それはこっちの台詞だ!!8年も経ってるのに、なんでお前はあの時とほとんど変わってないんだよ!?」


俺の言葉に、誠太はピクッと身体を震わせた。いけない……興奮し過ぎてつい我を忘れていた。


「悪い……」

「あの~……」


バツが悪いかの様に声を掛けて手を挙げたのは、藤堂さん。
他の人も何が何だかわからないような顔をしている。みんな誠太と俺が初対面だと思ってるんだよな、きっと。


藤堂さんがそのまま何も言わず、「えっと……あの~……その~……」と言っていると、痺れを切らした土方さんが代わりに俺に尋ねてきた。


「何でお前が誠太の事を知ってるんだ?8年前とか訳がわからねェ。俺達が納得するように話せ」


鋭い視線を向けられたまま言われた。
誠太は未来のこと話さなかったのか?


「誠太は……俺の幼馴染みです」


えーっ!?と声が上がる。そりゃそうだわな。


「俺のいる未来では、誠太は8年前に失踪して1年前に死亡した……ということになっています。なんでここに誠太がいるのか、それと8年経ってるのに何故あの時のまま成長していないのか俺も不思議です」

「ちょ!!ちょっと待った!!なら誠太もお前と同じで未来から来たって事なのか!?」


土方さんはなんとか理解しようとしているのか、眉間に指を当てたまま言った。


「そうです」

「そうだったのか……だから去年、まだ試衛館にいた頃近藤さんが素性調べてもわからなかった分けだ……」


そういえばと思い出したように原田さんが言った。
え?そんな最近やって来たのか?誠太。


「え?原田さん、誠太っていつから皆さんと一緒にいたんですか?」


計算があまりにも合わないため、俺は思わず原田さんに尋ねた。
うーんっと唸った後、答えてくれた。


「確か去年……の年明け辺りだったかな……?確かそうだったよな?近藤さん」

「んおっ?……そうだなぁ……確か去年の1月の20日辺りだったかな。雪が酷かった日だったのは覚えているぞ」


いきなり話を振られ、近藤さんは少し驚いていたが記憶を振り返り、答えてくれた。
ってことはまだ誠太16歳ってことか!?でも失踪してからの8年から引いても、約7年は差があるぞ!?

あぁ訳がわからない!!

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