小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:はやて


 「裕奈、ちょっと言うても良えかなぁ?」

 「良いよ。つーか私も思ってっから。」


 やっぱ思てたか……まぁ多分十代以外はみ〜んな思てるやろな…

 「襲撃かけてくるにしても時を選べや、セブンスターズ!!」

 「今何時だと思ってんの!?」


 はい、只今絶賛セブンスターズが襲撃中や!
 相手として名乗り上げたんは明日香ちゃんやから大丈夫やとは思うんやけど…


 「あいつ…古代エジプトの少年王だと?」

 「しかも無敗の『デュエルの神』って、何か凄そうだぜ!」

 「つーか、セブンスターズのメンバー選定基準て如何なってんのよ?」


 謎やな。
 しっかし無敗の『デュエルの神』か〜〜〜…ドナイな実力なんやろ?











  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX47
 『無敗デュエル…神?』










 『はぁ…彼ですか…』

 「アインス?」

 ドナイした、溜息吐いて?
 あの人の事知ってるんか?


 『私は名も無きファラオ――アテムの時代から古代エジプトの世界を見てきています。
  彼はアビドス3世、古代エジプト中期の少年王で、確かに臣下とのデュエルでは無敗だったのですが…』


 何かあったん?


 『いえ、其れは私の口から聞くよりも見て頂いた方が早いかと…一つ言える事は、古代の伝承は鵜呑みにしてはいけないと言う事です。』

 「?」

 「どゆこと?」

 『噂には尾鰭がつく…みたいなことでしょうか?』


 成程な、のどかちゃん、そういうことか。
 でも、せやったらアイツは…?

 まぁ、相手するのは実力者の明日香ちゃんや、真意の程は直ぐに分るで。


 「ま、明日香なら大丈夫でしょ?」

 「おう、明日香はつえーからな!」


 やね。
 ほな、頑張ってや明日香ちゃん!絶対勝ってや!


 「勿論其の心算よ。彼方達の前で無様なデュエルは出来ないもの。」


 お?言うなぁ……ほな頼むで!








 ――――――








 Side:明日香


 「「デュエル!!」」


 明日香:LP4000
 アビドス:LP4000



 セブンスターズ5人目の刺客、アビドス。
 古代エジプトの王で、デュエルでは無敗を誇った『デュエルの神』らしいけれど…負けられないわこのデュエル。

 それに、新しく組上げたデッキは白星で飾りたいもの。
 勿論、裕奈にはやて、十代に万丈目君に三沢君――此れだけのデュエリストが見ている前で腑抜けたデュエルは出来ないしね。

 「先攻は貰うわ。私のターン!」

 …うん、良い引き。
 此れなら早い段階で貴女を召喚出来るわね。

 「私は『グレーシャー・ディーヴァ』を攻撃表示で召喚。」
 グレーシャー・ディーヴァ:ATK1500


 グレーシャー・ディーヴァは召喚に成功したとき、ライフを500ポイント払う事でデッキから攻撃力1500以下の水属性モンスターを特殊召喚出来る。
 私はこの効果で、デッキから『氷河の暴虎』を特殊召喚!


 明日香:LP4000→3500
 氷河の暴虎:ATK1500


 「更に氷河の暴虎は特殊召喚に成功したとき、手札から『氷河の銀龍』を特殊召喚出来るわ。」
 氷河の銀龍:ATK1900


 カードを1枚伏せてターンエンドよ。


 「先攻1ターン目で3体のモンスターとはやるな?よの時代でもこれだけの事が出来る者は早々いなかった。
  3000年ぶりに世に出てみれば、随分と強い者が居る様だ…よのターン!」


 さて、如何来るかしら?


 「よは永続魔法『王墓融合−ピラミッド・フュージョン』を発動。
  デッキから融合素材となるモンスターを墓地へ送り、2ターン後の世のスタンバイフェイズにアンデッド族の融合モンスターを融合召喚する!
  余はデッキから3体の『ファラオノしもべ』と2体の『王家の守護者』を墓地へ送り、『ピラミッド・ガーディアン』を王墓融合する!
  更に『デザート・スフィンクス』を攻撃表示で召喚!」
 デザート・スフィンクス:ATK2000


 レベル4で攻撃力2000のモンスター!
 大概の場合はデメリットが有るのだけれど……


 「デザート・スフィンクスは召喚したターンには攻撃できぬ。カードを2枚伏せてターンエンド。」


 上級モンスター召喚の布石を打ちながら、此方を牽制?
 駆け引きは中々のものみたいね。

 「私のターン!『氷河の巫女』を召喚。」
 氷河の巫女:ATK1200


 そして、『氷河の巫女』『氷河の暴虎』『氷河の銀龍』の3体を墓地に送り、エクストラデッキから『ブリザード・セラフィム』を特殊召喚!


 『オォォォォ!』
 ブリザード・セラフィム:ATK2700


 「此れだけの早いターンで攻撃力2700の上級モンスターだとぉ!?」

 「この速攻展開は私の友達から教えてもらったものよ。」

 私はシンクロを持っていないけれど、裕奈とはやての超高速展開が私にヒントをくれた。
 展開力を上げれば序盤からデュエルのペースを握る事ができるって。

 だから思い切ってデッキを作り直したのよ?…本当に強い相手に勝つために!

 「行くわよ?バトル、ブリザード・セラフィムでデザート・スフィンクスに攻撃!『アイスコフィン』!」


 ――ガキィィン!!


 アドビス:LP4000→3300
 「く…やるな。ならば、よはこの瞬間にトラップ発動『魂の転輪』!
  よのモンスターが破壊されたとき、デッキからレベル4以下のアンデッド族モンスターを特殊召喚する。出でよ『王室の番兵』!!」
 王室の番兵:DEF1500


 守備力1500、グレーシャーでは倒せないわね…狙いは次のターンでの上級モンスターかしら?
 でも、この瞬間にセラフィムの効果も発動するわ。
 相手がモンスターを特殊召喚したとき、其のモンスターに『アイス・カウンター』を1つ乗せるわね。


 王室の番兵:アイス・カウンター0→1


 「番兵に氷が…」

 「砂漠のピラミッドを守護する番兵さんには少し冷たかったかしら?ターンエンドよ。」

 「む、よはエンドフェイズに永続トラップ『第一の棺』を発動する!
  このカードは相手ターンのエンドフェイズ毎に『第二の棺』『第三の棺』の順にデッキか手札からカードを出す。
  お前のエンドフェイズにこのカードを発動した事で、デッキから『第二の棺』をフィールドに出す!」


 棺が2つも…此れは?


 「3つの棺、其れが全て揃った時、お前は終わる!」

 「全て揃った時…」

 今手札に除去カードは無いわね…仕方ないわ、次のターンのドローね。


 「よのターン!よはカードを1枚伏せ、『ピラミッドソウル』を守備表示で召喚しターンを終了する。」
 ピラミッドソウル:DEF1400


 守備モンスターとリバース…棺が完成するまで護るつもり?
 確かにアリでしょうけど、とても『デュエルの神』と言える戦術とは思えないわね…

 「私のターン。」

 いい引きね。
 手札から速攻魔法『サイクロン』を発動、『第一の棺』を破壊するわ。


 「な!!く、カウンタートラップ『マジック・ジャマー』!手札を1枚捨て、相手の魔法を無効にする!
  よもや、此れを破壊しようとしてくるとは……そんな事をしてきたのはお前が初めてだ。」

 「はぁ…あんなこと言われたら、真っ先に其れを警戒するのは当然よ。
  それと、失礼かもしれないけれど……貴方、あまり強くないんじゃない?とても『デュエルの神』とは思えないわ。」


 「いや、つーか弱いっしょフツーに?」

 「成程なぁ、アインスが言うとったんはこういうことか〜〜。」


 裕奈にはやて?


 「あんな、その人王様やろ?やったら其の相手するのは全部家来言う事になるよなぁ?
  さて、そんで王様が家来に負けたらドナイなことになる?」

 「あ……」

 王の権威は失墜、下手すれば失脚は免れないわ。
 もしかしてそう言う事?


 「矢張りであったか…」

 「!?貴方…気付いていたの?」

 「薄々はな。よの家来は誰もが本気で挑んできては居なかった。
  よに勝たせるようにしているのではないかとは思っていたが、その通りであったか…どこか虚しさを感じるも当然か…」


 アビドス…貴方は…


 「だが、今は違うぞ!今までに無い高揚感を感じておる!お前、アスカと言ったな?
  お前はよの家来とは違う、遠慮などせずに全力で楽しもうではないか!!」

 「ふふ、言われなくてもそうさせてもらうわ。」

 初めてのデュエルの高揚感…其れを感じたのなら『本当のデュエルの楽しさ』が解る筈ですもの。


 サイクロンを無効にされた私に棺を破壊するカードは無い。
 なら、まだ切り札を切るときではないわね。

 けど、ボードアドバンテージはとらせてもらうわ。

 「バトル!グレーシャー・ディーヴァでピラミッドソウルを、ブリザード・セラフィムで王室の番兵を攻撃!」

 守備表示だからダメージは無いけれど、此れで貴方のモンスターは全滅よ。


 「く…よにダメージは無いが激しい攻めだ…だが、心に響く。これが真に強き者との戦いか…真に心が躍るぞアスカ!」

 「それなら良かったわ。デュエルは楽しむものよ?例えどんな相手であってもね。」

 私は此れでターンを終了するわ。


 「エンドフェイズに第一の棺の効果で、デッキから『第三の棺』をフィールドに出す!」


 此れで3つの棺が揃った…何が来るかしら?


 「よのターン!このターンのスタンバイフェイズにピラミッド・フュージョンの効果で『ピラミッド・ガーディアン』を融合召喚!」
 ピラミッド・ガーディアン:ATK2500(アイスカウンター1)


 「よのターン!よは3つの棺を全て墓地に送り、デッキから『スピリッツ・オブ・ファラオ』を特殊召喚する!」
 『むぉぉぉ…』
 スピリッツ・オブ・ファラオ:ATK2500(アイスカウンター1)


 2体の上級モンスター!セラフィムの効果でアイスカウンターが乗るわ。
 けど、手間をかけた割にステータスは対した事無さそうだけれど…


 「『スピリッツ・オブ・ファラオ』は特殊召喚時によの墓地からレベル2以下のアンデッド族通常モンスターを4体まで特殊召喚出来る!
  よはこの効果で、墓地から3体の『ファラオノしもべ』を特殊召喚する!
 ファラオノしもべ:ATK900/アイスカウンター1(×3)


 「更に『ピラミッド・ガーディアン』の効果で、よの場の『ピラミッド・ガーディアン』以外のアンデッド族モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする!!」
 スピリッツ・オブ・ファラオ:ATK2500→3500
 ファラオノしもべ:ATK900→1900(×3)


 !!全体強化で一気に…成程、元来のデュエルの腕は悪くないのね?
 来なさい、遠慮は要らないわよ!


 「無論だ!バトル!スピリッツ・オブ・ファラオで、ブリザード・セラフィムを攻撃!」

 「そうはいかないわ!トラップ発動『永久凍土の楔』!この効果でアイスカウンターの乗ったモンスターはこのターン攻撃できないわ。」

 「く…よのモンスターが全て氷付けに…仕方ないターンエンドだ。」


 中々魅せてくれたわねアビドス。
 お礼に、今度は私のプリンセスをご覧に入れるわ。

 「私のターン!私はグレーシャー・ディーヴァをリリースし、『ブリザード・プリンセス』をアドバンス召喚!」
 『えっへん!』
 ブリザード・プリンセス:ATK2800


 「レベル8のモンスターをリリース1体で召喚だと!?」

 「プリンセスは魔法使い1体のリリースで攻撃表示でアドバンス召喚できるのよ。
  そして召喚したターン、相手の魔法と罠の発動を封じるわ。」

 貴方の場に伏せカードはないけれどね。
 でも、このターンで終わらせるわ!
 手札から魔法カード『拡散する波動』を発動。
 ライフを1000ポイント払う事で、このターンレベル7以上の魔法使いの攻撃を全体攻撃にするわ。

 私はプリンセスの攻撃を全体化する!


 明日香:LP3500→2500


 「バトル!ブリザード・プリンセスで、ピラミッド・ガーディアンに攻撃!『氷塊の鉄槌』!」


 ――ドゴォォォ!!


 「ぐぅぅ…」
 アビドス:LP3300→3000


 「ガーディアンが居なくなった事で、貴方のモンスターの攻撃力もダウンするわね?」

 「ぐ…仕方ない…」
 スピリッツ・オブ・ファラオ:ATK3500→2500
 ファラオノしもべ:ATK1900→900(×3)


 此れで終わり。
 ブリザード・プリンセスで拡散攻撃!『氷柱の拡散』!!



 ――グワシャァァン!!!!



 「うおわぁぁぁ!!」
 アビドス:LP3000→0


 今回は私の勝ちね?
 どう、本当のデュエルの感想は?


 「負けはしたが、実に清清しい気分だ…此れが本気でぶつかり合った結果か…」


 そうね。
 でも、貴方のラストターンは中々のものだったわ。


 「機会があったらまた戦いたいものだな…」

 「えぇ、その時はまた相手になるわ。」








 ――――――








 Side:裕奈


 終わってみれば明日香の事実上パーフェクト勝ちか〜。
 ライフコスト以外払ってねぇしね。


 「おぉ!流石明日香だぜ!!」

 「矢張り実力が高いな天上院君は…」


 まあ、明日香が負けるとは思ってなかったし、何より…

 「アイツも満足そうじゃね?」

 「まぁ、満足やろ。本気でぶつかってきた相手やったんからね。」


 だよね。
 てか、アビドスなにしてんの?




 「アスカ、これ程楽しいのは初めてだ!次にとは言わずによと一緒に冥界へ行こう!
  其処ならば時間も気にせずデュエルが出来る。

 「え…あの…」

 「マテやこら〜〜〜〜〜!!」

 な〜〜に冥界に連れてこうとしてんのよ!!
 誘拐するなよ!


 「せやな。連れ帰らんでもえぇやろ?あと80年も経てばこの場の全員がアンタの元にイクで?」

 「そうそう。無理に連れてかないで気長に待ってよ。暇だろうけどさ。」

 はやてナイス。
 でさ、どうしてもダメ?


 「…そうだな、アスカにはアスカの世界があったな。
  では待つとしよう……7〜80年など3000年の月日とくらぶれば瞬きをするようなものだな。」

 「そう言うこってすよ。だから待ってなって。」

 「うむ、そうだな。…その時が来るのを楽しみにしているぞ。…ではな!」



 ――シュゥゥゥ…



 「消えちった…」

 「まぁ、あの世の住人に土産話は出来たやろ?」


 だね。
 更にデュエルの面白さと醍醐味を知って逝けたんだから満足してると思うよ。


 「確かに言えているな。ともあれ、此れで残るセブンスターズは2人…気を入れなおしていくぞ!」

 「準…言われるまでもねーわよ!」

 「誰が来ようが返り討ちにしたるわ!」

 「俺達は負けないぜ!!」

 「鍵は渡さない!」

 「護りきってみせるわよ…必ず!」


 気合充分!
 んじゃ行くぜ?

 「絶対勝つ!鍵の守護者…ファイ!」

 「「「「「おぉぉーーーー!!」」」」」


 一致団結!!
 残る2人にだって負けてやるモンか!!







 …あ、カイザー入れて今のやりたかったなぁ…ま、居ないから仕方ねーわね♪


















   To Be Continued… 






 *登場カード補足



 ピラミッド・ガーディアン
 レベル9    光属性
 アンデッド族・融合/効果
 「ファラオノしもべ」と「王家の守護者」を含むアンデッド族モンスター×5
 このカードは融合召喚でしか特殊召喚出来ない。
 このカードが表側表示で存在する限り、自分フィールド上のこのカードを除くアンデッド族モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
 又、このカードが表側表示で存在する限り、自分フィールド上のアンデッド族モンスターは効果では破壊されない。
 ATK2500    DEF2500



 デザート・スフィンクス
 レベル4    風属性
 アンデッド族・効果
 このカードは召喚、反転召喚、特殊召喚したターンには攻撃できない
 ATK2000    DEF0



 王室の番兵
 レベル3    闇属性
 アンデッド族・効果
 墓地のこのカードをゲームから除外する。
 自分の墓地の「スピリッツ・オブ・ファラオ」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
 ATK700    DEF1500



 ピラミッドソウル
 レベル3    地属性
 アンデッド族・効果
 このカードは自分フィールド上にモンスターが存在しない時墓地から特殊召喚出来る。
 ATK0    DEF1400



 王墓融合−ピラミッド・フュージョン
 永続魔法
 自分のエクストラデッキのアンデッド族の融合モンスター1体をお互いに確認し、
 決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。
 発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。
 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。



 永久凍土の楔
 通常罠
 フィールド上に存在する「アイスカウンター」が乗ったモンスターはこのターン攻撃できない。



 魂の転輪
 通常罠
 自分のモンスターが破壊された時に発動できる。
 デッキからレベル4以下のアンデッド族モンスターを特殊召喚する。



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