小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:はやて


 さぁ〜っていよいよアカデミアに入学や!

 天気は快晴で私等の入学を祝ってくれてるみたいやな。

 アカデミア島に向かう船の甲板上で、私も裕奈も十代もやる気と気合は溢れかえらんばかり!
 さっきまでやってたデュエルも絶好調やったし!
 2人とも気合は充分か!?

 「勿論だって!」
 「どんな奴が居るのかワクワクしてきたぜ!」

 其の意気や良し!
 ほな、行こか!









  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX7
 『祝・アカデミア入学』









 で、アカデミア島に到着やけど…やっぱ結構人が居るな〜。
 赤と黄色が略同数くらいで青は…あんまし居らへんみたいやね。

 「青は中等部からの持ち上がりだからね。外部組は赤か黄色から始まるんだ。」
 「ついでに青は最高ランクのエリート集団って事らしいっす。」

 お、実技試験のときの破壊輪と眼鏡君やないの。

 「三沢大地だ。」
 「丸藤翔っす。僕達は1本前の船で来てたんす。」

 「あ、だから居なかったんだ。」
 「1本前の船だったのかよ〜!あ〜くそお前ともデュエルしたかったんだけどな。」

 「『受験番号1番何処だ〜!!』言うて船中探し回っとったからな十代は。」
 そもそも船に居らへんのやったら見つかるはず無いわ。

 「君達とのデュエルは楽しみにしている。実技試験で試験官を1ターンキルしたのは君達だけだしね。
  それにしても、君達2人の事は名前と戦術からもっと早く気付くべきだったな明石裕奈と八神はやて。」

 あ…気付かれてもうたかな?
 ちょ〜〜〜っと試験でやりすぎたか、私も裕奈も…

 「この2人がどうかしたのかよ?」

 「そもそもシンクロ召喚はあるプロデュエリストが、友人のカードデザイナーの作った試験的なカードを使ったのが最初だ。
  だが、使ったのは余りにも短期間な上に当時は特に強力な効果が有ったわけでもなかったから誰の記憶にも残らなかった。
  其の後、カードデザイナーは次々と新たなシンクロモンスターを開発したらしいがそれが世に出ることは無かった。
  作られたカードは1枚は自分の娘に、他の多くは友人であるプロデュエリストに渡したんだそうだ。
  しかし其のプロデュエリストも、2枚だけを自分が貰い、残りは新たな世代、自分の娘に渡したらしい。
  そして其の2枚も相当な大勝負でしか使われる事がなかったせいでシンクロは未だ世間の認知が低く出回っても居ない。
  大体合ってるだろうプロデュエリスト『明石夕子』、そしてカードデザイナー『八神伊織』の娘さん達。」

 「「…………」」

 「違ってたかな?」

 いんや、間違ってはおらんのやけど…

 「シンクロモンスターが出回ってないのってそう言う理由だったんだ。」
 「てっきり発行枚数がメッチャ少のうて使う人が私達以外に居ないんやとばかり思ってたわ。」

 「少しもオカシイと思わなかったんすか!?」
 「2人とも面白ぇ♪」

 うん、ナイス突っ込みや翔君♪
 てか、そうかそれで納得行ったわ、何でああもアッサリ私と裕奈が一緒に暮らすってのがとんとん拍子に進んだんか。

 私達が出会う以前に私のオカンと裕奈のママさんは知り合いやったんやな。
 それで、あんなにアッサリと…世間は分からんね?

 「だね。まぁ、そんなのは小さな事だって!大事なのはこんだけのデュエリストが此処に居るってことでしょ?」

 「せやな。私と裕奈と十代は当然やし、三沢君も相当な実力者やろ?翔君は…未だ原石やけど磨けば相当なはずや。」

 「えっ、僕がっすか!?」

 何や、気付いとらんの?
 マダマダ未熟で弱いけど、翔君も持っとるよ『デュエリストのオーラ』、これからの成長に期待ってとこやけど。

 「僕にも…よし、頑張ってみるっす!」

 「其の意気だぜ!」
 「そうそう、常に元気で!元気が一番、元気は最強だぜ!」



 「ふ…ははははは!参った成程君達が強い訳だ。」

 と、突然如何したの三沢君?

 「いや、自分の思い違いがおかしくてね。そうか、君達にとって親が何であるかなんて関係ないんだな。
  ただ純粋にデュエルを楽しみ強者を求める……デュエリストにとって何よりも大事な事だな。」

 「確かに私のお母さんはプロデュエリストだけど、私は私でお母さんじゃないから。私は私のデュエルをするだけ。」
 「私もやね。いくら親がカードデザイナーや言うてもそれはあんまし私と関係ないやろ?私は私なんやし。」

 まぁ、折角のシンクロモンスターは存分に使うけどな?

 「やっぱ2人ともスゲェ!く〜〜ワクワクが止まらないぜ!!」

 其れは私もや。
 せやけどそろそろ講堂行こか、入学式始まってまうで?

 「ゲッ、ホントだ!よっしゃ、いっそげ〜〜!!」

 って掛け声前にダッシュとかずるいで裕奈!








 ――――――








 Side:裕奈


 あ〜〜〜…やっと終わった。
 なんだって校長先生の話ってのは長いんだろうね?…てか十代は思いっきり寝てたし。

 「突っ込んだらアカンで裕奈。校長の話が長いのは世界の理や。」

 「やな理だねソレ!」
 マジ勘弁して下さい…
 
 にしても遠いな〜〜、レッド寮は校舎からドンだけ離れてんの?
 これ、相当早起きしないと間に合わないじゃん。

 「まぁ、必要なら魔力供給で万事解決やん。折りたたみ自転車持ってきてるんやろ?」

 「うん。ま、此処はアカデミアの敷地内だから仮に時速100kmオーバーしても問題ないっしょ?」
 つーか、はやてが魔力供給量増やしてくれたらそれくらい普通に出そうだし。

 「どうやろ?行けるかなぁ?」
 「Clear to go.」

 レイハも同意って、私が凄いのかはやてが凄いのか…取り合えず歓迎会を楽しもうかな♪

 「せやな。」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 「…はやて、流石に『アレ』は無いよね?」
 「せやね。歓迎会のメニューに『アレ』は無いわ。」

 歓迎会も終わって「「で、デス・コアラ〜〜〜〜!!?」」…十代の部屋からなんか聞こえたけど取り合えず無視。
 てかデス・コアラって何事よ?

 「部屋にデス・コアラの精霊でも居たのかもなぁ…」

 ありえるね…じゃなくて、幾らなんでも差別待遇が酷いよね?

 「やな。レッドは最下層らしいけど幾らなんでも酷すぎや。」
 「It's so.」

 レイハもそう思うよね〜〜。
 う〜〜ん、でも学校側に訴えても聞いてくれないよね多分?

 「望み薄やろな。」

 「如何したもんだろ?絶対に近くレッド生の不満が爆発すると思うんだけど?」

 「やなぁ……そや!良い手が有るやん!店長の店使えば童実野町に買い出し行けるで!」

 !!おぉ、確かにそうだ!
 「そっか、それで私達で料理すればいいんだ!」

 「大体にして昼は食堂使うから作らんでもいいし、朝晩だけなら出来ない事は無い!」

 うし、決まりだ!!

 「はやて!」
 「裕奈!」

 「「レッド寮の胃袋は私達が守る!!」」

 『…結束するのはかまわね〜が、はやても裕奈もちゃんと服着ろよ。』

 着てるよ?

 『シャツ1枚じゃね〜かよ!ちゃんと下も穿けよ!』

 「今更やん。それになぁヴィータ、裸Yシャツは正義やで?」

 『何のだよ!!』

 さぁ、何だろうね?








 ――――――








 ――翌日


 No Side


 本日からアカデミアの授業が本格的に始まる訳だが…レッド生徒はやる気に満ち溢れていた。

 原因は本日の朝食。

 昨日の歓迎会の事から、普段の食事には期待など持てる筈が無かったのだが、それは見事に裏切られたのだ良い意味で!

 今朝のレッド寮の食堂に並んだメニューはバターロール2個とベーコンエッグ、野菜スープとバナナジュースor牛乳。
 決して豪華ではないが、昨日の『麦飯とメザシ2匹』に比べたら格段に良いと言える。

 しかも此れを作ったのはレッド寮のたった2人の女子である裕奈とはやてと言うのが更にレッド生のやる気を向上させていた。

 幾らデュエリストの卵と言っても中身は思春期真っ只中の男子高校生。
 女の子の手料理は夢にまで見た理想郷と言っても過言では無い。

 加えて裕奈とはやてが『朝と夜のご飯は私達が作るから』と言ったのも大きい。
 朝晩が女の子の手料理…もう、テンションは鰻登りである。(十代だけは単純に美味しいご飯って事で喜んでたが。)

 環境は兎も角として、食事に関してはレッド生徒は『勝ち組』になったのかもしれない。





 閑話休題(それはともかく)





 只今は授業中。
 デュエルの基礎知識を学ぶ座学なのだが…

 「それでは丸藤翔、『フィールド魔法』について説明するの〜ね。」

 「へ?え、えっと…あの…」

 「おやおや、こんな簡単なことも分かりません〜の?ふん、所詮は落ちこぼれのオシリスレッドなの〜ね。」

 此れは授業だろうか?
 クロノスがやっているのは授業と言うより出来の悪い生徒の吊るし上げにしか見えない。

 一つ言っておくと、翔が出来が悪い訳ではない。
 ただ、行き成り此れだけの大勢の前で当てられて緊張してしまっただけなのだ。

 「座っていいの〜ね。全くなんでこんな落ちこぼれが…「マテや白塗り。」…なんです〜の八神はやて?」

 ソレに黙っていられなかったのがはやて。
 いや、単純にはやてが一番速かっただけで裕奈と十代も席を立っている。

 要するにこの3人はクロノスがした事が単純に気に入らないのだ。

 「そんな言い方は無いぜ、お前本当に先生なのかよ!」
 「此処はデュエルを学ぶ所でしょ?だったら知らないことがあって当然じゃん。
  大体、ソレを教えて生徒を育てるのが先生の仕事じゃないの?ソレとも生徒の出来なかった事を摘み上げて笑いモノにするのが仕事なの?」
 「加えて、今笑った奴も同様やで?特に青服の連中な。エリートかなんか知らんけど、レッドやからって舐めとると…痛い目見るぞ?」

 三者三様だが、部屋の中から笑い声は一切消えた。
 十代は兎も角、裕奈とはやてから発せられたプレッシャーに負けたのだ。

 確かに凄まじい前世を送っていた2人の放つプレッシャーは正直凄まじい。
 更に其処になのはやユベルのプレッシャーが加わるのだからたまったものじゃない。

 事実クロノスも其のプレッシャーに押されている。

 この場でこのプレッシャーに押されてないのは、十代と三沢、そして万丈目と明日香位のものだろう。


 「ど、ドロップアウトが何を言います〜の!」
 「其のドロップアウト3人に1ターンキル喰らったのは誰でしたっけ?しかも私にはパーフェクト負け。」
 「ラザニ〜ア!」

 反撃の一言も裕奈のカウンターの前に敢無く撃沈。
 レッド生徒からは拍手が沸き起こった。

 「ぬぬぬ…では明石裕奈、貴女が『フィールド魔法』について説明するノ〜ネ!」

 半ばヤケクソ、矛先を裕奈に向けるが…

 「フィールド魔法とはフィールドに存在している限り其の効果が発動する魔法カードの1種類です。
  フィールドに留まると言う点では『永続魔法』に酷似してますが、フィールド魔法はフィールドカードゾーンで発動し、1枚しか存在できません。
  自分か相手が新たなフィールド魔法を発動した場合、発動中のフィールド魔法は破壊されフィールドの上書きがされます。
  で、フィールド魔法は基本的に特定の種族や属性を強化するものですが、中にはアドバンス召喚のサポート効果の様な特殊な効果を持っているものもあります。
  他にも…………………」

 全く隙なし。
 簡単に答えてしまった。

 此れにはクロノスも吃驚。
 レッド生徒が此処まで完璧な答えをするとは思っていなかったのだろう。

 更に此れを皮切りに、はやてがトラップについての説明をはじめ、十代が融合召喚の説明をする。

 何時の間にやら授業はこの3人に仕切られ、クロノスはこの時間出番なし!


 万丈目と明日香を除いたブルー生徒は面白く無さそうだったが、イエロー生徒とレッド生徒には受けが良かった。

 実の所、万丈目と明日香も非常に分かりやすい上に所々で入る裕奈とはやての漫才的やり取りに新鮮さを感じていたのだった。








 ――――――








 Side:万丈目


 面白い奴等だな。
 あぁも正面切って教師に噛み付くとはな。

 まぁ、確かに今のはクロノス先生に非が有るだろうが…


 「けっなんだよあいつ等、レッドの癖に偉そうに!」
 「生意気だよな!ドロップアウト風情が!」


 こいつ等はまるで分かってないな。
 所詮は今の授業でもあいつ等の実力を推し量る事が出来ない二流と言う事か…

 それにしても何処に行った?
 授業が終わると同時に答えられなかった奴…確か丸藤翔も連れて教室からすっ飛んでいったが…


 「万丈目君も彼女達を探してるの?」

 「天上院君もか。実技試験のときも思ったが、あいつ等は『モノ』が違う。正直に言うと、今すぐデュエルをしてみたい位だ。」

 「珍しいわね、万丈目君がそんな高評価をするなんて。」

 …俺は本当に強い奴は偏見無く認めるぞ?
 それほどの奴等なんだあの3人は。

 恐らくブルーの1年であいつらに勝てるのは俺と君くらいだろう?
 それ以外だと、イエローの三沢か?

 「でしょうね。特にシンクロ召喚なんて未知の戦術を使う裕奈とはやては強敵になりそう。」

 「あぁ、カイザーでも苦戦は免れないだろうな。」
 矢張り、デュエリストとしての本能が騒ぐな…


 「オイオイ、レッド生徒が何やってるんだよ?此処は俺達『オベリスクブルー』専用のデュエルスペースだぜ?」


 !?今の声は?
 デュエルスペースか!



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・



 「おい、何をしてる!」
 「一体何事かしら?」

 デュエルスペースには明石裕奈、八神はやて、遊城十代、丸藤翔の4人と、ブルーの生徒が3人。
 く…よりにもよってこの3人か…

 「あっれ〜〜万丈目と天上院さん?如何したの?」

 耳障りな声だな…鬱陶しい。

 「廊下までお前達の声が聞こえたんでな。何事かと思って来たんだ。」

 大体の事情は見て想像がつくが…

 「何事も何も、私等は休み時間利用してアカデミア内部の探索や。」
 「で、偶然此処に来たら行き成りそいつ等が因縁つけてきたのよ。」
 「ブルー専用って…別に俺達が使っても良いだろ?」

 矢張りか。

 「おい、何を勘違いしてるか知らないが、此処は許可を取ればイエローだろうとレッドだろうと利用可能なデュエルスペースだ。
  勝手にオベリスクブルー専用だなどと言うな。勘違いも甚だしいぞ。」

 「けっへっへ…そう言うなよ万丈目。生意気なレッド生にアカデミアの理を教えてやってるだけだろ〜?」

 こいつ等は…!

 「その辺にしなさい。正直見苦しいわよ?」

 「「「ゴハッ!」」」

 天上院君……見事だ、効果は抜群だな。

 「ち、覚えてろよレッド生!」

 …何がしたかったんだあいつ等は?
 いや、理由も無いただの因縁付けか。
 一応忠告しておくか。

 「あいつ等とは余り係わり合いにならん方が良い。正直碌でも無い連中だからな。」

 「出来ればそうしたいなぁ?私等もあんなのとは好んで係わり合いになりとうないからな。」
 「経験則的にまともなのが居ないかんね、あの手合いは。」

 流石に分かったか。
 だが、間違いなく連中に目を付けられただろうからな、用心しておけ。

 「サンキュ。お前良い奴だな!」

 「大した事じゃない。」
 奴等が要らん事をして、お前達とデュエルが出来なくなったらつまらないからな。


 しかし、あいつらが此れで終わるはずは無いだろうな…一応用心しておくか。








 ――――――








 No Side


 ――夜・レッド寮女子部屋


 「くっそ〜〜下手こいた〜〜!」
 「ホンマや!何であそこで気がつかへんねん!!」

 裕奈とはやては心底悔しがってた。

 「「あの黒服、ジュニアチャンピオンの万丈目じゃん!」やないか!!」

 どうにも昼間の一軒に係わってきた万丈目が一体何者かを今頃になって思い出したらしい。

 「エヴァちんにサイン頼まれてたのに…」

 「しゃーない…明日頼んでみよ?」

 就寝時間は近い。
 今からブルー寮に行ってサインを求めるのは非常識だろう。

 と言うか、真祖の姫君はどうやら万丈目のファンであるらしい…実に意外だ。


 「だよね。寝るとしますか…」
 「やな。おやすみなさいや…「Pipipipipi!」!何事やねん!!」

 寝ようとした矢先の電子音。
 生徒全員に配られた携帯端末が其の発生源だ。

 「っと私にもだ。誰よ?」
 「全く時間考えんかい!」

 ぶつくさ言いながらも端末をチェック。


 中にはメールが1通。


 差出人は不明で件名も無い。

 不審に思って中を見ると、


 「…これって昼間の奴等やろか?」

 「多分ね。如何する?聞くまでも無いけどさ?」

 「そら決まってるやろ。売られたデュエルは…」

 「買うが礼儀!」


 極短い文章。


 『10時にデュエルスペースにて待つ。度胸があるなら来い。』


 挑発文とも取れるデュエルの申し込みが書かれていた。



















   To Be Continued… 

-7-
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