小説『夜天と勇気と決闘者』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:十代


 「ねぇ、アニキ行っても大丈夫っすかね?怪しい匂いがぷんぷんすよ?」

 「大丈夫だって。只デュエルするだけなんだからさ。」
 其れにこのメールを出したのがどんな奴なのか楽しみじゃないか。

 『全くお気楽だね、十代らしいけど。けど十代、今回はやばくなったら僕が出る、良いね?』

 ん、良いぜ?偶にはユベルもデュエルしないとな!

 『やれやれ…』
 「クリクリ…」

 何だよ2人して……っと此処だな!

 お、はやてと裕奈も来てたのか!

 「何や、十代も呼ばれたんか?」
 「翔君も呼ばれたの?」

 「僕は付いて来ただけっすよ。てか2人とも大丈夫なんすか!?」

 だから大丈夫だって。
 裕奈とはやての実力は知ってるだろ?それにさ、

 「「「売られたデュエルは買うのが礼儀!!」」」

 「息ピッタリ過ぎっす!!」


 さぁて、一体どんな奴が来るんだ!?









  遊戯王×リリカルなのは×ネギま  夜天と勇気と決闘者 GX8
 『真エリートの実力』









 Side:裕奈


 やっぱし十代にもメール来てたんだ、つーかこんな時間に呼び出すとか如何言う神経してんだろ?

 「そらそう言う神経ちゃうん?」

 「はやて、アンタ其れ身も蓋もない。」

 「せやけど説得力は有るやろ?」

 まぁね…ところでとっくに指定時間過ぎてるけど何時になったら来るんだろ?
 まさか呼び出すだけ呼び出しといてスッポカなんて事は…


 「ふん、逃げずに来たか。其の度胸だけは誉めてやる。」


 無いよね流石に。てか、やっぱり昼間のお前か〜!遅刻してなんで偉そうなのよこいつ等は?

 「エリートのプライド…いや、傲慢やな。おいコラ、人呼び出したんやったら時間くらい守らんかい!」

 「あれ?もしかして俺と翔も遅刻か?」
 「もしかしなくても遅刻っす!」

 「いや、十代と翔君は『呼び出された側』だからまだ良いとして、呼び出した側が遅刻とか常識ってモンが無さすぎ。
  社会に出たら通用しないし、プロデュエルの世界だったらこの1発で契約解除でお払い箱だよ?」
 分かってんのかなコイツ?

 「絶対分かって無いと思うっす…」

 だよね…


 「早速だがお前等には俺達とデュエルをしてもらう。3vs3のチーム戦だ、依存は無いな?」

 「いや、取り合えず人の話を聞けよアンタ!大体3vs3て成り行きだけど翔君も居るんだけど?」

 「フィールド魔法の説明も出来ないような雑魚に用は無い!」

 む…なんかムカつく言い方。コイツ何様よ!?

 「オイ!そんな言い方無いだろ。誰にだって失敗くらいあるだろ!」
 「言うだけ無駄や十代。如何にもエリートクラスって肩書きを勘違いしとるみたいやな。」

 「ふん、レッドの分際で偉そうに吼えるな。貴様等の様な最下級クラスが俺達のエリートにデュエルをしてもらえるんだ、ありがたく思え。
  それからこのデュエルには『アンティルール』を採用するからな。異論は聞かん!」

 か、勝手に呼び出しておいて偉っそうに〜〜!!しかも『アンティデュエル』だと〜〜!?脳湧いてんじゃないのコイツ?
 良いよねフェイト?もう、撃って良いよね『ファランクス』を!?

 『撃ったら此処壊れるよ?』

 なら『スマッシャー』で!


 「貴様こそ吼えるな。見るに耐えんぞ。」
 「大体、こんな時間のデュエルは違反よ。しかもアンティルールは御法度…忘れたのかしら。」


 お、この声はもしかして…








 ――――――








 Side:万丈目


 「お前、昼間の…」
 「万丈目君と美人さんやないの。」
 「2人も呼び出された…ってそんな訳ないか。」

 「そいつ等が寮から出て行くのが見えてな、嫌な予感がするんで来てみたら案の定だ。」
 まったく碌な事を考えん奴等だ。
 大方、詳細は伝えず只『デュエルをしろ』と呼び出したというところか…で、この3人はデュエルと言われたら黙ってられなかったという所だな。


 「大正解や。」
 「まぁ、来ちゃった事を今は後悔してんだけどね。」


 !!?何時の間に?いや、お前達は今まで下のアリーナに居なかったか?此処は客席だぞ!?

 「気にしたらアカンで♪せやけど万丈目君が来てくれたんは嬉しい誤算や。」

 如何言う事だ?…其れよりも何故俺の名を?名乗っては居なかったはずだが…

 「ついさっき思い出したんだけどさ、ジュニアチャンプの万丈目準でしょ?」

 成程、そう言うことか…
 「確かにそうだが、ジュニアチャンプなど関係無い。此処では俺も一介のデュエリストに過ぎないからな。」

 ジュニアチャンプは確かに誇れる事かもしれないが、其れをひけらかそうとは思わん。

 「おぉ…!凄いよはやて、本物のチャンプだよ万丈目は…」
 「せやな。己の栄光を見せびらかさず、しかしデュエリストのプライドは確り持っとるし。」

 「ふふ、大人気ね万丈目君?」

 からかわないでくれ天上院君。
 だが『嬉しい誤算』とは如何言う事だ?

 「知り合いの10歳位の女の子なんだけどさ、万丈目のサインが欲しいって頼まれて(命令されて)さ。」

 「そう言うことか。別にサインくらいは構わないg「オイコラ俺達を無視してんじゃねぇぞ!」…そう言えばそうだったな。」

 こいつ等が居たか。
 人の話に割り込むのは感心できんぞ?

 「うるせぇ!あとから来てごちゃごちゃと!万丈目、お前もしかしてそいつ等に惚れたか?」

 ふぅ…一度中等部からの持ち上がり生徒の処遇について校長に進言する必要があるかな此れは。
 此処まで阿呆だと逆に感心するが……まぁ確かに惚れたと言えなくも無いな。
 「そうかもな。実技試験で見せたこいつ等と其処の遊城十代の実力、今日の昼の啖呵に教師にも怯まない胆力。
  更にはデュエルを挑まれれば受けて立つという其の姿勢、デュエリストとして惚れるなと言うのが無理がある。」

 「格好つけてんじゃねぇよ!へっ、良い機会だこいつらの前にお前をぶちのめしてやる万丈目!
  ジュニアチャンプだかなんだか知らないが、常々思ってたんだよ『俺達の方が上だ』ってな!」

 「ふん、願っても無いな。俺も思っていた、貴様等の様な『似非エリート』は正直目障りだとな。
  そろそろ警備員が来る頃だから時間が無い、3人纏めて相手をしてやる。」

 「舐めんじゃねぇぞ!チャンプだからって図に乗りやがって!」

 この程度の挑発で沸騰するか…
 「悪いが明石くn「私は裕奈でいいよ。」…裕奈と八神くn「私もはやてで良ぇで♪」…はやて、頼まれたサインは後で良いか?」

 「構へんよ。それにホンマモンのエリートクラスのデュエルが見れそうやしな?」

 ならば其の期待には応えて見せよう。

 「頑張れよ万丈目!」

 「言われるまでも無い。貴様こそ良く見ておけ遊城十代。」

 さぁ、始めるぞ!








 ――――――








 Side:はやて


 なんか面白い事になってきたな?
 まさか万丈目のデュエルを、それも1vs3の変則バトルロイヤルで見れるとは思わんかったわ。



 「「「「デュエル!!」」」」


 万丈目:LP4000
 ブルー生徒:LP4000
 取り巻きA:LP4000
 取り巻きB:LP4000



 「傍から見たら万丈目が絶対不利だけど、如何有っても負ける気がしねぇんだよね…」

 「そうかしら?すこし無茶と思うけれど…」

 大丈夫やろ普通に。見てれば分かるで?
 …しっかしこの美人さん、アインスと声似とるなぁ…まぁ中の人同じやからね。

 『…危険な発言は程々にして下さい我が主…』

 なはは、其れはさておき十代と翔君は如何見る?

 「多分万丈目が勝つと思うぜ。アイツ強そうだし。」
 「ん〜僕は万丈目君が不利と思うっす。1vs3は流石にきついっすよ。」

 見事に分かれたな。
 まぁ、結果は見てのお楽しみ言う奴やな。


 「俺のターン。『リチュアライドドラゴン』を攻撃表示で召喚。」
 リチュアライドドラゴン:ATK1800


 「カードを1枚伏せてターンエンドだ。」


 先ずは下級モンスターと伏せ1か、バトルロイヤルルールは1ターン目には誰も攻撃出来へんから悪い手や無いな。


 「俺のターン!魔法カード『融合』発動!摩天老と悪魔の知恵を融合!来い『スカル・ビショップ』!」
 スカル・ビショップ:ATK2650


 「ターンエンド。」

 「俺のターン。地雷蜘蛛を召喚してターンエンド!」
 地雷蜘蛛:ATK2200


 「俺のターンゴブリンエリート部隊を召喚してターンエンド。」
 ゴブリンエリート部隊:ATK2200



 …ちょい待てや、何や此れ?
 リーダー格の奴が融合召喚した以外は只攻撃力が高いモンスターを出してターンエンドやと!?
 「…アカン、このデュエル下手したら次の万丈目のターンで終わるわ。」

 「だね。如何なんでも、あのモンスターで伏せカードも無しとかありえないっしょ?」

 効果無しとデメリットやもんね。
 もうえぇわ……!やってまえ万丈目!


 「ふぅ、モンスターの攻撃力しか見てないのか貴様等は。俺のターン。リチュアライドドラゴンの効果発動。
  このカードをリリースしデッキから儀式魔法1枚とドラゴン族の儀式モンスター1体を手札に加える。
  俺はこの効果でデッキから儀式魔法『龍の儀式古術』と『へヴィメタル・ドラゴン』を手札に加える。
  そして『龍の儀式古術』を発動!手札のライトエンド・ドラゴンをリリースし、現われろ『ヘヴィメタル・ドラゴン』!」
 「ゴアァァァァァァ!」
 ヘヴィメタル・ドラゴン:ATK3000


 巧い!モンスター効果を利用しての速攻儀式召喚、しかも効果付きの攻撃力3000!
 こら、更に期待しても良ぇよな!?


 「トラップ発動『不死の竜』。この効果で墓地のドラゴン1体を蘇生させる。蘇れ『ライトエンド・ドラゴン』!」
 「コォォォォォ…!」
 ライトエンド・ドラゴン:ATK2600



 「うおぉ、スゲェぞ万丈目!一瞬でレベル8のモンスターを2体も揃えやがった!」

 「シンクロや融合使わずの上級モンスターの速攻展開とか流石にちょっと驚いた。」

 「見せてくれるやないの。次の一手が楽しみやで。」
 儀式は速攻性では少し劣るのに、それでもこれやからな。
 それに上級の速攻展開だけじゃ無い筈や!


 「ライトエンドの効果発動。攻撃力を500下げ、相手のモンスター1体の攻撃力を1500ポイントダウンさせる。
  この効果でスカルビショップの攻撃力を1500ポイントダウンさせる、『ライト・イクスパンション』!」
 ライトエンド・ドラゴン:ATK2600→2100


 「ち、小賢しい真似しやがって!」
 スカルビショップ:ATK2650→1150


 「魔法カード『龍族の絆』を発動。自分フィールド上のドラゴン1体に、他のドラゴンの元々の攻撃力を集約させる。
  ただし、このターンは力を集約させたドラゴンでしか攻撃できない。俺はヘヴィメタル・ドラゴンに攻撃力を集約!」
 「ウォォォォォォォ!!」
 ヘヴィメタル・ドラゴン:ATK3000→5600


 「ば、馬鹿な!?」
 「こ、攻撃力…」
 「5600だとぉ!?」



 だから何で攻撃力だけに驚くかな?
 もっと驚くべきはあるやろ、此処までの鮮やかなタクティクスとか…まぁこれが『差』なんやろな。


 「此れで決めるぞ、魔法カード『龍の息吹』!ライフを1000ポイント払い、ドラゴン1体の攻撃を全体攻撃にする!」
 万丈目:LP4000→3000


 「バトル!ヘヴィメタル・ドラゴンで地雷蜘蛛を攻撃!『ヘヴィストライク・バースト』!」


 ――ゴォォォォォ!


 「ぐおわあぁぁぁ!!な、何で!?」
 取り巻きA:LP4000→0


 「ヘヴィメタル・ドラゴンは相手モンスターを戦闘で破壊し墓地へ送ったとき其のモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える。
  この効果で貴様は戦闘ダメージ3400とバーンダメージ2200を喰らいライフが0になったと言う訳だ。」

 「そ、そんな…。」


 「相手の使うカードの効果位は確認しておくべきだな。龍の息吹でヘヴィメタルは相手モンスター全てに攻撃が可能。
  続けてバトルだ!ヘヴィメタル、ゴブリンエリート部隊を焼き尽せ!『ヘヴィストライク・バースト?』!」


 ――ゴバァァァァ!!


 「わぎゃぁぁぁ!!」
 取り巻きB:LP4000→0



 「おぉ、お見事お見事。」
 「強いとは思ってたけれど、此処まで強いなんて予想外よ…」
 「凄いっす…」
 「イよっしゃ〜〜!トドメだ万丈目!」

 うん、バッチリかましたれ!!


 「言われるまでも無い。此れで終わりだ、ヘヴィメタルでスカルビショップに攻撃!『ヘヴィストライク・バースト?』!」


 ――ドゴォォォォン!!


 「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
 ブルー生徒:LP4000→0



 お見事、てかお粗末様。
 予想通り危なげ無く完勝やったな♪


 「奴等位ならば如何にでもなる。…取り合えず警備員が来る前に出るぞ。見つかったら厄介だからな。」

 「よっし、離脱!皆走れ〜〜!」


 負けた3人は…ま、放っておいても大丈夫やな。


 「く、クソ…覚えてろよ万丈目…それからレッドの屑共…!」


 なんか言っとるけど無視や無視。
 っと、裕奈足早すぎや!








 ――――――








 No Side



 警備員が来るギリギリで外に脱出した一行。
 巡回はあくまで建物内部だけなので外に出てしまえば一応は安心だ。


 「スゲェよ万丈目!3人相手にして勝っちまうなんてさ!しかも1ターン3キルだぜ!」

 「ホント、チャンプの名は伊達じゃないって感じ。良いもん見せてもらいました♪」

 夫々の寮への帰り道の道中、話題は先程のデュエル。
 確かに実に見事かつ、華麗で豪快なデュエルだった。

 明日香と翔は、思ってた以上の万丈目の実力に驚いていたが、裕奈、はやて、十代はデュエリストの本能を刺激されまくりだ。

 「期待に応えられたなら何よりだが、俺が本当に戦いたいのはお前達だ裕奈、はやて、十代。」

 「そら光栄やな。私等も、今のデュエル見て直ぐにでもデュエルしたいところやけど…其れは又の機会やな。」

 少し残念そうだが仕方ない。
 既に時計の針は10:30を回っている。

 そろそろ休まないと明日に響く。
 特にレッド寮の朝食の準備がある裕奈とはやては余計にだ。


 「機会はまだ幾らでもある。戦うことになった其の時は…容赦せんぞ?」

 「へっ、其れはこっちのセリフだぜ!」

 「寧ろ加減なんかしたら只じゃおかねぇぞ〜。」

 「デュエルは常に全力全壊が常識やからな。」


 少し挑発的な万丈目の一言に対しても寧ろ上等のレッド3人。
 すっかり打ち解けてる様子だ。


 「なんか別の意味で凄いっす。アニキと裕奈さん達は試験の時から仲良かったすけど万丈目君は今日会ったばかりっすよ?」

 「デュエリスト同士で通じるものがあるのかもしれないわ。それでもデュエルもしないであそこまでと言うのは少し不思議だけど。」

 「そっすよね。」

 そんな4人を明日香と翔は、少し距離を開けて不思議そうに見ていた。

















   To Be Continued… 













 *補足



 リチュアライドドラゴン
 レベル4   水属性
 ドラゴン族・効果
 このカードをリリースして発動する。自分のデッキから儀式魔法カード1枚と、
 ドラゴン族の儀式モンスター1体を選択して手札に加える。
 又墓地のこのカードをゲームから除外する事で、墓地の儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。
 ATK1800   DEF1000



 ヘヴィメタル・ドラゴン
 レベル8   炎属性
 ドラゴン族・儀式/効果
 「重金属の練成」により降臨。
 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、
 破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。
 このカードは魔法カードの効果では破壊されない。
 ATK3000   DEF2500



 龍の儀式古術
 儀式魔法
 ドラゴン族の儀式モンスターの降臨に使用する事ができる。
 フィールドか手札から、儀式召喚するドラゴン族モンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。



 龍族の絆
 通常魔法
 自分フィールド上のドラゴン族モンスター1体を選択する。このターンは選択したモンスターのみ攻撃できる。
 選択したモンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで自分フィールド上の選択したモンスター以外のドラゴン族モンスターの、
 元々の攻撃力の合計分アップする。



 龍の息吹
 通常魔法
 1000ライフポイントを払う。 自分フィールド上のレベル7以上のドラゴン族モンスター1体を選択する。
 このターン、選択したモンスターのみが攻撃可能になり、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃する。
 この攻撃で破壊された効果モンスターの効果は無効になる。



 不死の竜
 通常罠
 自分の墓地又はゲームから除外されているドラゴン族モンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

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