小説『思考するメタモン』
作者:盾雪()

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第五話


イッシュ地方ヒウンシティにあるビルの路地裏にて…
「いいか、ミュウ。お前が変な感じになるんだったらほかの人もなるだろうが!」

現在、俺はミュウに説教中。
…この説教、原因は、ミュウがすれ違う胸の大きい女の人の所に、所かまわず揉みに行こうとするのが原因だったりする。

「うん、そうだね…。」
ミュウは自分がされた時の事を想定しているのか苦そうな顔をしている。

「だったらほかの人にもするな…わかった!?」

「うっ…コースケにもダメ?」

「ダメだってば…」
ホント懲りてないんだね、こいつ。

「はぁ…気持ちよかったのに…」
ミュウは俺の…というか八雲紫の胸を触った時の感触でも思い出しているのか、手をワキワキと動かしている。

「おいこら。その手をやめろバカ。」
まったく…本人にでも見られたらやばい事になる…、
俺はため息をつきながら八雲紫になり、スキマを開く。

「え、ちょっと…なんでスキマ開いてるの?!
…わかったから!もうしないって…!」

「はぁ…まったく。」
“許してー…!”と言うミュウに俺は呆れながら、現在位置が分かった時の事を思い出していた。

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…さてと、とりあえず今の場所が知りたいな…。
まぁ、ビルの路地って言うのは分かるんだけど…
んん〜海に面してるビルの建つ都市って言ったらイッシュのヒウンシティか、
もしくはジョウト地方のコガネシティだろうか…?
むむむ…案内板が見つからないっていうのは痛い…。

「よお、ネェちゃん達…付き合ってくれや」
「なぁ〜俺らと良いことしねぇか?」

俺が考え事をしていると世紀末風の男達(多分暴走族)の二人の男が話しかけてきた。
…ん?達?
…あ、今の俺ゆかりんか。そりゃ声もかけるわ。
ミュウは怖いのか、さっと俺の後ろに隠れて服をつかんで震えている。
はぁ…俺、なんだかミュウの事が良くわからんぞ…

「………」

「えっと…ポケモンバトルですか?ごめんなさい。
ポケモン持って無いので、結構です。」
俺は、極力丁寧に、かつハッキリと断る。

「ヒュー、そんな連れねぇ事いうんじゃねぇーよ…」
「なぁ、別にポケモンバトルしよーってんじゃねーからさぁ〜」

あーやっぱりこいつらあれか。
バトルが目的じゃねーのか。
ポケモンバトルだったまだ断るだけで許してたのに…。
まぁ、殺しはせんけどね。

「はぁ…こういう手は使いたくないんだけどなー…」
と、二人組みの意識の境界を操り、気絶させる。

「…おわった?」
ミュウはどさりと二人の男が倒れる音を聞き後ろから聞いてくる。
「ああ、終わったよ。お、そうだこいつらから聞くか。」
俺は二人組みの頭に手を置き、さっきの事を忘れさせ、現在位置について直接頭に聞いた。

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と、まぁこんな感じであの二人には教えてもらったんだっけか。

それからのんびりと本来の"桐ヶ谷浩輔"に戻ってから、お金が無いので服屋に入って冷やかしてみたり。
人型状態のミュウ(…幽々子姿ね。)に話しかけるバカどもを蹴散らしたり。
ミュウが人型のまま街行く女性にバストアタック(俺命名)を仕掛けるのをやめさせたり。
と、まぁ色々とやった訳だけども…。

「はぁ…なんか今日一日で大分疲れたな…」
現在ギル様(普段着)の容姿の俺はビルの壁に寄りかかる。

「そうだねー…」
ミュウは俺の隣に寄りかかりながら、足元に合った缶を蹴った。
あー、缶が向かいのビルに埋まってら…。

「…まぁ主にミュウのせいだけどな。」
ホント、胸の件とか胸の件とか…。

「…酷い!」
ビルに寄りかかるのをやめ、此方を向き言う。

「あはは…冗談だってば。…半分くらい。」
嘘でも冗談だって言っとかないと後々面倒そうなので言っておく。
半分本音?気にしない、気にしない。

「それ多分完全に本気だよね!?」

おおー、ばれたか。

「まぁまぁ…さて、ミュウさんや。どうするよ?」
とりあえずこのままでは埒が明かないため話を変える。

「なんか腑に落ちないけど…んー…僕そろそろ元の姿に戻りたいかなー…」
ミュウは手を顎に当てコテンと首をかしげながら言う。

「そういえばお前ポケモンだったな。」

「…コースケもポケモンでしょ?」

「あ、そうだったけ…」
んーまだ実感湧かないんだが…
まぁ、妖怪やら英霊やらポケモンやらに変身できる時点で人間やめてるけど。

「そうだったけって…。そうだねー…どっか泊まる所とか無いのかな?」
…あったけか?
あ、アニメでサトシとかポケセンで泊まってたかも…

「…ポケセンで泊まれるか…?」

「そうなの?まぁ行ってみよう、コースケ。」

…ま、行ってみるか。


「む…ちょっと待てミュウ。」
んー無事ポケセンの前に着いたんだが、ある事に気がついてしまった…。

「ん?どうしたのコースケ?早くはいろーよ。」
ミュウは入らないの?と首をかしげながら聞いてくる。
んー…なんだか恥ずかしい話だけども…
「…お金が無い。」
正直に俺は言う。

「……へ?」
ミュウはどうして?という顔をし、聞いてくる。

「いや、まぁ手持ちの木の実とか売れば何とかなるけども…」

「じゃ、大丈夫じゃん。」

「一人分しかお金は出来ないと思う…。」

まぁやろうと思えばお金は作れる。
ただ、なんせ此処はゲームの世界じゃなく現実である。
千円稼ごうと思っても木の実千個は売らなければいけない。
一人千円と仮定しても二人分で二千個は木の実を売ることになる。
そんなに一つのお店に在庫が置けれるかと言うと…まず無理だ。

「え…それってどうすんのさ?」

「いやーどっちかがポケモンになって一人分浮かすか何とかしないと…」
ポケモンの分まで取られるとなったらもうどうしようもないが…。

「そっか…じゃあ僕が戻るよ。」
なんだかポケモンに戻る事を強要してしまった感じがする…。

「…なんかごめん。」

「いいってば。僕も“ポケモンにそろそろ戻りたい”って思ってたしね。」

あ、そういえば…
「あ、そうか。そんな事言ってたっけ。」

「そうそう。だから気にしないでいいってば。」

「んー…それもそうか。
じゃ、変身といても…うん。大丈夫だ。」
俺は回りを見渡しながら言う。

「オーケー。じゃ、戻るよー」
それを合図に、ミュウは本来の姿へと戻る。

『いやーなんだか身体が軽いよ〜』
ミュウは得意の念力で宙を舞いながら、俺の頭に直接念話で喋っていた。

「こら、お前は人目についたらやばいんだから、うろちょろするな…!」

『えー…あ、うん分かった。
なら、近くに住んでいるポケモンにでもなっとけば良い?』
俺の目を見て真剣さが伝わったのかさっと"コラッタ"へと変身する。

「うん、それならばれないだろ。
そのサイズなら俺の服に入るだろ。念のため入っとけ。」
俺は上着の裾を開けながら言う。

『じゃ、僕コースケの服の中に入っとくね。』
コラッタへと変身したミュウは俺の服の中にもぞもぞと入ってくる。

「うし、じゃ…ポケセンに入るか。」
『おおー!』
俺はコラッタになったミュウを引きつれ、初めてのポケセンへと足を踏み入れた。

-5-
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